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2024.04.26 ベレーザ

Beleza Match Preview & Column #17

Match Preview
『上昇へ向けて重要な3連戦の初戦』

3連戦を終え、一息ついたところで、ここから再び3連戦が待っている。それが終われば首位の浦和と対戦する最終節を含め残りは3試合しかない。よって、優勝を目指すには、この3連戦がとても重要な試合になる。

 

前節はセレッソ大阪ヤンマーレディース戦。ヨドコウ桜スタジアムでは試合前に2024年度大阪府サッカー協会4種の集いが行われたこともあり、たくさんの小学生の声援が響き渡る完全アウェイの状態で試合がスタートした。これに応えるようにC大阪はスタートからフルスロットルで入り、白垣うのにインターセプトからシュートを打たれるなど、序盤はベレーザが押される展開になる。それでも、落ち着いた対応でその時間帯を耐えると、すぐにペースを取り戻すことに成功。だが、ゴール前に人数をかけて守るC大阪の分厚い壁を崩すことができず、なかなかシュートを打つことができない。試合を支配したものの、前半を0-0で折り返すことになった。

 

後半は、ゴールへの意識をより高く持って入ると、60分すぎからサイド攻撃で相手ゴールに迫るプレーが随所に見られ、75分だった。右サイド山本柚月のクロスにニアで土方麻椰がつぶれ、中央から鈴木陽が飛び込んで先制ゴール。だが、ようやくリードを手にしたのも束の間だった。その4分後には、荻久保優里のクロスを脇阪麗奈に合わされて同点に。終盤は藤野あおばのシュートがギリギリでディフェンスに阻まれ、また山本のミドルシュートがクロスバーに弾かれたりと惜しい場面もあったが、ゴールを奪うことができず試合は1-1のドローに終わった。

 

試合後、松田岳夫監督の会見の冒頭、「やはりゴールを奪えない、それがこの結果につながっていると思います」と話したように、先制点後、2点、3点とたたみかけることができなかったことが課題として残った。その結果、「リーグを通しても引き分けが多い」というように、これでリーグ最多の6引き分け。そのほとんどが勝点3を取れた試合で、この試合のように勝点2を取りこぼした印象の強いものだった。今のベレーザには、ゴールを積み重ねる貪欲さが求められている。

 

今節対するのは大宮アルディージャVENTUS。現在6位の大宮Vは、前節ジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦した。4分に、中盤で仲田歩夢のパスを受けた牧野美優がミドルシュートを放ったが、これが両チームとも唯一のシュートになるなど、お互いになかなか攻撃が噛み合わない前半になった。後半に入るとようやくエンジンのかかった両チームはゴール前の展開が増えてくるが、中でも千葉Lの攻撃に対して大宮Vが守る時間が長くなっていった。ただ、後半だけで千葉Lに計10本ものシュートを打たれるも、その前の節で浦和戦に4失点を喫した大宮Vの守備陣が意地を見せて耐え抜き0-0のスコアレスドローで試合は終了。勝点1を手にしている。

 

ベレーザは大宮Vとの前回対戦で、1-0の勝利を収めた。この試合は得点こそ1点に終わったが、何度もゴールに迫る姿が見られた試合でもあった。現在西が丘では3連勝中。しかも、2点、3点、3点と、毎試合のように複数得点を挙げている。前節の課題を克服し、よりたくさんのゴールを西が丘のファン・サポーターに見せて勝利を喜び合いたい。

(写真 松田杏子)

Player's Column

『やっぱり別次元の人?

「円周率を100桁言える」「現役の慶應義塾大生で、経済を勉強している」「好きな科目は数学」。野田になのエピソードを集めると、「賢い」「文武両道」という人物像が浮かび上がってくる。さらに「実は犬養毅の子孫です」と付け加えられたら…。別次元の人のように思えてくる。

 

ただ、それは1つの側面にすぎない。こんな側面もある。実はお笑いが好き。ホームページに記載されているプロフィールの中で、「よく見るYouTube動画は?」という質問に対して、「さらば青春の光」と答えている。「そのときによく見ていたので。上品とは言えないですけど…」と、屈託のない笑顔を見せる。子供のころ大阪に住んでいた時期があり、自然とお笑いが好きになった。「M-1グランプリ」は、毎年楽しみにしているそうだ。

 

GK練習で笑顔がこぼれることも多い。中村和哉GKコーチが作り出す雰囲気に、GK陣最年長の田中桃子がさらに盛り上げる。フィールドプレーヤーのそれとは違い、そこだけは「ほんわか」とした空気が流れていることがある。そこで野田は、「笑うと目がなくなる(byゆきな)」とこれまたホームページで自身が回答している笑顔を見せながら、他のGKたちと切磋琢磨しているのである。

 

そんな野田は、お笑いが好きになったのと同じころ、サッカーを始めた。他のスポーツも楽しんでいたが、「サッカーが一番刺さった」という。その当時は、地元のガンバ大阪の試合をよく観ており、その中心選手であった遠藤保仁が好きだった。まだGKではなかった。ただ、チームで代わる代わる務めていたGKで転機が訪れる。「もともとキーパーへの憧れがあったのと、キーパーやってみて『いいね』って褒められた」ことが重なり、GK野田になが誕生した。

 

ベレーザに昇格して今季は3シーズン目。第4節マイナビ仙台レディース戦で先発の座をつかむと、そこからベレーザの正GKとしてのキャリアが進むはずだった。しかし、第10節C大阪戦でベンチに座り、翌節には先発に復帰したが、第13節のマイ仙台戦はベンチスタート。またまた翌節には先発に戻るが、ベンチ、先発が交互に来ている状態だ。代わる代わるGKを務めていたあの時とは状況が違う。

 

「キーパーとしては出たり出なかったりっていうのは精神的にも実際プレーする上でも難しいところっていうのはやっぱりあります。でもそれはサッカーをやっている上では普通のことというか…。試合に出場することを保証されている選手がいないのは普通のことなので、それは選手としての宿命かなと思います」

 

と割り切っている。ただ、試合に出ていない時は、こう考えている。「ゲーム全体の流れを見ながらですけど、キーパーの視点で自分が出たときにどういう風に良い影響を与えるかということを考えています」。

 

頭で考えること。それは野田の原点だ。「父が色々なことを知っていて、かつ冷静で論理的で。その影響が大きいなと思います」というように、物事を常に論理的思考で考えるクセがついている。

 

「『何となく』とか『たまたま』とかはそんなに好きじゃないんです」

 

現状には理由がある。そこに明確な答えを出せた時、やっぱり別次元の人になってしまうのだろうか。

(写真 近藤篤)