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2024.08.30 トップ

Match Preview #29

Match Preview

「勝って上昇気流に乗る」

「どこのチームも、鹿島に勝つと勢いに乗ったりするんですよね」

少し前まで所属していた松村優太は、経験としてそのように感じている。

ヴェルディは前節鹿島と対戦した。3試合勝利がないヴェルディだったが、序盤から自信を持った試合展開を見せた。最初に決定機となったのは30分、木村勇大が前線で起点になってボールを握ると、スルーパスが木村のもとに。切り返しからシュートに持ち込むもGKにセーブされる。さらに、前半アディショナルタイムの47分には、齋藤功佑のクロスを山見がワントラップから強烈なシュートを放つが、無情にもこれはクロスバーに直撃。後半に入っても51分にはカウンターから山見がカットインしてシュートを放つなど、ゴールは近づいているように見えた。それでもヴェルディのJ1通算800ゴールに王手をかけてからゴールが奪えない状態が続いている。今節もそうなのか。そんな不安を打ち破ったのは63分だった。3バックの右に入った綱島悠斗が力強いドリブルでボールを前に持ち運びスルーパス。これを受けた山見がゴールに叩き込んでついにメモリアルゴールを達成。75分には相手のクリアボールに対して体を張ってマイボールにした齋藤がシュート。こぼれを山見が押し込んで2点目。“ケチャドバ”とも言える山見の2ゴール目で優位に立つと、不運な形でPKから失点するも逃げ切って4試合ぶりの勝利。3位の鹿島に対して大きな1勝を挙げた。

この試合、鹿島から期限付き移籍で加入している3選手は契約の関係で出場できなかった。そのうちの一人、松村は自らが出場していない試合での勝利に、「自分自身、刺激になりましたし、これでより競争も激しくなります。負けていられない」と言う。出場した選手たちはより自信を高め、こうして出場できなかった選手も高いモチベーションを維持している。それが冒頭に書いたような鹿島に勝った勢いにプラスされそうだ。

対する柏は、前節アウェイで広島と対戦している。序盤、柏は細谷真大が前線でフィジカルの強さを生かして決定機を作るも、ゴールを奪うことができない。すると31分には満田誠の落としに松本泰志がGKの頭上を抜くループで狙われるが、片山瑛一が間一髪のクリア。ここは何とか耐えたものの、38分に3バックの右を務める中野就斗にボックス内から決められて先制を許す。さらに65分には松本のクロスからオウンゴールとなってリードを広げられてしまった。その後も前掛かりの柏はカウンターから決定的なピンチを迎え、83分には古賀太陽が一発退場。厳しい状況に追い込まれた柏は、このまま無得点で試合を終えた。

それでも細谷はFIFAワールドカップ26アジア最終予選 中国代表戦、バーレーン代表戦に向けた日本代表に選出されるなど調子は上がっている。さらに攻撃陣は垣田裕暉が加入するなど、層は厚くなっていると言えるだろう。もちろん前回対戦でゴールを決められた190cmの木下康介もいる。その前線の選手たちを操るマテウス サヴィオも存在感は変わらず大きい。総得点はリーグで下から2番目の32得点と苦しむも、タレント揃いの攻撃陣は脅威だ。前回対戦は土壇場で追いつかれて勝利を逃した。そうならないように、鹿島戦のように1点のリードで満足しない姿勢が必要になるだろう。

また今節を迎えるにあたり、台風10号が日本列島を横断している。試合にどのような影響があるか、それを予測することは難しい。それでも林尚輝が、「開催の可否に関して自分たちで決めることではないので、試合に向けてしっかりと準備をしている。悪天候になることを予想した中で戦う必要がある」と想定をしている。どのチームにもヴェルディの勢いを止めることはできない。まして台風にも止められない。大きく順位を上げる可能性のある大事な試合に勝って、一気に上昇気流に乗りたい。

(写真 近藤篤)

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