Match Preview 天皇杯3回戦 vs 湘南ベルマーレ

Match Preview

『必ず次の舞台へ』

「次は天皇杯になりますが、こういう学びや悔しさなどをどういうふうに次の試合に繋げていけるかというところがこのチームの成長の1つのキーになるかなと思います」

Ｊリーグ公式戦通算500試合指揮となった城福浩監督が、前節の試合後の会見で語ったコメントだ。

リーグ前節は雷の影響で試合開始時間が40分遅れるなど、波乱の幕開けとなった。それでも、横浜FM戦と同じスタメンとなった11人がアグレッシブに、そして攻撃面では相手ディフェンスの背後を上手く使いながらチャンスを何度も作る。その中で山見大登が21分、31分にそれぞれクロスバー、ポストに直撃するなど得点の予感をさせていた。だが、前半終了間際にアクシデントが起こる。山田楓喜が1発レッドで退場。1人少ないまま試合の半分以上を戦わなければいけなくなった。それでもハーフタイムを経て、選手たちはより結束。後半開始すぐにPKを獲得し、山見が難なく決めて先制に成功する。しかし、ここから長い時間、相手に攻め込まれる時間が続き76分にはついにレオ セアラに決められて同点。直後にもピンチを迎えるなど、耐える状態が続く。前回対戦では最後の最後に失点してしまったが、この試合では何とか守り切ることに成功。勝点1を死守した。

「粘り強く戦って勝点1を取れたことは、選手を褒めてあげたいと思います」と城福監督が言うように、最後まで戦い抜いたことで、今季のリーグ戦味スタ不敗記録を伸ばすことになった。一方で、ここ最近続いている終盤に押し込まれるという課題はなかなか克服できていない。もっとも、人数が少ないということが影響していることは間違いないが、そこを改善しなければ今後勝点3を奪うことは難しくなってくるだろう。

そこで今回の天皇杯だ。改めて2回戦を振り返ると、試合が行われたのは6月12日。味の素フィールド西が丘でAC長野パルセイロと対戦した。先制点は30分、後ろから縦パスをつないでスルーパスに反応した山田剛綺がゴールに流し込んだ。43分にはCKから袴田裕太郎が頭で合わせて追加点。後半に入り、交代出場の木村勇大が倒されてPKを獲得。木村のキックはGKにセーブされるも、こぼれ球を袴田が押し込んで3点目。76分には、山見大登が技ありのシュートを決めてさらに得点を追加し、仕上げは木村がきっちりと借りを返す力強いゴールを決めて大量5得点で勝利している。

木村はともかく、得点を決めた山田剛綺、袴田、山見は、この試合をきっかけにリーグ戦にも絡む活躍も見せている。今回も過密日程の中に組み込まれており、チャンスを掴む選手がいるかもしれない。その選手の活躍次第では、またチームの底上げにもつながる。そして、メンバーの充実が90分間、最後まで自分たちのペースで試合を運ぶことにつながるだろう。貴重な真剣勝負の場を今回も大事にしたい。

一方、湘南は天皇杯2回戦で甲南大と対戦している。湘南が序盤から実力差を見せつけて相手ゴールに迫るが、なかなかゴールが奪えないでいると、37分に小野瀬康介のシュートが山田直輝に当たって入るラッキーなゴールでようやく先制に成功する。しかし、49分だった。甲南大のFKのチャンスから清水健生がダイビングヘッドで押し込んで試合は振り出しに。だが、ここからはＪ１の意地を見せた湘南が、80分にルキアンのゴールで勝ち越すと、後半アディショナルタイムにもルキアンがPKを決めて3-1。終わってみれば快勝で3回戦に進出している。

その湘南は、リーグ戦では前節浦和と対戦している。序盤から浦和にシュートを打たれる展開となったが、ソン ボムグンの好セーブで得点を許さない。32分に湘南がカウンターからチャンスを作る。高い位置でボールを奪い返し、山田直輝のスルーパスから田中聡が抜け出してゴールに流し込んで先制。このゴールから試合を優位に進めることになったが、後半から交代選手の働きで攻撃が活性化してきた浦和に圧倒される形になる。62分、交代直後のチアゴ サンタナにスルーパスが入ると左足を振り抜いて同点。さらに、勢いに乗るチアゴ サンタナは74分にもゴールを決めて逆転。試合は浦和のものかと思われたが、89分にプロ1年目の石井久継が豪快な一撃を決めると、90+2分にボックス内でボールを受けたルキアンが押し込んで逆転。劇的な展開で勝点3を手にしている。

3回戦では唯一、Ｊ１チーム同士の対戦となるこのカード。相手のホーム、しかも上述のように勢いに乗っている相手との対戦だ。一足先に厳しい戦いになることが予想されるが、総力戦でまた1つ上の舞台に進む。

（写真　近藤篤）