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2024.05.11 トップ

Match Preview #13

Match Preview

「今節も『今季初』を目指す」

リーグも12試合が終わり、ここに来て「今季初」が少なくとも2つ出ることになった。

 

前節はホーム磐田戦。今季J1に昇格したライバルとの対決は、結果的に点の取り合いになった。序盤からヴェルディが攻勢に出ると33分だった。翁長聖の左CKは、高く上がりファーサイドの千田海人が折り返す。そのボールが相手ディフェンスの手に当たってPKを獲得。これを染野唯月が難なく決めて先制に成功。幸先良い形で奪ったゴールから6分後、再びヴェルディはCKを獲得。先ほどと同様、翁長のキックからチャンスが舞い込んでくる。ゴール中央で染野が頭で合わせると、川島永嗣にセーブされるが、こぼれ球を木村勇大が詰めて追加点。良い形で試合を折り返すことになった。

 

それでも一抹の不安があったのは、第8節FC東京戦の記憶が残っているからだろう。その試合では2点リードの状態から最終的に追いつかれて勝点3を逃している。その悪い予感は的中することになる。55分にはクロスのクリアボールをマテウス ペイショットに押し込まれて1点を返されると、66分にはブルーノ ジョゼのクロスをジャーメイン良に決められる。あれよあれよという前に同点に。しかも、77分にはボックス内でハンドを取られて磐田にPKの判定。だがこのピンチに、ジャーメインのシュートはゴール左に外れる。危機一髪の場面を逃れたヴェルディは85分に木村の抜け出しから相手ディフェンダーを退場に追い込み、数的優位の状況となる。そして――。90+9分、森田晃樹のスルーパスから木村がゴールにねじ込んで劇的勝ち越しゴールが決まった。

 

国立競技場で、または味スタで共に戦ってくれていたファン・サポーターの前で「今季初」の勝利。これまで何度も近づきながら、目前で取りこぼしていた勝点3だった。今回も同様の展開になりかけたが、自らの手でそれを克服してみせた。そして、この勝利によって「今季初」の連勝となった。時間はかかったかもしれないが、悔しさの分だけたくましくなってきていると言えるだろう。ゴールデンウイークの3連戦は最高の形で締めくくることができた。そしてここから再び3連戦に突入することになるが、今回もより良い成績でさらに上を目指していきたい。

 

その3連戦の初戦の相手は鹿島になる。前節柏と対戦している。試合は前半と後半で展開が大きく変わった。まず前半、それは鹿島のペースで試合が進んだ。きっかけは4分のプレー。佐野海舟のスルーパスを受けた名古新太郎が落ち着いて切り返し、ゴールに流し込んで鹿島が先制に成功する。以後、鹿島はゴールに迫る回数が激増。56分には、仲間隼斗のスルーパスに左サイドを抜け出した安西幸輝がマイナスのボール。これに絶好調の鈴木優磨が合わせるがポスト直撃。追加点が取れそうで取れない時間帯が続くと、徐々に柏に流れは傾く。すると65分には戸嶋祥郎が強引に持ち込みスルーパス。島村拓弥がディフェンスの前に潜り込み、GKとの1対1を制して同点に追いついた。これで柏が一気にギアを上げ、70分にはマテウス サヴィオがPKを獲得。自らキッカーを務めるが、シュートはゴール左に外れてしまう。それで勢いが弱まることもなく、柏の攻撃のターンが続いた。それを鹿島の守備陣が何とか耐えきり、試合は1-1のまま後半アディショナルタイムに突入。90+1分だった。鈴木が浮き球のパスをゴール前に落とすと、タイミング良く走り込んだのは途中出場のチャヴリッチ。上手くゴールに流し込んで劇的勝ち越しゴールとなった。

 

鹿島はこれで3連勝。順位も第9節の9位から一気に3位まで浮上している。今季から指揮を執るランコ ポポヴィッチ監督について「今のメンバーの中で1つの解を見つけたのかなと思う」と城福監督が話すように、鹿島は勝ちパターンを掴みつつあるのかもしれない。その1つのカギは、チャヴリッチの存在だろう。この3試合は途中から起用され、短い時間ながら結果を残している。またそれは、先発で使わなくてもゲームを組み立てられる選手層の厚さを有しているということでもある。それでも臆することなく、ヴェルディは「今季初」の3連勝を目指す。

(写真 松田杏子)

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