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東京ヴェルディを様々な面で支えていただいている、パートナーの皆さま。それぞれに特別な想いを持って、クラブをスポンサードしていただいています。これまでの一般的なスポンサーという枠を超えて、クラブと企業が共に歩んでいくコミュニティのような未来を描く東京ヴェルディ。
『ONE FLAG 〜パートナー企業とともに創る新しい価値〜』と題して、ヴェルディファミリーの仲間同士で、様々な思いや未来について本音で語り合う本企画。
対談を通じて、お互いの思いを共有し、目線を合わせながら目指す未来を描いていきます。
第3回は翻訳パートナーとして東京ヴェルディを支えていただいている、Xtra株式会社さんにご登場いただきました。東京ヴェルディの公式サイトの会社概要やマッチレポートなどの多言語化にご協力いただいております。
対談に参加していただいたのは、多言語化は継続してやることに意味があるというXtra株式会社取締役山田 尚貴さん。(写真中央)そして、クラブの情報などを世界に向けて発信することに強く重要性を感じている東京ヴェルディパートナー営業部鈴木雄大。(写真右)
また、ファシリテーターとして、東京ヴェルディの企画戦略パートナーである株式会社リトリガー八木原泰斗(写真左)が、パートナーになるキッカケや効果、そして見据える未来について伺いました。
(以降敬称略)
八木原 今日はよろしくお願いします!クラブとパートナーの対談を通じて、パートナーさんがどういう思いでヴェルディと一緒にやってくれているのかを伝えていく企画です。今回は3回目ということでXtraさんにお話を伺わせていただきます。
さて、最初にサポーターの方も、どういうことをやっている会社なのか知らないケースがあるので、会社やサービスの紹介をお願いします。
山田 まずXtra株式会社という社名は今年の3月1日からで、それまでは株式会社エニドアという社名でパートナーをさせていただいていました。メインの事業としては一貫していて、仕事をしたい人と仕事をお願いしたい人のマッチング。いわゆるクラウドソーシングと呼ばれるサービスをConyacという名前で展開しています。
最近では別軸でQlingoという自動翻訳のサービスもやっていて、他に親会社が自動翻訳のサービスをやっているので、そのサービスの代理店業務などもあります。総合的には言語的なサービスを提供している会社です。
八木原 ありがとうございます。ヴェルディにはサプライヤーという形で支援いただいていると思うのですが、通常のスポンサーとサプライヤーの違いとはなんでしょうか?
鈴木 サプライヤーとは、ヴェルディ・ベレーザを支援したい!と思っていただいた企業様でも、そこに割ける広告予算が無かったりする場合に、事業ドメインで企業様の強みと我々の弱みが合致した場合、その製品やサービスでご支援をいただくという形です。
Xtraさんの場合、翻訳パートナーという形で、無償でXtraさんの翻訳サービスをご提供いただいているというものになります。
八木原 なるほど、ありがとうございます。それでは改めて、ジョインしていただいた経緯を教えてください!
山田 キッカケはもともと、我々の株主だったスカイライトコンサルティングさん(2015シーズンより東京ヴェルディと資本業務提携、及びコーポレートパートナー)から2年前頃にご紹介いただいたところからです。
鈴木さんとなにかできることはないかと話していく中で、ヴェルディさんとしては外国人のお客さんが少しずつ増えてきていて、そこにリーチしたい、我々としては多言語化できる、という部分が合致してお手伝いさせていただくことになりました。
八木原 実際のところ、外国人のお客さんはどのくらい増えているんですか?
鈴木 我々の公式サイトへのアクセスだと、北米やヨーロッパ、東南アジアから多く見られていることが分かっています。
昨今インバウンドと頻繁に言われるようになりましたが、我々も日本の首都東京にあるチームとして、何かしら多言語で発信していくことによって集客できる装置が作れないかなと。
まさに2年前、2017シーズンがロティーナ監督というスペイン人監督だったんですよね。色んな国籍の人々がWebサイトを閲覧しに来ることを見越して、世界共通言語の英語で発信してみたいということで、翻訳サービスのご提供をお願いしたというのが経緯となります。
八木原 先を見越しての打ち手が効果的でしたね。このような翻訳サービスをスポーツチームに提供する取り組みは、他にもあるんですか?
山田 単発の翻訳はあるのですが、定常的に翻訳を提供し続けるみたいなことは初めてですね。翻訳とか多言語発信って単純にWebサイトを翻訳するだけだと、訪れた人が見て帰って定着せずに終わりになってしまうことが多いんですね。
なので、定常的にSNSの更新やWebサイトの更新をしっかりしていることが多言語化で重要なことなんです。そういう意味でずっとお手伝いを継続してやらせていだくことに意味があるなと思いますね。
八木原 なるほど。2017年スカイライトさんから紹介いただいたタイミングでは、どういう期待値、想いをもっていられましたか?
山田 最初はお互いなにかできるかなと若干懐疑的ではあったんですよね(笑)。実際WebサイトなのかSNSなのか、何の情報を翻訳しようか、みたいなことを半年くらい一緒に詰めていきました。
八木原 半年話し合って、じゃあやってみようとなった決め手は何だったのでしょう?スポンサーをやってみたい!という会社さんでも、社内で稟議が通らなかったりするケースも良く聞きます。
山田 それがどういう効果があるか、という仮説をいかに作り上げていくかだと思いますね。そこにマーケットの数字とか、他社の状況とか数字をいろいろ引っ張ってきて、自分なりのロジックを組み立てて社内に伝えれば、もちろん予算は必要ですが、スタートはできると思います。
八木原 ちゃんとした数字を仮説とともに作っていくというのが、もしかしたら難しいところなのかもしれませんね。
山田 難しいんですよ(笑)。特にスポーツに何かを提供して、それがどのように収益に繋がるか、という形を組み立てるのって難しいんです。例えば、ヴェルディさんのスポンサーさんでも、認知度を高めたい場合は分かりやすいと思うのですが、関連性の無いビジネスになればなるほど数値として結びつきにくくなっていくので、そこは長期的な目線で追っていかないといけません。
でも、toB系の企業さんだったら、ヴェルディは伝統のあるチームなので、そこに対して何かを提供しているというだけで良い実績として見せられると思いますよ。
八木原 ほう!そういったケースって実際にありましたか?
山田 そうですね。毎週翻訳させていただいているものが、そのままWebサイトに載っているので、それを営業先などで見せれば我々が提供するものの品質を見てもらえます。
八木原 そうか、それが仕事実績として営業ツールにもなるし、広告宣伝ツールにもなりますね!
山田 いろいろなお客さんだったり、企業さんだったりにヴェルディさんの翻訳やってますよね、と言われることも増えました。実際に社内で営業のチームとかがお客さん先に行ったときに、そのお客さんがヴェルディのファンだったりすると、話が盛り上がったり、そういった定性的な部分で効果はすごくあったと思います。
やっぱり、伝統あるクラブのページに載っているということは我々としてはすごくありがたいです。提供させていただいている翻訳以上の価値を我々は受けているなと感じます。
八木原 それは嬉しいお話ですね!
八木原 今具体的にやっていただいているのは、公式サイトの翻訳になりますか?
山田 はい、まずは公式サイトを翻訳してみようとなりまして、試合の詳細や、選手のコメント・インタビューを試合が終わった次の水曜日には英語にしています。
八木原 それって結構タイムリーですよね!では、2年ほどやってきた中で変わったことってありましたか?
山田 毎週やることが定常業務になっているので、そこはやりやすくなっています。最初はそんなスピード感難しいと思っていたのですが、翻訳する人も慣れてきて、翻訳スピード自体も上がりましたね。あとは弊社のサービスは世界中の登録してくれている人に発注するので、ニュアンスや伝え方にばらつきが出ることもあるのですが、やってくれる人が固定化したので一貫してできるようになってきました。
翻訳してくれている人としても、ヴェルディさんの広報の支援として翻訳している、という明確な大義があるのでモチベーション向上にも繋がっているみたいです。弊社としては良い仕事を提供できているなと思っています。
八木原 それはwin-winの関係で素晴らしいですね! 支援することで業務スピードが上がったというのも良いエピソードです。
山田 あとはやっぱり日本では2020年のオリンピックに向けて多言語化を求められているので、いろいろなWebサイトとか店舗とかが多言語化をやっていますけど、追いついていないという現状があります。そんな中で、ヴェルディさんと早い段階で取り組めたというのは良かったなと思います。
鈴木 今、僕らだけではなくて色々なJリーグクラブが、多言語化として英語でホームページを作り、情報発信をしています。ヴェルディとしてはしっかりと目的意識を持って、世界に向けて情報を発信するためにXtraさんとこういった取り組みをしているので、今後もより良いものにしていきたいですね。
山田 その流れで言うと、まだ実現はしてないんですけど、SNSの翻訳はやっていきたいなというのはありますね。今後そういうところの取り組みもできたら素晴らしいなと思います。
八木原 英語版Twitterみたいなことですか?
山田 そうですね。文章だけじゃなくて、写真や動画、あとはInstagramとかそういったところでもご一緒できたら良いなと。
八木原 それは良さそうですね! Webサイトをちゃんと見る人もいますけど、SNSはよりタイムリーに近い距離感でコミュニケーションできますしね。
山田 そうですね、ライトに見られた方が広がりという部分はあります。海外のスポーツ選手とかはほとんどInstagramをやっていて、すごいフォロワーがついていたりするので、そういったところもベンチマークしてやっていけたらと。
例えばフォロワーの多い選手のツイート内容を分析して、それを選手に対してこういう発信をした方が良い、みたいな周知とかをしても良いかもしれないですね。
鈴木 それはチャレンジしたいですね!選手個人のマーケティングというか。
八木原 海外ってクラブも選手もSNSにすごく力を入れていて、レベルも高いじゃないですか。日本との違いって何が大きいんですかね?
山田 恐らく体制の問題だと思っています。特にアメリカはSNSチームが数十人いたり、専門の会社に外注していたり、そういうところが体系的にできているというのが大きいです。日本だと広報活動の一部としてSNSがあるという意識ですけど、海外だとクラブチーム全体で発信していくというスタンスなんですよね。
八木原 Xtraさんみたいにそういうサービスをメインにしている会社さんとかがジョインしてくれたら、海外に倣ったSNS発信とかもできそうですね。
山田 そうですね!でも、やっぱり体制を作るのは大変ですよ。弊社も社内でSNS発信をしているんですけど、特に多言語でやるとなると、単純に言語が増えれば増えるほど工数も増えるので、コストをかけないといけないところですけど、それが短期的な収益に結びつかないので、先行投資になってしまいます。
テレビCMとかと違って、SNSはじわじわとバイラルで効いてくる部分が大きいので、そこは時間をかけてじっくり戦えるかどうかというところです。
八木原 では、話を変えまして、ヴェルディ側に望むことなどはありますか?こうして欲しいというリクエストなど。
山田 我々がお手伝いさせていただくことで、最終的には収益につながっていけば嬉しいです。外国人のお客さんにスタジアムに足を運んでもらう、という部分に直結するような取り組みができたらなと思います。
結局、認知度が上がっても収益につながらないと、やっていることとして大きなことにはならないので、やっぱり収益に直結することが重要かなと思っています。集客部分ですね。
八木原 実際にスタジアムに来ている外国人の観客はどれくらいいるんですか?
鈴木 なかなか拾うのが難しくて、数字では取れていないです。ただ、感覚値で言うとスタジアムに足を運ぶというところまでの獲得には繋がっていないかもしれないですね。
八木原 そういう調査とかも今後やっていけると良いですよね。
鈴木 それは本当にそうですね。数字が取れてないことを言い訳にせず、海外からのアクセス数とかも定量的に見ていかないといけないですね。マーケティングとして活用できなければ意味がないと思うので。
山田 ヴェルディさんとして2020年の東京オリンピックに向けて、イベントとか考えていらっしゃいますか?
鈴木 イベントなどの予定は特にないですが、僕らが抱えている選手の中でオリンピック代表候補の選手たちが沢山いるんですよ。これはかつてないほどのチャンスだと思っています。
特に日テレ・ベレーザからは、今年6月から行われているFIFA女子ワールドカップの代表チームに10人も選出されていますし、日本女子代表チームの約半分が我々のクラブの選手という状況になっています。
来年東京オリンピックの時も、我々のクラブの選手が代表チームにまた選出されて、それがオリンピック、しかも東京でプレーするとなると、こんなチャンスはないですよね。そういった一流の選手たちと共にクラブの価値を上げていかなければいけないと思っています。
もちろんベレーザだけでなく、ヴェルディにもオリンピック代表候補選手が何人かいるので、ぜひそういった選手たちと共にクラブの価値を上げていきたいです。
山田 すごいですね、わくわくしますね!
八木原 よし、ぜひその施策を考えましょう!!とはいえ、まずはワールドカップですね。やっぱり海外からの注目度も高いですしね。
鈴木 本当にその通りです。例えば、今夏にFCバルセロナが日本遠征に来るじゃないですか。その女子版として、ベレーザは世界的に見ても誘われる側のチームだと思うので、今後ヨーロッパ・アメリカなどにツアーに行くことも大いに予想されます。その場合、さらなる英語での情報発信が必要になると思います。
そういうことができてくると、我々もグローバルクラブの仲間入りができると思うので、次のフェーズとして、そういうクラブに成長したいですね。
八木原 遠征してファンをつけて、そのファンがこっちに来てくれたらそれも集客になりますし、良いスキームですね!では、今後協業というか、こういうことに一緒にチャレンジしていきたいということはありますか?
山田 繰り返しになってしまいますが、収益化という部分にいかに繋げられるような取り組みをさせていただけるかというところですね。外国人のお客さんが実際に来場しても困らない誘導だったり、そもそもスタジアムに来てもらえるような施策をしたり、そういうところは多言語化でお手伝いできる部分があると思うので、そこを少しずつやっていければなと思います。
スポーツも当然ビジネス的な側面はありますし、ビジネスが成り立たないと良い選手も仲間にできないので、そこは重要だと考えています。
八木原 逆にヴェルディ側からXtraさんに提供できそうなことは、何かあったりしますか?
鈴木 今年創立50周年を迎えて、東京ヴェルディの次の50年のストーリーでいうと、海外のいろいろなクラブと提携していくという動きがあります。実際にフランスのACアジャクシオ、スペインのSDエイバルと提携をしています。
これからヨーロッパやアジアなど、いろいろな国々と実際にお話を進めていこうとしている中で、我々が海外に遠征に行ったり、海外のクラブが日本に来たりというのが将来活発化するのではないかと思っています。
そこには必ずXtraさんに寄り添ってもらって、翻訳だけのサービスではなく、多言語発信の柱として、一緒に取り組んでいけるような形が理想的なのかもしれません。それが最終的には集客とかに繋がっていけるような施策になれば良いですね。
山田 あとはいろいろな種目のスポーツをやられているので、サッカーだけじゃなく、他のスポーツの部分でもお手伝いできるんじゃないかなと思っています。
鈴木 そうなんですよ!それは私が言うべきでした(笑)。東京ヴェルディクラブって、すでに日本だけではなく海外で戦っている選手が沢山いるんです。
例えば、トライアスロンの選手たちは自分たちで海外のレースに参加しており、そういった選手のプロモーションにXtraさんに寄り添っていただいて、SNSの投稿を通じたファン作りの施策をご一緒させていただくとか、何かお互いにご協力し合えることは充分にあるかもしれません。
八木原 確かにサッカーだけじゃないという視点で考えれば、ヴェルディ側から一緒にやりましょうと言える部分は、いろいろありそうですね。
そういうことも含めると、今はサプライヤーという形ですが、パートナーとして協賛金を出していくみたいなことも現実的には出てくるんですかね?
山田 全然あると思いますね。お互いがwin-winの関係で居続けられたら良いなと思います。
八木原 最後に、当初は2020年に向けて話が進んできた中で、来年2020年が終わった後にはどういうビジョンを描かれていますか?
山田 結局、多言語化とかインバウンドって2020年は通過点だと思っています。日本が無くなって外国人の方が誰も来なくなるなんてことはない。
日本のスポーツ自体も伸びていくと思いますし、そこに対してのお手伝いは継続してやっていきたいと思いますし、継続してやり続けるということに意味があると考えています。変わらずにお手伝いさせていただきたいですね。
八木原 確かにそうですよね。 継続していくことが収益に繋がって、お互いにとってwin-winの世界を創れるように今後の施策も一緒に考えていきましょう!今日はありがとうございました!
鈴木 ありがとうございました!
山田 ありがとうございました!
八木原 お二方、ありがとうございました!山田さんからはヴェルディとどうやってwin-winの関係を築いていくかのヒントをいただきました。
ヴェルディに関わっていただいた実績が営業ツールになり、事業につながっている1つの理想像を見ることができました。 他のパートナーにもこういう連鎖が広がり、業界全体が潤っていくと良いなぁと考えています。
ライター:渡邊志門 / 写真:石橋雅人