NEWSニュース
NEWSニュース
①2018J1参入プレーオフ2回戦 横浜FC戦プレビュー
芥川和久(エルゴラッソ記者・東京ヴェルディ担当)
海江田哲朗(フリーライター)
上岡真里江(フリーライター)
②2018J1参入プレーオフ2回戦 横浜FC戦 選手インタビュー
芥川和久(エルゴラッソ記者・東京ヴェルディ担当)
皆さん、初めまして。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』でヴェルディを担当する芥川と申します。今回はデジタルMDPに原稿を書かせていただくことになりました。何を書こうかと思いましたが、実は私、Jリーグ公式ファンサイトの『J'sGOAL』では横浜FCを担当していることもありまして、相手チームの紹介をしたいと思います。
【監督】
エジソン・タヴァレス
1956年6月生まれで、我らがロティーナ師の1歳年上。現役時代はブラジルを出たあとポルトガルやスイスのチームでプレーし、指導者となってからは中東や東南アジア、中国のクラブチームおよび代表を指揮。ブラジルでの監督経験はほとんどない。「与えられた選手の能力を発揮させることこそが戦術」というアプローチは、「戦術がまずあって、その中で選手の能力を発揮させる」ロティーナ師と真逆だが、「選手の特徴を生かすのが一番重要なこと」という哲学は両者一致している。
【チームのスタイル。フォーメーションと戦術】
開幕当初は4バックで後方からのビルドアップにこだわりを見せたが、タヴァレス監督が選手の個性を把握した第10節以降は5バック3ボランチで後ろをガッチリ守り、イバとレアンドロ ドミンゲスの前線の個の力に託す現在の形に落ち着いた。ホーム味スタでヴェルディが2−1で勝利した第32節のように、前半途中から選手の判断で4-4-2にフォーメーションを変更する柔軟さもある。
【GK】
南 雄太
39歳。長く柏レイソルの正GKであり、1999年のワールドユース準優勝の守護神。2016〜17シーズンは怪我に苦しみ、今季も山本海人の加入と負傷で出遅れたが、第18節で定位置を奪回するとここまで素晴らしいパフォーマンスを披露。ビッグセーブを繰り返して3位に大きく貢献した。
【CB】
田代 真一
今夏、長崎から期限付き移籍で加入。ビルドアップ能力とカバーリングに優れたCB。彼の加入でゲームメーカーの佐藤のビルドアップにおける負担が激減した。攻撃力もあり、オーバーラップからの得点も含め16試合で3ゴールを挙げている。シャイなイケメン。
カルフィン ヨン ア ピン
ゴトビ政権下のJ1清水で活躍し、町田を経て横浜FCに移籍。単純な空中戦にやや弱いことを除けば、対人の強さ、スピード、読み、カバーリング、ビルドアップなどディフェンダーとしておよそ欠点は見当たらない。町田時代に早稲田アカデミーに通って習得した日本語は小学3年生の国語ドリルをクリア。
川﨑 裕大
昨季途中に広島から加入。とにかく怪我が多く、広島ではほとんど試合に出ていない。横浜FCでも怪我を繰り返し、「筋トレしてても怪我するからもう何やったらいいのか」と嘆いていたが、リーグ最終盤に来てスタメンに定着。広島仕込みのビルドアップの上手さがある。
藤井 悠太
田代と同系統のイケメンで、昨年までは大久保 哲哉(現群馬)らに『ハマの韓流スター』といじられていた。球際の強さとスピードが持ち味。泉澤 仁とは大宮で同期入社。
ペ スンジン
2007年から6年間、横浜FC、群馬、徳島を渡り歩く。兵役のため韓国に帰国し、警察チームでプレーして再来日した。いつもニコニコしており愛称は「スンちゃんと呼んでください」とかわいいが、プレーはガッツリ激しい。
【ウイングバック】
北爪 健吾
インカレ4連覇の実績を引っさげ専修大から鳴り物入りで千葉に加入も芽が出ず、今季横浜FCに移籍してブレイクしたスピードスター。レアンドロ ドミンゲスの厳しいパスにも難なく追いついて攻撃に厚みを加え、パスやクロス、シュートも劇的に向上。ヴェルディとのホーム戦ではいきなりオウンゴールした。
永田 拓也
今季は終盤までほとんど出番がなかったが、武田の出場停止の間に左ウイングバックのポジションを奪った。年イチのゴールでチームを救う“意外性の男”。浦和ユース出身でトップ昇格した際、寮にコタツを持ち込み、浦和サポーターからは“コタツ”と呼ばれていた。
武田 英二郎
多彩で正確な左足のキックを持ち、ボランチに入ることもある。幼少期に5年間イギリス在住経験があり英語も堪能。マリノスユースでは奈良輪雄太の1年後輩。青山学院大に進学してキャプテンを務めた爽やかイケメンだが、ハードで泥臭い守備もできる。ハードすぎてカードも多く、三ツ沢での試合では渡辺皓太が肩を負傷させられた。
【ボランチ(インサイドハーフ)】
佐藤 謙介
横浜FCのキャプテン。中盤の底でチームをコントロールする天才肌のゲームメーカー。長短のパスを操って味方と相手を動かしてチャンスを演出し、守備でもバイタルエリアで相手の攻撃の芽を摘む。アンカーポジションながら5ゴールと得点力もある。
瀬沼 優司
山形から夏に移籍加入。栃木や愛媛でもコンスタントに活躍してきた、J2サポーターにはおなじみのストライカー。横浜FCでは走力を生かしてボランチで新境地を開いている。守備では最終ラインの前でボールを奪い、攻撃ではペナルティエリアに飛び込む。そのゴリゴリの走力とうらはらな、そよそよとしたソフトな喋りにファンも多い。
齋藤 功佑
ユース出身3年目。ユース時代はFW。守備の間でボールを受けて、はたいて、ゴール前に侵入する自称“前線のイニエスタ”だったが、今季は3ボランチの左で頭角を現した。今季3ゴール、そのすべてが劣勢の試合で1−0の決勝ゴールという孝行息子。井上 潮音とは同学年でユースの10番同士。マッチアップに期待。
渡邊 一仁
愛媛県出身。愛媛FCを経て岡山でプレー。今季から横浜FCに加入。潰し屋系ボランチだがたまに好パスも見せる。「プロ10年間でノーゴール」を自虐ネタとして持っていたが、ついに今季初ゴールを記録した。タヴァレス監督には『エヒメ』と呼ばれている。
石井 圭太
横浜FCユース卒5年目のボランチ。小学校時代はヴェルディのジュニア所属で菅嶋 弘希や澤井 直人らと同期。立派な眉毛と鋭い眼光ゆえに子どもの頃からあだ名は『ゴルゴ』。アグレッシブな守備が持ち味で、終盤の守備固めに投入されることが多い。
野村 直輝
豊富な運動量と天性の戦術眼で攻守で危険な位置に顔を出す。ドリブル、パス、シュートいずれも高水準で、インサイドハーフとして理想的な選手。レアンドロ ドミンゲス不在時にはトップ下に入ることも。写真に写るときは変顔を欠かさない。梶川諒太と仲が良い。
松井 大輔
今季のキャンプイン直前にポーランド2部から電撃加入。元日本代表のファンタジスタのプレーに期待が集まったが、ここまでスタメン3回、途中出場6回と期待に応えられてはいない。ベンチ外になることもしばしば。本来はトップ下が最も似合うが、佐藤謙介不在時にはアンカーでプレーすることもあった。
中里 崇宏
序盤の功労者だったが5月初めに負傷し、7月に復帰してまたすぐ負傷。最終盤にやっとベンチに戻ってきた。ヴェルディジュニア、ジュニアユース育ちで和田 拓也(現広島)と同期。左足の展開力が魅力のボランチ。昨季は主力として佐藤 謙介とコンビを組んでいた。
【トップ下】
レアンドロ ドミンゲス
横浜FCの王様。シーズン11ゴール14アシストで、もしJ2にリーグMVPがあるなら最有力候補。ディフェンダーの視野ギリギリに隠れ、パスを受ける瞬間に現れる『特殊能力』(by長澤 徹・元岡山監督)の持ち主で、抑えるのは難しい。以前はシュートが決まらなかったが、リーグ後半戦は自らもゴールを量産。現状、手が付けられないが、リーグ最終節の甲府戦で負傷退場した。果たして間に合うのか、間に合わないのか、情報は錯綜している。
【FW】
イバ
モロッコ生まれノルウェー育ちの、横浜FCが誇るエースストライカー。昨季のJ2得点王。190cmで88kgの巨漢ながら、フットサルでノルウェー代表歴もある足元のテクニックを併せ持つ。左足を振らせると威力抜群。イバ(井林 章)との『イバ対決』に注目だ。
戸島 章
イバよりもデカい191cm。デカくて、走れて、足元もそこそこ上手い、ロマンあふれる長身FW。ただし長身の割に空中戦が苦手と言われてきて、町田では走力を生かしサイドでの起用が多かった。しかしその評価を覆すほど、今は前線のターゲット役として機能。また彼が入ると前線からプレスがかかる。得点外の魅力に、彼の個人サポーターは『トシマニア』と呼ばれている。
カズ
今さら説明不要。ヴェルディの、いや日本サッカー界のレジェンド。51歳の今も現役。昨年3月12日にはJリーグ最年長得点記録を50歳と14日に塗り替えるゴールを記録した。おそらくベンチ入りは確実だが、今季は8試合すべて途中出場、計58分のプレーにとどまりノーゴール。スタジアムの空気を変える力は誰にも真似ができないものがあり、昔も今も対戦相手にとって嫌な選手であることは間違いない。
試合としては『個』の横浜FC×『組織』のヴェルディという図式になるはずなので、試合に出場しそうな選手を紹介しました。観戦の参考にしていただければ幸いです。
海江田哲朗(フリーライター)
ランドの近く、二筋の並木道が交差するポイントがある。ひとつは春に美しいピンクの花を咲かせる桜(ソメイヨシノ)。もうひとつは秋に黄色に輝くイチョウだ。坂道を歩き、季節ごとに変化や楽しみに触れられるのはよい。このふたつ、彩りが異なれば、性質もまるで違う。桜のなかでもソメイヨシノは特に成長が早く、苗木から2、3年で花を咲かせ、10年もすれば立派な樹木となる。一方、太古より存在し、『生きた化石』と言われるイチョウはじっくり時間をかけて成長する。苗木を植えてから、孫の代あたりでやっとこさ実をつけるらしい(銀杏はいまが旬ですね)。
チームを強化し、クラブを発展させていくというのは、ふたつのミックスだなあと僕は思うのだ。短期と長期、華やかさと地道、瞬発力と粘り強さ、相反する要素を持つ仕事に同時進行で取り組まなければならない。だから、簡単ではない。
井上潮音、渡辺皓太ら才気煥発な生え抜き選手の出現は、長年に渡って数々の指導者たちが携わってきたクラブの育成の成果である。言うなれば、銀杏BOYZ。むろん、外で経験を積んで帰ってきた林陵平や平智広、田村直也もそう。プロ入りからヴェルディ一筋で、キャプテンを務めるまでになった井林章もここに含めていいだろう。いつ実をつけるかわからずとも、将来を見越して多くの人々が尽力してきたことが現在につながっている。
一方、東京Vにスペインの風を吹き込んだロティーナ監督やブラジル人トリオ、今季補強された佐藤優平、李栄直、奈良輪雄太、上福元直人あたりはチームに新たな血を加え、不足を補うだけではなく化学変化を起こしてくれた。
組織の根幹をより太く、豊かに葉を茂らせるには異種混合の試みが欠かせない。異分子が違った角度から光を照らすことで、誰も気づかなかった魅力を引き出すことがある。
サッカーの世界の季節はめまぐるしく移り変わり、そこに法則性を見出すのは困難だ。やっと春が来たと思ったら、冬に逆戻りというパターンは珍しくない。もとい、この十数年はずっとそんな感じだった気がする。
僕たちの日常生活で、桜の開花と紅葉が重なることはあり得ない。それは隕石衝突クラスの天変地異であり、世界の終わりを意味する。ところが、ひとつのクラブが歩みを進める過程では、そうとも限らない。まれに奇跡のような瞬間に立ち会えることがある。本来、周期の合わないふたつが、きれいにクロスする好機が。
今日の横浜FC戦、そして最後の戦いへ。2018シーズンのJ1参入プレーオフが、まさにそのときである。
上岡真里江(フリーライター)
「大宮さんの分も、という気持ちが芽生えた」
2018J1参入プレーオフ 1回戦大宮戦(@NACK5スタジアム)の勝利後、興奮冷めやらぬ紅潮した顔で、田村直也は今後の戦いへの思いを話していた。後日、改めてその真意を尋ねた。
「おこがましいと思いながらも、仮に、僕たちが逆の立場だったら、自分たちの分も勝ち上がってほしいと思うだろうなと思ったので。あの試合、サポーター同士も戦っていたと思います。まずは、そうした、自分たちを支えてくれる人たちのためにというのが一番ありますが、ある意味、人生が変わるぐらい重要な試合。それを、お互いに体をぶつけ合って戦った仲なので、そういう感情が出てきても自然ですし、だんだん駒を進めれば、さらにそうした思いも芽生えるのかなと思います」。
実際、同試合後のミックスゾーンでは、大宮の選手が東京Vの選手に「僕たちの分も頑張って」と声をかける姿も見られた。また、東京Vは来年、創立50周年を迎える。その大節のシーズンをJ1で戦えるか否かは、クラブの歴史にとっても非常に重要な意味を持つ。さらに、J1復帰は11月15日、56歳の若さで他界したヴェルディ黄金期の一人・藤川孝幸氏の遺志でもある。「そうした、いろいろな要素を懸けて戦っている。動機づけが多ければ多いほど、プレッシャーがかかるのは事実ですが、うまく取り入れて、力にしていきたい」。様々な思いを原動力に変え、必勝を誓う。
大宮戦同様この横浜FC戦も、アウェイの地、引き分けは相手勝利となる。このレギュレーションを戦う上での考え方として、田村は「0−1ビハインドからスタートするようなもの」だと自論を展開する。「0−2になった時点でかなりきつい。だからこそ、先取点が非常に大事になるし、僕ら後ろ(DF)の選手としては、絶対に点を取られたくない。とにかく、まずは0に抑えたい」。
攻守の要・内田達也選手を出場停止で欠くが、「もちろん痛いですが、うちは、シーズン通して、替わって出る選手に問題はない。逆に、出てくる選手のフレッシュさ、エネルギー、モチベーションがプラスに働くと捉えることもできる」と、こちらについても、いたってポジティヴだ。
今後の自分たちの人生を分ける、緊迫したビッグ・ゲームを経験し、「自分自身、すごく成長できていると感じています。チームにとっても、結果がどうであれ、次の横浜FC戦も、ものすごい経験になると思いますし、クラブの歴史を考えれば、経験だけで終わるのはもったいない」。悲願達成の計り知れない価値を実感しているという。
勝利のために欠かせない存在として、背番号23は、サポーターへの“お願い”を口にした。「大宮戦では、1人1人の熱量がものすごくあった。関門を1つ超えたことで勢いも生まれて、横浜FC戦は、熱もさらに高まってくると思う。どうか、前日はしっかりと喉を休めて、試合に備えてほしいなと思います。試合前から声を出してもらえると、選手たちも高まるんです!」。
ロティーナ監督が常に言い続けてきた合言葉『partido a partido(パルティード ア パルティード)』。目の前の1試合1試合に集中し、全力を尽くす。監督・コーチ・スタッフ、選手全員、サポーター、そして、僭越ながら、我々メディア陣、東京Vにかかわる全ての人間が、それぞれ最高の準備を整え、いざ決戦に挑む!
【DF 5 平 智広】
【DF 3 井林 章】
【MF 26 佐藤 優平】
【MF 20 井上 潮音】
【DF 17 李 栄直& MF 33 渡辺皓太】(前編)
(後編)
■シーズンチケット2019販売中!
■2019東京ヴェルディ公式ファンクラブ入会受付中!