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前節ヴェルディはG大阪と対戦。4連勝と勢いを持ってアウェイに乗り込むことになった。試合は前半「少し我々が急いだというのもあって、相手ボールの時間が少し長かった」と城福浩監督が振り返るものの、チャンスがあったのはヴェルディの方だった。16分にゴール前のルーズボールに染野唯月がボレーで狙った場面、24分に相手のクリアボールを拾ってつなぎ、山田楓喜のシュートがディフレクションでゴールに向かった場面など、ゴール前の堅い守りがあったものの、得点の匂いはしていた。逆に前半シュートを打たれたのは1本のみ。まずまずの出来で、後半を迎える。
その後半はオープンな展開になると、ボールを握ったヴェルディが相手ゴールに襲いかかった。ただ、先制点が入ったのはG大阪の方だった。74分、宇佐美貴史のパスに反応したダワンが左足でゴールに流し込む。重い1点を追いかける中で、刻々と時間が過ぎていく。だが90+4分だった。見木友哉のFKがディフェンスに跳ね返されるも、このボールを拾った森田晃樹が右足を振り抜く。気迫のこもった一発が、ディフェンスに当たってゴールに飛び込んだ。ヴェルディのキャプテンがようやく奪ったJ1初ゴール。それがチームを救う貴重なゴールとなり劇的ドロー。5連勝とはならなかったが、これで6戦負け無しとなった。
ヴェルディは現在12勝。そのスタートは、今節対戦する湘南から挙げたものだった。シーズン序盤、アディショナルタイムに失点を喫するなど、あと一歩のところで勝ち星を逃す試合が続いていた。そうしたJ1の壁を初めて乗り越えたのが第6節、アウェイの湘南戦だった。15分にルキアンのゴールで先制されるも、75分に谷口栄斗のゴールで1点を返し、86分に山見大登のゴールで逆転。その1勝からヴェルディの快進撃が始まったと言える。今節その湘南をリーグ戦で再び倒して、終盤に向かう弾みをつけていきたい。
その湘南は、前節鹿島と対戦している。第30節で新潟に、第31節でC大阪に敗れ連敗中の湘南だったが、この試合ではそうした逆境からの強さを見せた。最初に決定機を作ったのは湘南だった。8分、福田翔生がペナルティエリア内で仕掛けてシュート。これはGKにセーブされるが、14分には田中聡の鋭い縦パスを受けた福田がターン。そこから平岡大陽がボールを受けてシュートに持ち込むが、今度はわずかにゴール右に外れた。16分には鈴木雄斗のミドルシュートがポスト直撃。多くのチャンスを作ったが、22分、27分に濃野公人に連続ゴールを決められて難しい状況に追い込まれることになった。それでも、45+3分に鈴木章斗が1点を奪い返し、良い印象で前半を終えると後半の鹿島の猛攻を耐え、65分に畑大雅のシュートがネットを揺らして同点。その2分後にはゴール前で福田が根本凌とワンツーで切り崩し、フィニッシュも落ち着いて決めてついに逆転。湘南の執念が実った試合になった。
今節、ヴェルディの今季における最大の目標を達成する可能性がある。現在、勝点32で18位の磐田、そこから勝点3差で柏と湘南がそれぞれ17位、16位となっている。ただ、磐田と柏は1試合少ない。一方で湘南はヴェルディと同じく32試合を消化している。その湘南とヴェルディの勝点差は13となっており、これを16に広げることで残り5試合で追いつかれることはなくなる。つまり、磐田、柏の結果によらず、この試合の勝利で残留が決まることになる。ただ、この試合に向けたスタンスは、これまでと変わらない。「この前のG大阪戦から得たものを、次にどう活かして、前節よりも強いチームとして表現できるかどうか」(城福監督)。矢印を自分たちに向け、また次の1勝を全力で取りに行く。
(写真 近藤篤)