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2024.05.01 ベレーザ

Beleza Match Preview & Column #18

Match Preview
『ホームで勝ち続ける!』

これが「ケチャドバ」というものなのか。前節のその1つ前、第16節セレッソ大阪ヤンマーレディース戦では先制したものの突き放せず11のドローに終わった。試合後の会見で松田岳夫監督が「やはりゴールを奪えない、それがこの結果に繋がっていると思います」と語っていたのは、前節のプレビューで示した通りだ。

 

その悔しさが一気に晴れる結果になった。前節の相手は大宮アルディージャVENTUS。前回対戦では10と辛くも勝利しているが、今回は違った。まずは24分、デザインされたCKから藤野あおばがボックス内、フリーの状態で強烈なシュートを叩き込んで先制。36分には、池上聖七のクロスにニアで鈴木陽がつぶれ、神谷千菜が合わせる。ディフェンスにブロックされるも、執念で押し込んで追加点。その2分後には北村菜々美がディフェンスのクリアボールを拾い、ディフェンスを外して左足でゴールに流し込んで前半を3点リードで折り返す。後半はより勢いに乗ったベレーザ攻撃陣が襲いかかる。55分、相手のビルドアップの乱れを突いてボールを奪い返すと、神谷のラストパスに抜け出した藤野がGKのニアを抜く豪快なシュートで4点目。その4分後には藤野のクロスに、交代出場の土方麻椰がドンピシャのヘッドで合わせて5点目。これで今季最多得点に並んだが、まだまだとどまるところを知らない。68分には松田紫野のロングボールを藤野が胸トラップから左足を振り抜いて、自身プロ初のハットトリックを達成。75分には北村のクロスに土方がボレーで決め、ゴールラッシュのトリを飾る7点目となった。

 

これには松田監督も、「ここ最近のゲームで、ゴールが遠い、シュートの意識が足りないなど、いろいろな課題がありましたけれども、この試合の準備段階から、やはりそういう課題を解決するイメージを持ってこのゲームに臨みました。選手たちは非常に良く取り組んでくれましたし、今日のゲーム、実際ゴールも多かったですけれども、打ったシュートが多かった。そういう意味ではゴールへの意識を高めてくれたなと思っています」と選手たちを称賛。この大事な3連戦は、大きな推進力を得てスタートすることになった。

 

対するアルビレックス新潟レディースは、前節ジェフユナイテッド市原・千葉レディースと対戦している。序盤から新潟Lが相手ゴールに何度も迫る場面を作ると、28分だった。上尾野辺めぐみのCKから石田千尋がボレーで合わせて先制。ただ、前半で得点を積み重ねられなかった新潟Lは橋川和晃監督が、「不用意なプレーから失点してしまった」と話すように、70分には自陣でボールを奪われると北村美羽のスルーパスから城和怜奈に決められて1点を返されてしまう。それでも献身的な動きを続けていた滝川結女がチームを救った。90分、白沢百合恵がゴール前に長いボールを入れ、クリアされたボールを滝川が右足を振り抜いてネットに突き刺し劇的勝ち越しゴール。新潟L3連勝となっている。

 

ベレーザの1つ上の3位に位置する新潟Lとは勝点差5。この試合に勝利したとしてもひっくり返ることはないが、新潟Lは1試合多く消化しているため、この試合で差を詰めることで上が見えてくる。

 

大量得点を奪った次の試合は難しいと言われている。相手も、より警戒して入ってくることだろう。ただ「あのときの1点を取っておけば…」と、そんな試合にしたくはない。噛み合い始めた攻撃陣が、守備の堅い新潟Lに対してもゴールラッシュを見せて、ホーム5連勝を達成したい。

(写真 松田杏子)

Player's Column
『関西人、B型』

「血液型って何型ですか?」。インタビューの途中で、突然聞かれた。こちらがB型であることを告げると、「あっ!一緒です」と笑顔を見せた。

「セレッソのときは、とりあえず用意が遅いのと、ご飯食べるのも遅いし、いつも待たせてました。今そんな場面があんまないからバレてないですけど(笑)」

とにかくマイペース。北村菜々美が自分の性格をそう分析した時に、血液型の話になった。血液型と性格に関しては様々な見解があるが、巷で言われているB型は「マイペース」、「こだわりが強い」、「個性的」などといった特徴があるそうだ。その意味で、彼女の性格に当てはまることが多い。

質問に対してゆっくりと答える、その言葉は関西弁だ。「もう一生、関西弁でしゃべります」と、変えるつもりはない。そのこだわりは相当なものなのだろう。と思いきや、実は関西弁以外の言葉も話すことができる。

「自分、家では関西弁じゃないんですよ。お母さんとお父さんが関西の人じゃないから。お母さんが広島の人なんで、そっち寄りなしゃべり方をして、外では関西弁っていう。小学校ぐらいからずっと使い分けてて」

と、やはり個性的な面も持ち合わせる。

また座右の銘は「一石二鳥」だと言う。「なんか、いい言葉が出てこなくて…」とその理由を話してはいるが、座右の銘にその四字熟語を選ぶ人がどれだけいるだろうか。関西人特有の面白さが出たのだろうか。とにかく、掴みどころのなさがある。

サッカーでも、その存在感は唯一無二。左サイドからスピードに乗ったドリブルで相手をいなし、高精度のクロス、もしくは狭いコースを射抜く正確なシュートもある。相手は容易に掴みきれない。また今季、ここまで全試合先発出場をしていることから、チームにどれだけ必要とされているかがわかるだろう。

前節大宮アルディージャVENTUS戦ではチーム3点目を挙げ、7点目の土方麻椰のゴールをアシストした。ちなみに、北村のゴールは、今季5ゴール目。ベレーザに在籍して1年目、2年目、その前のセレッソ時代も含めると3年連続シーズン4得点。

「『4』っていう山をやっと超えたというのと、まだまだ今シーズンに関してはもっと決められる部分もあったので、残り5試合。ゴールに向かっていきたいと思います」と、新たな段階に突入することになった。

さらに今節出場すれば、WEリーグ通算50試合になる。「1年目の後期の最初の方に怪我しちゃったから、半分ぐらい試合出れてない」という中で、2年目に20試合、そして今季は前述のようにここまで全てに出場して試合数を積み重ねてきた。

あと1試合に迫った50試合出場。しかし、本人はピンときていないようだ。

「『50』っていう数字はそこまで意識していないです。そこまで出させてもらっているというのは自分の価値の証明でもあるけど…。結果も残せてないっていうのも多分ありますね」

ちなみに、ここまでリーグ49試合の中で印象に残った試合を聞くと、

「ベレーザに来て初めてゴールを決めた試合。確かアルビ(アルビレックス新潟レディース)との試合で2点取ったと思います。初めてのゴールだったので嬉しかったです」

ただ、これ。よくよく調べてみると、WEリーグ開幕前のプレシーズンマッチのことだった。

思えば、B型の特徴に「楽観的・前向き」というのもあった。細かいことは気にしない。北村は過去のことは振り返らず、前だけを見る。B型の女性だ。

(写真 松田杏子)

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