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2024.04.17 ベレーザ

Beleza Match Preview & Column #15

Match Preview
『ホームの連勝は止めない』

ベレーザは現在1週間で3試合を行う連戦に突入している。その第1戦は、14日に行われたアウェイのINAC神戸レオネッサ戦。長年ライバルとして戦ってきた相手に「プライドをかけた戦いだった」と試合後に松田岳夫監督は話す。

 

先発にはこの試合が今季初先発となるメニーナ所属の松永未夢が入るなど、これまで以上に平均年齢の若い先発陣になった。試合は前半1分、成宮唯のクロスバーに弾かれたミドルシュートを皮切りに、相手の猛攻を受ける時間が続いた。それを守備陣が中心となって必死に耐える。特に37分には相手のロングボールからゴール前でボールがこぼれると、成宮にシュートを打たれるが、ゴール前に入った坂部幸菜が体を張ってクリア。集中力高く守りきった。前半シュート1本に終わった攻撃は、後半スタートからアメリカで行われていたSheBelieves Cupから戻ったばかりの藤野あおばおを投入して立て直す。最もゴールに近づいたのは78分。坂部がゴール前にロングボールを放り込み、鈴木陽がボレーシュートを放つが、これはI神戸の守護神山下杏也加に阻まれて得点とはならず。結局、両チームとも死力を尽くした試合は0-0のドローという結果になった。

 

I神戸の連勝を5で止めることができたが、ベレーザにとっても連勝が3で止まってしまうという痛み分け。また、上位のI神戸との勝点差を詰められなかったという意味では、ベレーザにとって厳しい結果になったかもしれない。ただ、松田監督が「ゲームの中で少しですけれども進歩できた」と言うのは、チャレンジする気持ち。高い位置でボールを奪うこと、五分五分のボールをマイボールにすること、そして積極的にゴールに近づくこと。後半に改善してみせたことで、1つ成長できたと言えるだろう。

 

今節対戦するのはノジマステラ神奈川相模原。前回対戦では、中断明け最初の試合で神谷千菜の2ゴールで快勝した相手だ。そのN相模原は前節、首位の三菱重工浦和レッズレディースと対戦している。試合は、27分にゴール前で清家貴子のパスを受けた塩越柚歩が反転からループシュートを決めて浦和が先制。さらに後半、60分には塩越の右CKから清家が頭で合わせる。清家の8試合連続、今季13得点目となるゴールで追加点となった。N相模原は最後までネットを揺らすことができず、これで3連敗となっている。

 

N相模原はシーズンを通していまだ勝利がない状態。ただ、そこを意識するよりも、ホーム西が丘に集まるファン・サポーターを笑顔にすることに注力すべきだ。現在ベレーザは西が丘で2連勝中。開幕戦の勝利からしばらく遠ざかったが第12節サンフレッチェ広島レジーナ戦で勝利してから流れが変わった。現在7試合を終えて321敗と、白星が先行しているが、それでもまだまだ満足できないだろう。この試合を含めて西が丘での試合は、この試合を含めて4試合しかない。出来うる最大の6連勝を目指すため、ここで連勝を途切れさすわけにはいかない。

Match Preview
『実はとてもうれしい』

330日、WEリーグ 第13節マイナビ仙台レディース戦の試合後。ファン・サポーターと喜びを分かち合っている選手たちの列から、村松智子に押し出されるようにして前に出た。

 

恥ずかしがる素振りを見せながらも、その表情は笑顔でいっぱい。ただ、「自分はそんなに前に出るタイプじゃないんで、本当は嫌なんですけど、カツオさん(村松)が行けって言うから。恥ずかしいのもあるし、全然自分はそんな目立つキャラじゃないんで。自分からはいけないので、言われればやらなくもないですけど…」

 

少なくとも「目立たない」なんてことはなかった。ベレーザが2点リードで迎えた68分、岩﨑心南は鈴木陽の落としを左足で冷静に押し込んでチームに決定的な3点目をもたらした。「(鈴木)陽さんが頑張ってくれて、そしたら良いところにこぼれてきて、それをちょっとかわして打つだけだったので、ラッキーゴールだったなって思います」。それだけではない。終了間際にはスルーパスに抜け出しGK11になったところで鮮やかなループシュート。これはクロスバーに弾かれて外に出たが、持ち味の守備だけでなく、攻撃でもド派手な活躍を見せていた。

 

それでも――。

 

「自分的にはシュートを決めるってことも大事なんですけど、元々ボランチの選手だからゲームを作ることの方を重視してて。後ろからのビルドアップの参加の仕方だったり、今はボランチの場所じゃなくてウイングバックで、そこからどうやって中に入ってボールに関わってていくかっていうところの方が、見てもらいたいですね」

 

自らの性格を「内向的」だと言う。「本当に人との関わりが少なくて、だから学校で言ったら陰キャです」。現在通っている大学でも「周りがガンガン行く感じなので、こうやって行くんだなっていうのを学ばされています」と笑う。

 

そうは言っても、ホームページのプロフィールには不思議な点がいくつかある。その1つ、特技の欄には「ハンドスプリング」と書かれている。これはスローインの際、前転をして1回転をした勢いで投げる技だ。「小学校の頃に、これができたら格好良いんじゃないって感じで。校庭が芝だったので、背中を何回も打ったけどできるまでやっていました」。さらにこうも言っている。「後悔しているのはバク転までできるようになっていればなと。格好良いじゃないですか。得点を決めてグルグル回っているのに憧れた時期があって」。岩﨑が得点を決め、ピッチ上で何度も回転している姿は、想像しているだけですごい。内向的な性格の人が考えることだろうか。

 

ただ現実的にはサッカーでも、プライベートでも一步引いたポジション。「そっちの方が合っています」と言う。「自分が!自分が!というのではなく、周りに合わせるというところはサッカーでも絶対に必要な部分ってあると思うんですよ」。とりわけ自己主張の激しいプロの世界。そこで彼女は独特のポジションを確立している。「練習では周りの選手たちを見るということを意識しています」というように、自らが動き、周りに合わせながらボールに関わる。時には「縁の下の力持ち」的なプレーも厭わない。そうした黒子的なプレースタイルは、チームに必要な存在だ。

 

確かにゴールを決めていなければ、目立っていなかったかもしれない。ただ、ゴールが決まっても、決まっていなくても、1つ言えることがある。「西が丘のファン・サポーターとの距離の近さは特別です。勝った時は、あんなに近くで喜べるし、声も通りやすいので応援歌とかすごく聞こえます。そこで自分の名前を呼んでくれるのは、すごくうれしいんです」。

また恥ずかしい表情を見せるかもしれないが、実は名前を呼ばれるのはとてもうれしい。

(写真 松田杏子)