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1月15日、今季最初の練習を終えた城福浩監督が、「我々は常に100%の状態でやることがベースになる」と話し、そこから毎日、血の滲むような努力でここまでやってきた。
ホーム最終節は壮絶なシーソーゲームとなった。川崎Fを迎えた一戦は、16分に試合が動く。山田新にPKを決められ先制点を許すと、22分にもファンウェルメスケルケン際のクロスを山田に決められて、序盤に重い2点のリードを負うことになった。すると城福浩監督はまだ前半の34分という早い時間帯で染野唯月を投入し、フォーメーションも変えて立て直しをはかる。その効果はてきめんに現れた。42分には、その染野が抜け出して折り返し、これがディフェンスに当たってゴール前にこぼれると見木友哉が冷静にコースを突いたシュートを決めて前半の内に1点を返すことに成功。
後半に入ると、49分に山見大登のCKのこぼれを谷口栄斗が押し込んで、ついに試合を振り出しに戻す。ただ、これで試合が終わるはずもなかった。57分、65分に連続失点を喫して、再び2点差をつけられてしまう。しかし、チームの目は死んでいなかった。71分に山見のFKを谷口が頭で合わせて1点返すと、83分だった。ゴール前のこぼれ球を谷口が豪快に蹴り込む。谷口のハットトリックで、試合を2度目の振り出しに戻した。試合終了までは残り7分とアディショナルタイム。それでも…。90分+4に今度は山田にハットトリックとなる3度目の勝ち越しゴールを決められ、これが決勝点となり勝点を逃すことになった。
だが、何度決められても立ち上がる“諦めの悪さ”を示すことができた。それは城福浩監督が、試合後のセレモニーで、
「ここまで望んできた『J1』。1年で去ってはいけない、この舞台を絶対に譲ってはいけない、だから絶対に諦めてはいけない。そういう雰囲気を皆さんが作ってくれました。なので踏ん張れました。我々にとって、本当に皆さんは、『宝』です」
と話したように、ファン・サポーターのおかげでもあり、またチームが1年をかけて成長した部分でもある。ただ、まだ終わりではない。この1週間も頭から湯気を出しながら選手たちは日本一のトレーニングに励んでおり、最後の最後まで100%で臨む。それがヴェルディらしさだろう。
今節の相手は京都。第11節からの5連敗もあり第14節終了時点で最下位に転落するなど、シーズン序盤は苦しんでいたが、第20節からの後半戦では上昇に転じ、現在は14位。すでに残留は確定し、余計なプレッシャーはないと見られる。
京都は前節町田と対戦している。両ゴール前での攻防が続く白熱した試合展開になった。序盤に絶妙な縦パスに相馬勇紀が抜け出してシュートもGKがセーブ、今度は京都のラファエル エリアスのシュートがクロスバーに当たるなど、交互に決定機が訪れるような状態。試合はどちらに転んでもおかしくなかった。後半に入っても撃ち合いは続いたが、67分にようやく試合が動いた。左サイドから相馬がクロスを上げると、それがディフェンスの足に当たり、逆を取られたGKが手を伸ばして何とか触るも、ボールはゴールに吸い込まれてオウンゴール。その後、89分に藤尾翔太にネットを揺らされるがオフサイドの判定で何とか難を逃れたものの、京都はあと1点を奪うことができず敗戦。
京都にとって痛手となるのは、シーズン中盤以降の快進撃の立役者であるラファエル エリアスを出場停止で欠くことだろう。ただ、城福監督は「元々、前に対して非常に強い意識があって、球際が強くて縦にも速いというところは何も変わってないので、ひょっとしたら誰かが欠けることによってさらに研ぎ澄まされるものがあるのかなと、あってしかるべきだなと思って、そういう覚悟で臨みたい」と話している。
いずれにせよ、ヴェルディが目指すものは変わらない。最後の試合をどう終えるか。チームが成長を続けてきた1年間。12月8日、今季J1リーグ最終節。それは今季の集大成を見せるときだ。
(写真 近藤篤)