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「軽いの一言。前線の追いも甘いですし、誰かが3度ぐらい追いかけて全員を鼓舞するような走りをしたか。誰かが頭を投げ出して体を張っているのをみんなが感じるようなプレーをしたか。僕は感じられなかったです。今季、最低の試合をしたと思います」
試合後の監督会見では、厳しい言葉が並んだ。
前節は同じくJ1昇格組である磐田との対戦となった。試合は前半9分、ボックス内でブルーノ ジョゼを倒してしまいPKを与えるが、この試合キャプテンマークを巻いていたマテウスが見せる。左腕は下ろし、右腕のみを広げて相手を牽制するなど、キッカーのジャーメイン良と駆け引きを行い、迷いなく左に飛ぶ。そしてジャーメインのキックをキャッチ。磐田の勢いまで止めるスーパーセーブとなった。前半は0-0。試合は後半に動いた。51分、ブルーノ ジョゼの鋭いクロスをクリアしきれずオウンゴールで先制されると、10分後にはCKからニアでマテウス ペイショットに合わせられて2点目。後半アディショナルタイムには古川陽介にドリブルで崩され計3失点。攻撃でもリーグ5試合ぶりの無得点で敗れてしまった。
齋藤功佑は試合をこう振り返る。「球際だったり、セカンドボールの部分で上回ることができなかったことが、大きいかなと思います」。これはヴェルディがJ1の舞台で戦うにあたり、土台にしてきたことだ。そこが揺らいでしまっている。
思えば、今季の開幕戦。国立で行われた横浜FMとの試合では、その戦いぶりは多くのファン・サポーターを勇気づけるような試合を見せた。53,026人が見守る中、7分に山田楓喜の直接FKが決まって先制すると、その後も何度もチャンスを作り、22年のチャンピオンを慌てさせた。最後の最後で勝点を得ることはできなかったが、選手たちもJ1でも戦う自信を掴んだ試合だった。
そこから経験値でも戦術理解度でも、また選手間のコンビネーションも成長を見せていることだろう。ただ、もう一度原点に立ち返る必要がありそうだ。その意味で今節、開幕と同じカードが巡ってくるということを良い機会にしていきたい。
その横浜FMは現在1試合少ないとはいえ、勝点26で12位。常に優勝争いを演じてきた近年と比べると、苦しい順位となっている。アルアインに敗れて準優勝となったが、ACL決勝にまで進出するなど、ここまですでに公式戦28試合をこなす消耗の激しいシーズンを送っていることも要因としてはあるだろう。
前節はアウェイで福岡と対戦。19分、自陣でのコンビネーションのミスからバックパスをシャハブ ザヘディにかっさらわれ、そのままシュートを打たれる。ポープ ウィリアムが弾き出すと、そのCKからザヘディに決められてしまう。ミスからの流れを止めることができなかった形になったが、前半アディショナルタイムにはようやく反撃を見せ相手ゴール前に迫る。それでも、あと一歩でゴールを奪うことができない。すると70分だった。右サイド亀川諒史のクロスにウェリントンが頭で押し込んで追加点を許してしまう。83分に天野純がゴール前の混戦から押し込んで1点を返し、さらに最後まで福岡のゴールまで迫るがあと1点が届かず敗戦となった。
今度こそ、その横浜FMを叩くチャンスであると同時に、もう一度上昇気流に乗せる足がかりにする試合にしたい。そのために「今季最低の試合」からどれだけ糧にできるか。チームにとって大事な1勝を持ち帰ってくる。
(写真 近藤篤)