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広島に1-4で敗れた試合からどう立ち上がるのか。前節は、それを見せる機会となった。
前半の開始早々、翁長聖のCKのこぼれ球を齋藤功佑がシュート。ディフェンスに当たったボールが高く弾んでゴールに向かうがクロスバーに跳ね返り先制とはならない。ただ、前節の反省を生かし、上手く試合に入ることになった。それでも、フォーメーションはほぼ同じ、ミラーゲームとなったこの試合は、前半はにらみ合いのような展開となった。試合が動いたのは後半、意外なプレーだった。52分、ヴェルディのカウンター、翁長、木村の2人で右サイドを駆け上がる。木村が持ち運んだとき相手ディフェンスにファウル覚悟で引き倒されてしまうが、翁長はプレーを止めずそのままボールを運ぶ。結局、笛は吹かれることなく、GKとの1対1の場面になると芸術的なループシュート。相手の隙を突いた攻撃でヴェルディが先制に成功する。ただ、名古屋もパトリックを投入するなど、力づくでゴールに迫ってくる。終盤は守る時間が長くなったがマテウスを中心に誰一人として集中を切らすことなく無失点で終了。1-0で名古屋を下した。
この試合の勝負を分けた一つひとつの局面が成長の証だ。決勝点の場面で言えば、ヴェルディの選手はセルフジャッジを行わず、結果的に主審がアドバンテージを取ってプレーは続行された。これは指揮官の「倒れてレフェリーを見るようなチームだけは絶対になるなと言ってきている」という指導の表れだ。また最後まで守りきった集中力。それは林尚輝がこう話す。「暑くなってくると集中力が切れがちになりますし、コミュニケーションを大事にしなければいけない」。さらにこの試合、味スタに詰めかけたのは20,105人。「J2と比べると、J1になって応援の声も大きくなって、会場の雰囲気も変わっている」と感じている。そのため「声の大きさとかも大事なんですけど、『聞く意識』が本当に大事」と実感しているようだ。それにとどまらず、「ピッチ外のところでも話す機会は増えていますし、映像を見る機会とかもある。それがヴェルディの良さ」というように、意識のすり合わせも欠かさなかった。こうした経験を1つずつ力にしていることがうかがえる。
そして今節、ホーム初勝利を挙げた相手、磐田との再戦となる。
前回対戦は、順調なスタートを切った、はずだった。染野唯月のPKで先制、木村勇大のゴールで前半のうちに2点をリード。しかし、後半になって雲行きが怪しくなる。55分にマテウス ペイショットのゴールで1点差に詰め寄られると、66分にはジャーメイン良のゴールでついに同点に追いつかれてしまう。さらに、81分にはPKを献上。ジャーメインの蹴ったボールがわずかに左に逸れて逆転は免れた。そして迎えた後半アディショナルタイム、森田晃樹のスルーパスに反応した木村がそのまま持ち込んでシュート。劇的な勝利で今季初の連勝となった。
その磐田は前節、ホームにC大阪を迎えた。前半は堅い内容となり、お互いがボックスに侵入する機会も少なかったが、後半の立ち上がりから展開は一気にスピードアップ。磐田は、この試合から先発復帰したジャーメインを中心に序盤から何度もゴールに迫り、53分だった。CKのこぼれ球を、松原后が左足を一閃。ドライブのかかったボールは、ゴール右隅に落ちて磐田が先制に成功した。ただ、追加点を挙げることができなかった磐田は、ここから攻め込まれる展開になりCKからレオ セアラに頭で合わせられて同点。磐田は勝ち星を逃している。
ここからリーグの後半戦がスタートする。前半戦を終了して、ヴェルディはほぼ真ん中の順位となる10位。J1という舞台に立ったとしても戦えているんじゃないかと、それは多くの人が思っていることだろう。ただ、チームの中で満足している選手・スタッフはいない。城福浩監督はこう言う。
「もっとやれるはずで、もっと貪欲に勝点を取れるチームになっていきたいし、もっと良い内容で90分戦い抜きたいし、もっといろんな選手が出てきてほしい」
と飽くなき勝利への欲望を口にしている。今季連敗はしてない。それも評価されるところだが、そうした後ろ向きなことではなく、どれだけ連勝したのかに注目したい。勝って勝って勝ち続けること。後半戦は、さらに高い志を持って臨む。
(写真 近藤篤)