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1月15日の始動日から約5ヶ月が経った。ここまでJ1リーグは17節を消化。昨季の主軸を中心としながら、今季新加入の選手たちとの融合で、現在は11位につけている。ただ、このグループに満足に関われていない選手がいることも確かだ。
例えば古川真人もその一人。7日に行われた明治大学とのトレーニングマッチでは、3本目の19分、山田剛綺からの鋭いクロスを上手く流し込んでチーム3点目を決めるなど、これまでトレーニングマッチではコンスタントに結果を残している。それでも、リーグ戦の出場は叶っていない。「ルヴァンカップだったり、今までチャンスを作ったものの、ゴールを決められてない。そこは自分の実力だと思う」と真摯に振り返り、「目の前にあるチャンスを自分で掴み取るかだと思うので、その強い思いは誰よりも持って、練習や日々の生活からやっていければと思います」と意気込みを見せる。
また、そのトレーニングマッチの後、古川と最後まで練習を行っていたのは河村匠だ。彼もまだリーグ戦の出場はない。だが、毎日のように居残りでトレーニングを繰り返して、同じ立場の選手たちと切磋琢磨している。その中で、昨季まで所属していたいわきFCとは違う、ヴェルディのサッカーに適応しようと励み、「練習での集中力や考える力が変わってきた」と成長を実感している。そうした積み重ねがあるからこそ、「自分の今の立ち位置だったりとか、リーグ戦に出ていないから『ここしかチャンスはない』とは考えてなくて、試合に出たらそこで何ができるか。それしか考えていない」と言う。
袴田裕太郎は、その2人とは少し事情が違う。第10節福岡戦で途中出場を果たすと、翌節から先発の座を掴み取った。ところが、第14節G大阪戦では途中出場から途中交代。交代直後に負ったケガの影響もあったのかプレーに精彩を欠き、屈辱の交代だった。そこから出番を失った形になっている。そのことに関しては「自分の中で消化した」というが、「天皇杯でしっかりアピールして、リーグにつなげられるように、自分自身のプレーにこだわってやっていきたい」と、この1試合にかける思いは強い。
また袴田はこう言う。「試合に勝ってファン・サポーターの皆さんとゴール裏で喜んでいるとき、自分自身も嬉しいし幸せ。それは自分が試合に出てこそ。一緒に戦って、一緒に喜び合いたい」。それは、チーム全員が思っていることだろう。だが、ここに挙げた3選手のような苦しい思いをしている選手は、そうした意識がより強いはずだ。そんな思いを持って、リーグとは違う、この天皇杯に臨む。ここが転機になる選手が、より多く現れてほしいところだ。
対するAC長野パルセイロは、長野県天皇杯予選を兼ねた長野県サッカー選手権大会の決勝で松本山雅FCと対戦。「信州ダービー」は、1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムに忽那喬司の劇的ゴールで追いつき、延長戦でも両チームとも譲らず試合はPK戦へ。そこで勝負強さを見せた長野が本大会に進出を決めた。
そして1回戦では、秋田県代表の猿田興業と対戦。29分の森川裕基のゴールを皮切りにゴールを量産した。前半を3-0で折り返すと、後半開始早々の47分にゴール。さらに後半アディショナルタイムに2点を決め、計7得点を挙げて圧勝。シュート数も33本放つなど、プロの貫禄を見せつけている。
J3リーグでは6勝5分5敗の勝点23で8位。ただ、3位琉球とは勝点4差で、上位と大きな差はない。直近のリーグ戦ではY.S.C.C.横浜と対戦。試合は1分に浮田健誠のゴールで優位に立つと、自慢の攻撃が爆発。19分にPKでリードを広げると、後半にも2得点を追加して4-0の快勝。浮田はこの試合2ゴールを挙げて、J3得点ランクトップに躍り出て、天皇杯に挑んでくることになる。
城福浩監督は、長野について「アグレッシブさとクロスが多いという情報を入れた中で試合を見ていましたけど、まさにその通りだなと思いますし、後から出てきた選手に勢いもある」と印象を語る。トーナメントゆえ、相手の特徴を出させないこと、さらに失点をしないというところが大事になるだろう。「1つでも多く勝って、できればファイナルまで行くんだというつもりで臨みたい」(城福監督)。
様々な思いを持った選手たちが、1つの目標に向かってまた新たな大会に挑む。頂点を目指す戦いは、ここから始まる。
(写真 松田杏子)