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2024.03.02 トップ

Match Preview #2

Match Preview

『自分たちが目指すことをやり続けるのみ

 31年前のJリーグ開幕戦と同じカード。そんな感慨に耽る間もなく、いきなり試合は動いた。3分、谷口栄斗が前線に大きく蹴り出したボールが、ペナルティエリア手前の絶妙な位置に飛ぶと、飛び出してきたGKのファウルでFKを獲得。キッカーは山田楓喜。VARも入り4分ほど試合は止まった状態になっていたが、緊張の糸が切れることはなかった。短い助走から放たれたボールは鋭い勢いでゴールに一直線に向かい、右角にまさしく突き刺さるようにして決まった。この試合のファーストシュートを得点に結びつけたヴェルディが1点を先制する。

 その後も決定機を作り続け、後半も良い流れを継続していたが、追加点が奪えない。次第に横浜FMが攻撃のギアを上げて襲いかかり、耐える時間が続く。すると87分にPKを献上。これをアンデルソン ロペスに決められて同点に追いつかれてしまう。さらに後半アディショナルタイムの90+3分には松原健に左足で叩き込まれて惜しくも勝点を落とすことになってしまった。

 ただ、下を向く内容では決してなかった。昨季から残った既存の選手たちと新加入選手が融合し、一つの方向に向かって戦っている。それははっきりと見て取ることはできていた。「大事なのは自分たちが目指すところをみんながやり続けること」と城福浩監督は言う。今回は結果には恵まれなかったが、悲観していない。

 だが、それとは別に課題はある。この試合、得点シーン以外に決定機は少なくとも3本はあった。そこを決めきらなければいけないのは言うまでもないが、指揮官はこうも言う。「決定的なシーンを見ると、『これは決まったな』と横で見ている選手がいる。決定的なシーンを『超決定機』にするのはあと1人、2人走らなければいけない」。初めてのJ1の舞台であっても手応えを掴んだ選手も多いだろう。だが、それと同時にJ1の怖さを知った試合でもある。J1における追加点の大事さ、それを奪うためにはまだまだやることはある。その課題を克服することがこれからの試合になる。

 次は、今季初のアウェイゲーム。相手は同じくオリジナル10の浦和だ。浦和にしてみれば今季初のホームゲームということもあり、大勢の観客が訪れることが予想され、スタジアムは異様な雰囲気になるだろう。それに飲み込まれないことが、まず最初のテーマだ。それだけに開幕戦同様、立ち上がりが試合のカギを握ることになるかもしれない。

 もちろん浦和というチームの怖さはそれだけではない。ペア マティアス ヘグモ新監督を筆頭に、チームは大幅に入れ替わった。チアゴ サンタナ、サミュエル グスタフソン、オラ ソルバッケンという強力な外国籍選手を獲得。日本人選手も名古屋から前田直輝を、FC東京から渡邊凌磨、G大阪から佐藤瑶大を完全移籍で獲得し、松尾佑介がKVCウェステルローへの期限付き移籍から復帰している。この豪華メンバーにヴェルディは挑まなければいけない。

 浦和の開幕戦の相手は広島。新スタジアムであるエディオンピースウイング広島で行われた試合は、序盤から両チームともシュートの打ち合いでスタート。先手を取ったのはホームの広島だった。45分川村拓夢のミドルシュートのこぼれを大橋祐紀が押し込んで広島がリードを奪う。後半に入り、54分に広島がPKを獲得もこれを失敗。しかしその1分後、加藤陸次樹のクロスに大橋が合わせてこの日2点目のゴールでリードを広げた。一方の浦和は攻撃陣を中心に交代枠を使い切るもノーゴールに終わり、試合は2-0で広島が勝利した。

 だが、この試合で見せたパフォーマンスが浦和の実力だとは到底思えない。一度火が付けば止められないほどの破壊力を有していることは間違いないだろう。とはいえ、ヴェルディとしてやるべきことは変わらない。前節、J1リーグ最長の125.645kmを走ったチーム全員のハードワークをこの試合でも見せ、その上で前述のように超決定機を作り続けること。今度こそ「内容が良かった」で終わらない、しっかりと勝ち点3をもぎ取って帰ってくることが求められる。

(写真 近藤篤)

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