MATCH試合情報
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【試合展開】
連戦が続く中、前節、前々節とホーム連戦で悔しい引き分けが続いたヴェルディ。1週間で3試合戦う連戦の締めくくりは、開幕戦以来となる遠方アウェイゲームで、未だ負けなしの首位V・ファーレン長崎と戦った。この連戦での疲労、そしてこの先も連戦が控えていることを考慮して、スタメンの顔ぶれに変化を入れる。奈良輪雄太に代えて福村貴幸を左ワイドストライカーに置き、佐藤優平に代えて森田晃樹を今季初めてスタメンでフロントボランチに配置。また、リーグ再開以降スタメン出場を続けてきた端戸仁をベンチスタートにし、山下諒也を3節の栃木SC戦以来にスタートから起用した。
梅雨が明けた九州は朝から湿度も気温も高く、18:00のキックオフ時点ではまだ昼の熱が残り、試合が進んでいくにつれて湿度が選手たちの呼吸を荒くし、過酷な環境で両チームを苦しめた。
序盤はお互いに連動したプレスをかけ合い、ヴェルディはじっくりとパスをつなぎながら相手を押し込んでいき、長崎はカウンター気味に素早く仕掛けてくる。序盤にチャンスを作ったのは長崎だった。10分、カウンターで右サイドから早いクロスボールを入れられると、相手選手を掴み切れないファーサイドでフリーで頭で合わされるが、これはゴール右に逸れて難を逃れる。18分には左サイドからゴール前にグラウンダーのクロスボールを入れられると、ニアでブロックしたボールがゴール前にこぼれたところに相手選手が飛び込むが、マテウスが片手を延ばして先にパンチングでボールを弾く。そのこぼれ球を拾われて至近距離からシュートを打たれると、再びマテウスが鋭く右に飛んでボールを枠からかき出した。反撃に出たいヴェルディは、相手陣内にボールは運ぶものの、サイドを起点に押し込みながらもなかなかフィニッシュの糸口がつかめない。その中で、この日最初で最大のチャンスが訪れる。27分、最終ラインからボールをつなぎながら相手を押し込んでいくと、右サイドに開いた小池純輝が攻撃のスイッチを入れる。中央のエリアに入って井上潮音がボールを呼び込むと、小池の横パスをワンタッチでさばき、相手最終ラインのギャップを突いた森田へ通す。森田は一瞬間を作って、寄せてくる相手の足先を通してマイナス方向にパス。そこに走り込んだ井出遥也がワンタッチシュートでDFの股を抜いたが、シュートはわずかにゴール左へと逸れた。
過酷な環境下でペースを握りたいヴェルディは、ハーフタイムに交代カードを切る。小池に代えて佐藤を、森田に代えて端戸を投入して、ボールをつないで相手を押し込んだ先のフィニッシュを切り開こうと後半に臨む。56分にはペナルティエリア手前ゴール左寄りの位置で井出が倒されてフリーキックを得ると、佐藤が直接ゴール左上を狙うが、シュートはわずかに枠の上へと逸れた。その後も後半はカウンタープレスもはまり、失ったボールをすぐに取り戻して分厚い攻撃を仕掛けていく。山下の仕掛け、セットプレーからの井上の豪快なシュートなど少なからずゴールに迫るが、あと一歩が遠い。守備陣は長崎のカウンターにほぼ完ぺきに対応し、ピンチらしいピンチはなく攻勢の背後をしっかりと預かった。後半最大のチャンスは84分、途中出場の新井瑞希が左サイドに開いてボールを受けると、マイナスの位置でサポートに入った藤本寛也に預ける。井上が中央エリアでサポートに入ると、ワンタッチのワンツーリターンで藤本がスペースへ抜け出す。相手のプレッシャーが来る前にゴール前にグラウンダーのクロスを入れると、その先に端戸が飛び込んでいたが、体を投げ出した相手DFにクリアされてしまう。アディショナルタイムに突入した90+1分には、新井が仕掛けながらゴール前にアーリークロスを供給。相手DF間のギャップに走り込んだ端戸が頭で合わせたが、ミートせず枠を捉えられなかった。終盤は長崎でセットプレーを機に押し込まれたが、前節の轍を踏んでゴール前に鍵をかけてシャットアウト。そのままスコアレスドローで試合を終えた。
試合終了後、ベンチ前に引き上げたきた選手たちは、一様に疲労を隠せぬ様子で座り込んでしまい、少しの間そこから動けなかった。シャワーを浴びたように濡れた全身。梅雨が続いてやや気温が低かった東京と比べて、湿度、気温ともに高かったこの日の長崎は、連戦の締めくくりとしては残念なほど過酷な環境だった。その中で、メンバーを入れ替えて体力を絞り出して戦い、首位のチームを相手に互角以上の展開を見せた。それだけに、ここ2試合と同じ勝ち切れぬ悔しさが残る一戦になった。ボールを持ち、得点機会も創出できている。あとは最後の精度。サッカーの醍醐味をサポーターに味わってもらうために、1週間のインターバル後にスタートする過酷な5連戦へと突入する。フィニッシュの精度も含めて、チームの総力が問われる夏が始まった。
試合を振り返ってください。
自分自身にとっては本当に思い入れが強いというか、色んな思い出がよみがえってくるこのスタジアム、このタイミングで首位の長崎さんとやれたことを嬉しく思います。そういう中で我々のサッカーをスタートから90分間やっていこうというところでスタートしました。想像以上と言いますか、この湿度と連戦の疲れが多少見えた中で、選手たちもかなりしんどそうに見えました。特に、前半に関してはいつも以上のボール保持、そしてその先という部分を強調し過ぎてしまったところがあります。我々の選手たちのコンディションを考慮すると、少しハードルを上げ過ぎたという、私自身の反省があります。後半は端戸選手を入れて少しプランを変えていく中で、非常に良いゲームをやってくれたなと思います。そうは言っても、素晴らしい首位の長崎さんなので、なかなか最後のところをこじ開けて崩していくことは難しかったですが、本当に選手たちはよくやってくれたと思います。この勝ち点1を前向きに捉えて次の試合に向けて、また良い準備をしていきたいと思います。
首位の長崎を無得点で抑えたことは収穫だと思いますが、多彩な攻撃パターンを持つ相手に対して守備のポイントをどこに置いていましたか?
相手のサイドバックの攻撃参加のところ、そしてハーフラインを越えてサイドハーフが内側から下りてくるところのケア。あとはボランチのところです。カイオ選手と秋野選手のところはしっかりとケアするように言っていました。選手はよくやってくれたと思います。
今日に関しては守備のところにパワーを注ぎ過ぎて攻撃にパワーが出なかった部分もありますか?
もちろん、首位の長崎さんが相手ということもあり、非常にパワーがあるチームなので、その影響はあったかもしれません。ただ、選手たちから連戦の疲労などを感じる部分もありました。その中でも気持ちを切らさずに足を運んで、我々の提示したRBのプランをしっかりとやってくれたことを素晴らしいと思っています。
DF2若狭 大志
長崎を今季初めて無得点で抑え込めた要因を聞かせてください。
そこは攻撃した後の切り替えに関して、チーム全体が良かったことが大きいと思います。
連戦に加え、今日は湿度の高さで消耗を強いられる展開になったと思いますが。
かなりキツかったですが、そこは相手も同じなので。
前半に関しては1トップに入った富樫選手の馬力のあるプレーに苦戦した印象でしたが。
苦しんだ部分もありますが、試合を通してセンターバック2枚がうまく潰せていた部分もあります。
前半のセットプレーの守備の場面で腕付近の微妙な箇所にボールが当たった場面がありましたが。
そこは全然、問題なかったです。正真正銘、顔に当たっていましたし、唇が腫れてしまいました。
後半は選手交代などの影響もあり押し込む時間が増えましたが、良い時間帯に先制点を奪い切りたかったところでしょうか?
それでも、シュートまで持っていくシーンをあまり作れていなかったですが、もう少しシュートを増やす意識が必要です。
3試合連続ドローですが、3戦1失点という守備の改善に手応えを感じていますか?
チームとして成熟してきていると感じています。あとはしっかりとゴールを奪って勝てるように頑張っていきたいと思います。
MF36藤田 譲瑠チマ
今日に関してはさすがにバテていたように見えましたが。
そうですね。後半の頭ぐらいから足にきていて最終的に足が攣ってしまいました。前半から身体の強い40番(カイオ・セザール)の選手とぶつかったりしていたので、そういうところで消耗した部分もあります。何よりも3連戦の影響が一番大きかったと思います。
ご自身が課題とする縦パスに関してはかなり相手に中を締められて苦しんだ印象もありますが。
前半に関して自分が余裕を持ってプレーできた時間帯に関しては真ん中のフリーマンの(井上)潮音君が空いていたところもあったので、自分のところから2、3本はパスを出すことができました。後半に関しては疲労が溜まってきたぐらいから、なかなか上手くいかなくなっていたと思います。
前半に関してフィニッシュが少なかった理由は、ボールを大事にし過ぎたのか、相手の守備や疲労の影響だったのか、理由を聞かせてください。
自分たちの疲労感を自覚していた中でシュートまで行きたかったですが、今日に関してはまず自分たちでボールを持とうという考えでした。それでも、前半のうちにあと3、4本はシュートを打てるシーンがあったと思うので、そこは逃さずに次からやっていきたいです。
後半にシュート数やフィニッシュの数が増えた要因は選手交代など以外の部分もありましたか。
相手にもボールを持たれましたが、前半から自分たちがボールを持って相手を動かすことができていたので、それが後半に相手の足が止まった理由のひとつだと捉えています。相手のディフェンスラインを動かすことができたからこそ、相手は後半に入って疲れて、それに対して自分たちはフレッシュな選手が入ったことで、自分たちの攻撃に追いつかなかった部分があったと考えています。