MATCH試合情報
MATCH試合情報
【試合展開】
前節、今シーズン初めてホームゲームに観客を迎えた試合で、シーズン5試合目にして初勝利を挙げたヴェルディ。自分たちのスタイルを貫き、ボールも試合も支配し、そしてゴールに果敢にチャレンジして4ゴールを奪って快勝した。連戦の真っ只中で中2日という過酷なスケジュールで迎えたジェフ千葉との一戦。敵地とはいえ、ここ数シーズン相性の良い相手に連勝を期す試合となった。
連戦の中で選手のコンディションや怪我なども考慮し、メンバー構成に手を加えてきた。前節の甲府戦で怪我を負った佐藤優平をサブに置き、逆に前節のメンバー入りを回避した藤本寛也をスタメンに戻した。中断期間中に負傷離脱していた山本理仁がサブに入り、開幕戦以来となるメンバー入りを果たした。
リーグ戦が再開してから毎試合、ヴェルディは一貫したスタイルで、ショートパスをベースにポジショニングを重視し、ボールを保持して試合を進めてきた。フィニッシュの部分に課題を残した再開序盤から一転して、前節ではゴールへ向かう崩しの部分で手応えを掴んだ。その感触を忘れないうちに試合に臨めたことは、ある意味過密日程の恩恵とも言えるかもしれない。千葉が割り切ってリトリートし、自陣のスペースを消してきたことから、望むと望まざるとに関わらず立ち上がりからボールを持って、ハーフラインを越えて試合を進めていくことになった。スペースを消してくる相手に対して、巧みなポジショニングでライン間でボールを受けながら相手のバランスをわずかに崩し、その隙を突いてバイタルエリアにボールを運んでゴールへ向かっていく。相手にとって嫌なエリアにボールを入れ、そこでファウルを誘うことで、セットプレーでチャンスを多く作った。5分には右からのフリーキックで藤本がニアに鋭いボールを入れ、ニアで若狭大志が頭ですらすが、わずかに枠の上へ。13分には端戸仁のポストプレーがファウルを誘ってゴール正面の好位置でフリーキックのチャンス。ボールサイドには井出遥也と藤本。井出が蹴るフェイントで一旦壁を飛ばすと、間髪入れずに藤本がスタートを切り、ジャンプした壁の下をグラウンダーで通したが、ボールは乾いた音で左ポストを直撃した。守備では、高さ勝負で平智広が制空権を握り、地上戦では高橋祥平がスペースを広く埋めてピンチの目を未然に摘んでパーフェクトな対応を見せた。
好守が上手く噛み合うと、チャンスが転がり込んでくる。32分、コーナーキックのセカンドボールを拾うと、井上潮音がゴール前に入れたクロスに反応した平が後方から倒されてPKを得る。藤本と端戸が蹴るを意思を示し、その場でジャンケンで端戸がキッカー役を手に入れる。35分、端戸の蹴ったPKは相手GKの逆を突いてゴール左に収まりヴェルディが先制に成功した。先制後も高い位置から連動したプレスをかけてボールを奪い、畳みかけるように攻め込むヴェルディ。左右中央、バイタルエリアにミドルレンジと幅広い攻撃の選択肢を生かし、37分にはミドルレンジでボールを持った平が、味方選手の作ったコースを突いて豪快なミドルシュートを狙う。枠こそ捉え切れなかったが、千葉サポーターが詰めかけたスタンドがどよめく威圧感のある一撃だった。
コンディションを考慮し、ハーフタイムに交代カードを2枚切った。小池純輝に代えて佐藤を、奈良輪雄太に代えて福村貴幸をピッチへ送り出す。前節もドンピシャにはまった交代策が、この日も試合を決定付けた。
前半と同様にボールを持つヴェルディは、ビハインドを追いたい千葉が前に出てくることを許さないほど、前線に上手くボールを出し引きしてジワジワと押し込んでいく。53分にはペナルティエリア左角付近でフリーキックを得ると、投入された直後の佐藤がゴール前に合わせると見せかけてファーサイドを狙う。キレイなカーブを描いてGKの頭上を越えたシュートだったが、前半の藤本のフリーキックと同様に乾いた音とともにクロスバーに弾き出された。その2分後には、藤田を起点にバイタルエリア中央の狭いエリアでワンタッチパスを次々に通して中央突破。最後は佐藤のスルーパスに端戸が抜け出したが、これは相手GKが半歩早くボールに詰めてシュートに持ち込めない。前半と変わらない強度で試合を進めていたヴェルディだが、相手の型にはめられた。73分、右からのロングスローをニアでフリックされると、一度折り返したボールをゴール前で豪快に合わせられる。一度はマテウスが反応したがキャッチし切れず、こぼれ球を山下に詰められて一瞬のエアポケットで失点を喫した。
ここで慌てふためかず、淡々とボールをつないで相手を押し込んでいくヴェルディ。残された時間は決して長くはなかったが、自分たちのスタイルで崩し切れる自信をベースに、冷静に相手の攻めどころを虎視眈々と狙う。失点直後の76分にはコーナーキックの守備からカウンターを発動。途中出場の山下諒也がドリブルで相手ペナルティエリアまで侵入すると。後方からサポートに入った藤本へヒールでパス。完璧な崩しに見えたが、藤本のシュートは惜しくも相手GKの正面に収まった。攻め手を緩めないヴェルディ。すると78分、道が開く。最終ラインからスタートしたビルドアップで藤田譲瑠チマが左サイドにボールを散らすと、受けた福村が一瞬ルックアップして、ゴール前のスペースに走り出しながら自分の名を呼ぶ端戸にピンポイントのアーリークロスを供給。これを端戸が頭で合わせると、ループ気味のシュートになったボールがGKの頭上を越えてゴール右上隅へと流れ込んで勝ち越しに成功した。
終盤はロングボールとサイド攻撃に徹した相手に押し込まれ、自陣で耐える時間帯もあった。一方で、奪ったボールを素早く前線に運んでカウンター気味にチャンスを作るなど、相手に常にゴールを狙われている恐怖心を持たせた状態で終盤までリードを守り切った。
スコアを見れば僅差の勝利だが、その中身はまったく異なる。前節に続いて二ケタのシュートを放ち、ボール支配も60%を達成した。長短混ぜたパスワークは相手の堅牢な守備組織を崩し、わずかな綻びさえあればそこを突いてフィニッシュまで持ち込む鋭さでゴールを脅かした。1週間で3試合を戦う連戦を終えたが、次節のモンテディオ山形戦まで1週間が空くものの、その後はまた中3日での3連戦を戦う。まずはコンディションを戻し、そしてクオリティをさらに高めて“魅せて勝つ”をホームで続けて実現するだけだ。
試合を振り返ってください。
連戦の大変厳しいコンディションの中でウチは選手の入れ替えをせずに挑んだゲームでしたが、選手が本当によくやってくれまして、前回の試合を上回るパフォーマンスを見せてくれたことを、監督として非常に嬉しく思います。守備の堅い、難しい相手との試合でしたが、選手たちが狙い通りの形を何度もチャレンジしてくれて、本当に良いゲームだったと思います。そして、何よりも嬉しかったのは、再開後本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていた(端戸)仁がやっとと言いますか、いつ取ってもおかしくない状況でしたが、何よりも彼が今日2点を決めて勝利できたことが嬉しいです。そして、後ろの選手も本当にキツいなかで、我々が求めたことを忠実にやってくれたことも嬉しく思います。選手だけでなく裏方やスタッフを含め、非常に厳しいスケジュールの中で寝る間を惜しんでそれぞれの仕事をやってくれたことに感謝したいです。
立ち位置の重要性、優位性という部分が非常に上手く出た試合になったと思いますが。
我々が大事にしているポジショニングの優位、数的優位というところは、非常に選手が理解してくれて質が上がっていると感じています。ただ、彼らのポテンシャルを考えれば、もっとやれると思っているので、さらに質を高めていきたいと思います。
ハーフタイムの2枚替えの意図を聞かせてください。
よりボール支配率を重視したと言いますか、ボール支配率を上げてもう一度我々のゲームとしてコントロールしていくという狙いがありました。
試合終盤に平智弘選手が足を攣っていたなか、当初は山本理仁選手との交代を考えていたのでしょうか?
最初はそういう意図でした。ただ、メディカルからの回答が、本人がやれるということだったので、平の強い気持ちと言いますか、心意気を買ったと言いますか、彼の寡黙に仕事を100パーセントこなしてくれる姿勢を踏まえて、彼を残す決断をしました。
FW 25端戸 仁
屈強な相手のディフェンスラインに対して、前線でボールを収めるという仕事はいかがでしたか?
個人的にはそこまでプレッシャーを感じていなかったというか、あまり覚えていないです。あまり激しく来られている感覚はなく、逆に収めやすかった気がします。
1点目のPKキッカーを務めた経緯を教えてください。
本当に何とか1点を取りたいと思っていたので、自分から蹴りたいと言いました。ただ、(藤本)寛也も蹴りたいと言ってきたので、ジャンケンしました。グーで勝ちました(笑)。
PKに関しては去年の試合で一度外していましたが。
今日は自分の鼓膜に聞こえるぐらい、心臓がバクバクしていました。キーパーの動きを見ずに自分が決めたところに蹴ろうと思っていました。
2点目の場面を振り返ってください。
あれはよく覚えていませんが、まぐれです。肩に当たったと思います。とりあえず、フクちゃん(福村)がボールを持った時に抜け出すタイミングだけ意識していました。フクちゃんが良いボールを入れてくれることは分かっていたので、あとはタイミングで相手を外すことだけを意識していました。とにかくラッキーでした。
今季初の連勝はチームにとって大きいですね。
前回、甲府に勝った後に全員がこの試合がより大事になると分かっていました。自分自身、毎試合点が取れなくて苦しかったですが、諦めずにやってきて良かったと思います。
以前から点を取るところをご自身の課題に挙げていましたが、2得点できた率直な感想を聞かせてください。
正直なところ、個人的には自分が点を取れなくてもチームが勝てれば問題ないと考えていますが、やっぱりあのポジションをやっている以上、ずっと点を取れないと批判もありますし、『なんで出ているのか』と言われてしまいます。そういう意味で今後も常にゴールは狙っていきますが、まずはチームが一番上手くいくように攻撃の起点になることが重要だと思いますし、そのなかで自分にチャンスがあれば、強い気持ちを持って今日みたいにプレーすれば、個人としてもゴールを取れるのかなと思います。
それでも、まずは1点取りたかったという気持ちの部分を詳しく聞かせてください。
永井さんから毎試合前に『今日は仁が点を取る』と言われています。特に、町田戦でビッグチャンスを失敗してからはプレッシャーがかかっていました。ゴール以外の仕事はある程度できている実感はありましたが、最後のところで関われていなかったので、それがチームの勝ちに繋がったのでとにかく良かったです。
DF 5平 智広
試合を通して集中した守備ができていましたが、試合全体を振り返ってください。
相手の2トップがかなりパワーのある選手だったので、試合前からそこはセンターバックが潰していくようにと言われていました。今日はそこを意識してやっただけです。
ご自身の左足でのサイドチェンジがチームにおいて重要な戦術の要素になっていますが、その生かし方という部分で今日はいかがでしたか。
相手がスライドしてきた場合、逆のサイドが空くことは分かっていたので、そこは意識的に狙うようにしていました。ただ、思ったよりも相手が前から来なかったので、自分たちのリズムでボールを回そうと話しながらやっていました。
試合終盤に足が攣って、ベンチも交代の準備をしていましたが、自分で出ると意思表示されたのでしょうか。
足が攣ってしまいましたが、その後に治ったのでベンチに大丈夫だというサインを出しました。(監督は心意気を買ったと話していましたが?) ダメであれば、ダメだというサインを出すつもりでした。
DF 6高橋 祥平
試合を振り返ってください。
厳しい戦いでしたが、何とか勝てました。
割り切った戦いを見せた相手に対して焦れずに戦えた要因を聞かせてください。
みんなが前向きに自分たちのサッカーをやれていたので、そこが良かったと思います。
セットプレーの失点を除き守備面ではほぼパーフェクトな出来だったと思いますが。
それほど相手にシュートを打たれるようなチャンスを与えていませんでしたが、やっぱりあの1失点は痛かったです。ああいうところを直していかないと、この先どうなるかも分からないので、気を付けて直していきたいです。
後方からのビルドアップもご自身を中心に非常にスムーズになってきたように見えますが。
自分だけでなくワカ君(若狭)、平君、ハム君(奈良輪)と、誰が出ても同じサッカーができることが強みだと思っています。ただ、そういうふうに言ってもらえるのは有り難いです。
連勝で戻る次節に向けてサポーターへのメッセージをお願いします。
千葉戦も勝てましたし、この2連勝を自分たちの力で勝ち取ったと思っているので、次のホームも勝ちにいくので、引き続き応援をよろしくお願いします。