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MATCH試合情報

2019 明治安田生命J2リーグ 第5節 - 徳島ヴォルティス vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

前節、ホームで衝撃的な逆転負けを喫したヴェルディ。ホーム連戦を控えた中で迎えた今節、敵地での徳島ヴォルティス戦は、なんとしても勝ち点を持ち帰って流れを変えたい一戦となった。スタメンは前節をベースに、ダブルボランチの一角を梶川諒太ではなく井上潮音に託した。また、キャンプ中に離脱してから別メニュー調整を続けてきた若狭大志と渡辺皓太が今シーズン初めてメンバー入り。この日、ともに途中投入でピッチに送り出された。

 

強めの風がホーム側ゴール裏スタンドからビジター側スタンドに向けて吹く天候条件の中、ヴェルディは前半、風下に立って試合に入った。その影響があったわけではないだろうが、序盤から左サイドの杉本を起点にグイグイと深いところまで侵入してくる相手に対して強く当たれず、自陣に押し込まれる時間が続く。いざマイボールになっても、陣形が押し下げられてしまい、なかなか厚みを持って前に出ていけず、前線がフォローを待てずにボールロストしてしまう。守備の面では、割り切って人数を固めてバイタルエリアを埋め、きわどいクロスボールを入れられながらも瀬戸際で耐え続けた。反撃の一手が出たのは18分。右サイドからアーリークロスが入ると、端戸仁が相手DFに身体を当てながら巧みにターンしてゴール前のスペースに抜け出しボールを受けるが、身体を反転させながらのシュートは力なく相手GKにキャッチされた。前半最大のピンチは27分、ゴール正面約25メートルの位置で与えたフリーキック。直接ゴールを狙ったシュートは枠の右上隅に飛んだが、軌道を読んだ上福元直人が懸命に飛びついて右腕一本でセービング。セカンドボールをしっかりとクリアしてことなきをえた。前半も終わりに差し掛かると、徐々にヴェルディがボールを持つ展開にリズムが変化する。しかし、フィニッシュへの糸口は掴めず、結局前半はシュート2本で折り返した。

 

風上に立つことを考慮した戦い方を意識した後半だが、ややオープンな展開になったものの、ヴェルディの攻撃のスイッチがなかなか入らない。そうこうしているうちに、54分、最終ラインのギャップを突かれてスルーパスを通されると、岸本に抜け出されて上福元をかわしてゴールに流し込まれ、実に開幕以来5試合連続で先制点を献上した。これまでがそうであったように、この失点で目を覚ますヴェルディ。ボールサイドに人数をかけて崩していくと、直後の56分、左サイドで起点を作ってクロスボールを入れると、ゴール正面を抜けたボールはファーサイドに流れる。そこに小池純輝がフリーで抜け出したが、ワンタッチボレーで合わせたシュートはゴールわずか上へと逸れた。ここから試合はヴェルディが一方的にボールを保持する展開へと一変する。ところが、ボールは持つものの、有効なフィニッシュへの筋道は依然として見出せずにボールをワイドに動かし続ける時間が続く。同じく未だ1勝の徳島は割り切って自陣を固め、無暗に飛び込んでこずにヴェルディのパスワークを可能にするスペースを消していく。流れを変えようと、田村直也に変えて若狭を投入してシステムを変えると、渡辺、森田晃樹と次々にカードを切って状況の打開を図る。そして試合がクライマックスに突入する90分に我慢が実る。奈良輪雄太の粘りからコーナーキックを得ると、佐藤優平がニアに強いボールを入れる。若狭が潰れ役になってボールが高く舞い上がると、そのまま風に流されてゴール方向に落下してくる。そこに入り乱れて飛び込む両チームの選手たち。その混戦の中、ボールは相手DFをスクリーンして落下地点に入った李栄直の背中に当たってゴールに転がり込んだ。

 

追いついた後の試合の進め方は非常に難しいところだが、追い込まれたホームの徳島が圧力を強めてくると、中央を固めて徹底してブロックに専念。アディショナルタイムに勝ち越しを狙いに行く姿勢も見せつつ、土壇場で手にした勝ち点1の権利を行使して試合を終えた。

 

勝利をしたわけではないし、90分の試合展開は決して狙い通りの戦いでもなかった。しかし、そうした苦しい試合で、しかも敵地で諦めずに勝ち点1を掴んだことに光明を見出したい。次は過密日程でのホーム連戦となる。柏レイソル、水戸ホーリーホックはともに現時点でリーグの上位につける好調な相手。自分たちがリバウンドメンタリティを発揮して、逆にのし上がる機運を作るにはもってこいのチームだ。

 

試合後、サポーターに挨拶した李はこう叫んだ。

 

「今週からまた頑張ろう!みんなで頑張ろう!まだまだやれるよ」

 

彼が全てを背負えるわけではない。他の選手が、スタッフが、フロントが、サポーターが、ヴェルディに関わるすべての人たちが、苦境を分かち合い、そしてひとつになって撥ね返すことが求められる。先を見るのはまだ早い。次の一戦へ、熱く緻密に準備を進める。

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監督コメント

ギャリー ジョン ホワイト 監督

試合を振り返ってください。
風が影響するというのは考えていたので、そこにちゃんと対応できたことは良かったかなと思っています。前半、風の流れというのもあって、なかなか難しいところもありました。後半になったら当然風向きが変わるということは考えていたので、今度は僕たちに何ができるかをハーフタイムに話して、それがちゃんとできたことは良かったと思います。

失点した後に若狭選手を入れてチームの布陣を変えたと思います。どんな狙いがあったのでしょうか?
とにかく点をとりにいくことが大事になっていて、その中で1週間かけて練習してきたプランBというのも出せたのかなと思います。当然負けるということは考えていなかったので、勝ちに行くというところでフォーメーションを変えました。フォーメーションとやり方を変えることを重視して若狭を入れました。とにかく前に早くゴールに直結するプレーを重視したかったので、そういう判断をしました。

後半の最後に森田晃樹選手をアンカーにして、李栄直選手を前線に置きましたが、その形でサイドの深い位置までいきながらクロスまでいけませんでした。その辺は、練習の中で落とし込みをしてきたのでしょうか?
クロスの質やそこまでボールを運ぶ動きはもう少し練習しないといけません。あまり見ていて楽しいサッカーではなかったかもしれませんが、とにかくやらないといけない時は来るので、そういう時に対してもっと練習をしたいと思います。森田晃樹に関しては、まだ18歳ですけど、すでに15年プロでプレーしているくらいの落ち着きを持っています。

ダブルボランチに戻したのは、割り切って点を取りに行ったから?
戦術的に臨機応変にやらないといけないということと、相手のホームゲームだということもあったので、最後は時間がない中でアグレッシブに来ると想定して少し真ん中を固めるようにしました。

この引き分けは、ただのラッキーなゴールだったのか、それとも今後につながる得点だったのか、どちらでしょうか?
この試合は僕たちにとってターニングポイントになるかもしれないと考えていて、今まで最初に失点してしまう試合が多くて、その中で取り返すということをここ数試合で繰り返していますので、とにかくチームが一体となって勝ち点を取りにいくという意思があると思っています。

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選手コメント

DF17李 栄直

苦しい試合展開でしたが、90分を振り返ってください。
五分五分というところでやった中で、課題に挙がっている個人戦術ではがされて綺麗に崩されてしまいました。そこをカバーできないのも問題ですけど、まずしっかりと球際で戦うというところができなくて失点したのかなと思っています。

攻撃のスイッチが入った、ボールを持って押し込めるようになったのは失点後でした。
今年に入ってからそうなんですが、失点してから攻撃のスイッチが入る、あのような決定機が起きるというのは、ずっとやってきたことですし、何回繰り返すんだろうという気持ちもありますが、その前に自分たちで攻撃をもっと活性化させないといけないです。そうすればもっと主導権を握れますし、握れる時は今日みたいに握っているので、それをもっと長い時間出すためには、みんながもっとスイッチを入れないといけないです。

その中で、あの最後の得点でチームが救われました。
まずは優平がセットプレーの練習通りのボールを蹴ってくれた、その中でニアがしっかり潰れてくれた、その中でみんなが最後まで競り合ってくれたのでたまたま自分に当たって入った形です。みんなのゴールです。あの中で誰も諦めていないから、あのようなゴールが生まれたと思っています。まだ序盤ですし、ネガティブな声も一杯聞こえてきますけど、それでもやってやる、それを弾き返してやるぞという気持ちでやらないといけないと思います。

ホーム連戦に戻ります。流れを変えられた?
関係なく次の試合はやってきますし、ましてや相手は柏レイソルなので、個の能力が高いのは分かっていますし、一致団結してやるしかないと思っています。それはただ、チームだけではなく、サポーターを含めてみんながひとつにならないとホームの利が生かせないと思っています。みんなの協力がほしいところです。

次節に向けた意気込みをお願いします。
色々な声はあると思いますが、シンプルに僕たちが、ヴェルディが上に行くために力を貸してくれたらと思っています。応援お願いします。

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MF7渡辺 皓太

ようやく怪我から復帰できました。
コンディションはキャンプの時よりはキレが出てきています。ただ、試合をやっていないので、やっぱり長い時間出場して、もっとチームに貢献したいです。

難しい時間帯、しかもビハインドの状況で投入されました。
負けている展開で前に入れた時のセカンドボールを獲ることを意識していて、獲った後は仕掛けることを意識していました。ゴールに向かうことは意識していました。まだまだ今日は何もできなかったと思っていて、もっと嫌なプレーをしていきたいです。

修正すべき点は?
良かったところもありますが、まだ判断ミスがありました。もっと上げていけるところだと思うので、練習から意識して取り組まないといけないですね。チームとしてはもっとやれると思うし、やらないといけないというか。ただ、最低でも勝ち点1を獲れたので、次はホームで勝ち点3を必ず獲れたらいいと思います。

相手は柏レイソルです。
そこは関係なくて、逆に良いのではないかと感じています。

次はさらにプレー時間が増えそうですか?
やっぱり途中からというよりもスタートから最後までプレーしたほうが特長が出ると思うし、アピールして最初からピッチに立てるようにまた明日から取り組んでいきたいです。

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