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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第32節 - 東京ヴェルディ vs カマタマーレ讃岐

マッチレポート

【試合展開】

天皇杯で連勝したヴェルディは、連敗中だったリーグ戦の悪い流れを断ち切り、前節はリーグ再開の一戦で水戸ホーリーホックと引き分けた。必勝を誓った今節は、相性の良い味の素フィールド西が丘で勝ち点2差で追ってくるカマタマーレ讃岐と対戦。木曜に天皇杯の横浜F・マリノス戦、1週間後にリーグ戦のジェフユナイテッド千葉戦と過密日程に突入する初戦を迎えた。前節とのスタメンの変更はまず左サイドバック。怪我から戻った安在和樹をスタメンで起用した。ボランチは南秀仁を中後雅喜と組ませた。2列目の変更は右サイドMF。澤井直人に代えてアランを置いた。

 

最初のチャンスはヴェルディ。3分、前線の混戦からアランが落としたボールを高木善朗が狙ったが、強烈なシュートは相手GKに阻まれた。この試合のキーパーソンとなった高木善は19分にもチャンスを得る。ゴール正面気味のフリーキック。ゴール右上隅を狙って鋭く曲がったシュートは完璧なコースに飛んだかに見えたが、相手GKの鋭い反応に阻まれた。好事魔多し。流れをつかみかけたかと思われた21分、カウンターから左サイドを突破されると、木島徹に抜け出されてフリーでシュートを許して失点。守備力に定評のある相手を前に、一番避けたかった先制を許す形になった。特に今シーズンは、先制されて守りを固められると崩し切れない試合が多い傾向にある。しかし、その心配は杞憂に終わる。試合再開直後の23分、一度下げたボールを平智広、井林章、大木暁と最終ラインで相手のプレスをいなしながら右サイドへと素早く動かしていくと、不用意にディフェンスラインを上げていた相手の隙を突き、大木が背後のスペースに絶好の縦パスを供給する。相手DFの前に身体を入れて抜け出したドウグラスが飛び出したGKの頭上をループシュートで抜いて、失点の痛手を感じさせずに同点に追いついた。

 

均衡を破って勝機を見出したい後半、高木善が圧巻のプレーを見せる。球際で相手のプレスをものともせず、前を向いてボールをゴール方向に力強く運んでいく。そうかと思えば、中央、サイドにバランスよくパスを配給し、攻撃の的を絞らせないプレーで決定機を演出した。それに呼応するように周囲の選手も高い位置でボールに絡み、相手を自陣に押し込む。61分、左サイドのスペースに飛び出した安在がグラウンダーの鋭いクロスをゴール前に入れると、ドウグラスが絶妙なタイミングで飛び出したが、シュートはミートし切れず。62分には、コーナーキックのこぼれ球を相手に拾われたかと思われた瞬間に二川孝広が素早い切り替えで相手からボールを奪い返し、前に出ようとした相手の意表を突いてミドルシュートを放つ。ゴール右隅を捉えた強烈なシュートだが、前半から好セーブを続ける相手GKに阻まれた。チャンスを作りながら決め切れない難しい流れだったが、圧巻のパフォーマンスを見せ続ける10番が答えを出す。67分、右サイドでアランがボールを収めると、サポートに入った二川がタッチライン際で受ける。さらに途中投入されたばかりの井上潮音がボールを追い越して高い位置に入ってボールを呼び込むと、反転してバイタルエリアに向かってドリブル。追い越してスペースに顔を出した二川が相手DFを引きつけ、井上の横パスを二川が絶妙なタイミングでスルー。DFが引きつけられた裏で高木善がボールを受けると、ルックアップした直後に右足を一閃。鋭いシュートをゴール左隅へと流し込んだ。76分にコーナーキックからあっさりと失点してまたも試合を振り出しに戻されたが、10番の目はギラギラしたまま相手ゴールを見据えていた。83分、左サイドで井上が安在からボールを受けると、相手の密集を抜けるくさびのパスをペナルティエリア際のスペースに入ってきた高木善の足元へ送る。相手のマーカーが寄せてくるのを察知した高木善はワンタッチでターンして、やや五分五分気味のボールに先に身体を入れる。すると、相手DFは後ろからたまらずファウルで高木善を止めてPKの判定。84分にドウグラスがこのPKを決めて勝ち越しに成功した。

 

終盤はパワープレーに出る相手に対して、やや下がり過ぎる場面もあったが、力強く撥ね返し続けてリードを守り切った。10番の活躍が光ったが、一方で安定しないレフェリーのジャッジで多くの選手がカードを受けた点に悔いが残る。特に味方へのプレーに対するファウルについて主張し続けた中後雅喜がアディショナルタイム突入後に2枚のカードを受けて退場処分になったことは痛手だ。次節にジェフユナイテッド千葉という決して負けられない一戦を迎えるうえで不安材料となることは否めないが、怪我から復帰後にまた離脱した井上が復帰し、そしてゴールにつながる場面で重要な役割を果たした点が収穫になる。

 

まずは中3日で迎える天皇杯3回戦の横浜F・マリノス戦。別の大会とはいえ、リーグ戦で重要な試合を控えるチームにとって、手を抜ける試合などない。このクラシコで勝利し高知から良い流れを持ち帰り、1週間後の連勝の歓喜へとつなげたい。

 

【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】

――ゴールシーンを振り返ってください。

「ボールを受けてゴール、シュートを打つことしか考えていませんでした。すぐにゴールもコースも見えて、うまく蹴ることができたので、決まったと思います」

――重心の低いドリブルで馬力を見せるなど、コンディションの良さが目立っていましたが。

「前節の水戸戦はコンディションが悪く思うようなプレーが出せなかった中、自分の得点かどうかは分かりませんが、点を取ることができました。その勢いを持続するために今週はコンディションを上げることを意識して練習していました」

――前節は練習から味方との連係のイメージがしっくりこないとおっしゃっていた中、今日は連係面が良かった印象ですが。

「そうですね。南とか入ってくると、ああやって細かく繋ぐ部分もありますし、やっぱりドウグラスやアランが居ると、個人で突破してくれるという形があります。そこは任せて自分は繋ぎの部分や点を取るところに顔を出せたかなと思います」

――後半から人の並びを少しイジったのでしょうか?

「いや、なんか自然に。良い時はたぶん、フタさんとかと入れ替わることが多いです。個人的にフタさんとはそういう部分でやり易さがありますし、流動的になると相手も掴み辛いと思います。ゴールシーンでも自分が左なのか、真ん中なのか微妙な位置から入って行ってシュートに持ち込めたので、そういうポジションの変化は、良い効果が出ていると思います」

――今日のような勝ち方をどのように捉えていますか?

「やっぱり、相手をゼロに抑えるというか、2-0、3-0とかゼロで勝ちたい気持ちはあります。ただ、いまはそういう戦い方ができていないので、攻撃陣が頑張って点を取るしかないのかなと感じています。自分としては点を取ることを目標というか、ノルマにしてやっています」

――追いつかれても焦れずに勝ち切ったことはチームにとって大きいですね。

「シーズン前半よりも失点した後に、どうやって点を取るかという部分で、ドウグラスが頭でイケるかな、セットプレーから点を取れるかなと、ポジティブなイメージが湧いてきています。それはチームにとって良いことなのかなと思います」

――公式戦4試合連続ゴールの要因はどこにあると思いますか?

「シンプルに自分のコンディションが上がっていることです。また、周りの選手が自分のために走ってくれているシーンもあるので、そういうところが自分のゴールに繋がっていると思うので、チームメートに感謝しています。ベンチに居る選手も声で盛り上げてくれていますし、自分の後を託せる選手がベンチに控えているので、最初から最後までフルパワーで試合ができるのは大きいです」

――クロスバー直撃のシュートなど、直接FKの精度も上がっている印象ですが。

「1本は決めなければいけなかったです。やっぱり、ああいう場面でサポーターが期待を持てるかは大きいことなので、それはチームとしても個人としても重要なことなので、あそこで決められる選手になりたいです」

――ゴールセレブレーションで揺りかごダンスをしましたが。

「あれはシバさんに向けたものです。ただ、(ダンスの方向が)逆でした(笑)。 グラウンドの方にやってしまったので、誰も見えなかったです。あれを僕のせいにされたのが、心外です(笑)。 僕が始めたわけではないのに、テレビにも映らず、僕のせいかと責められました…」

――弟の大輔選手に一番初めに抱き着いていましたが。

「たまたま、あいつが一番近くに居ただけです。あいつ、すぐに出てくるんですよ。目立ちたがり屋だから」

 

 

【試合後選手コメント:FW 17 ドウグラス・ヴィエイラ選手】

――試合を振り返ってください。

「ゴールを決められたことは本当に嬉しいですが、まずはチームが勝利できたことが、自分にとって最も嬉しいことです」

――1点目のゴールシーンを振り返ってください。

「裏に抜け出した際に良いボールが来たので、GKの頭越しに決めることができました」

――2点目の場面ではプレッシャーの懸かるPKを冷静に決めましたね。

「自分たちの仕事は常にプレッシャーに耐えながらやる仕事だと思っています。その場面ではしっかりと落ち着いて決めることができて、本当に嬉しく思います」

――今日の2ゴールは今後に向けた良いアピールになりましたね。

「しっかりと仕事をし、練習を積んでみんながレギュラーを目指しています。それには準備が必要ということで、しっかりと練習を積んでチームのためにやっていくことが必要だと思っています」

――サポーターに向けてメッセージをお願いします。

「本当に厳しいシチュエーションというのは、少し抜け出せたのかなと思っています。これからどんどん試合が続いていくと思うので、もっと上を目指して少しでも上に行けるようにしていきたいです。木曜日にはマリノスとの試合も控えているので、そこで良い試合をして、その後のリーグ戦に向けて調子を上げていきたいと思います」

 

 

【試合後選手コメント:MF 20 井上潮音選手】

――試合を振り返ってください。

「試合に出たら、あそこのバイタルの前がスカスカになっているのが分かっていたので、あそこで受けて一仕事しようというのは、出る前から考えていました。1点取られて追いつかれましたけど、それでももう1点取れるという感覚がありました。とにかく、勝てて良かったです」

――2点目のアシストの場面では初めから高木善朗選手が見えていましたか?

「いや、ボールをもらって周りを確認したときに善朗君が空いているなと思いました」

――PK奪取の起点になる縦パスはどんな意図を持って出しましたか?

「右足に出して反転させるようなパスを出しました。その前に揺さぶったというか、揺さぶることで隙が生まれるなと思っていましたし、その結果あそこに縦パスを入れてPKを獲得できたのは、自分の中で考え通りというか、イメージ通りでした」

――精神的に消耗の激しい展開の中でよく勝ち切りましたね。

「最初から出ていた選手はキツかったと思いますが、僕は途中から入ったので体力的にも余裕がありました。あとは頭にも余裕があったので、追いつかれてからも絶対にもう1点は取れるなという感覚で試合を見ていました」

――前節に比べてチームとして連係面が機能していた印象ですが。

「相手が後半は特に引いていた中、僕が入ってからもチーム全体の距離感が良かったと思います。点が入る匂いはしていましたし、結果的に3点取ることができたので、これを次の試合、次のリーグのジェフ戦に繋げて、勝ちを積み重ねていきたいです」

――守備の局面で球際の激しさが目立ちました。

「ああいうところで行かないと。攻撃が良くても守備がダメだと、そこを言われてしまうので、今自分が特に意識してやっている部分です」

 

 

【試合後選手コメント:DF 19 大木暁選手】

――試合を振り返ってください。

「ゲーム自体は面白かったと思いますが、2失点して危ない試合でした。2点ともに自分たちのミスというか、別に相手に崩されたモノではなく、防げた失点でした。簡単に終われる試合だったので、そこは修正していければと思います」

――アシストのシーンを振り返ってください。

「ドウグラスが最初に見えて、とりあえず裏に蹴っておこうと思いました。もちろん、狙って蹴りましたが、あそこまで簡単に抜けるとは思いませんでした(笑)。 ドウグラスがそこに居てくれて、紅白戦でもドウグラスが自分の動きを見ていてくれと言っていたので、あそこに居ることは感じていました。良いボールを蹴ることができてドウグラスが抜けてくれて点が入って本当に良かったです」

――後半序盤にサイドを深くえぐって上げたクロスの場面では、高木善朗選手を狙っていたのでしょうか?

「そうですね。善朗の声が聞こえていたので。もう少し、完璧に上げられれば良かったですね。相手に読まれていたので、ニアにドウグラスもいたので、そこに速いボールを入れても良かったかもしれません」

――ここ最近の出場試合で最も上下動を繰り返していた印象ですが。

「システムのミスマッチというか、相手が3-4-3で来ていたので、自分のところは走れば空いてくるというのがあったので、やっぱりあそこは走らないといけないですし、体力的にも走れたという面がありました」

――冨樫監督の起用に応えて目に見える結果を残せましたが。

「目に見える結果を残せたことは良かったです。ただ、自分が冨樫監督に使われている理由は、ひたむきに頑張るところや、声を出すところなので、その部分をもっとしっかりとやっていかなければダメです」

 

 

【試合後選手コメント:GK 31 鈴木椋大選手】

――課題のセットプレーから喫した2失点目を振り返ってください。

「アランがマークに付いていたのですが、そこで少し曖昧になってしまった部分で上から叩かれてしまいました。交代で入った選手に対して、誰がマークに付くのか、ハッキリとさせなければいけないと思いますし、もちろんアランが悪いというわけではないですが、その前にコーナーにしていなければ、ああいう失点はありませんでした。相手の強みがセットプレーということはスカウティングで分かっていたので、それは良くないです。それでも、改善できるポイントなので、そこはもう一回映像を見返して、誰が悪いというわけではないですが、しっかりとマークするところをハッキリさせるだとか、突き詰めていきたいです」

――前節は追いつかれてドローとなった中、今日は勝ち切ることができましたね。

「2-1になってから、もう失点はできないと思っていた中での後半30分付近にセットプレーでやられてしまい、『うわ、やばいな』という雰囲気は流れました。ただ、割と皆が冷静で、セットプレーだったし、流れの中でやられていなかったので、そこで落ち着いてできたと思います。みんながそこで下を向かず、前を向き続けた点がリーグ戦勝てていない中で大きかったです。また、前のフィールドプレーヤーが頑張ってくれたお陰でもあります」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「本当に西が丘で試合の前から良い雰囲気を作っていただき、自分たちは戦うだけという中で、選手たちには90分間やり続けることを求めてピッチに送り出しました。粘り強くボールを動かしながら、サイドを変えながら、そしてリスクを取る縦パスを入れながら、自分たちが優位に進めていたと、実際には思います。ただ、一番恐い形のカウンター一発で失点してしまったことは、本当に残念でした。そこが今の自分たちのここまでの順位にしてしまっている要因だと思っています。それでも、その後すぐさま自分たちがバックパスや横パスではなく、相手の背後に出して、そこにしっかりとドウグラスが走り込んで追いついたことは、ここから先、自分たちが勝ち点を取っていくチームになっていくキーだと思っています。後半やはり、同じような展開が待っている中で自分たちがよりボールを持つ。そして、守備の時間を減らしながら切り替えを速く、二次攻撃、三次攻撃に繋げていくという中で、粘り強くボールを動かしながらバイタルを空けて、善朗がしっかりと前を向いて、それもあそこのシーンからシュートを打ったということが、やはり大事だったと思います。リスタートのところで、相手が交代してきて、少し自分たちがマークで混乱している中で取られてしまったので、そこは本当に悔いが残ります。そこは選手たちのところで対応をしてほしかったなとも思います。ただ、その中でヘッドダウンをすることなく、自分たちがまた試合前から目指していた90分間続けて行くという中で、やはりここも善朗がゴール方向に向けてドリブルで進入していったことがPKを生んで、自分たちが3-2で勝つ要因になったと強く感じています。うまく時間を使いながら過ごしていたのですが、最後の中後の退場は自分にとって非常に痛いなと思いますが、1週間の間にマリノス戦という特別な試合を自分たちが戦えるので、そこでしっかりと勝つゲームを、その良い流れでジェフ戦に向けた戦いをしていけるように、整えていきたいです」

――途中出場で2点に絡んだ井上選手にどんなタスクを与えて送り出したのでしょうか?

「まず、南の体力的な問題。そして、自分たちがボールを持てる時間の中で、やはり空間でボールを後ろに下げない、外をうまく使いながら、外、中、外とボールを前に進めていくというところで、あの時間帯に潮音になるべく前を向くように、うまく散らしながらバイタルエリアに入って行くようにと話して送り出しました。うまくタスクをこなしてくれたと思います」

――2点目を奪った後のペースが落ちた時間にどんなことを考えながら戦況を窺っていたのでしょうか?

「相手が順位も順位ですし、ゼロで終わるということは非常に危険なので、ある意味捨て身で来る中で、非常に外にスペースが空いていたので、うまくボールを散らして高いところで起点を作りながら時間を過ごす。あるいはそこから相手が出てくることで空くスペースを3人目の動きで使って、3点目を取りたいと考えていました。その中で少し変なボールの奪われ方を自分たちで招いたことが、あそこのフリーキックやコーナーキックに繋がっていった要因だと考えています。それが体力的な問題なのか、状況判断の悪さだったのかは、もう一度判断していきたいと思います。自分たちはボールを持って高い位置で過ごせればと思っていました」

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