MATCH試合情報
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【試合展開】
リーグ戦の中断を連敗で迎えたヴェルディだったが、2試合続いた天皇杯を連勝で乗り越え、リズムを取り戻してリーグ再開を迎えた。この水戸ホーリーホック戦を終えると、カマタマーレ讃岐、ジェフユナイテッド千葉と続くホーム連戦の合間の22日に天皇杯3回戦の横浜F・マリノス戦が挟まり、過密日程で非常に重要な試合が続く。ここは何としても勝利し、連戦に向けてさらに調子を上げていきたい一戦となった。直近の天皇杯2回戦からの変更はボランチの一角。試合2日前に足に違和感を覚えた井上潮音が大事をとって欠場し、船山祐二を起用した。
キックオフ直後からともに球際でアグレッシブな姿勢を崩さず、ヴェルディは起点となるドウグラスを多用し、水戸はそこへのファウルも辞さない守備で止めにかかる。拮抗するかに思えた試合を動かしたのはヴェルディだった。ワイドな揺さぶりを早いテンポで行ない、相手のマーキングの遅れを突く。そして、サイドで高い位置でボールを保持して攻勢に出る。ただ、ボールを保持するもののフィニッシュに持ち込むことができないでいると、カウンターから水戸に反撃の機会を与える。22分、右サイドからの展開を受けた白井がドリブルでペナルティエリア内に侵入すると、ゴール斜め45度の位置から右足を振り抜く。これはゴールのわずかに右へと逸れた。最初のピンチを凌ぐと、逆に攻撃のチャンス。27分、左サイドでボールを受けた高木善朗が横にスライドするようにドリブルし、ライナーの強烈なキックをゴール前に入れる。シュートコースに入ったドウグラスが足を延ばすが触ることはできず、それでもブラインドになった選手で反応が遅れた笠原はボールを収められずに、ボールはゴールへと転がり込んだ。思わぬ形で先制点を挙げたが、ここから我慢の時間帯が続く。相手のプレスは強度が高く、ロングボールを多用するスタイルにヴェルディは全体が押し込まれてしまった。前半の終盤にはミドルシュートがポストに当たる幸運にも恵まれ、1点のリードで試合を折り返した。
ハーフタイムに冨樫監督が強調したのは、サイドを起点にして攻めていくこと、そして
ファーストディンフェンダーを早く決めて下がらずに対応することだった。
指揮官の指示を体現して試合を決めに掛かりたいところだが、後半の頭にミスから試合を振り出しに戻す。48分、バックパスのボールを鈴木椋大が痛恨のキックミス。運が悪いことにボールはゴール正面にいた船谷のもとへ。このボールをワンタッチでゴールに蹴り込まれ、鈴木が戻る間もなく同点ゴールを叩き込まれた。追いついた勢いに乗って猛攻を仕掛けたい水戸に対して、ヴェルディは素早く攻守を切り替えて粘り強く対応する。11分にはペナルティエリア内をショートパスで崩すと、二川孝広のマイナスのパスを澤井直人がワンタッチで合わせるも、ゴールを捉え切れない。その後、両チームともに交代カードを切って流れをつかもうとする中で、ヴェルディは中盤でテンポとリズムを持ってボールを動かそうと試みる。しかし連係が合わずにフィニッシュ前でクリアされると、そのボール目掛けてラッシュをかけてくる相手を前に背走での対応を強いられる。自然とボールを奪う位置が深くなり、攻撃に転じる場合は縦に早くなる。ただし、相手の守備陣の帰陣は早く、オープンな展開の中でフィニッシュの場面を作れずに時間だけが過ぎていく。終盤になるにつれてボールを持ち始めたヴェルディが、リズムとテンポに変化をつけてゴールへと迫ったが、決定的な場面と呼べるようなチャンスは作れず、1-1のドローでタイムアップを迎えた。
ミスからの失点がチームに与えたダメージは大きい。ただし、避けられた失点という言葉だけで片付けてしまえるほど単純なことでもない。失点に絡んだGKの鈴木がまた、別の危険な場面で好セーブを見せたのも事実だ。改めてGKというポジションは些細なミスでさえも許されない難しいポジションであることを再認識させられた。それだけに、チーム全体でそのミスをカバーし、日頃の好セーブに報いる攻撃を見せたかった。もう立ち止まっている暇はない。これから1週間の準備期間で、信頼関係を再確認することが急務となる。その上で、過密日程かつ2つの大会が入り混じる連戦を乗り越えたい。
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗】
――得点場面はニアに斜めに走った選手に合わせたようなボールでした。
「そうですね。しっかりと見えていたので」
――勝ち点1では納得がいかない?
「勝ち点3じゃないと納得がいかない試合でした。自分のプレーにも納得がいかないというのはあります。オフ・ザ・ボールの動きなどは、裏に抜けたりとか、もっと色々な動きをしたかったです」
――同点になってから、今までのヴェルディだと連続して失点することが多いが。
「立て続けに失点しないことを考えていましたけど、皆足が止まってしまっていたので、中でやっている自分たちが気付いているので、そこが課題だと思います。天皇杯でリーグ戦が空いていたのにコンディションがよくないというのは、チームとしての課題だと思います」
――監督もコンビネーションのところでズレを感じていたが、練習でできていることを試合でなかなか出せていないですか?
「今週は良いコンビネーションは練習でも出せていなかったので、そのイメージがないまま試合に入ったので、そこが課題だと思います」
――天皇杯でゴールが獲れて、攻撃陣としては良い流れでしたか?
「やっぱり5-1で勝って、その前の試合も勝って、連勝できていたんですが、その勢いを持続できなかったというのが今日の一番大きなポイントだと思います」
【試合後選手コメント:DF 19 大木暁】
――対面の湯澤選手への対応策は?
「前半は上手く押し込めて、早いうちに潰せていたんですが、後半に入ってからペースが落ちて相手の間合いというか、自分が中途半端な位置をとってしまいました。そこでスピードに乗せてしまったかなと感じています」
――良い時間帯はイメージ通りですか?
「イメージ通りというか、そんなに決定的な場面はそんなに作られなかったかなと。なので、最初の対応をずっと続けていられれば良かったです」
――今日はクロスを入れる場面も多かったが。
「一つひとつの精度が低かったので、トップにドウグラスがいるので、彼目掛けて良いボールを入れられたら点を獲ってくれるので、もっと自分のクロスの精度を上げていかなければいけないと感じています」
――ボールを奪う位置も持つ位置も低かった?
「回す位置も低かったし、そこから前に出て行こうとしても相手は引いてしまうし、ボールの取られ方も良くなかったので、カウンターを受けてまた引いて対応するといのが何回もありました。もっと声を掛け合いながら、マークをずらしながら対応したいです」
――こうした試合の後は、次の試合が非常に難しくなりそうな印象があるのですが。
「別に負けたわけではないし、試合は続くので、自分たちのミスで失点でしたが、そんなに崩されたりしたわけではないので、そこはポジティブに捉えながらも改善すべく部分はすぐに修正したいです。とにかく悲観することなく、次の試合に向けていつもの準備をしていくことが大事だと思います」
【試合後選手コメント:DF 5 平智広】
――天皇杯で連勝して良いリズムでリーグ再開を迎えられたと思うのですが、それを受けて引き分けというのはどう捉えていますか?
「悔しいです。勝てた試合というよりも、ポストにも当たったし、椋大も何点か防いでくれたし悔しいですけど受け入れなければいけないと感じています」
――後ろの選手にとっては我慢の時間が長かった?
「自分たちのチャンスもありましたけど、相手が前からアグレッシブにプレッシャーを掛けてきたし、それに少し我慢の時間が続いた中で、前半をゼロで抑えたことは良かったと思います」
――自分たちの攻撃時のミスからカウンターを受ける場面が多かったが。
「声を掛け合いながらやっていましたし、自分たちがシュートを打てないで中途半端に奪われたボールを特に相手の左サイドの選手によるドリブルなどのカウンターが多かったので、そこでシュートで終われていれば展開は違ったのかなと思います」
――前半に平選手からサイドに鋭いボールが入りました。
「1本だけですね。あの印象が強かったですね。各駅停車ではなくて、ひとつ飛ばしてサイドを変えるボールはチャンスになりますし、それは今日に限らず、次の試合でも狙っていきたいです」
――次は連戦になります。
「まずはコンディションを整えて、ホームでは絶対に勝たないといけないので、ここから勝ち点を積み重ねていきたいです」
――リーグの合間に天皇杯が入る1週間での連戦は難しい?
「天皇杯だからどうかというのはないと思いますし、天皇杯を利用してリーグで勝てるためのチーム作りをしたい。特に熊本戦はそれができていたし、点も獲れていたので、そういった意味では分けずに戦うだけだと思います」
【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「天皇杯からリーグが再開して、自分たちが2週間天皇杯で積み重ねてきたものをしっかりと出すということで、アウェイの水戸に来ました。前半、向こうの圧力が強い中、自分たちはしっかりと幅をとり、ボールを動かし、サイドを起点にして中に入れるボールで点を獲りたいと。実際に外からプラスのボールですけど、ダイアゴナルに入ってきたところでゴールが獲れて、しっかりと後半に良い入り方をしようという中で、後半の立ち上がりにああいう形で失点してしまって、ゲームとしては残念だったと思います。ただ、後半に水戸が強くプレッシャーをかけてくる中で、自分たちが上手くボールを散らして、ゆっくりと起点を作ってスピードアップする場面であったり、あるいは前線にボールを縦に入れた時のコンビネーションがなかなか合わずにそこからカウンターを食らうようなオープンなゲームになってしまって、ゲーム自体は引き分けたことは自分たちの中では納得しなければいけないゲームだったかなと思います。2週間良いゲームをしてきて、サポーターの皆さんもたくさん集まっていただいた、勝利を届けられなくて残念でしたけど、自分たちは残り11試合でしっかりと勝ち点を積み重ねていく戦いをすることが大事になると思います。またしっかりとトレーニングをして、天皇杯を含めて連戦になりますので、選手とともにやっていきたいと思います」
――全体的にボックスの中になかなか入っていけない試合だったと思うが。
「先ほど言った、バイタルに入れた時のフリックが合わなかったり、向こうも自分たちのダイアゴナルに入ってくる場面を締めた状態でサイドバックも締めた状態で守備をしていました。できればそこを起点にもう一回広げる作業で、外の2対1からクロスないしはボックスに侵入していければと考えていましたし、選手ともそこを目指していたんですが、縦に真ん中に入れたところのボールを散らす前に失ってしまったりですとか、向こうの帰陣も早くてそこから中に入っていけなかったと思います」
――湯澤選手に対して、どのような対策を用意したのか?
「自分たちがしっかりとボールを持って、サイドに起点を作ることで、サイドバックの裏に起点を作れれば、自然とサイドハーフが下がっていく。湯澤君の良いプレーも減るんじゃないかと。そこで澤井と大木の2枚でしっかりと外側に起点を作って、クロスを何本も入れていくことで彼を下げさせたいと思っていました。オープンな展開になったので、彼にスペースがある状態になったので、そうすれば彼の良いところが出てくるでしょうし。逆に言えば、その返しでスペースを使ってチャンスが作れたのかなと思います」