MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、敵地でジュビロ磐田に敗れて今シーズン2敗目を喫したヴェルディ。大事なリスタートの一戦は、ホームにザスパクサツ群馬を迎えた。ここ数試合からメンバーを代えたヴェルディは、ボランチに安田晃大を今シーズン初めてスタメンで起用。同じく杉本竜士も今シーズン初スタメンでアランと2トップを組んだ。
好天に恵まれた味の素スタジアムだが、ピッチに降り注ぐ日差しが選手の体力を奪っていき、試合の展開に大きな影響を及ぼした。両チームともにボールが収まりどころで収まらず、カウンターを仕掛けようにも中途半端に時間が掛かってしまう。ボールポゼッションで優位に立ったヴェルディだが、前線での連係ミスや個々のイージーミスが重なって効果的な攻撃を組み立てられないまま時間が過ぎていった。相手のカウンターに対しては、チャレンジ&カバーを徹底して安定した守備を見せた。
動きの乏しい試合に変化をつけるべく、ヴェルディは後半からシステムを変えてリスタートを図った。しかし、お互いにどこか締まらない雰囲気は変わらず、特にヴェルディはボールを持つものの、バイタルエリアでのコンビネーションが合わずに決定的な場面を作り出せない。攻撃的なカードを積極的に切り、63分に永井秀樹を、71分に南秀仁を、80分に菅嶋弘希を投入。流れを変えるべく、システムもこまめに変えて様子を窺うが、ゴールは遠くアディショナルタイムに突入した。ここからがヴェルディの真骨頂だった。アディショナルタイム3分のカウントが始まってすぐの90+1分、バイタルエリアで永井がボールを受けると、相手が集まったところを突いて、右サイドのスペースへパス。ペナルティエリアの右スペースに走り込んでパスを受けた安西幸輝が中央へクロスを供給。これをゴール前に詰めていた南秀仁が合わせて、前回のホームゲームを彷彿とさせるアディショナルタイムでのゴールが生まれた。ほぼ勝利を確信したうえで、なおも攻め手を緩めないヴェルディ。90+3分には、バイタルエリア左寄りでボールを持ったブルーノが左のスペースへボールを流す。これに飛び込んだ南が難しい角度ながら右足で合わせてゴール右上に華麗に流し込んで追加点。90分間は苦しみ続けたが、最後の3分間で畳み掛け、ドローも覚悟させた試合で勝ち点3を呼び込んだ。
これでホームでは負けなしの4連勝を果たした。次節は3日後の29日に、横浜FCをホーム味の素スタジアムに迎える。ホーム連勝を伸ばして上位進出の足掛かりとしたい。
【試合後選手コメント:MF 11 南秀仁選手】
――試合を振り返ってください。
「最初から出ていた人たちがやってきてくれた中、途中出場の選手が得点を決めただけです。チーム全体が最後まで諦めずにやっていた結果、最後に得点を奪うことができたと思っています」
――途中出場する際にどんな指示を受けましたか?
「スペースが空いてきているので、空間で受けて前を向いて仕掛けろと言われていました」
――先制点の場面を振り返ってください。
「本当に良いボールが来たので、GKに当てないように流し気味に蹴れば入ると思っていました。あれは幸輝(安西選手)のおかげです」
――2点目の場面についても振り返ってください。
「普段の練習からああいう形のシュート練習や3対2の場面での崩しの練習をしているので、練習の成果が出たと思っています」
――短い時間の2ゴールで何か感覚を掴めたのではないでしょうか?
「ゴールを決めることもそうですが、チームがホーム4連勝を飾ることができて、2敗はしていますが、ここからいかに負けずに勝ちを伸ばしていけるかというのも、自分がゴールすることや味方にゴールを取らせるかということで勝ち点を増やしていけるので、今後も継続していきたいです」
――ご自身初の1試合2ゴールでしたが、大きな自信に繋がったのではないでしょうか?
「単純にうれしかったです。悪い日もあれば、こういう日もあります。世の中うまくできていると思っています(笑)」
――岐阜戦でのプレーをだいぶ気にしていましたが?
「そうですね。岐阜戦では情けないところを見せてしまったので、今回の活躍でチャラぐらいに戻すことができたと思っています」
――岐阜戦後には平本選手にイジられていましたが、やはり悔しかったですか?
「チームの勝利はうれしかったですが、個人的に悔しさもありました。ただ、チームが勝つことが一番なので」
――今季は先発が続いた中、途中から試合に入る感覚はいかがでしたか?
「去年の終わりの方も何回か途中出場していたので、違和感はあまりなかったです。途中から出るにしても、前半か後半の頭を見ていた感じではスペースができていると感じていたので、比較的うまく入れたと思っています」
――今日の活躍について冨樫監督から何か言葉はありましたか?
「昨日ちょうど、監督からゴールデンウィークに2点ぐらい獲ってくれたらいいなと言われていたので、試合後に“すぐ獲っちゃいました”と伝えたら笑っていました」
――残りのゴールデンウィークに何点ぐらい獲れそうですか?
「あと4試合ありますが、ゴールはタイミングなので僕が獲らなくても周りが獲ってくれるのでアシストができればいいです(笑)。とにかく1点でも多く獲れればいいです」
――去年はほとんどホームで勝てなかった中、今季はホーム4連勝で5戦無敗ですが?
「ホームでサポーターの方が喜んでくれるので、ホームでの勝ちは気持ち的にも大きいです。シーズンが終わるまでホーム負けなしでいきたいです。もちろん、アウェイで負けるのは良くないことですが、ホームでは特に勝利にこだわりたいです」
【試合後選手コメント:MF 45 永井秀樹選手】
――試合を振り返ってください。
「結果的には勝てたことは良かったですが、前半の出来を含めてまだまだ課題があります。上を目指していくチームとしてはもっと内容を高めていかなければならないと思っています」
――途中出場の際に監督からどんな指示がありましたか?
「0-0という状況の中での投入だったので、チャンスを作り出してほしいというような感じの指示でした」
――先制点の起点になったスルーパスの場面を振り返ってください。
「安西幸輝が良いところにいたのが分かっていたので、あのタイミングでDFはカバーリングを意識していると思いました。だから、少しタイミングをズラせば、フリーになるのも分かっていたので狙い通りでした。ただ、自分のパスを含めて安西幸輝もシュート性の強いクロスを必ず入れるということは去年からずっと言っていたので、それをきっちりとやってくれたことがうれしかったです」
――普段から若手選手にそういったアドバイスをしているのでしょうか?
「そうですね。普通であれば、あそこで浮き球のクロスを入れるとノーチャンスなので、あそこできっちり速いクロスを入れられたのは、彼の成長と日々の努力の賜物だと思います。個人的にはそれがうれしかったです」
――美しいスルーパスでしたね。
「いやいや。美しいサッカーをして勝つのが僕の目標なので。同い年のグアルディオラに負けないようにもっとサッカーを勉強したいです(笑)」
――追加点も大きかったですね。
「そうですね。しっかりとヴェルディ主導で戦えば、もっとチャンスを作り出すこともできますし、それを90分通してやることができるようになるともっと良いチームになれると思います。それが一番相手にとって嫌だと思います。同じサッカーをやっても仕方がないですし、ヴェルディらしいサッカーを追求して、その質を高めることがJ1にも繋がりますし、これからの新しいヴェルディにも繋がっていくと思います」
――ここ最近、途中出場で流れを変える役割をこなしていますが、意識している部分を教えてください。
「自分が持ったタイミングで周囲が良い動き出しを見せてくれているので、相乗効果で自分のスキルアップにも繋がっていると思います」
――永井選手の投入から流れが変わる試合が続いていますが?
「やっぱり、前半からみんながハードワークしてくれているというのがありますし、自分の力だけではないです」
――ゴールの起点になるプレーなど、目に見える結果を残していることについてはどのように感じていますか?
「個人的には結果がほしいわけではないですし、美しいサッカーをして勝つことが理想なので、それを追求しているだけです。結果的にゴールやアシストというものは分かりやすいですが、周りの評価は必要以上に気にしていないです」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】
――今日は先制点をアシストしましたが、その前に菅嶋選手に似たような形でクロスを入れていましたね。
「そうですね。ああいう形は今年自分が一番課題にしている部分で、あの間に速いボールを入れるということはシーズン前から練習していました。あれが上手く合っていれば、良かったのですが……。今年はアシストも大事ですが、ああいうクロスを入れられることに満足しています。アシストに関しては永井さんが良いところを見ていてくれたので、自分はマイナスに折り返すだけで良かったので、ラッキーだったなと感じています」
――1本目でイメージを掴んだからこその2本目という感じでしょうか?
「そうですね。速いボールは意識している部分ですし、弘希(菅嶋選手)にも早く点を獲らせてあげたいので、次は合わせられるようにしていきたいです」
――前半は右サイドでブルーノ・コウチーニョ選手とのコンビでしたが、連携面はいかがでしたか?
「どうしてもブルーノは中に入りたい選手なので、自分は囮として走ることは意識していました。前半は相手が異常に引いてきたので、後半が勝負だと思っていました。その面に関しては自分の予想通りの試合展開でした」
――後半に入って永井選手の投入やシステム変更で攻撃参加の回数が増えていましたね。
「そうですね。ああいう自分の攻め上がりをしっかりと見ていてくれる永井さんに感謝したいです。今日は祖母が命日だったので、アシストかゴールのどちらかをしたいと思っていたので、アシストすることができて本当にうれしかったです。祖母は去年の連戦の時に亡くなったので、札幌戦の前に一度神戸に寄る形になりました。だから、葬式にも10分ぐらいしか出ることができなくて本当に手を合わせるだけだったので、帰りのタクシーで泣いていました。すぐに試合があったので、その日の午前練習だけ休ませてもらいました。祖母もサッカーを優先してほしいと言ってくれていたと思います。だから、今日は気合いが入っていました。本当はゴールが良かったのですが、点に絡めて良かったです」
――去年はほとんどの試合に出場していましたが、ホームで勝てなかった昨季と今季の違いをどのように考えていますか?
「去年もプレーしていた若手やチュウさん(中後選手)たちはシーズンの後半戦からプレーしていましたが、僕は最初から出ていました。その中、ホームでずっと負けていて本当に悲しい思いしかさせていなかったですし、ホームで勝ちたいという気持ちは人一倍持っています。ここまで良い感じできていますし、これを継続していきたいです」
――今季は試合終盤の得点が目立っていますが、チームとして焦らずに戦えている感じでしょうか?
「いや、今日も焦っていました(笑)。 今日は絶対に勝ち点3がほしいと思っていたので。下がった相手がいつスペースを空けてくるか分からなかったですし、勝負を決めるのは一瞬の隙だと思っていました。それが得点に繋がって良かったです」
――直近の2試合で複数失点を喫していた中、今日は無失点で終えられましたが、チームにとって大きいですね。
「そうですね。ここまでは失点が多かったので、守備陣ではイバ君(井林選手)を中心に失点が多いということは話し合っていたので、今日はゼロで終えられて良かったです」
【試合後選手コメント:MF 8 中後雅喜選手】
――岐阜戦では勝利したものの全体の内容が悪かったとおっしゃっていましたが、今日の内容はいかがでしたか?
「あの時に比べたら前半の入りは悪くなかったですが、なかなかテンポが上がらなかった印象はあります。ただ、岐阜戦に比べたら悪くはなかったですし、こういう試合もあると思います。確かに得点が入るまでに時間が掛かりましたし、落ち着かない時間も長かったです。結局、メンバーを交代してようやく攻撃に行くという形になってしまったので、前半からもっとしっかりとやれるのが一番だと思っています」
――今日はスタメンと交代選手を含めたチーム全体の勝利という印象ですが。
「前半から11人で戦って得点を奪って90分を終えるというのは理想ですが、なかなか難しいですね。交代選手3人やベンチに入る18人を含めて全員の力が必要だと思います。そして、交代で入った選手が今日のように得点に絡んで勝つということは非常に良いことだと思います。そういう意味では試合に出なかった選手を含めてチーム全員で掴んだ勝利であることは明白だと思います。連戦ですしこういう勝ち方も重要だと思います」
――選手が変わっても結果が出ていることはチームとして成長した点でしょうか?
「そうですね。そういう部分も成長ですし、逆に言えば、どの選手が出てもそんなに変わらないという現状なので、出ているまたは出ていないに関わらず、一生懸命やることがチームの成長やレベルアップに繋がると思います。晃大(安田選手)もなかなか出番がなかったですが、今日のように先発したり、諒司(福井選手)も今は試合に出ていますが、その前まではなかなか出番がなかったです。そういう選手が頑張っていることで、メンバー外の選手のモチベーションにも繋がりますし、良いことだと思います」
――今日は前後半を通じてボールが上手く回らない時間帯がありましたが、リズムを取り戻すうえで意識した部分を教えてください。
「ボールを持ち過ぎないということを意識しました。前半は後ろの方でボールを持ってしまって、ワンテンポ、ツーテンポ遅れるようなリズムでしたし、リズムが出ないこともそうですが、そこで失点しないことが重要です。岐阜戦がその典型で一人ひとりボールを持つ時間が長くて、そこから相手にはめられてボールを奪われるということはよくあるので、とにかく集中してやっていきたいです」
――リズムの悪い中で耐えたことは岐阜戦からの成長でしょうか?
「カウンターを受けるようなミスはあってはならないことですし、そこで失点をしなかったことは反省が生きた部分もありますが、相手のミスに助けられた面もありました。そういう部分では展開次第で前回のような試合になっていた可能性もあるので、こういうミスをゼロにできるようにやっていかなければならないと思っています。今日に関してもゼロで終えられたのはたまたまだったという気持ちで今後に繋げていきたいです」
――きっちり試合に勝利し、ミスを良い勉強という形にできていることは若いチームが成長するうえで非常に大きいのではないでしょうか?
「大きいですね。全体的に上手く回っていますし、この良い流れを大事にしていきたいですし、連敗しなかったということが一番大きいと思います。これは自信に繋がる部分だと思いますし、多くの試合を戦っている僕らと違って若手選手は色んな経験をできることは大きなことだと思います。今後も勝ちを続けることで自信に繋がっていきますし、そういうのを増やしていきたいです」
【試合後選手コメント:MF 22 安田晃大選手】
――今季初先発でしたが、入りの部分で意識したポイントを教えてください。
「とりあえず、アグレッシブに最初から行こうと考えていました」
――初めて先発を告げられたときの印象はいかがでしたか?
「驚きはありませんでしたが、自分自身のチャンスをモノにしようとか、自分の持ち味を出し切ろうという気持ちだけでプレーしました」
――前節の磐田戦に続いて出場でしたが、何か掴んだ部分はありますか?
「特にはないですが、自分の中での感覚というものが少し戻ってきている感じです」
――ご自身のパフォーマンスはいかがでしたか?
「久しぶりのスタメンでしたが、思ったよりかはスムーズにゲームに入ることができました。ただ、自分としてはゴールなりアシストなり結果がほしかったなというのが正直な感想です」
――今日は途中交代となりましたが、パフォーマンスはまずまずだったのではないでしょうか?
「自分が出ているうちに得点を獲りたかったというのが正直な感想です。もう少し前に絡んで自分自身の良さを出すためにボールをもらいに行き過ぎて、前への推進力が足りなかったと思います。もう少し、積極的に前に行っても良かったと思います」
――欲を言えば、90分間プレーしたかったでしょうか?
「そうですね。正直なところ90分間やりたかったです。ただ、楽しかったです」
――今日は中後選手とボランチのコンビを組みましたが、バランスはいかがでしたか?
「バランス的には悪くなかったと思いますが、どちらかがもう少し前に絡めたらもっと良かったと思います。ただ、悪くはなかったと思います」
――後半のシステム変更で少し中盤のリズムが良くなった印象ですが。
「手応え的には前半よりも前に持っていけている感覚はありました。ただ、フィニッシュで終わる場面が増えていれば、ロスタイムではなくもう少し早い時間帯に得点も獲れたと思います」
――前節終了後に初めて試合を振り返るミーティングを行ったそうですが、具体的にどんなことを話し合ったのでしょうか?
「守備のところでのチームの共通意識の確認を主にしました。今日は失点もなかったですし、まずまずでした。ただ、ホームですしもっと自分たちが主導権を握って戦えればと思っています」
――攻撃の部分に関して前半は中央に人数をかけることができていなかった印象でしたが。
「結構、ディフェンスラインからロングボールが増えてしまって、行ったり来たりという形になって、なかなかリズムを作れなかったです。そこはセンターバックの選手に僕たちボランチの選手を経由した形で繋いでいきたいということは伝えていました。もう少し簡単に預けてくれれば、落ち着きやリズムが出たのではないかと思っています」
――最後にサポーターの方々にメッセージをお願いします。
「やっと自分自身のパフォーマンスの感覚が時間はかかりましたが、徐々に戻ってきていますし、もっともっと良くなるように練習から努力をしていきたいと思います。これからも応援して頂けたらありがたいと思います」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「前節、ああいう形でジュビロ(磐田)に負けて。ただ、自分たちがしっかりとトレーニングしてホームゲームを迎えるにあたって、本当にコンディションも気持ちの部分でも、自分には選べる選手がたくさん、戦える選手がたくさんいます。そういう意味で少しフレッシュな選手を入れました。その選手たちが出ていた間は0-0でしたが、そこでゲームを進めていった部分が、最後に相手のスペースを大きく空けて、ああいう南であったり、菅嶋であったり、もちろん一番は真ん中で秀樹(永井選手)が、前を向いてプレーできるようになったのは、チーム全体でのゲームだったと感じています。また、ゴール裏のサポーターに向けてゴールを目指す際に引き寄せる力が強いのかなと思っています。そういう意味で サポーターに非常に感謝しています。ただ、自分たちは連戦の最初が勝ち点3を獲れただけで、次のゲームもホームゲームで戦えるという有利さを持ってしっかりと戦っていきたいです」
――近年のヴェルディでは考えられなかったホームでの驚異的な強さの理由をどのように考えていますか?
「サポーターの数は決して多くないかもしれませんが、強力なパワーのようなものがこちらに伝わってきますし、自分たちのチーム自体も今日のメンバー外の選手たちのトレーニングも非常に良い雰囲気の中でやっていましたし、選手たちが非常にモチベーション高くしていること。また、普段のトレーニングで自分たちはプレーの強度も高いですし、攻撃のところも激しいですし、連続性のところもあるので、そういう部分がこの暑さの中、ホームゲームで有利に働いたと思っています。逆に、アウェイでの13時のゲームはちょっと苦手なのかなと思います。ただ、良いトレーニングと調整ができて、さらに強い気持ちがチーム全体だけでなく支えてくれているフロントや家族を含め全員の力がすごく感じられているホームの雰囲気だと思います」
――ここ最近、交代で入った選手がきっちりと仕事をしている印象ですが。
「チーム全体でやらなければならないことの整理ができているのかなと思っています。前節、負けた後に初めて試合を振り返ることをしました。やったゲームを振り返るということを自分はあまりやらず、次の試合のことしかしてきませんでした。個別に村田コーチや土肥コーチが呼んで話をする機会はありましたが、自分が主となってやった分析ミーティングというのは、去年はやっていなかったので、これが初めてだと思います。そういったところで、自分は個人のミスはあまり気にならない。ただ、チームとしてやらなければならないことをできていないとか、やろうとしていることをトライしていないことは問題だと思います。そういう部分で言えば、チーム全体での共通事項や共有すべきものがしっ かりとあって、それに対してそれぞれが持つストロングがある。例えば、永井秀樹のストロング、南のストロング、菅嶋のストロング、そこがチームにプラスの方向に働くように、入った選手や周囲にいる選手、誰が入ったとしてもそれぞれのストロングがこういうものだと理解し合っていることが、今日のように最後で交代選手が点を獲れることに繋がっていると思います。交代選手がうまくやれたのは、最初からピッチにいた選手がガス欠になるまでハードにプレーしてくれた結果だと思いますし、途中から入ってきた選手たちのストロングを生かした周囲の選手たちも良かったです。もちろん、交代で入った選手が得点を挙げてくれたことは自分的にも大切なことだったと感じています」
――それはキャンプからおっしゃっていたお互いのストロングを引き出し合うことができてきたということでしょうか?
「そうですね。それはプレーだけでなく人となりを知るということ、中身を知ることは大事です。“生かし生かされる”ということは、プレーだけではできてこないことなので。そういう意味では、チームの横の繋がりや信頼関係という部分ができてきていると感じられています。そういうオフ・ザ・ピッチの部分が大きいのかなと考えています」
――今日活躍した南選手がベンチスタートとなった理由を教えてください。
「相手を分析した中、自分たちが今日どうやって戦うのかというところで、相手が嫌がる選手をチョイスした結果が、スタートの11人になりました。だから、南が良くないということではなく、相手にとって嫌な選手を11人選びました。また、試合が進んで行く中でのストーリーを色々と考えた中、もちろんあのタイミングで南を入れましたが、自分には他の選択肢やストーリーも結構あった中で、彼の空間での仕事や正確なコントロールからのフィニッシュを期待しました。ああいう部分が彼の良いところです」
――選手交代と共に細かくシステムを変更した意図を教えてください。
「システムを変えた理由は自分たちのボールの回りがスムーズではなかったことで、それを改善するために変えました。また、相手に対して圧力をかけるという意図で2トップにしたりして変化を加えました。自分たちがボールを持つ時間が長かったので、ボールを動かす間にボールウォッチングしてくる相手の背中であったり、ギャップであったりするところに、どの選手が入ってきたら例えばスルーパス。どの選手が入ってきたら背後に出てくるから3人目の動き出しとかを入れることで、少しゲームに変化を与えました。その都度選手たちが何をしなければならないという個人戦術が今日は高かったのかなと思っています」