選手が明かすチームメイトの素顔『PLAYER INTRODUCTION』vol.10
緑の戦士たちによるリレー形式の“他己紹介”企画。プレーヤーとしての特長はもちろん、チームメイトだからこそ知っている選手の素顔に迫ります。第10回はンドカ ボニフェイス選手が河村慶人選手を紹介!
取材=上岡真里江
大雅は「ヴェルディで一番上手いんじゃないか」と思った
なんか「自分のほうが人としての位が上だ」とか言ってましたねー。大雅(石浦大雅)は俺をイジる時、それしか言わない。どうやらそれにハマっているみたいです(笑)。俺はこんな感じでイジりやすいので、大雅が誰かを紹介するとしたら自分だと思っていました。
去年は『優平軍団』という、佐藤優平さんと山下諒也と大雅と俺がメンバーの会があったので、大雅とはよく一緒にいましたね。まぁ、俺がひたすらイジられる会だったのですが(笑)。でも、ボスの優平さんがいなくなっちゃったので、自然と解散しちゃいました。でも、俺も大雅も、どちらかというとマイペースで、誰かと一緒にいなくても全然一人で過ごせるようなタイプなので、新しい会を結成することはなくて。もちろん普通にしゃべりますが、去年に比べたら練習が終わって会うという機会は減りましたね。
というか、「どうしてそんなに顔が長いんですか?」という質問と、「車を大きいのに戻してください」というメッセージって、イジりしかしてないでしょ! ホント、いつもこんな感じなんですよね。で、まず質問から答えると、どうして顔が長いか? それは俺が知りたいです。実はそれ、よく言われるのですが、正直、自分ではそんなに長くないと思ってました。でも、ある時にパッと自分の写真とか映像とかを見て、「あれ? 長くね?」と思うようになって(笑)。でもその理由までは自分では分からないです。
それから車ね。俺も戻したいんですよ。ちょっといろいろ理由があり、車が小さくなっちゃったんですが、体が大きい分、小さいと乗るのが大変で。たぶん、皆さんも俺が今の車から出てくるのを見たら、「確かに小っちゃいな」と違和感を感じると思います。なので今、また大きい車に乗れるように、サッカーを頑張っています。
メッセージがもう一つありましたね。「ご飯連れてって」か。あいつ、めっちゃ言ってきますねー。「行きたい焼肉屋がある」と言っていましたが、今年、俺も連れて行きたいと思ったことがあったんですよ。でも、あいつが言っていたとおり、大雅と俺はチーム練習以外に同じジムで走るトレーニングをしていて、「じゃあ、そのジムで一緒だった後に行こう」という話になっていたのですが、俺にも自分の時間があって、大雅も自分のやりたい時間がある。だから、そこが合わないんですよ。本当にお互いマイペースなので、「じゃあ、わざわざ時間を合わせて行こう」とはならなくて。だから行ってないですね。っていうか、それ以前に、大雅がもうトレーニング自体をサボって来ないんですよ。だから、逆に俺が大雅に「それを言うなら、自分がちゃんとトレーニングしてから言ってください!」と言いたいです。
とはいえ、なんやかんや言っても大雅はかわいい後輩というか、可愛げがありますよね。俺だけじゃなく、先輩に可愛がられるタイプかなと。去年、俺がヴェルディに来た時には、大雅はもう優平さんと一緒にいたのですが、今年も杉本竜士くんとすごく話したりしていますし、そういうのを見ても年上に可愛がられる要素を持っているんだろうなと思いますね。
ただ、俺に対しては、もう先輩・後輩というよりは、本当に友だちみたいな感じできてます。最初にも言いましたが、去年から「歳はお前のほうが上だけど、人間としては俺のほうが上だから」って、いつも俺に言ってます(笑)
あ、でも、一つ言いたいのが、大雅が話していた焼き肉のエピソードについて。「普通だったら焼くのは一番下だけど、位的にボニのほうが下だから、ボニにやってもらってる」と言ってましたよね。でも、それは違います! あれは優平さんからの教えで、「年下・年上に関係なく、焼肉は焼いてあげる」っていう。俺が初めて優平さんに連れて行ってもらった時に、優平さんが焼いてくれたので、俺はちゃんとそれを引き継いで実行しています。そういうことなんですよ! 大雅はまだそれに気づけていないんです。そういう意味でも、優平さんには本当にいろいろと教えてもらいました。
少しぐらいはサッカーの話をしないとですね(笑)。去年、僕が初めてここに来た時に、「すごい上手い選手がいるな」と思ったのが大雅でした。その時点ではまだ試合にも全然出られていなかったんですが、パッと見た時に「ヴェルディで一番上手いんじゃないかな」と思ったんですよ。去年の後半途中から徐々に試合にも絡みだして、今年もけっこう絡んでいると思うのですが、大雅は本当に人が見えていないところが見えているというか、人が出せないような、本当にビックリするようなパスを出す時があって。それはマジですごいなと思います。
あと、去年は体のどこかに必ず痛い箇所があって、「痛い、痛い」みたいなことを言っていたんですよ。全然大したことなくても「痛い、痛い」って。なので、俺と山下で「お前が絶好調の時ってないんじゃない?」「お前、いつ絶好調なんだよ」ってイジっていたぐらいでした。それぐらい必ずどこかを痛がっていたんです。それが、今年になって、そういうネガティブな発言をしなくなったので、なんかちょっと逞しくなってきたなと感じます。プレー面でも、球際とかで闘える選手になっていると思いますし。なんか練習中にふと思ったのですが、「優平さんぽいな」と。みんなに指示を出しながら、後ろでボールを受けて、周りにボールを散らしているのを見て、思ったんですよね。そういう意味でも、大雅は今年すごく成長していると思います。
自分の中で、大雅は攻撃面でのサッカーIQが高いと思っています。小さい頃からずっとヴェルディでやっているので、ヴェルディのサッカーをしっかりと理解できている。だから、去年は優平さんに聞いていたのですが、今年は少しでも「どうなのかな?」と思った時は、大雅に聞くようにしています。それぐらい頼りにしています。
大雅も、俺のことを「成長している」と言ってくれていましたが、俺の場合はちょっとそう見せてるだけです(笑)。まぁ、ヴェルディに来たのは「上手くなりたい」と思ったからです。その中で、まず去年、頭の中だったり、技術のほうも成長できたのかなと思うので、今年はそれをどうチームの結果に反映させられるかっていうところを意識しています。今はそれがうまくできていませんが、コンディションはすごく上がってきていると思うので、ここから自分のプレーを出していきたいですね。
慶人は常日頃から100パーセント。まさに『ラスト・サムライ』
俺からは河村慶人を紹介します。彼は日本体育大学の後輩なのでね。大学時代はかぶっていなかったので関わりは全然なかったのですが、慶人がヴェルディに入って来て、キャンプで同じ部屋だったことがきっかけで、いろいろ話したりするようになりました。彼の姿勢を見ていて思うのが、現代の『侍』みたいな男だなぁと。なんかまっすぐすぎて、すべてに対してポジティブなことばっかり話す。だから、大雅とは完全に真逆ですよね。
慶人からはまずネガティブな発言を聞いたことがない。正直、サッカーをやっていると、試合に出られなかったり、いろいろとある中で、どうしてもネガティブな発言をしちゃうじゃないですか。でも、例えば俺がメンバーに入って、慶人が入っていない日のメンバー外練習の日とかでも、「今日もめちゃくちゃ点取りましたよ!」とか、「俺はやってやりましたよ! 3点取りましたよ!」と言ってくるので、「いや〜、いいな〜」とマジで思いますね。試合前とかも「俺、点取りますよ!」と言って、実際に点を取ったりする。そういう有言実行なところとか、気合いが入っていていいですよね。とにかく慶人は「やってくれそうだな」という熱を感じます。常日頃から100パーセント。自分がどんな状況でも、練習でも一番激しくやっている。まさに『ラスト・サムライ』です!
FWとしても、彼は常に100パーセントなので、今のヴェルディに求められている前からのプレッシングも佐藤凌我に負けないくらいできると思いますし、どうしても足元のパスになりがちなこのチームにとって、背後を狙い続ける姿勢はすごく貴重だと思います。例えば裏に出て、相手に読まれたとしても、そこからボールを追ってくれるようなメンタリティを持っている。そこはこれからすごくチームの助けになっていくんじゃないかなと思っています。
去年の俺が、ヴェルディのサッカーにフィットするのに苦労したように、もしかしたら慶人もプレースタイルの違いに苦労しているのかもしれません。でも、あの姿勢を見ていれば、これから必ずヴェルディの力になるということは分かります。皆さんもぜひこれからの慶人の活躍を楽しみにしていてください!
そうそう。慶人は最近、馬場晴也、佐古真礼とか後輩にイジられてるんですよ。それを見ているのが面白い(笑)。その中で、ちょっとオネエ疑惑が出ていて(笑)。で、そうやってイジると本気で怒るというか、めちゃくちゃ嫌がるから、それが面白くて。
なので、質問はこれにします! 「慶人、オネエかオネエじゃないのか、本当はどっちなんですか?」。仮にそうだとしても、別に悪いことではないし、チームメイトとしてぜひはっきりさせておきたいので、本当の答えをよろしくお願いします。
慶人へは「常に100パーセントだと疲れちゃうので、たまにはどこかで気を抜く瞬間を作って休んでください」と言っておいてください。とにかく熱いし、たぶん次回のこのコーナーを見てもらえれば、皆さんにも俺の言っていることが分かると思います。
あ、ついでにもう一つ慶人に伝えたいのが、橋本陸斗のこと。俺は普段一緒にいることが多いのですが、陸斗は慶人にいつもお世話になっているみたいなので、「陸斗のことを頼みます!」と言いたいです。慶人、陸斗のこと、いろいろな意味で頼んだよ!