柴崎貴広「常に良い準備ができている」
普段からしっかりやっていれば、不安になったり、慌てたりすることはない
──前節の山口戦では見事な逆転勝利を収めました。チーム、そして自身のパフォーマンスを振り返ってください。
先に点を取られてしまって内容的には厳しくなりましたけど、まずは勝てて良かったです。2点ともミドルシュートというのは今まであまりなかったですし、守備でも完全に崩されたシーンというのはそこまでありませんでした。いろいろな部分で成長が見えた試合だったと思います。個人としては失点の場面と最後のCK以外、あまり「ヤバイ」というシーンがなかったので評価は難しいですが、試合に勝てたことが何よりです。
──梶川諒太選手、佐藤優平選手に今季初ゴールが生まれました。
いつも一緒にシュート練習をやっているので、彼らにゴールが生まれたのは率直にうれしいです。あのゴールが生まれたことで、今後は「シュートもあるぞ!」ということで相手もやりづらくなると思いますし、攻撃の選択肢が増えたことはこれからのヴェルディにとって大きいと思います。
──6月20日の相模原戦以来となるアウェイ戦勝利もチームにとって大きいのでは?
選手はホームだ、アウェイだとそこまで意識はしていないと思いますが、アウェイで勝てていなかったのは事実なので、一つ勝てたのは大きいですね。これまで勝てなかった分を、残り試合で少しでも取り返していきたいです。
──前々節の町田戦で久しぶりに出場しましたが、いつ出番が回ってくるか分からない状況で心身ともに準備しておくことは言うほど簡単ではないと思います。
常に試合に出たいと思っていますし、出るつもりでトレーニングしているので、自分の中ではそれほど難しくはありません。与えられた仕事をただ全力でやるだけという気持ちで毎日を過ごしています。今回は準備期間もありましたし、普段からしっかりやっていれば、試合に出た時に不安になったり、慌てたりすることはないと思います。
──柴崎選手は自身が出場していない時も、ピッチに出ていく選手たち一人ひとりに声を掛けるなど、いつも一緒に戦っています。
ベンチメンバーができることは限られていますが、それでもいろいろな貢献の仕方があると思いますし、「何かできたら」という気持ちでいます。ピッチに出ていく選手たちの表情や背中を見ていると、例えば「この選手は疲れているな」みたいなものが分かるし、それでアドバイスできることもありますから。何かできれば、チームが勝ってくれれば、ただその一心でやっています。
──町田戦、山口戦ではそれぞれワンチャンスを決められるような形で失点しました。ヴェルディのようなボールを握るチームのGKにとって、不意にピンチが訪れるという難しさもあるのでは?
どんな状況であれ、それを止めるのがGKの仕事ではあるんですが、まずはそういうシーンをなるべく作らせないこと、ミスをした時に失点に直結しないような位置でボールを持つことが大事になります。究極を言えば、自分たちがボールを握っている限りピンチにはならないけど、現実にはそうもいかないですし、1試合に何度かは必ずピンチがあります。そこを守り切る強さというのが自分も含め、チームとして必要だと思います。
──柴崎選手は昨年10月、久しぶりに出場した磐田戦でクリーンシートを達成した後、会見で「ミスをしたり、チームが負けたりということがあったら『引退しなきゃな』という気持ちで臨んだ」と話していまた。1試合に懸ける気持ちは今も同じですか?
常に引退と隣り合わせというか、肩を組んでいるような状態ですからね(笑)。できるだけ長くやりたいという気持ちはもちろんありますけど、みんなの足を引っ張ってまでやりたいとは思わないし、老いを感じたり、動けてないと思ったら続けられないので、そうならないように毎日トレーニングをしています。試合に向けて常に良い準備ができているのも、そういう気持ちがあるからだと思います。
──前節勝利したとはいえ、ホームでは2連敗中。今節は絶対に勝ちが必要な状況です。
まずはどんな形にせよ勝たないといけない。今節は『ニチガスDAY』、『立川市ホームタウンデー』ということでいろいろなイベントもありますし、それを楽しみにスタジアムに来てくれる方々も多いと思うので、勝って終わらなきゃいけないと思っています。試合を観に来てくれた方々に感動してもらえるような試合を見せたいです。