小池純輝「皆さんと一緒にクラップを」
0−2から追いついたのは次につながる
──前節の町田戦では開幕戦に続いて1試合2得点を記録しました。
1点目はチームとして狙っていた形の中から山下(諒也)選手がPKをもらってくれて、キッカーに指名されました。昨年はヴェルディのPK成功率があまり高くなくて、皆さんも心配していたと思うので、しっかりとゴールすることができて良かったです。僕自身、プロになって初めてのPKでしたが、あそこで一つ取れたことで試合も良い流れになったかなと思います。
──もともとPKについて得意、不得意という意識はあったのですか?
特に苦手というわけではないですけど、他に上手い選手がいたので、ユースの頃からほとんど蹴る機会はなかったですね。緊張するので、あまり蹴りたくないというのもありました。実際にドキドキしましたから(笑)。ただ、PKの練習はトレーニングでもやっていて、ぶっつけ本番というわけではなかったので落ち着いて蹴ることができました。
──2点目は佐藤凌我選手のシュート性のボールに素早く反応して押し込みました。
彼がアグレッシブにプレーするということは分かっていたので、あの場面でも「足を振ってくるだろう」という予測はありました。本当はシュートのこぼれ球を狙うつもりで詰めていたんですけどね。
──前半には加藤弘堅選手のロングパスに抜け出して決定機を迎える場面もありました。惜しくもゴールはなりませんでしたが、狙っていた形だったのでは?
そうですね。僕の特長はああいう相手の背後を狙うプレーなので、試合中にもっとパスが出てくればというシーンも多くあります。もっとボールを引き出せるようにしたいですし、その点は伸びしろがあるかなと思っています。
──2点のビハインドを追いつく形でしたが、選手の感覚としては「よく追いついた」なのか、あるいは「勝てる試合だった」なのか、どちらの感覚が強いですか?
もちろん、もう1点取って勝ちたかったですし、失点も自分たちで防げたものなので、あれがなければ勝利につながっていたという思いはあります。ただ、昨年は相手に先制されてしまうと、なかなか追いついたり、追い越したりということがなかったので、0−2から追いついたのは一つ次につながる結果だと思います。
──佐藤凌我選手の投入が試合の流れを変えた印象もあります。同じ前線の選手として、彼のプレーをどう見ていますか?
真面目で、アグレッシブで、守備もサボらない。積極性など気持ちの部分も素晴らしいですし、得点感覚も含めてチームに良い影響を与えてくれるんじゃないかと期待しています。
20ゴールぐらい取るつもりでいたい
──第3節を終えて1勝1分け1敗という結果です。ここまでのチームの出来についてはどうですか?
現状では自分たちのプレーができている時間帯と、できてない時間帯がはっきりしていますね。今後も多くの試合が待っているので、この3試合をしっかりと活かして勝利を積み上げていかないといけない。後で振り返った時に「価値のある3試合だった」と言えるようにしたいです。
──自分たちのプレーができてない時間帯にどう対処すべきか、選手たちの中で改善点は明確ですか?
僕らのサッカーには選手それぞれに決まった立ち位置というのがあって、そのうえで相手を見てプレーするということをずっとやっています。ただ、その見極めがちょっとずつズレてしまうと、ボールも動かなくなってしまう。だから、うまくいかない時は基本に立ち返ることが大事ですし、誰かが流れを引き寄せるようなプレーをやっていかないといけない。僕自身も前の選手なので、さっき話したような相手の背後を取る動きを含め、流れを変えるようなプレーを意識しています。
──連戦続きだった昨季と比べると、今季はトレーニングで修正する時間もありそうです。
昨年は本当に試合、試合で、コンディショニング中心のトレーニングになっていました。そういう意味では、今年はトレーニングの中で積み上げていくチャンスはたくさんあると思います。試合で出た課題や練習中に出た課題を、その週のうちにしっかりと消化していく。そうすることで、まだまだ積み上げていけると思います。
──今季は『コイカジ』コンビが復活しました。梶川諒太選手との連係はどうですか?
お互いに“あうんの呼吸”というか、やりたいプレーや特長を把握しているので、それがチームにとって必ずプラスになると思っています。まだカジからのアシストはないですが、まずひとつホットラインでゴールを取りたいですし、一人ずつでは『1』と『1』でも、二人合わさると『2.5』とか『3』になるような、そんな存在になれたらと考えています。
──二人の仲の良さが、チームの雰囲気の良さにもつながっているのでは?
どちらかというと、ワーワー言ってみんなに声かけたり、若い選手をいじったりという役回りはカジのほうで、僕は自分自身が一生懸命な姿を見せるということしかできませんが、昨年と比べてもチームの雰囲気はいいと思います。僕らの活動の中でピッチ上はもちろん、ピッチ外でもヴェルディの素晴らしさや、普段は見られない選手の姿を発信することで、応援してもらうきっかけを作りたいですし、ピッチ内外でクラブに貢献していきたいです。
──現在J2の得点ランキングトップです。キャリア最多の16ゴールを挙げた2019年超えも狙えるのでは?
高い数字を設定しておかないと届かないと思いますし、20ゴールぐらい取るつもりでいたら10点ぐらいは取れるかなと(笑)。設定を高くすることで、そこに向けて自分自身の行動も変わってくるので、普段あまり口にしないですけど、たくさんゴールを取ってそれがチームのプラスになればいいなと思っています。勝利につながればゴールの価値も高まりますし、あくまでもチームのためにゴールを取りたいです。
──今節の相手はツエーゲン金沢です。昨季は2戦2分けでしたが、どんな印象を持っていますか?
マンツーマンですごくアグレッシブに前へ、前へ来るチームという印象があります。前に来たところで僕が背後を狙えれば、相手にとって嫌な存在になると思うので、相手の特長を考えながらプレーしたいですね。
──対戦相手によっては明確に“ヴェルディ対策”を講じてくるチームもあります。
確かにそういうチームはいましたし、これからも出てくると思います。でも、それを上回るプレーをしていかないといけないですし、相手が対策をしてきたときに「それでもヴェルディは止められない」というような試合をしたいですね。もちろん、相手を見ながらにはなるんですけど、しっかりと判断して自分たちのプレーをしたいです。
──ファン・サポーターは、味スタでの『ヴェルディクラップ』を期待していると思います。
コロナ禍で練習が見学できない、交流の機会がないという中で、応援のスタイルもこれまでとは違ったものになっています。でも、『ヴェルディクラップ』という新たな試みが始まって、開幕戦では僕自身がクラップをすることができました。前回のホームゲームではそれができなかったので、しっかりと勝利して、皆さんと一緒にクラップで喜びを共有したいです。