『共通理解の優位性』を発揮できるか
2019年途中から指揮を執り、3年目のシーズンを迎える永井秀樹監督は「優勝して昇格」という目標を掲げている。試合では相手が捕まえづらい立ち位置を取ったうえで、空いているスペースを突いていく。ゴールを奪うために、“全員が同じ絵を描く”ことで、“ゲームを支配する”。永井監督が強調して選手たちに伝えている『共通理解の優位性』とはこのことで、圧倒して勝利をつかむための方法論だ。
今季は、昨季よりもより全員がボールに関わる『全員攻撃、全員守備』を志向している。2月5日から14日までの10日間、静岡県静岡市の清水ナショナルトレーニングセンター(J-STEP)でキャンプを実施。「トレーニングの時間をなるべく多くして、チームとしてやりたいことの追求に時間を費やして」(永井監督)、その習熟を図った。指揮官はキャンプの手応えとして「75点」と総括。一方で、佐藤優平は「監督の言っていることのレベルが上がっている」とも証言する。4回の練習試合や強度の高い練習を行う中で負傷離脱者が出てしまったことは残念だが、成熟度が上がっていることは確かだ。
新戦力や若手選手の成長も、チームに彩りを加えている。プロ14年目、北九州から加入した加藤弘堅はさっそくチームにフィットして先発の座をつかみそう。その攻撃センスに加えて、チームメイトが「守備が良くなった」と感心する阿野真拓も出場機会をうかがっている。佐藤、端戸仁、福村貴幸ら昨季の主力も健在だ。愛媛との開幕戦というところでは、古巣戦にめっぽう強い小池純輝の活躍も期待される。
愛媛は昨季J2で最下位となり、川井健太監督が退任。創設時からクラブに携わってきた和泉成徳監督が就任した。トップチームの指揮は初めてで、未知数の部分もある。丁寧に後方からビルドアップする昨季までのスタイルよりは、ゴールを目指したより速い攻撃に変わっているようだ。主力の多くが移籍したものの、GK秋元陽太、DF内田健太、DF浦田延尚、MF近藤貴司といった選手が出戻り、MF吉田眞紀人やMF森谷賢太郎といった既存の選手たちとともにチームを構成する。今季の目標は残留ラインである15位以内だ。
ヴェルディとしては、ガラリとチームが変わった愛媛を叩いてスタートダッシュを狙いたいところ。ホームで迎える開幕戦。観ている者を楽しませるヴェルディらしい試合を披露したい。
文=田中直希
対『愛媛FC』戦績
通算:12勝8分13敗 42得点42失点
ホーム:7勝4分5敗 21得点18失点
アウェイ:5勝4分8敗 21得点24失点
[直近5試合の対戦成績]
2020/10/14 J2第26節(A)○4-1
2020/09/05 J2第17節(H)●0-1
2019/07/20 J2第23節(H)○3-2
2019/03/03 J2第 2 節(A)●0-1
2018/10/28 J2第39節(H)△2-2