MATCH試合情報
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【試合展開】
今シーズンラストマッチを迎えた。新型コロナウイルス感染拡大によるリーグ戦の中断、中2、3日での5連戦の連続、無観客でのリモートマッチ、声を出すことができない新たな応援様式…。未曾有の事態に巻き込まれたJリーグも、支えてくださる多くの方々のサポートにより、何より新たな応援様式の中で最大限のサポートをしてくださったファン・サポーターのお陰で、無事に全日程を終了することができた。
ホームでのラストマッチを迎えたヴェルディは、怪我が明けた大久保嘉人と河野広貴がベンチ入りし、今シーズン限りでの引退を決断した近藤直也もメンバーに名を連ねた。
序盤からお互いに厳しいプレスをかけ合う中盤での攻防が続く中で、一瞬の隙からチャンスが生まれる。9分には若狭大志のパスミスからショートカウンターを受けてピンチを招くが、シュートはわずかに枠から逸れる。13分には左サイドでリズムを作り、バイタルエリアに侵入した森田晃樹がボックス内でシュートを放つが、これはブロックされてしまう。直後の14分には、相手最終ラインのパスを森田がインターセプト。前に出ていた相手GKの虚を突こうと早いタイミングでシュートを打ったが、これは相手GKの正面に収まってしまった。チャンスは続く。17分には井上潮音のミドルレンジのくさびのボールを受けた井出遥也が、反転して強烈なシュートを放つが枠の上へ。34分には左サイドから大きな展開で右サイドのスペースにボールが出ると、小池純輝が飛び出してボールをコントロール。前に出ていた相手GKがバックステップを踏むタイミングでシュートを放ったが、これは枠から逸れた。
ペースを完全に握りたいヴェルディは、後半の頭から小池に代えてチーム得点王の山下諒也をピッチに送り込む。ところが、ヴェルディは出端を挫かれる。52分、ペナルティエリアの右よりの位置からループ気味のシュートを売れると、一度ポストに当たったこぼれ球を詰められる。これもまたポストに直撃したが、こぼれ球を拾えずに再びプッシュされて先制を許した。70分にはワイドに揺さぶられてゴール前に侵入されるが、シュートは必死にブロックした。この日最大のチャンスはアディショナルタイムに連続して訪れた。90+2分、ゴール前に森田が飛び込んで相手GKの前でシュートを放つが、これはわずかにゴール左へと逸れる。90+3分には、ゴール前に押し込んだこぼれ球を終盤に投入された大久保嘉人がフリーの状態で詰めるが、ボールはわずかに枠の上へと逸れた。最後の最後まで相手ゴールに詰め寄ったが、ネットを揺らすことはできず、1点差に泣く敗戦となった。
苦しい試合が続く中で、スタジアムで、そしてDAZNで多くの方々に支えられてきた。相手を圧倒するサッカーでの勝利を目指しながら、そのクオリティが不安定なことで、内容と結果のジレンマに歯がゆい想いをした時期もある。しかし、自分たちのサッカーがハマった時、ワクワクして勝てるサッカーを表現できたのも事実。来シーズン、その確率を上げ、戻るべき場所に戻る。その一点に集中し、支えて下さる皆様との新たな戦いを迎えたい。
試合を振り返ってください。
まずはシーズン最終戦ということで、ホームゲームということで良い試合をしてファン・サポーターの方にぜひシーズンの恩返しをしたかった試合でしたが、結果的には大変悔しい結果になってしまい、本当に申し訳なく思います。
試合の内容に関して前半は非常に良いゲームができたと思います。引き続き我々が積み上げて、完成させなければならない、最後を決め切るところは前半の課題でもありましたが、来季に向けてさらに向上させていかなければならないと感じています。後半は入りから選手交代をしていくまでの時間で、少し我々のゲームができなかったことが反省点です。選手交代をしていく中で、徐々に我々のゲームになっていきました。失点のところは反省すべきですが、その後に我々が強くなっていかなければならないところは、まだ失点をしてすぐ下を向いてしまうところは、非常に来季に向けてさらなる成長が必要かなと思います。試合の終盤に関しては我々のゲームができた中で、今シーズンを象徴するかのごとく、来季に向けての明確な課題は最後を決め切るところです。そこは個人のレベルを上げていくことと、やはりチームとして最後に点を取るところは、来季に向けてさらに質を高めていきたいと思います。
そして、近藤選手。正直に言いますと、1週間くらい前に相談と言いますか、(引退の)報告を受けて、最初は「静かに引退したい。セレモニーもいらない」ということでしたが、やはり近藤選手は我々ヴェルディだけでなく、Jリーグの功労者ですから、やはりきちんとした形で送り出したいと自分は思っていました。近藤選手の引退の花道も勝利という形で作りたかったですが、そこも申し訳ない気持ちです。しかし、彼がこのチームに残してくれたものは非常に大きいですし、若い選手は近藤選手の背中から多くのことを学んだと思います。それをまた来季から我々の力に変えていけるように、近藤選手が残してくれたものをプラスに変えてやっていきたいと思います。
そして本当に今日の試合もそうですが、シーズンを通してどんなときも、新型コロナウイルスの問題があり、日常生活も色々と厳しい状況の中で、本当に生活の一部をヴェルディのために注いでくれて、どんなときも支えて応援していただいたファン・サポーターの方にチームを代表してあらためて心から感謝申し上げたいと思います。本当に今年できなかった恩返しを来季ひとつでも多くできるように、またバージョンアップをして来季をスタートしたいと思います。本当に1年間ありがとうございました。
今日もカウンターのチャンスが幾つかあった中で最後まで持っていけないところの改善を来季に向けてどのように考えていますか?
カウンターのところは我々としても相当伸びしろがある部分だと思います。もちろん、ノーマルに崩していくだけでなく、手数をかけずに最短でゴールを目指すプランもさらに完成させられるように努力する必要があると感じています。
後半から自分たちのリズムで試合を進められなくなった要因をどのように捉えていますか?
距離感、立ち位置、スペースの認知という毎回、上手くいかない時に出てくる課題が後半の入り、立ち上がりに出てしまったと感じています。個人のミスが出てしまうと、このサッカーは難しくなってしまうので、個人の精度、チームとしての精度を90分通して自分たちのゲームデザインの中でさらにバージョンアップしていきたいと思います。
相手のダブルボランチの激しい圧力も上手くいかなかった要因のひとつだったと感じていますが?
それはおっしゃる通りだと思いますし、さらに我々のフロントボランチ、フリーマンがどれだけ中間ポジション、三角形の頂点のポジションをいかに早く取れるかが大事でした。
佐藤選手がいつも以上にワイドに開いて自ら背後を狙う動きが目立っていましたが、その狙いを聞かせてください。
水戸さんが前から来るというのは想定の中であったので、ハイラインの背後、広げていく動きを意識していました。
ホーム最終戦セレモニーで羽生社長が言及していたクラブの窮状に関して監督としての立場からコメントをお願いします。
大体の経緯、今の状況は理解しているつもりではありますが、我々現場としましては東京ヴェルディの価値をさらに高めていくためにフロントと現場、そしてファン・サポーターのみんなが今一度ひとつになって前に進んでいく必要があると思っています、そのためにもなかなか難しい問題であると聞いていますが、ヴェルディが良くなっていくために早期の解決を願っています。一体感をもって前に進んでいけることを期待しています。
MF14森田 晃樹
試合を振り返ってください。
内容自体は良い時間も悪い時間もありましたが、個人的に思うのは、ゴールチャンスがある時に決め切るか決め切れないかの差が出てしまった試合だったと感じています。
前半の良い流れから一転して後半立ち上がりに苦戦を強いられた要因をどのように捉えていますか?
前半はしっかりと相手のディフェンスラインの背後をしっかり狙えていましたが、後半はそれが少なくなってしまったと思います。みんな足元で受けようとしていて、なかなかうまく背後を使えなかったと思います。
後半アディショナルタイムに惜しい決定機もありましたが?
前半にもありましたが、最後のチャンスもそうですが、ああいうところで決めるか決めないかで試合内容が大きく変わってしまうことを強く感じていますし、そこは個人として課題として感じているところでもあるので、そこは来季に向けて改善していきたいです。
前半は個人として良い前線からのパスカットでカウンターに繋げていく場面がありましたが、チームとしてフィニッシュまで持ち込めない部分をどのように捉えていますか?
ボールを獲るまではいいんですが、その後の味方の反応やボールを持った選手の判断が少し足りていないのかなと思います。
個人として今シーズンを振り返ってください。
今年に関しては個人的にすごく苦しいシーズンでした。なかなか結果を出すことができずに、チームとしても勝ち切れる試合で勝ち切れなかったり、もっと自分が活躍していたら、点を決めていたらという試合が何個も頭の中にあるので、すごく悔しいシーズンでした。
出場機会を得られない時期を経て終盤戦には多くの試合に出場しましたが、個人としてどんなところを改善しましたか?
まだ足りていないですが、ゴールに向かう積極性をさらに意識するようにしていました。ただ、それが得点に繋がらなかったので悔しいです。
来季に向けて個人としての課題を聞かせてください。
来季は自分がチームを助けるというか、「俺が試合を決めるんだ」という気持ちを強く持って、その気持ちについていけるような技術だったり、判断力をしっかり身につけて、来季はチームに貢献できるように、結果を出せるように頑張りたいと思います。
DF3近藤 直也
現役最後の試合を終えての心境を聞かせてください。
スッキリしていますよ。すべてのものから解放されました。それ以外にないです。
終盤に1点を追う場面での投入でしたが、どういう指示で送り出されたのでしょうか?
セットプレーでの得点機会もたぶんあるだろうということで、そこは狙ってほしいと言われました。本当に最後の試合だったので永井さんが気を遣って使ってくれたと思います。
ラストゲームをどんな心境でプレーしましたか?
最後のピッチで、もう足を踏み入れることはないので、しっかり噛み締めようと思いました。0-1で負けていたので、それこそ永井さんからも言われたようになんとかセットプレーで点を決めてやろうと思っていましたが、なかなかそこまでは叶わなかったですね。
ここまでプロとして多くの部分で節制していた印象ですが、引退後に改めてずっと我慢していて今後やりたいことがあれば聞かせてください。
ないです。(笑) ジャンクフードも食べませんし、とりあえずはとにかくゆっくりしたいです。
今後についてのキャリアプランがあれば聞かせてください。
いまは何も考えていないです。本当に19年間ずっと突っ走ってきたので、しばらく休養したいと思っています。のんびり、今までできなかったようなことをしながら考えようと思います。何がしたいというのもいまはないですけど、ゆっくりする中で考えようと思います。
今後指導者に転身する考えは?
正直、その考えは全くないです。
最終的に引退を決断した時期を教えてください。
決定した日は教えられないです(笑)。ただ、チームに伝えたのは2日前です。決定打があったわけではなく、自分の気持ちと向き合ってという感じでした。
引退を決断した一番の理由を聞かせてください。
永井さんにも伝えましたが、闘争心がなくなってしまいました。若いころは試合でいつも相手とケンカするぐらい、常に味方にもキレていました。そういう怒りをプレーに還元していましたが、それが年々減ってきて、特にここ1、2年はこのままでは難しいのかなと感じでした。自分にとってはそれがなければプロでやっていく資格がないというか、それがなくなってきたことがひとつの要因でした。
前節に達成したJリーグ通算400試合出場の感想を聞かせてください。
本当に良いタイミングで達成できたので、前節は永井さんが気を遣って最後に出してくれたので、何とか達成することができました。本当に永井さんに感謝しています。
MF20井上 潮音
試合を振り返ってください。
自分たちの価値を何よりも結果で表現したかったですが、それができずに残念な気持ちが大きいです。
前半はボールの動かし方など、ある程度自分たちのペースで進められていたと思いますが?
ボールの保持やハーフウェイラインの越え方はよくできていたと思いますが、その先のバイタルの部分や最後のアイデアの部分はまだまだチームの課題だと思います。
良い守備からショートカウンターのチャンスもありましたが、最後の部分で全体的にフィーリングが合わなかった印象ですが?
カウンターのところもひとりがスイッチを入れるのではなく全員でスイッチを入れて押し込みに行くところが足りなかったですし、何回か仕留められそうなところもあったので、カウンターからも点を取れるようになれば、チームとしてもっとラクになるのかなと思います。
後半は相手の前からの守備に苦戦して押し込められる状況が続きました。
そうなった時に背後を狙う選手であったり、背後にスペースがあることを全員が意識して相手を引っくり返すというか、自分たちのスクエア・ゾーンでボールを動かすなど、より相手を見てプレーすることが必要だったと思います。
今季目立った自分たちの流れで点を取り切れず、相手の流れで耐え切れずに失点する形の試合になりました。
前節も同じような感じの試合でしたが、昇格するようなチームは決してそういうことはないですし、良い時間帯に点を取り切る、1点だけでなく2点目を取りに行くところであったり、苦しい時間帯にみんなで声を掛け合いながらしのぎ切ることが大事だと思います。
後半には左サイドで積極的な仕掛けから惜しいチャンスに繋げた場面もありました。
ああいう時間帯にもう一回チームに流れを持ってこられるというか、そういうことができる選手が増えてくると、チームとしてプラスになると思うので、そこは個人個人が能力を上げることが大事です。
引いた相手を崩し切るとともに、カウンターの判断、スピードを上げていくことは来季に向けた攻撃の課題になると思いますが?
スピードが上がった時の判断、精度は自分を含めてまだまだだと思うので、そこのすり合わせを含めてそこはトレーニングするしかないので、トレーニングからその質を上げていきたいです。
今季はキャリアハイの4得点を記録しましたが、個人としてシーズンを通してのパフォーマンスはいかがでしたか?
数字の部分でもまだまだ足りないと思いますし、自分が勝たせた試合は本当に数えるほどしかないので、その数を増やして数字の部分も増やしてもっとチームを勝たせられる選手になりたいと思いました。
攻撃だけでなく今シーズンは攻守の切り替えなど守備面での成長が著しかった印象ですが?
その辺は意識の問題でチームのため仲間のためにという意識がそういうプレーに繋がったと思います。
来シーズンのJ1昇格に向けて改善点を聞かせてください。
自分たちのサッカーの質をワンランク、ツーランク上げていくことに加えて、メンタル面を含めて勝ち切れるチームになっていくことが大事だと思います。
コロナ禍においてこれまで経験したことがないシーズンになりましたが、一人のサッカー選手としてどんな一年でしたか?
当たり前だと思っていたことが当たり前ではないということを一番感じましたし、サッカーができること、このピッチに立てること、サポーターがいることに対して心からありがたみを感じることができた1年でした。すごく意味のあるシーズンだったと思います。
FW13大久保 嘉人
試合を振り返ってください。
今日だけではなく毎試合同じような形になり、ゴール前でミスが多くてもったいないと感じています。そこに対して水戸さんは上手く対応していて、相手の方が上手い攻撃を仕掛けていたと思います。
前半はボールの動かし方など、ある程度自分たちのペースで進められていたと思いますが?
やりたいことはできるんですが、あれでは怖くないです。全く怖くなくて研究もしやすいので、そこは中にいる選手が常に考えながらどうしたらいいかを考えていかないと上にはいけないと思います。
久々の出場となった中、チームを逆転させるために一番意識していたところを聞かせてください。
後半37分での投入だったので、個人的にはゴール前にいるだけでした。とりあえずシュートを打っていかないと、ゴールは生まれないのでそのために打ちました。
7戦未勝利という形でシーズンを終えることになりましたが、シーズン終盤戦の戦いをどのように見ていましたか?
シーズン終盤だけでなく初めから永井さんの下で非常に良いサッカーをしていて誰が出ていても同じサッカーができますが、その中でも誰かが意外性を持ったプレーをしていかないと、永井さんは非常に簡潔にやるべきことを伝えてくれていて、そこから先のところは選手たち自身がやっていかないといけないという部分で、そこに関しては100あったとすれば、ゼロに近いので、そこを自分たちで個性を出していかないと、ボールは握っていてもなかなか大量得点を奪うことができないです。相手がチグハグな対応をしてくれればどうにかなりますが、マンツーマンであったり、ブロックを組まれると、上手く攻撃ができない。だから、この順位にいると考えています。もっと攻撃面で個性を出して、自分たちで試合の流れを読みながらやっていかないとダメだと、この1年を通して感じていました。
自分たちの形に加えて、個で優位性を作っていく部分が一番の課題でしょうか?
その通りでパスやクロスにしても精度が低いですし、大事なところで慌ててミスをしてしまったりすることが多いので、そこは本当にもったいないと考えています。
シーズン中盤に良い時期もあった中、終盤にかけて失速した原因はどのあたりにあるのでしょうか?
自分たちのやり方自体に変化はなくて、相手が対策をしてきた中で相手に合わせた布陣ややり方を永井さんたちが提示してくれた中、本当に個々の優位性を出せなかった。そこに尽きると思います。
個の優位性を上げていくという部分で藤田選手を筆頭に若手のさらなる成長が重要になっていくという感覚ですか?
その通りだと思いますが、(藤田)ジョエルに関しては本当にすごく伸びましたし、上手くなりたい、上に行きたいという気持ちを感じましたし、自分がキャンプの時期からずっと伝えてきた常に前を狙う、自分が前に出ていくこともできるようになってきました。18歳にあれ以上を求めるのは酷です。ただ、あそこまで行けたということはこの先もっと伸びると思いますし、本当に日本を代表する選手になっていくと思います。
今シーズンは個人として負傷に悩まされることも多かったですが、個人としてこの1年を振り返ってください。
本当に若い選手を見れて色んなことを伝えられたことは良かったと思います。楽しくサッカーをできたと思います。
コロナ禍においてこれまで経験したことがないシーズンになりましたが、一人のサッカー選手としてどんな1年でしたか?
色んなことがありましたが、それを含めて楽しむことができましたし、良い経験になったと思います。
1年間応援していただいたファン・サポーターへのメッセージをお願いします。
1年間を通じて声を出すことができず拍手などでの応援になったと思いますが、本当に1年間ありがとうございました。