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MATCH試合情報

2020 明治安田生命J2リーグ 第18節 - ファジアーノ岡山 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

前節、ホームで迎えた空きの5連戦の中日で愛媛FC相手に0-1で惜敗したヴェルディ。相手を押し込み続けチャンスを作りながらも逃した勝利を取り戻すため、1日のオフを挟んで中2日間の準備期間で岡山の地に乗り込んだ。

 

メンバー構成は中盤の3枚に変化をつけた。山本理仁をリベロに起用すると、フロントボランチは佐藤優平と井出遥也を組ませた。また右ワイドストライカーの位置に久々のスタメン出場となる山下諒也を起用。大久保嘉人は4試合連続でスタメンに名を連ねた。

 

前節の相手愛媛FCがマンツーマンで前からハメにきたことに倣ったのか、ファジアーノ岡山も前からヴェルディの選手に果敢に詰めてきた。パスでいなすヴェルディは自陣に押し込まれるように見えながら、丁寧なパスワークでプレスをはがし、カウンター気味に攻撃を仕掛ける。久々のスタメン起用となった山下の足を生かし、スペースへと走らせて岡山を背走させてゴールに迫る。最初のチャンスは7分。セットプレーからファーサイドに佐藤が蹴り込んだボールを頭で合わせ、前に出てきた相手GKの横を抜けたが、ゴールカバーにクリアされた。13分にもセットプレーを起点に相手ゴールに何度となく迫るが、どれもあと一押しが足りない。一転して15分には、自陣ペナルティエリア左寄りの位置でフリーキックを与えると、ゴール前で頭でドンピシャで合わされるが、ゴール右へ飛んだボールはマテウスがバックステップで態勢を整えてから反応し、鋭い反応ではじき出した。徐々に相手のプレスが緩んでくるとヴェルディに決定機が訪れる。21分、井出がハーフライン手前の位置でタメを作ると、中盤の位置まで顔を出した福村貴幸がボールを受ける。一度相手DFの前に下がってくる動きを見せた山下が、一転して背後のスペースへ抜け出すダッシュを始めた瞬間、福村から絶妙なパスがスペースへ送り込まれる。相手DFがギリギリ届かないコースを辿ったパスは相手GKも引き出し、山下が持ち味のクイックネスを生かして抜き去ると、無人のゴールに流し込んで先制に成功した。その後もボールを保持したヴェルディだが、最後の一手が噛み合わず、岡山のカウンターを受ける展開。40分には最終ラインの背後に抜けだされてペナルティエリア内に侵入されたが、平智広が後方からボールに対してチャレンジしてブロック。1点のリードを死守して試合を折り返した。

 

後半に入ると、岡山がロングボール攻勢に出てくる。最終ラインを押し下げられたヴェルディは、パスワークを取り戻すために全体をコンパクトに保つが、勢いを持って前に出てくる相手に対してセカンドボールの回収に苦労する。54分には山下がドリブルで仕掛けてカウンターのスイッチを入れる。中央エリアで井出が囮となり、右サイド大外の井上潮音を使うと、そのまま仕掛けてシュート。相手GKの好セーブに合ったこぼれ球を再びシュートにつなげるが、これも相手GKにブロックされてゴールならず。試合後、井上自身がゴール前にフリーでサポートに入ってきた森田晃樹を使えなかったことを悔やむ、後半で数少ない決定的な場面だった。ここから試合は岡山のリズムへ。ロングボールをひたすら蹴り込まれたヴェルディは辛抱強く撥ね返すが、奪い返したボールを効果的に前線へと運ぶことができない。78分にはブレ球のミドルシュートを打たれるが、これはマテウスが冷静に変化に合わせて反応してファインセーブ。直後の79分にも豪快なミドルシュートがゴール左隅を襲うが、これもマテウスが驚異的な反射神経で飛びつき、長い手足を駆使してビッグセーブで切り抜ける。最終ラインもロングボールに対して焦れることなく淡々と撥ね返し続け、簡単にフィニッシュまで持ち込ませない。アディショナルタイム突入後にバイタルエリアを攻略された場面でも、高橋祥平が相手のフェイントを読んでシュートブロックでピンチを切り抜けた。

 

試合を思うように支配した前節では敗れ、自分たちの思うようなプレーができなかった今節での勝利。サッカーの不思議を感じずにはいられないが、強いチームへと進化を果たしていくためには、自分たちのスタイルが上手く機能しない試合でも勝ち切れることは重要だ。ただ、ヴェルディが目指すのは、あくまで試合を完全に支配して勝ち切ることだ。妥協せず、魅せて勝ち続けるために、また短い準備期間で最善の用意をしてホームでの連勝を目指す。

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監督コメント

永井 秀樹 監督

試合を振り返ってください。
前節の愛媛戦での大変悔しい敗戦の後で、もう一度チーム全体で反省、改善をする中で今日のゲームに臨みました。前半に関してはきちんと相手を見ながら、まずまず7割ぐらいはやれたのかなと思います。後半に関してあとは90分を通した時に、我々が求めている、我々の理想とするところから考えますと、やはりボールを持つ時間が非常に少なかった。そして、ゲームを支配できなかったことは、また次に向けて反省しなければならない部分だと思っています。そこはまたチーム全体で反省、改善していきたいと思います。 しかし、長いシーズンにおいて前向きに考えるのであれば、自分たちの理想とするサッカーができない。特に後半のような展開は起こり得る。本来は起こってはいけないことですが、起こってしまった時に、チームとしてどうやって勝ちを求めていくというところでは、後半は特にディフェンスラインを中心に本当に全員でエラーが出ないようによくやってくれたと思います。全体を通しては決して満足できる試合内容ではなかったですが、きちんと勝ち点3を取れたことは選手たちの努力の成果だと思いますし、非常に素晴らしいと思います。しかしながら、我々は常に良いサッカーを追求していく、そして良いサッカーをして勝つという、この両輪を目指してやっていこうと考えているので、また次に向けてサッカーの質、内容、良いサッカーをして勝つという2つによりこだわっていき、次に向けて良い準備をしていきたいです。本当に選手たちは90分を通してハードワークしてくれましたし、本当によくやってくれたと思います。

後半に関してリードを得た状態でより優位に試合を進めたい中、徐々にトーンダウンしていった原因に関して、前に急ぎ過ぎたことが問題だったのか、相手を引き込んでからのコントラ(カウンター)が機能しなかったのか、見解を聞かせてください。
我々は常にボールを支配すること、スペースを支配すること。その両方を目指しているところですが、おっしゃるように背後のスペースをまず狙いたいのか、その時に相手のラインがどこにあってどうなっているのか、その部分をもう少し上手く見られるようになる必要があります。そして、相手のスライドがどのぐらいしているのか、どれぐらい来ているのか、もう少しサイドを上手く変えながら振り戻しながら、ボールを保持していく、循環させる時間も必要だったのかなと思います。そこを見られなかったことが苦戦に繋がった原因ではないかと思います。あとはもちろん、個人的なミス、判断のところは個人個人が改善していかなければなりませんし、個人、チーム全体でまた改善していきたいと思います。ありがたいことにきちんと勝ち点を取れた中で、反省、改善していけることは非常に良いことだと思います。また、しっかりと反省してやっていきたいです。

常に追加点を狙っていくことを目標に掲げていますが、今日の試合終盤に関してはあまりそこの考えはなかったのでしょうか?
非常に判断は難しかったですが、我々が想定した以上にミスが多く、ボールを保持する時間が少なく、最後の最後まで改善の兆しが見られなかったです。その中でもちろん点を狙っていましたが、少し後ろに重心を置きながら戦うというプランに切り替えたところは少なからずありました。

後半のカウンターチャンスの中でなかなかフィニッシュまで持ち込めなかったところをどのように考えていますか?
常にカウンター、コントラからも点を取っていくという中で、なかなか普段のトレーニングの中でコントラに特化したメニュー、トレーニングができないことは非常に悔しいところです。ただ、頭の中では選手たちもきちんと理解していると思いますし、最後のところのではどこで仕留めるのか、どこで崩すのか。コントラの場面で3対2、あるいは4対3の状況の中で、誰がどこを走り、最後どこをフリーにするのか、そこに関して理解はできていると思うので、きちんとそれを具現化していくことをやっていってほしいと思います。それができる選手たちなので、そこはまた次にしっかりとやれるようにしていきたいです。

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選手コメント

FW48山下 諒也

ゴールシーンを振り返ってください。
フクさん(福村)がボールを持った瞬間に相手の背後を取ろうと思っていた中、あとはタイミングだけ計って動き出しました。

あの場面で中央の位置にいた狙いを聞かせてください。
状況の中でポジションを流動的に動きながら、自分もフリーマンの位置に入ったりしていました。そして、あそこから背後に飛び出すというのは練習の中からやっているプレーでもあります。あの場面に関してはあの位置から背後を取ることが一番良い選択肢だと思い、意識していました。

福村選手からのスルーパスはイメージ通りでしたか?
本当にイメージ通りでした。自分の動きに合わせてパスを出してもらったので、あとは決めるだけでした。

個人としては9試合ぶりのスタメン出場になりましたが、どんな意識で試合に入りましたか?
とにかく、与えられた時間の中で自分の持ち味と結果を出そうと思い、積極的にプレーしました。

ここ最近では後半の攻撃の切り札での起用が続いていますが、スタメンへのこだわりはやはり持っていますか?
その辺はチームの状況もあると思いますが、個人的にはとにかく与えられた時間の中で自分の力を見せるだけだと考えています。

交代直前には足を攣っているように見受けられましたが。
そうですね。少し攣っていました。足首を痛めるのと足が攣るのが重なってしまった部分がありました。

後半に関してカウンターから追加点を狙っていく思惑があった中でなかなか思うようにいかないような展開になりましたが。
監督の指示でも自分がどんどん相手の背後に飛び出していく、常に背後を取り続けるというのは、個人的にも意識しながらやっていました。その中でカウンターからもう1点仕留められれば良かったなという感じです。少しずつパスがずれてしまったりしていたので、全員がもっと練習から質にこだわってやっていかなければならないと思っています。

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DF16福村 貴幸

試合を振り返ってください。
一言で言うと、苦しい試合でした。ロングボールで押し込まれてしまい、奪ったボールを繋げない。あとは自分たちのゴールキックも含めて全部嵌められてしまい、後ろからの組み立てに対して、すごくやりにくさや自分たちのレベルの低さを感じました。

前半に関しては相手のプレスを剥がす場面も多くありましたが、後半によりやりにくさを感じたのでしょうか?
そうですね。サッカーは90分あるので、その90分の中で相手を圧倒したいという思いでやっているので、前半良くても後半ダメではどうなのかなと思います。奪ったボールを奪い返される場面が多かったと思いますし、技術的なミスも多かったのかなと、個人的には考えています。

決勝点のアシストを振り返ってください。
永井さんから『ヤマ(山下)、走れ』という声が聞こえていたので、それに反応して僕もフリーでボールを受けたタイミングで、パッと顔を上げた時にヤマが走っているのが見えました。あとはディフェンスに触られないように少しカーブをかけてヤマのところに通しました。

あの場面で山下選手が中央にいたのはチームとしての狙いでしたか?
(順番待ちで近くに控える山下選手を見ながら)それは山下君に聞いてください(笑)。僕は何であの場所にいたのか分かりません。

今シーズン素晴らしいパフォーマンスが続いている中、昨シーズンにガイナーレ鳥取でプレーした経験がどのような形で生きていますか?
僕の人生におけるターニングポイントだったと言っても過言はないシーズンでしたし、やっぱりJ3にはJ3の厳しさがありましたし、僕以外の選手もすごくひたむきにやっていました。それがすごく良い環境だったと思います。鳥取というクラブ自体にそこまでお金がなく、場所的にもほとんど何にもないところでしたが、個人的にはそれが自分にとって良い環境だったと思います。

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