MATCH試合情報
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【試合展開】
前々節、前節とホームでV・ファーレン長崎、アビスパ福岡と九州勢に連勝して勝ち点を伸ばしたヴェルディ。今節は、まだ勝利がないアウェーの地に乗り込み、レノファ山口FCと対戦した。メンバー構成は大きく変わらず、藤本寛也がU-20日本代表で抜けたポジションに、ヴェルディ復帰後初スタメンとなる河野広貴が起用された。またサブには、大卒ルーキーの安在達弥が初の公式戦メンバー入りを果たした。
序盤、山口のロングボールと前線からの圧力の前に思うようにボールを持てない時間が続く。前線からのプレスがかかる前にロングボールで逃げられたことで陣形が押し下げられ、ボールを保持しても相手のプレッシャーの前にミドルレンジのパスが増え、前線のポスト役が厳しく潰されて攻撃のリズムを作れない。山口の攻撃自体は脅威ではなかったが、13分にサイド攻撃のこぼれ球を高木に豪快にボレーで合わされ、これがDFに当たってコースが変わる不運な形となり、上福元直人が身動きできずに先制を許してしまう。チームの目が覚めたのはその後だった。両ワイドの小池純輝と河野をスイッチし、河野が渡辺皓太や井上潮音といった同じリズムを持つアカデミー出身者の近くでプレーしたことでリズムが生まれる。選手同士の距離感を近く保ち、少ないタッチのショートパス、独特のリズム、そして相手の意表を突くパスコースで山口を自陣に押し込む。26分には右サイドの深い位置で渡辺と河野 がコンビネーションで相手を翻弄。視線を集めたところで中央にボールを送ると、走り込んだ井上がインサイドキックで狙いすましたミドルシュートを放つが、放物線を描いてキレイにゴールに向かったボールはクロスバーを叩いてゴールならず。31分には山口のバックパスを奪った河野が仕掛けると、相手DFの意表を突くヒールパスで最終ラインの背後へボールを通す。これにコイッチが反応してゴール前に迫ったが、相手GKとの1対1でシュートは相手GKの好守に阻まれた。選手間の距離が改善されたことで、ショートパスでの崩し、奪われた後の前線からの連動したプレス、そして最終ラインを押し上げたコンパクトな陣形でのタイトな守備を実現。調子を上げてきた要因となるアグレッシブなスタイルを取り戻し、リードこそされたものの、反撃の機運を残したまま試合を折り返した。
前半のうちにピッチに残してきたアグレッシブなスタイルは早々に結果に結びつく。49分、左サイドの深い位置でスローインを奈良輪雄太が寄ってきた佐藤優平へ投げると、リターンをもらってスペースに飛び込んだ小池に入れる。鋭いターンで相手DFを振り切った小池はゴール前に迫り、DFを引きつけてゴール前へパス。待ち受けていたコイッチがインサイドキックでパスするように丁寧にゴールに流し込み、後半立ち上がりの大事な時間帯で同点に追いついた。リードを追うホームの山口が前掛かりになったことで、逆にヴェルディの攻撃が機能する。中盤をタイトにして相手のパスワークを分断すると、センターバックやボランチのところで厳しく体を寄せてボールを奪いカウンターを発動する。61分にはコイッチが左サイドからフリーで抜け出してゴール前まで迫ったが、シュートはわずかに枠を捉え切れなかった。この際に足を痛めたコイッチが下がり、代わりにレアンドロがピッチに送り出される。ややオープンな展開になりかけた71分、試合が動く。左からのコーナーキックのチャンス。ゴール前のニアに向けて走り込んできた平智広に対して、佐藤から絶好のボールが入る。マークを完全に振り切った平は、他の選手よりも頭二つ分抜け出した打点の高いヘッドで逆転ゴールを挙げた。ところが、このリードを長い時間保つことができない。75分、左サイドからゴール前にアーリークロス気味に低いクロスを入れられると、ゴール前を抜けてファーサイドに流れたボールを岸田にダイビングヘッドで合わされて同点に追いつかれてしまう。ただ、ヴェルディに焦りはなかった。前半から続けてきたスタイルを崩さす、パスと連携を生かした攻撃で相手ゴール前に迫り、守備では中盤が猛烈なプレスを仕掛けてこぼれ球を最終ラインが回収して反撃に出る。ビッグチャンスとなった83分の場面も連動した守備からのカウンターだった。球際へのプレスで相手のパスワークを寸断すると、そのまま左サイドに小池を抜けさせる。レアンドロ、佐藤がゴール前に入ってきて3対3の状況で小池はドリブルを選択してペナルティエリアの中へ、すると相手をかわそうとしたところで相手に倒されてPKを手に入れる。今シーズン、これまでに2度手にしてきた勝ち越しのチャンスとなるPK。そのどちらもが失敗に終わったが、今回はレアンドロがきっちりとゴール左隅へと流し込んで3度目の正直で勝ち越しに成功した。
試合終盤、ホワイト監督がクロージングのためにチョイスしたのは、大卒ルーキーで初ベンチ入りした安在だった。渡辺に代えて右サイドに置くと、守備では球際に厳しく寄せ、マイボールになってからは猛烈なダッシュで前線に走って自陣ゴールからボールを遠ざけるために戦った。割り切った終盤は大崩れすることなく、今季アウェー初勝利を手に入れた。
攻守両面が機能し始めてから、端戸仁、藤本と次々にキーマンが抜けているが、代わりにピッチに立った選手の特性を生かし、周りの選手がアジャストすることで自分たちのスタイルを変えることなく貫けている。好守にアグレッシブなサッカーは、魅惑のパスワークと華麗な崩し、そして迫力のプレッシングで観る者を魅了する。新しいスタイルに戸惑っていた序盤戦の面影はどこにもない。確かに失点は止まらないが、「1点は取られた。でも2点とれたらいいんだろう」という豪快な姿勢で、的確に相手を仕留めている。ここまでの3試合は相手もスカウティングの材料が乏しかったことだろう。だからこそ、ホームに戻って戦うジェフユナイテッド千葉とのオリジナル10対決は、研究されても変わらない強さを手にしたことを証明する試金石になる。相手も調子は上向きだ。これ以上ない状況で戦うオリ10対決は、スタンドを緑に染め抜いてもらい、最高の後押しとともに戦いたい。
試合を振り返ってください。
立ち上がり10分、15分のところっていうのはスローなスタートになってしまいましたが、ゲームを通して良かったのかなと思います。河野と小池のサイドを変えてから自分たちのテンポが作れたのかなと思います。ハーフタイムにも自分たちならできると落ち着いて言い聞かせ、終盤にかけては自分たちで試合をコントロールできたのかなと思っています。選手たちそれぞれの質もそうですが、それぞれが持っているキャラクターを存分に出せた試合でした。
河野選手はいくつかの選択肢の中からスタメンに選ばれたと思うのですが、理由はなんでしょうか?
ヒロキはかなり特別な選手だと思っています。何もないところ、ゼロから色々作り出せる能力のある選手です。練習中に彼が出してくれるパフォーマンスについては、こちらも唖然とすることが多くあります。今日の試合で彼が一番合うのではないかと思い起用しました。
小池選手と河野選手の左右を入れ替えました。これまでもサイドを変えています。今日に関しては、彼らをスイッチさせたのはどのような意図でしょうか?
ゲームのスイッチを入れるというところで、彼らは両方できることは知っていましたし、練習の中でどちらかをやるかもと話していたので、試合の流れを見ながらどちらに合うか、サイドを変えるかどうかを判断しました。(スタートの位置にはこだわっていない?)両サイドの選手、ウイングバックでもサイドバックでもフレキシブルにできるというところが自分たちが持っている選手たちの強みであると考えています。ですので、どちらで出ようが変わらないというのがありました。選手たちが組織の中で、自分たちの持っているものを表現することはできるし、現代サッカーにおいて、1選手がひとつのポジションだけというのはなかなか通用しなくなってきているので、途中から入れたタツヤもそうですができる選手がそろっているので、試合に応じて自分たちが持っているものを出せるポジションに入れるのが一番の目的でした。
DF 5平 智広
試合を振り返ってください。
結構点が動くゲームで、自分としてはもっと安定したゲーム運びができればいいなと思います。
先制されてから、後方のバランスが良かったと感じました。
自分たちがボールを回している上で、相手のカウンターは怖いと思っていたので、相手のFWの裏の抜け出しは意識していました。
得点シーンを振り返ってください。
あまり覚えていないのですが、自分がマークを外した感覚があって、ニアに走っていたら優平から良いボールが来たので合いました。
頭ふたつは抜け出していました。
あんまり覚えていないですが、入って良かったです(笑)。
すぐに追いつかれましたが、同点になった後に注意していた点は?
同点に追いつかれて、相手も勢いづいてくるだろうと思っていて、自分たちは引かないで特に前線からのプレスを続けていこうと話していました。そして、相手が前掛かりになっている中でカウンターで上手くPKにつながりました。
次節はホームに戻ってジェフ千葉と対戦します。
次はホームで戦うので、また応援をお願いします。
FW 33河野 広貴
ヴェルディに復帰して初のスタメン出場でした。
久しぶりに試合をして、長い時間は出られなかったですが、楽しめたかなと思います。
アカデミー育ちの後輩や佐藤優平選手とのコンビネーションが素晴らしいと感じました。
外に出ていたので、なかなかこうしてイメージを共有することができなかったので、久々に帰ってきてヴェルディの後輩とできて楽しくサッカーができました。やっていて楽しいし、コウタもシオンも、僕自身もそうですがまだ点が足りないので、楽しみながら点も数字も残せていけたらなと思うので、もう少しコンビネーションを高めていきたいです。
ジェフ戦に向けてメッセージをお願いします。
厳しい時も応援してくれてありがとうございます。ここから上に向かって頑張っていくので、千葉戦も応援をお願いします。
DF 15安在 達弥
プロデュビューを果たしました。そもそも初のメンバー入りでした。
メンバーに入った時はうれしかったです。
出場すると予期していましたか?
試合展開によってはチャンスがあるのかなと思っていましたが、本当にチャンスが来て、デビューができて良かったです。
試合に出る時の気持ちは?
最初に名前を呼ばれた時は嬉しかったんですが、ピッチサイドに立った時は緊張してあんまり覚えていないです。
逃げ切らないといけない状況で、何を意識していましたか?
まずは守備から入って、カウンターに行けるチャンスがあったらしっかり走ってという気持ちでした。まずは守備から、3-2でそのまま試合を終わらせることを考えていました。
このプロデビューを真っ先に誰に報告したいですか?
親ですかね。とりあえず、両親に報告します(笑)。(お兄さん/安在和樹選手には?)まあ、お兄ちゃんにも(笑)。
応援してくれるサポーターにメッセージをお願いします。
3連勝という形でチームも良い雰囲気になっているので、これからも応援をお願いします。J1に昇格しましょう!