MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、敵地で水戸に勝利し、ホームでの甲府戦の敗戦のショックを振り払ったヴェルディ。残り5戦というシーズンクライマックスに入って、ひとつも星を落とせない中で、ホームに戻って8位の徳島ヴォルティスとの直接対決を迎えた。今節はスタメンに大きな変更を加えた。1トップを張り続けたドウグラスを下げ、レアンドロを移籍後初スタメンで起用。右ウイングにアランを置き、インサイドハーフには佐藤優平の相棒に井上潮音を指名した。
試合は立ち上がりに動いた。6分、左サイドで前線につないだボールをカットされるが、シシーニョが一度GKに下げたボールが、最終ラインの背後に残ってバックパスを狙っていたレアンドロの足元に入る。前に飛び出してきた相手GKをワンタッチで外したレアンドロがゴールに流し込み、カバーに入ったDFもクリアし切れずにゴールに流れ込んだ。移籍後初スタメンで移籍後初ゴールと結果を残したレアンドロ。12分にもチャンスに絡む。ループパスを中央で受けたアランが頭で落とし、レアンドロがゴール正面の位置からミドルシュートを放つが、狙いすましたシュートはわずかにゴール上へと逸れた。ここから試合の流れは相手に傾いていく。ハイプレスをベースにヴェルディ陣内の深い位置まで入ってくる。30分にはゴール前に杉本が抜け出すが、上福元直人がタイミング抜群に飛び出してシュートをブロックした。前半が終盤に入ると、徐々にヴェルディがポゼッションを回復し、じっくりとつないで相手陣内に入っていくが、フィニッシュへの糸口はつかめずに折り返した。
前半の流れで後半も攻撃姿勢を強めるヴェルディ。53分には左サイドで泉澤仁、佐藤、香川勇気が絡み、相手陣内深くまで香川が突破し、ゴール前にクロスボールを入れるとレアンドロがどんぴしゃでヘディングで合わせたが、相手GKのポジションが良く正面に収まった。好機を境に、前半同様にまた流れが相手に傾く。前への圧力を強められると、65分、左サイドを表原に突破されると、クロスボールをバラルに合わされて失点。耐えてきた守備陣が一瞬の隙を見せた瞬間だった。ガクリときてもおかしくない状況で、ヴェルディは踏ん張りを見せる。69分、相手陣内右サイドの深い位置でフリーキックを得ると、香川がゴール前に入れたボールを相手GKがかぶるが、その後ろに入っていたドウグラスのヘディングシュートは枠を捉え切れなかった。その1分後には、左サイドのスペースへ抜け出したドウグラスが相手GKとDFの間に強いクロスボールを入れる。ここにアランが飛び込んで豪快にボレーで合わせたが、同時に足を出したDFにブロックされて枠から逸れた。守備では、ウタカを投入した徳島の圧力を前に自陣バイタルエリアに貼りつけになる時間帯もあったが、失点シーンのようには簡単に突破を許さずにシャットアウト。攻撃では半ばパワープレー気味に押し込みながらもフィニッシュ自体に持ち込めず、時間だけが過ぎていく。
予定していたアディショナルタイムも最後のカウントダウンに入った90+3分、最後の最後で試合は動く。相手のクロスボールが流れて上福元がキャッチすると、守護神は一瞬の判断で前線に大きく蹴り出すのではなく、左サイドのスペースへ飛び出そうとする泉澤にロングスローでつなぐ。頭で進行方向にボールをコントロールしたアタッカーは、タッチラインを左に見ながら縦にボールを運ぶ。泉澤がスピードアップするにつれて“音”と“熱”が上がっていくスタジアム。ペナルティエリアを前に対峙したDFをワンフェイントで剥がして左足でクロスボールを入れると、ファーサイドに飛び込んでいた李栄直が相手DFよりも頭ひとつ抜けたジャンプでヘディングシュートをゴール左隅に突き刺し、ラストワンプレーで劇的な勝ち越しゴールを挙げた。
VERDY TVでこの試合に向けた意気込みを語った際、李は言った。「徳島をぶっ倒すためにシンプルに力を貸してください」。泉澤の突破でボルテージが上がっていくスタンドの「力を貸してくれた」仲間たちに対して、最高の結果で応えた李。『partido a partido』。この勢いを来週につないで愛媛から勝ち点3を持ち帰る。この1週間のトレーニングは、そのためだけに全力を懸ける。
試合を振り返ってください。
早い時間帯に決まったゴールが試合を方向付けたと思います。良いプレッシャーがかかって相手がミスをして、それをレアンドロが上手く生かしました。ハーフタイムまでは相手がボールを持ってこちらがリトリートする時間が長くなりました。後半は良いスタートを切れました。ボールを持ってチャンスを作ることもできました。クオリティの高い相手に良いプレーができていたと思います。その後に相手のゴールが生まれた後、両者ともに引き分けを望まずオープンな展開になりました。その中で互いに勝つチャンスがあったと思いますが、我々がジンとヨンジの素晴らしいプレーでチャンスを決めることができました。とても強い相手に難しい試合をモノにすることができました。
レアンドロ選手を移籍後初先発で起用した狙いを聞かせてください。
レアンドロは徐々に良くなっていて特に今週のトレーニングではフィジカル面でもとても良いトレーニングをしていました。この試合を考えた時にレアンドロを起用した方が良いと判断しました。ドウグラスは良いシーズンを送っていて、この前の試合でもとてもハードワークして勝利に貢献してくれました。ただ、レアンドロの状態を見るためにも彼をスタートで使った方が良いと判断しました。彼のキャラクターであるボールキープやライン間でボールを受けてキープできるというプレーがこの試合で重要になると判断しました。相手が強くプレッシャーをかけてきても彼はキープできるのでそこで作れた時間でジンやアランが背後を突くことができるという狙いでした。
前節の梶川選手のパフォーマンスが良かった中で今日は井上選手を起用した意図を聞かせてください。
カジはドウグラスと同様に前節とても良いプレーを見せてくれました。それだけでなく今シーズンを通してずっと良いプレーをしています。ただ、この試合を分析して選手の状態を見て次の試合で起こりうる要素を分析した結果、選手の起用を決めます。その中で今回はシオンを起用することにしました。それが当たることも外れることもありますが、選手と次の試合で起こりうることを分析して決めます。戦術的なことであったり、カジとシオンの違いが影響しています。ただ、ロッカールームの外で話せないことがあることも理解してほしいと思います。
早い時間帯に先制点を奪えなかった場合にどんな戦い方を想定していましたか?
もしもの事態をあらためて想定するのは難しいですが、彼らはより待つ形のディフェンスをしていたと思います。その中で自分たちがよりボールを持つ展開になっていたと考えています。彼らはすごく良いトレーニングをしていますし、クオリティの高い選手も揃っています。状況を知ることは難しいですが、この試合はとても難しかったです。このリーグではどの相手でも難しいですが、特に今日は難しい試合でした。
DF 17李 栄直
試合を振り返ってください。
今日は厳しい展開になると思っていました。去年の徳島とヴェルディの試合もこういう展開だったので本当に良かったです。
ゴールシーンを振り返ってください。
最後に取ることができて本当に良かったです。本当にみんなが90分間集中を切らさずにやってくれたのでどうにかしてチームを助けたいという気持ちでした。それにジンも最後まで自分のことを見ていてくれたので、信じてゴール前に入っていた結果、ゴールが決まって良かったです。初めはあえてファーにポジションを取ってクロスがもうワンテンポ遅れると思っていたので、そのタイミングで入って先に飛べばイケると思っていました。ただ、入っていく中でボールの軌道をきっちり見えていたので冷静だったと思います。ただ、ゴールが決まった後は興奮しすぎて、本当は古巣対戦で喜ぶつもりはなかったですが、止まらなかったぐらい興奮していました。
こう着状態の中での途中投入でしたが。
しっかりと今までサブで入った選手たちが良い仕事をできていることを見ていたので、準備だけは怠らずに、という気持ちでいました。また、自分にとって特別な相手との試合で成長した姿を見せたいと思っていたので、こうやって見せることができて良かったです。本当に2年間在籍させていただき、プロというものを教えてもらったクラブでしたし、今でもサポーターの方は応援してくれているので、こうやって活躍できて良かったです。本当に大切なクラブですし、申し訳ない形でしたがそういうクラブ相手に決められて良かったです。
投入時に具体的な指示はありましたか?
いつもと同じ感じでした。前に入っていってほしいのと守備の強度を上げてほしいということでした。
投入時はボールを持たれる厳しい展開でしたが。
前半はウチが持ってちょっとずつ相手に付き合ってしまった中で後半は少し悪くなっていきました。最近と似た展開が続きましたが、外から見ていた時にはお互いに攻めあぐねている印象でした。そういう展開では強さで行くことが大事だと思い準備だけはしていました。
ゴールシーン以外でも泉澤選手のサイドからチャンスを作る展開が多かったですが。
単純に僕が入ったことで相手との身長差もありましたし、そこのミスマッチを突いていくことや自分のところですらしてジンのところではほとんど1対1を勝てていたので、そういうところを使っていく意識でした。最後も自分がスペースに走っていくことも考えていましたが、今日のジンであれば突破できると思ったので、あそこは中に入っていく形にしました。その前の決定機では自分はあえて正直に入って食い付かれないようにしていましたが、さっき聞いたらちょっと遠かったと向こうは言っていました。ただ、2本目でああいうふうに形にできたので良かったです。
古巣対戦でいつも以上に気合いは入っていましたか?
今日は今年の中でももっとも気合いが入る試合でした。前半戦では移籍してから初めてポカスタ(鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム)に行くことができなかったので、そういう中でも自分が成長した姿を見せたいと思っていました。個人的な感情ですが、今年一番気合いが入っていました。
サポーターの方々に向けてメッセージと意気込みをお願いします。
常にサポーターが最高の雰囲気を作ってくれているのでそれに応えたいという気持ちと、まだシーズンを終わらせたくないという思いがあるので、個人的にはもっとついてこいという気持ちでプレーしました。まだまだこれからも最高の雰囲気を作ってくれると思うので、応援をよろしくお願いします。どの試合も大切ですし、毎試合が決勝戦という気持ちなのでサポーターのみなさんも僕たちは常に120パーセントの力で戦うので150パーセントで来てください。
DF 4香川 勇気
試合を振り返ってください。
チャンスが何本か合った中で、前半はああいう形で点を取ることができました。その中ゼロで抑えたかったですが、2対1のところで自分が突破されて失点になったのであそこは自分の課題です。あそこは2人で行ってボールを取れそうでしたが、自分が居るのと逆にボールがこぼれてしまい、優平君がボールに行っていたのであそこは自分がカバーに入るべきだったと思います。
今日は比較的シンプルにクロスを上げ切るプレーが多かった印象ですが。
中に最初はレアンドロとアランもいたので、そこは自分たちの強みだと思っていましたし、レアンドロは身長はありませんがクロスの入り方が巧いので、そこをシンプルに使いました。ドウグラスが入った後は高さで明らかに相手に勝っているので、シンプルにした方が良いという判断でした。
クロスが中の選手と合う場面が多かったですが、意識した部分を聞かせてください。
練習の段階から中の選手の特徴というか入ってくる場所やタイミングを意識していて中の選手に合わせる形で上げていました。相手の特徴に合わせてクロスの種類や上げるタイミングは変えるようにしています。しっかりと相手を外す動きができる選手が多いのでそこは自分としても合わせやすかったです。
ここ数試合に比べて攻撃の質は上がってきたと思いますが。
切り替えの部分に関して相手が遅れていたので、そこは自分たちがつけ込めたところです。そこでカウンターというか攻撃の場面で人数をかけて行けたのは良かったと思います。
今日の勝利でより上位との差を詰めることができましたが。
自分たちはまだ下の方にいるので1試合も落とせないですが、より挑戦者としての気持ちというか、ポジティブに上を叩いていくという気持ちでやれるので、今日もすごくポジティブな勝利だと思います。
ひとつずつ課題をクリアしていくという部分で今日は久々の複数得点でしたが。
シーズン終盤に入って今日のような緊迫した試合が続いていく中で自分たちの課題や伸ばすべきところを個人が認識して少しずつですが、より良いものになってきていると思います。
MF 20井上 潮音
試合を振り返ってください。
自分たちのプランは前半に少し出せましたが、後半はあまり出せなかったです。ラッキーな形でのゴールもありましたし、自分たちにとってはラッキーな試合だったかなとは思います。
個人的に求められていた役割は?
イバ君や奈良輪さんからボールをもらってもうちょっと前にボールを入れたかったですが、その仕事はあまりできなかったです。前に対してプレーすることは意識しましたが、今日は後ろや横へのパスが少し多かったです。ただ、前にプレーする意識はいつもより出せたと思います。
前半は特にセカンドボールに対する守備で気迫を見せていたと思いますが。
守備のところは、僕あたりがスイッチになっていくというプランもありましたし、前半は行けている場面が多かったですが、後半は少し運動量が落ちてしまい、奪いどころや狙いどころが少し絞りづらくなっていました。その運動量は課題だと思います。
後半相手に持たれる展開の中では相手の回し方が変わったのか、それともこちらの運動量の問題ですか?
自分たちの運動量の問題が大きいと思います。自分やアラン、優平さんのところで特に右サイドはプレッシャーをかけられなくなっていました。そうなると、後ろも狙いどころを絞りづらくなるので、チームに迷惑をかけて申し訳ないです。あそこでファーストディフェンスを決めたり、相手のボールホルダーにきっちり詰めていくことが後半は必要だったと思います。
GK 21上福元 直人
決勝点の起点となったスローイングを振り返ってください。
結末まではイメージできていなかったですが、勢いに乗ってくれればという思いであそこにいたジンを見つけて投げました。普通に時間も時間だったので、パワープレー気味にバーンと前に蹴る形も考えていましたが、ジンが要求もしていたのであそこに付けました。やっぱり、サイドから角度を付けて上げた方が相手も対策しづらいので、自分から縦に入れて弾かれるよりもという形が結果的に上手くいきました。
泉澤選手のサイドからチャンスを作れていたことも頭の中にありましたか?
そうですね。フィニッシュは決まらなかったですが、最後の部分まで行けるというか、チャンスは作れていたので、それがああいうふうに実ったのは辛抱強くやっていた結果ですし、最後にヨンジが身体を張ってゴールを決めてくれたことに感謝したいです。