MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、敵地でロアッソ熊本に引き分け、2試合連続かつ今シーズン5試合目のスコアレスドローとなったヴェルディ。ただし、開幕以来の負けなしを9試合に伸ばし、満を持して相性の良い味の素フィールド西が丘でのホームゲームに臨んだ。前節からのメンバー構成は一箇所。カルロスに代わり、古巣との対戦となる林陵平を起用した。また怪我で離脱していたアランが3試合ぶりにメンバー入りを果たした。4月とは思えないくらいの真夏のような気候の中、その暑さも作用する展開となった。
序盤はヴェルディが高い位置でボールを動かしてペースを握る。井上潮音のゲームメークと渡辺皓太の機動力を生かして相手を押し込むが、なかなかシュートまで持ち込めない。拮抗した展開を覚悟しかけた10分、今シーズンの十八番であるセットプレーから3試合ぶりにネットを揺らす。右からのコーナーキックを井上潮音がゴール中央に入れると、林陵が競り勝って頭でファーサイドへと流す。そこに詰めていた畠中槙之輔が豪快にゴールへ蹴り込んで喉から手が出るほど欲しかった先制点を挙げた。その後はやや均衡した展開を余儀なくされる。前への圧力を強める水戸ホーリーホックがワイドにボールを動かしながら押し込んでくると、自陣のバイタエルエリアで守備ブロックを形成して耐える展開が続く。しかし、その展開で強いのが今のヴェルディ。決して下がり過ぎることなく絶妙な位置でラインをコントロールし、背後を狙われたボールは上福元直人がカバーし、ライン間を狙ったクロスは井林章&畠中&平智広の壁がことごとく撥ね返す。相手に危険なエリアでボールをもたれたように見えて、逆にボールサイドにスライドしながら粘り強く対応し、ボールを持たせた状態でシュートを打たせずに乗り切る。前半のアディショナルタイムにはラインとGKの間にクロスが入り、処理する担当が曖昧になってピンチを招いたが、上福元が絶妙なタイミングで間合いを詰めてシュートブロックしてことなきをえた。
リードしながらも相手の圧力をいなして前へ出る策を確認した後半は、出足の良い立ち上がりとなった。試合の趨勢を決めたのは53分の相手の退場処分だった。福井がこの日2枚目の警告でピッチを去ると、数的不利をカバーするために動き回る水戸は暑さも手伝って徐々に出足が鈍くなっていく。直後はボールを動かして反撃の意思を見せたが、徐々にヴェルディがカウンター気味にチャンスを作って押し返していく。そして72分、またもや十八番で結果を出す。右からのコーナーキックを井上が大きくファーサイドに流すと、相手GKが飛び出して追いながらも触れなかったボールを平が競り勝ってゴール前に頭で流すと、ドウグラスが相手DFの意表を突くヒールシュートで流し込んで追加点。その後はバランスが崩れた相手の隙を突いて何度となくチャンスを作り出す。80分には途中出場のアランとドウグラスの二人だけでゴールを脅かし、87分にはドウグラスとアランのコンビネーションから途中出場の梶川諒太が絡んで決定機を迎えるが、梶川のシュートは枠を捉え切れない。2点どまりで試合が終わるかと思ったが、90分にダメ押し。相手のセットプレーで押し込まれていた時間帯で、クロスボールを井林が打点の高いヘディングでクリア。これを右サイドのスペースで受けた梶川がカウンターを発動。ドリブルで深い位置まで運び、中央のゾーンを駆け上がってきたアランへラストパス。抜け出したアランは、前へ飛び出した相手GKを見て、頭上を抜くループシュートでネットを揺らした。
堅守をベースにリズムを掴み、セットプレーで優位に立つ試合展開。ここ2試合は見せられなかった勝負強さを発揮して3-0で快勝した。開幕以来の無敗は10試合に伸び、失点もリーグ最少を継続している。次節からは連休中の連戦となり、難敵との試合が続く。まずは次節、敵地に乗り込んで戦う大宮アルディージャとの一戦は、昨シーズンJ1で戦っていた相手との難しい試合が予想される。ただし、ヴェルディが戦う上でのスタンスはこれまでと一切変わらない。目前の試合に向けて全力で最善の準備をして、用意してきたものを出し切るだけだ。
試合を振り返ってください。
自分たちにとって非常に難しい、拮抗した試合でした。とても良いスタートを切りましたが、その後に相手が我々のサッカーをさせないようなプレーをしてきました。それでも、コーナーキックから先に点を取ることができたのは幸運でした。得点後は相手がボールを持って我々が引かざるを得ない状況となりました。ボールを奪った後も簡単に失ってしまい、良い流れで彼らの陣地に攻め込むことができませんでした。後半は良いスタートが切れました。またボールを持ってゲームを作ることができました。相手が退場した後はこの暑さで1人多いという、決定的なアドバンテージを得ました。良い攻めもカウンターもできていたと思います。それと同時に相手も最後まで攻撃を仕掛け続けていたことも事実です。
前半終了間際にドウグラス選手が倒れ込んでいた場面で林陵平選手と渡辺皓太選手にボードで指示を出していましたが、具体的な内容を聞かせてください。
システムを変更したこともあり、守備のやり方や守るゾーンなどに関して説明していました。リオ(林陵平)はとても戦術理解度が高い選手です。今までプレーしてきたポジションではありませんが、すぐに役割を理解してくれました。
今日、右のシャドーで起用した林陵平選手に関して期待した役割について聞かせてください。
シャドーというか、我々は内側のウイングと呼んでいますが、ウイングのポジションでスタートしてその後にフォワードのポジションでプレーしてほしいと思い起用しました。相手の対策もありますし、グラウンドの小ささも考慮してシャドーのポジションを用意しました。一番の理由はエリアに人数をかける、ドウグラスだけでなく他の選手も入っていく形を想定していました。4-3-3でプレーしている時、彼はよりウイングとして開いてプレーします。ただ、システムが変わったり、他のシステムでプレーする時はよりフォワードという彼本来の位置でプレーします。
セットプレーから2点を取りましたが、想定通りの形でしたか? また、キッカーを務めた井上潮音選手の評価に関しても聞かせてください。
もちろん、コーナーキックは毎回トレーニングしていますが、一番大事なのはキッカーと中で合わせる選手です。潮音はセットプレーやフリーキックの場面で非常に精度が高いキックを持っています。彼は3年目でベテランとして見られているかもしれませんが、まだまだ若く成長の余地がある選手です。彼のプレーに満足しており、とても良いプレーをしていると思いますが、少しずつ成長していく必要があります。これからも成長を続けてほしいですし、3年目はまだルーキーだという気持ちでやっていってほしいです。
DF 4畠中 槙之輔
先制点を振り返ってください。
陵平君が良い形で競り勝ってくれて、そのこぼれ球に早く詰めることができたので、半分は陵平君のゴールだと思っています。狙っていた形とは違いましたが、自分の目の前にこぼれたのでラッキーという思いで蹴り込みました。
プロ初ゴールを決めた験のいい西が丘でのゴールでしたが。
ただ、その時は苦い思い出となった試合でした。今回は見事無失点で勝てたので、良かったと思います。
ディフェンダーとして5試合連続無失点ということに関してはどのような印象でしょうか?
皆が守備の意識をもって上手く守れているので、それを今後も継続していきたいです。
次節以降への意気込みを聞かせてください。
連勝できるように1週間良い準備をしたいと思います。
DF 3井林 章
試合を振り返ってください。
結構、今日は危ない場面が何度かあってカミ君に助けられる場面が多かったです。もう少し、寄せるところは寄せてちょっとタイトに守備をしないと、今は何となくゼロで抑えていますが、いつ失点してもおかしくなかったと思います。
早い時間帯にセットプレーから先制できたことは大きかったですね。
セットプレーで流れが変わったことは大きかったと思います。0-0の試合ではセットプレーの数自体が少なく、得点の機会も少なくて熊本や岐阜相手に0-0になっていました。逆に、今日のようにセットプレーの数が増えていくと点の機会も増えると思います。
ご自身もセットプレーから今季初得点のチャンスもありましたが。
狙いの形で自分自身も相手のキーパーを外したところに打ち、しっかりと枠に飛ばすという部分は狙い通りでしたが、相手のカバーが一枚上手でした。
平智広選手の復帰もあって本格的に3バックでの戦いが続いていますが、手応えはいかがでしょうか?
熟成というよりはチームとしてやることは常に変わらず、どんな時にどういう対応をするかは身体に染みついています。本当にやることをやるだけです。
引き分けが続いた中で今日の勝利は今後に向けて大きなものになりそうですね。
チームとしてはそうですが、自分はディフェンダーなので、とにかくゼロで終われたことが大きいです。0-0だろうと3-0だろうと、まずはゼロで終わることこそ自分のプレーするポジションの役割だと思います。結果が付いてきたことは良いことですし、これを継続していきたいです。
これからゴールデンウィークの連戦となります。次節は地力のある大宮との対戦ですが印象を聞かせてください。
プレシーズンの時期にも対戦しましたが、ボールを回したり動かすのが巧いチームです。前線も個性のある選手がいるので、J2では間違いなく技術の高いチームだと思います。より自分たちの組織を緻密にしていかないとやられてしまう相手なので慎重にやっていきたいです。
FW 11林 陵平
古巣相手の勝利に大きく貢献しましたね。
勝利とアシストと相手に退場者を出させるという、最低限の仕事はできたと思います。自分にとって一番必要なのはゴールですし、フォワードにとってゴールを決めたいという気持ちは強いです。なので、ゴールはまた次に取っておきたいと思います。ただ、今日はチームが勝利できたこと。序盤にアシストできたこと。相手が後半序盤に退場者を出してこちらがうまく試合を進められたことは良かったと思います。
以前からおっしゃっていたエリア内の人数を増やしていくという形の攻めはできたと思いますが。
ペナルティエリア内に人が入っていくことでチャンスが生まれると思いますし、今日はそういう形を増やせたと思います。
右のシャドーでのプレーでしたが。
普段の練習の中からイバンだったりコーチ陣から良い位置を取れていると言われています。練習でやってきたことの意識は持っていましたし、逆サイドにボールが入った際にはエリアに入っていくという感覚でした。ただ、守備の局面では本来のウイングと同じ立ち位置でしたし、途中から目まぐるしく役割が変わりました。局面に応じて変わるというのは見ている方には分からないかもしれませんが、やっている選手は頭を使わないとダメなので、そういう理解度とかは自分自身高いと思っています。上手くできました。
結果的に完勝という内容でしたね。
完勝できましたね。退場者が出たことが大きかったですし、立ち上がりに先制点を取れたことが大きかったと思います。今までは得点できなかったというか、失点はしていなかったですが、ここ最近点を取ることができませんでした。そういう意味で早い時間帯の得点によってチームが活気づいたと思います。
先制点のアシスト場面を振り返ってください。
シュートというか、競っている相手が勝てる選手だと思っていたので、そこでヘディングで競り勝ってこぼれたところに畠中が詰めていたという感じでした。
守備面でも献身的なプレーでチームを助けていましたね。古巣対戦で相手の癖も理解していた印象もありましたが。
切り替えの部分はすごく大事になってくると思いますし、細かいところでも良い守備ができたと思います。特に最終ラインとボランチはよく知っている選手だったので、そこは意識してやっていました。
後半には渡辺皓太選手のこぼれ球に詰めて惜しい場面もありましたが。
ペナルティエリアに何人も入っていて自分のところでトラップもできましたが、コウタが後ろでフリーということも分かっていたので、コウタがシュートを打った後にこぼれ球が“来たな”という印象もありますが、ゴールは次に取っておきます。チームが10戦負けなしで今日は近い順位の相手ですごく重要な試合でしたが、そこで勝てたことは非常に大きいと思います。また、失点もなく負けなしを継続できたことも大きいです。
連続ドローの中で今日勝てた意味は大きいですね。
勝てていないという見方もされてしまいますし、チームの中でも雰囲気は大事だと思います。この西が丘というスタジアムはスタンドが近いので、3-0という結果だったので良い雰囲気でしたが、逆に0-3だったら厳しい言葉も受けるスタジアムです。そういう意味で勝てたことは大きかったです。
MF 20井上 潮音
セットプレーのキッカーの役割という部分に関して考えを聞かせてください。
去年の得点の奪い方という部分でセットプレーが多かったと思いますし、今年も試合をやっていく中でセットプレーからなかなか点を取れていなかったので、自分が蹴る重みというのも変わってきていますし、それで今日はセットプレーから2点が取れて試合もラクになったと思います。
無得点が続いていた中で早い時間帯にセットプレーから先制できたのは大きかったと思いますが。
自分を含めてチーム全体があの得点で楽になったと思いますし、これからシーズンを戦って行く中でもセットプレーが重要なカギになっていくと思います。
後半のカウンター場面でシュートとパスの判断が曖昧な場面もありましたが。
ああいう場面で今年はシュートを打つか、スルーパスを狙うかという部分で迷いが出ています。試合前にはああいう場面でシュートを打とうと考えていましたが、あの場面では少し迷ってしまい、結果的にカウンターも受けてしまったので、もっとどん欲にシュートで終われば良かったと感じています。
ここ2試合、ボランチでのプレーとなっていますが、意識している部分はありますか?
1つ前のポジションでやる時と、ボランチに入ってやる時の違いを意識しています。去年もボランチをやっていて違和感はありませんが、そのポジションの違いという頭の切り替えをしっかりとやるべきだと思っています。
2点目が入って数分後の交代でしたが、何か監督から労いの言葉はありましたか?
守備のところで行けないという感覚が自分にもあったので、自分が出ているよりもフレッシュな選手を入れて守備のところやカウンターの場面で3点目を取るということが、監督の中であったと思います。まだまだ90分間プレーを続ける体力や信頼が足りないと感じています。
MF 24奈良輪 雄太
試合を振り返ってください。
しっかりと自分たちから崩れずにゲームを進められれば、必ずチャンスは来るという気持ちでプレーしていました。いつもと違い、攻撃への意識を特別に強めたとかそういう意識はありませんでした。ゲームを見ても相手が我慢し切れずに崩れて勝てたという印象があります。
左サイドで渡辺皓太選手と連携しながら対面の相手選手を上手く抑え込んだ印象ですが。
コウタがこちらのサイドに来た理由は、相手選手への対応策ということではなく、相手へのプレッシャーのかけ方という部分のものでした。彼はモビリティもあり守備範囲も広い選手なので、ふたりで上手く対応して平も含めてサイドで先手を取られることはなかったと思います。