MATCH試合情報
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【試合展開】
前半戦の最終戦から3試合続いて勝利から遠ざかっているヴェルディ。2試合続けて引き分けが続いているホームゲームで、なんとか勝利でリズムを掴み直したいところ。迎えたのは前半戦の対戦でスコアレスドローに終わったカマタマーレ讃岐。ヴェルディはこの重要な局面で、新加入のカルロス・マルティネスをスタメンに起用し、3枚並ぶFWの中央に据えた。またボランチには、開幕から全試合スタメンで起用されてきた内田達也に代えて、渡辺皓太と中後雅喜のコンビで試合に臨んだ。
試合は序盤から予期せぬ流れになった。開始数十秒後、安西幸輝のバックパスが短くなったところを拾われて柴崎貴広との1対1の場面を作られる。これは相手のシュート精度に助けられたが、出鼻をくじかれたチームは試合の流れに乗れないような雰囲気のままプレーを続ける。そして5分、スローインをペナルティエリアに入れられると、クリアボールを相手に拾われてゴールに流し込まれてあっさりと失点を喫した。先制されてからは相手がやや陣形を引いたこともあり、ボールを持って攻め込む時間帯が続く。しかし、相手の球際への素早く厳しい寄せの前に思うような攻撃が組み立てられない。カルロスが足元でボールを収めるものの、サポートが遅く思うように厚みのある攻撃と作れなかった。すると一瞬の隙を突かれてバイタルエリアでの寄せの甘さを突かれて豪快なミドルシュートを叩き込まれて追加点を献上する。2点のビハインドを前にやや焦りが出たヴェルディは、なおもリズムを掴み切れずに拙攻が続く。そのまま前半を折り返すと思われた44分、井林章が相手の最終ラインの背後に放り込んだボールにアランが反応。相手GKと1対1になったところで、相手GKがわずかに早くボールに辿り着いてパンチングするが、これが詰めていたアランの身体に当たってゴールに転がり、思わぬ形で1点を返してハーフタイムに突入した。
攻守ともに自分たちが目指すのとは遠いサッカーに終始したことを受けて、ロティーナ監督はハーフタイムに動いた。渡辺皓太に代えて橋本英郎を投入し、梶川諒太に代えて高木善朗をピッチに送り込んだ。
この交代策は後半の立ち上がりから効果を発揮する。54分、右からのクロスにカルロスが飛び込み、ここでは合わないものの、その背後に飛び込んでいた橋本がダイレクトボレーで合わせるも身体を張った相手DFにブロックされる。その1分後には、右サイドで崩し、安在和樹のクロスがゴール前中央エリアに入ると、カルロスがワンタッチで合わせるがミートできない。60分にはまたも右からのクロスをカルロスがニアでワンタッチで合わせたが、相手GKの好守に阻まれた。攻め込み続けながらなかなかゴールネットを揺らせないもどかしさが募っていったが、62分にそれを打ち破る豪快なゴールが生まれる。ゴール正面のエリアでフリーキックを手に入れると、中後がキッカーを務める。直接ゴールを狙ったシュートは一度はブロックされたが、こぼれ球が再び中後のもとに。これを中後はワンタッチのボレーシュートで豪快にゴール右上に叩き込んで同点に追いついた。ここからお互いに陣形が間延びし始め、オープンな展開になる。お互いの陣地をボールが行ったり来たりする中で、主導権はヴェルディにあった。讃岐のカウンターに対処して危険な場面を作られながらも瀬戸際で食い止めると、ボールを保持してサイドを起点に攻め立て、両サイドからのクロスで何度となくゴール前で押し込むというチャンスを作り出した。しかし、この日は何をしても自分たちのところに転がり込んでこない。82分にカウンターを食らうと、人数が足りていないところでワイドに揺さぶられ、フリーで西に詰められて再びリードを許した。終盤に勝ち越されたダメージは決して小さくないが、それでも残る時間での同点、さらには逆転を狙って猛攻を仕掛け続けるヴェルディ。すると、86分に再三再四仕掛けてきたサイド攻撃が実を結ぶ。安西が左サイドで仕掛けて相手を2人ひきつけて打開すると、ゴールに向かって曲がるクロスをゴール前に供給する。相手も人数を揃えて守備ブロックを敷いていたが、ゴール前に構えていた選手2人の頭上を越えたボールは、ファーサイドに構えていたアランのところへ。これをアランが狙い澄ましてゴール左隅へ流し込むと、GKの頭上を抜いてネットを揺らした。その後は、やや強引な形で仕掛け続けるがゴールに直結しそうな場面は作り出せず。最後の最後に手に入れたフリーキックが最後の大きなチャンスだったが、高木善が狙い澄ましたシュートは落ち切らず、ゴールのわずかに左上へと逸れてタイムアップ。
これで4試合勝利がなく、順位は少しずつ下がってはいる。しかし、まだ上位から中位は少ない勝ち点差に複数のチームがひしめき合う大混戦に代わりはない。ここに食らい付いて、そして一つずつ階段を上っていくために、まずは目の前の次節に向けて準備を進めていく。
【試合後選手コメント:FW 13 カルロス・マルティネス選手】
――デビュー戦の感想を聞かせてください。
「今日は自分にとってファーストコンタクトでしたが、やっているサッカーが全然違うので、これからしっかりと学んでいきたいです」
――スペインとJリーグで最も異なる部分はどこでしょうか?
「プレーの行き来がとても激しく、ディフェンダーがとてもフォワードに対して強くマークに来ます。スペインではよりディフェンスがポジションを守る印象があります。今日のファーストコンタクトは自分が学ぶため、今後より良いプレーをするためにとても良い機会になったと思います」
――コンディション面はいかがですか?
「フィジカル的には問題はありません。もちろん、100パーセントではないのは確かですが、プレーするうえで問題はありません。これからできるだけ早い段階で自分のマックスの状態に戻したいです」
――日本の気候はいかがですか?
「暑さはとても厳しいです。湿度の高さも含めて適応していくべきだと思います」
――視野が広く味方をうまく使っていた印象ですが。
「連携は取りやすいです。周りに良い選手がたくさんいるので。ただ、ゴールを決めることができず、チームを助けられなかったことが非常に悔しいです」
【試合後選手コメント:DF 19 永田充選手】
――試合を振り返ってください。
「自分たちのやりたいことが1失点目によって、守りに入ったというか、自分たちが主導権を握ってという展開に持って行くことができませんでした」
――試合への入りという部分で少し緩さが見えた印象でしたが。
「結果的にそういうふうに見える試合になってしまいました。ワンプレーでチームの状況が変わってしまうようなことがあってはいけないので、そこはピッチの中にいる人たちがしっかりと声をかけて修正しないとダメだったと思います」
――ここ最近、相手の狙う形通りに失点してしまう場面が増えている印象ですが。
「問題があると思います。事前に言われていることに対して、それが何もできていなかったですし、そこは選手一人ひとりが改善していかないとダメです」
――前半に関してはボール回しにリズムが生まれなかった印象ですが。
「攻撃的なパスが少なかったと思いますし、前線にボールが入ってもすぐに失ってしまう場面が多かったです。そこはチーム力としてまだまだです。ただ、危険なパスをどんどん入れていかないと、何も解決できないです。後半に関してはヨシを中心に相手の嫌なところでボールを受けて、全体のリズムもコンパクトになり、ボール回しに関してもリズムが生まれていたと思います。後半みたいな展開が理想的ですが、前半に関してはセカンドボールの回収が遅かったですし、逆に回収できずに展開されて2失点目も喫したので細かい部分ですが、詰めの部分を修正したいです」
――初出場のカルロス・マルティネス選手とのプレーに関してはいかがでしたか?
「僕らもどういうふうなプレーをするのか、まだ掴み切れておらず、彼のコンディションも完全に整っているわけではないので、そこはだんだんと良くなっていくと思います。ただ、彼へのサポートもまだ遅いですし、そこから幅を広げて攻撃できると思うので、もう少し練習から取り組んでいきたいです」
――後半戦に入って白星がなく難しい時期に入っていますが、ここから抜け出すうえで必要な要素は何だとお考えですか?
「とにかくやっていくしかないですが、監督やコーチが要求することに対して、選手たちがどれだけ応えられるかが大事だと思うので、練習からもっと意識を高く持ってやっていきたいです」
【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】
――試合の入りという部分で気になったことはありましたか?
「緩かったですね。ミツさんとも話しましたが、なぜか入りが緩くなってしまいました。前からボールを奪いに行くという部分はチームの中での取り決めですが、うまくスイッチが入らなかった印象です」
――1失点目に関してはロングスローからの流れでしたが。
「少し不運な形でしたが、ディフェンス陣としてはあのシュートは防いでほしい気もしています。ただ、変なところを通ってしまい、見えなかったとも思いますが、防いでほしい気持ちもあります」
――2失点目に関しては課題であるミドルシュートからでしたが。
「ウチはミドルシュートの失点が多すぎます。讃岐自体がロングシュートを狙っていくチームですが、それが入ってしまうのはまずいです」
――アラン選手のゴールをお膳立てした場面を振り返ってください。
「正直、僕や平のところからほとんど効果的なボールが出せていなくて、出しどころがなかった部分もあり、ああいう形で入れていくしか、やりようがなかった面もあります。もちろん、相手のディフェンスの対応もあまり良くなかったので狙ってはいました。その前の段階で崩すようなプレーを増やし、その前提があってのああいうボールというのが理想です」
――初出場のカルロス・マルティネス選手とのプレーに関してはいかがでしたか?
「要所で頑張ってくれるところが、外国人選手っぽいですね。もうちょっとコンディションが上がり動けるようになれば、もっと良くなると思います。彼自身、周りがすごく見えているので、周りとの連係が深まれば、もっとやってくれると思います」
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗選手】
――ラストプレーのフリーキックは惜しかったですね。
「少しツキがなかったですね。ギリギリのコースを狙いましたが、もう少し下に蹴っても入ったかもしれません。ただ、ちょっと落ち切らなかったです」
――前半攻撃のリズムが悪かった中、途中出場する際にどんなプレーを意識しましたか?
「間で受けて、突破するのもリズムになりますし、クロスを簡単に上げるとか、ボールを持ってシンプルにプレーすることもチームにとって大事になると思っていました。惜しい場面が増えると、それでチームの後押しにもなるので、そういうプレーも意識しました」
――間で受けるという部分では後半はかなり改善できましたね。
「できるだけ高い位置で相手の困るポジションでボールを受けられたことは良かったですが、なかなか決定的な場面に顔を出せなかったのは悔いが残ります。決め切れなかった場面もあったので、そこは改善したいです。とにかく、悔しいです」
――試合終盤の決定機では相手のスライディングが視界に入っていなかったのでしょうか?
「相手も良いディフェンスをしていましたし、切り返しで前のDFをかわして打とうと思いましたが、後ろからのスライディングで打ち切れなかったです」
――後半は左サイドからファーサイドのアラン選手へのクロスという形が機能していましたが。
「アランの強さだったりを生かすために簡単にクロスを上げていましたが、逆サイドで崩せないので、僕とコウキのところで崩すしかないと思っていました」
――相手の守備に関しては付け入る隙もかなりあった印象ですが。
「繋げるところで繋がないとか、自分たちが去年陥った状況と似た感覚がありました。0-2になった時も前半終盤に簡単に点を取らせてくれましたし、そのチームに勝てなかったという部分で勝ち点2を失ったという気持ちです」
――ここ最近、勝ち切れない難しい状況が続いていますが。
「後半戦に入って走り負けたり、集中力という部分で少し緩みがあると思うので、そこはしっかりとやっていかないとダメです」
【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「基本的に私たちにとって良い試合ではなかったと思います。特に、前半は良いプレーができなかったです。彼らは強いプレスをかけてきて、私たちはそのプレスを剥がしてプレーすることができませんでした。しかもディフェンス面では簡単に失点してしまいました。ただ、後半は良くなったと思います。彼らのプレスを剥がして相手のエリアまでたどり着き、決定機を作ることができました。2-2になった時に勝つチャンスが出てきたと思いましたが、その後にカウンターを受けてしまいました。後半は良いプレーができましたが、前半の内容を考えると、引き分けは妥当だと思います。改善しなければならない点が多く見えた試合になったと思います。ここ4試合厳しい結果が続いていて、0-4の熊本戦からでは湘南戦が一番良いプレーができていたと思います。ホームの岡山戦、今日の試合ではなかなか良いプレーができず、厳しい結果が続いています」
――初出場のカルロス・マルティネス選手に関して、彼がもたらした影響と現状不足している部分について聞かせてください。
「カルロスはプレー面を非常に向上させてくれたと思います。ボールを受けに来て、チームのプレーに継続性を与え、そしてゴールのチャンスも作りました。2回チャンスがあった中、ただそれを決められませんでした。まだ、コンディションは100パーセントではなく、スペインのシーズンが終わってから、初めて大きなピッチでプレーしたのが今日でした。ドウグラスのコンディションも万全ではないということもあり、今日はカルロスからスタートし、ドウグラスはこれまで途中出場で良いプレーをしていたので、今日はそれに賭けました。今日は前線の問題というか、チーム全体の問題だったと思います。まず簡単に失点したこと。相手のプレスに対して、良いプレーができなかったこと。それが現状の課題です」
――今日の試合内容に関しては先日の熊本戦と似たような前半の展開でしたが、試合の入りに関してメンタル面で問題があった可能性はありますか?
「前半は何回も彼らにチャンスを与えました。メンタル面で問題があったかは分からないです。いつもと同じように試合に入っていたと思いますが、ディフェンスの局面でアグレッシブさを欠いたと思います。うまく行っていないため、何か決断を下す必要がある時なのかもしれません。それがシステムを変えることなのか、選手を変えるのか、何か決断を下すべき時期なのかもしれません。シーズンを通して良いプレーをしていると思いますが、ただサッカーで重要なのは良いプレーをすることではなく、エリアでのプレーが一番重要です。攻撃ではゴールを奪う。守備面ではゴールを奪わせない。そのエリアでのプレーがサッカーではとても重要です」