MATCH試合情報
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【試合展開】
同じ街に根を張って活動するチーム同士の戦いは、最高でも最低でも勝利が求められる。いわゆるダービーマッチ。現在、ヴェルディが戦うダービーマッチは、FC町田ゼルビアとの『TOKYO CLASSIC』をおいて他にはない。もちろん『オリジナル10対決』などの伝統ある試合も大事ではあるが、新興のダービーとはいえ東京の中での雌雄を決する戦いの価値もそれに匹敵する。現在のリーグ戦での勝敗は1勝3敗。昨シーズンの2敗が大きなダメージとなっているが、それは今シーズンでイーブンに戻すことができる。さらに、前半戦が残り2試合となり、大混戦の上位争いに食らい付くためにも、必勝を期す一戦となった。
ヴェルディのメンバー構成は、週の半ばに挟んだ天皇杯から一転。現状のベストメンバーと言える布陣を組んだ。最終ラインには、体調不良で愛媛FC戦を回避した平智広が復帰。畠中槙之輔とともに、古巣との一戦に臨んだ。
試合開始直後は、互いに球際で激しい攻防を見せ、主導権の奪い合いの様相を呈した。そこで一歩先んじたのがヴェルディ。球際の攻防で一歩先を進み、プレスをいなしてボールを動かして、スペースを上手く突いてチャンスを作り出す。4分の高木善朗のファーストシュートを皮切りに立て続けにフィニッシュまで持ち込むと、6分に早くも試合を動かす。左サイドのスローインを一度最終ラインまで下げると、最初から大きく右サイドに開いていた安在和樹に向けて、畠中から多いなサイドチェンジのボールが通る。タッチライン際でトラップした安在はノールックで縦のスペースへパス。これにアランが反応して抜け出すと、ゴール前に鋭いクロスを入れる。これはドウグラスに合わなかったが、ファーサイドに流れたボールを高木善がフリーで拾うと、中の様子をうかがう余裕を持ちながら、後方から飛び込んできた渡辺皓太にクロス。渡辺が頭でコースを突き、嬉しいプロ初ゴールで先制点を挙げた。一気に畳み掛けようと猛攻を仕掛けるヴェルディ。10分にはまたも右サイドを攻略してゴール前に押し込む。ドウグラスのヘディングシュートはポストに直撃したが、さらに攻め手を強めて町田ゴールに迫る。30分にはドウグラスがカウンターからGKの頭上を狙った惜しいミドルシュートを放つ。その流れのコーナーキックからは、安西幸輝がダイレクトボレーシュートをポストにあて、リフレクションをアランが頭で合わせる決定機を2度立て続けに作り出すが、ともに追加点まで至らずに前半を折り返す。
後半に入ってもヴェルディの攻勢は緩まない。そして、51分、右から安在が蹴ったコーナーキックに畠中がマーカーにつかれながらも頭で合わせて追加点。その5分後には、カウンターのチャンスから、内田達也がゴール右寄りのスペースを狙うアランへパス。GKの出端を突き、アランがゴール左隅にシュートを流し込み、一気に突き放すことに成功した。ところが、3点のリードを奪った直後から守備が慌ただしくなる。決死の覚悟でゴールに迫ってくる相手に対して、大きくクリアするのが精一杯でなかなか自陣ゴール前の危険なエリアからボールをかき出せない。64分には吉田に反転しながらのシュートをゴールに叩き込まれて1点を返される。その後も前への圧力を強める相手を受けてしまい、なかなか反撃に出られない。カウンターで前にボールを運ぶ場面はあったが、後方からの押し上げとサポートが乏しく、反撃は単発に終わる。そんな苦しい状況を一気に変えてみせたのは、今シーズン思い切りの良いシュートを何度となく見せてきたレフティの個人技だった。77分、井上潮音のパスを受けて左サイドで勝負を仕掛けると、寄せてきた相手をワンタッチの“裏街道”で抜き去りゴールライン際をドリブルしてペナルティエリア内に侵入。マイナスのクロスを入れると思われたが、大胆に左足を振り抜き、アウトサイドに引っ掛けたシュートでゴールニアサイドを打ち抜き、逆サイドのゴールネットに突き刺してダメ押しの4点目。カウンターの精度が徐々に高まっていき、82分にはボール奪取した井上がドリブルで運んでカウンターを発動。左サイドから追い越してきた高木大輔へのパスはお互いの意図とはずれたが、高木大が機転を利かせて持ち替え、逆サイドでフリーになっていたドウグラスへラストパス。しかし、ドウグラスのシュートは相手GKの好守に阻まれた。終盤は球際の攻防でジャッジにフラストレーションを募らせ、納得しがたいプレーの直後にバイタルエリアを割られて1失点。点差こそ離れていたものの、ジャッジに反応した後の対応が遅れた点を踏まえて、不必要な失点を喫した。
ただし、アディショナルタイムの6分間はほとんど相手にチャンスらしいチャンスを作らせず、2点のリードを保ったままタイムアップ。連敗の後、4試合で2勝2分けの負けなしで勝ち点を積み上げ、上位陣の結果もあって3位に浮上した。アウェイ連戦となる次節は、熊本に乗り込んで前半戦の最終戦を戦う。シーズンの残り半分を占う重要な試合。今度こそ、序盤以来となる連勝を達成できるか。20試合を経て積み重ねた、チームとしての成長を証明する一戦としたい。
【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔選手】
――古巣相手のJリーグ初ゴールでしたが、試合を振り返ってください。
「古巣ということもあって気持ちも入っていたので、2失点してしまいましたが、チームとしてしっかりと結果を残せて良かったです」
――古巣相手に成長を見せられましたね。
「去年、一年間お世話になったクラブだったので、今年チームに戻ってどこまでできるかを見せることが、昨年ここで頑張った証だと思うので、今日はそれを出せて良かったです」
――相手のハイプレスへの対応はいかがでしたか?
「相手が前から来ることは分かっていましたが、今日に関しては思っていたほどではなかったです。結構、自分のところが余っていたので、両ウイングバックに捌けたので、相手もなかなか前から来なくなったと思います。相手の2トップに対して、3バックの誰かが余るので、良い感じで前半は両サイドから崩せました」
――次節に向けた意気込みを聞かせてください。
「次は前半最終節の熊本戦なので、順位を少しでも上でシーズンを折り返せるように頑張るので応援をお願いします」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】
――スーパーゴールを振り返ってください。
「最初はシュートのイメージではなく、クロスを上げようと思っていました。顔を上げた時に相手しか映らなかったので、それでクロスを上げてもクリアされると思い、思い切ってニア上に打つことを決めました」
――逆足の右ウイングバックでのプレーでどんなイメージを持って試合に入りましたか?
「高い位置に張って、町田は極端にサイドに寄るのでそこで自分が受けて、逆足の方が揺さぶるという点で楽になるという狙いがありました。そのイメージと仕掛け、相手が寄るぶんサイドで1対1になりやすいので、そこを意識しました」
――前線の選手がボールを収めたことも大きかったですね。
「意思疎通というか、町田がラインを高く設定している中、センターバック2人はあまり足が速くないので、ボールを持ったら裏に入れるという意識でした。手数をかけると町田がプレスに来るので、手数をかけずに早めに入れたことで主導権を取れたと思います」
――当初のゲームプラン通りにいきましたね。
「今日は狙い通りに行くことが多く、チームでやりたいことをうまく出せました。ただ、ちょっと後半苦しんだ場面もありましたが、ある程度うまくできました」
――畠中選手のゴールをアシストした場面を振り返ってください。
「前でイバ君あたりが潰れてくれて、その後ろに誰かが入ってくれたので、それが良かったですね」
【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】
――待望のJリーグ初ゴールですね。
「嬉しいです。予感は全くなかったですが、去年も今年も何度かチャンスがあったので、ようやく入ったという気持ちです。最近、前に行くことを意識しているので、そこは個人的に自信になります」
――ヘディングが得意ではない中、初ゴールがヘディングでしたね。
「自分でもまさかヘディングで初ゴールを決めるとは思っていなかったです。正直、びっくりしています。あの場面は完全にイメージ通りでヨシ君とも目が合って、めちゃくちゃ良いボールをくれたので感謝しています」
――警告はもらいましたが、球際での奮闘が光りましたね。
「今日に関しては球際で負けていなかったと思いますし、そういう部分はもっと伸ばしていきたいです。ただ、ひとつ余計なファウルがあったので、そこは反省点です。相手はセットプレーがストロングだったので、注意すべきでした」
――長短交えたパスで揺さぶるというゲームプランの中で意識したポイントを教えてください。
「町田はコンパクトにしてくることが分かっていたので、ボランチ経由よりもセンターバックからウイングバックへの一本のパスで打開できるので、そこは機能したと思います。今日は中盤で短く繋ぐよりも大きい展開がチームとしての狙いでした」
――ボール回しの安定が守備時のポジショニングの良さにも繋がったと思いますが。
「相手は速い攻撃とセットプレーが狙いと分かっていたので、そこはみんなの共通意識として注意できていました。自分も高い位置を取っていると、相手のカウンターの始まりを潰せるので、そういうところも今後考えながらプレーしていきたいです」
【試合後選手コメント:DF 5 平智広選手】
――試合を振り返ってください。
「前半は特に相手の裏を突く、自分たちの狙い通りのサッカーができていたと思います。そこで点も取れたし、良い入りだったと思います」
――完勝の一方で、今日も失点を喫してしまったことに関して聞かせてください。
「相手の狙いである裏への抜け出しに対して、ある程度ラインが下がってしまうことは予想していましたが、失点場面ではもっとできることがあったので、そこを突き詰めていかないと簡単に失点してしまうので、そこは個人が見直すべき点です」
――長短織り交ぜたパスが機能しました。
「相手がコンパクトにしてスライドしてくるのは分かっていたので、前半からああいう対角線のサイドチェンジというのは嫌がっていたので、後半も続けようと話し合っていました。全体を通して自分たちの狙い通りだったと思います」
――後ろから見ていて攻撃面の迫力は感じていましたか?
「相手が走らされていたし、特にドゥグとアランのところで収めてくれたり、抜け出し方もうまかったので、そこは良かったと思います。今日の攻撃に関してはある程度自分たちがやりたいことができました」
――今日に関しては相手の前線からの圧力はあまり感じなかったですか?
「相手も前から行きたがっていましたが、サイドチェンジで一発で崩されるという相手のウィークポイントを自分たちがうまく繋ごうとせず、シンプルに相手の背後を突くサッカーができたことで、相手のリズムにさせなかったです」
――今日は前線でボールが収まったことが大きかったですね。
「相手の前からのプレスに対して、ドウグラスのところで収まればチャンスになると分かっていたので、そこは今日彼らが身体を張って収めてくれたので助かりました」
――失点後に訪れた難しい時間の改善点をどのように考えていますか?
「特に、1失点した後にみんなで声を掛け合って、あの時間帯は我慢しようと共通意識を持ってやりました。ラッキーもありましたが、そこで崩れなかったのが良かったと思います。2失点はしましたが、あそこでズルズルと行かなかったのが良かったです」
――安在選手のスーパーな4点目が効きましたね。
「相手の方がダメージも来ていたと思います。最後まで相手も走っていましたが、あのゴールで自分たちに余裕が出てきました」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】
――監督が今日の勝利のカギは両ウイングバックの働きにあったと言っていましたが。
「結構、キツかったです。試合前に逆足(ウイングバック)でやると言われて、準備は利き足でしたが、ミーティングの中で今日の相手に対して、どれほど有効かを理解していました。アンカズが左足で一発で(サイドを)変えてくれると分かっていたので、それがうまい形で嵌りました」
――攻撃面はかなり迫力が出ていましたね。
「1対1の局面が多かったので、深いところであればアランにうまく渡したり、逆に僕のところでタメて落ち着かせることは考えていました。今日は攻撃面に関しては全部良かったと思います」
――長短織り交ぜたパスが機能しました。
「アンカズが良いボールをくれたので、アンカズのシュート(4点目)の前のコーナーキックもその形からでした。ああいうボールが今日は効いたと思いますし、中も空いてきたので、うまく3対1や3対2の状況を作れました。そこは良かったです」
――後輩の渡辺選手がJリーグ初ゴールを決めましたね。
「個人的に嬉しかったです。あいつはヘディングが下手くそなんですけど(笑)。でも、あいつは努力をしていますし、培ってきたものがようやく実ったと思います」
――同期の畠中選手もJリーグ初ゴールでしたね。
「あいつがゴールをした時は、(祝いに)行かないようにしていましたが、結局人数が少なかったので。ただ本当に良いシュートでした(笑)」
――1失点目の後に流れを渡したことについてはどのように捉えていますか?
「1本取られて焦ってしまったこともありますし、その後で続けてコーナーキックを与えてしまい、あそこで取られていたら分からない展開になっていたと思います。今日に関しては攻撃が良かったですが、守備は全然ダメでした。2試合で5失点しているようでは上には行けないので、しっかりと反省したいです」
――前回対戦に比べて縦に仕掛けられる場面が多かったですね。
「そうですね。ただ、1本ぐらい足を振っておけば良かったですね。ただ、選択肢として中も外もあったのは、相手にとって嫌だったと思います。前半はヨシ君と2人だけで崩す場面も多かったので、あれは練習通りというか、お互い毎回やっていないと通じ合わない部分ので、あれは良かったと思います」
【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「攻撃面では今シーズン最も良いプレーができたと思います。短いパスや長いパス、長短のパスを組み合わせてプレーできました。バランス良く長短のパスを繋いで、相手のエリアまでボールを運ぶことができました。難しい試合、難しいスタジアムで勝てたことにとても満足しています」
――今日、ハイパフォーマンスを見せた安在選手の可能性について聞かせてください。
「誰か一人が良かったというよりも、今日は全員が良いプレーをしたと思います。特に、アンカズ、コウキの両ウイングバックはとても良いプレーをしたと思います。アンカズはとてもフィジカルコンディションが整っており、とても準備ができた選手です。特に、今日でシーズン3点目を決めています。ゴールを決められる選手はどのチームにとっても重要だと思います」