MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、立て続けの連戦の2ターン目の初戦、敵地に乗り込んで戦ったカマタマーレ讃岐戦をスコアレスドローで終えたヴェルディ。引いた相手を崩し切れず、逆にセットプレーからピンチを招きながら、相手の決定力不足にも助けられて勝ち点1を持ち帰った。中3日で迎える今節は、讃岐とは一転してラインを高く保って前への圧力を強めてくるジェフユナイテッド千葉。2シーズン前まで在籍していたGK佐藤優也が高いラインの背後をカバーするため通常のGKよりも前に出てくるのが特徴だ。
その高いラインの背後を効果的に突くために、ロティーナ監督はスピードを見込んで中野雅臣をスタメンで1トップに抜擢した。またボランチには渡辺皓太を湘南ベルマーレ戦以来となるスタメンで起用した。
序盤、やはり前に出てきたのは千葉だった。最終ラインを高く上げて前線から連動してプレスをかけ、ヴェルディのビルドアップを遮断して押し込んでくる。相手のハイプレスをはがしてボールを前線に運ぶのがヴェルディの狙いだが、いざマイボールになっても前線に思うようにボールがつながらず、前半のほとんどの時間を自陣で過ごした。3分にはラインの背後を突かれてフリーで飛び出されるが、柴崎貴広がタイミングよく間合いをつめて身体を張ってブロックした。思うように攻撃が組み立てられないなかでも、カウンターから最初のチャンスを作る。13分、サイドチェンジをアランが競ったこぼれ球を安在和樹が拾い、右サイドから低いクロスをゴール前に入れる。ニアで中野が足を懸命に伸ばしてボールに触ったが、ゴールの隅に飛んだボールは相手GKにキャッチされた。39分には、ワイドに相手を揺さぶり、自陣浅い位置から畠中槙之輔が大きく右サイドへ展開すると、DFを引きつけた安在がスペースに落としたボールにアランが飛び込んで2対1の状態でチャンスメイク。アランのシュートは相手GKに防がれたが、千葉対策が形になった場面だった。逆に41分には3分と同じような形で背後をとられてピンチを招くが、相手のシュートは枠からそれた。
押し込まれ気味だった前半を経て、ロティーナ監督は攻守両面で修正点を伝え、ロッカーアウト直前には「いい形で守れている! チャンスは来るぞ! 諦めるな!」と鼓舞してチームを送り出した。
気持ちを切り替えて臨んだ後半、しかし最初に決定機を作ったのは相手だった。48分、右サイドをラリベイに割られてゴール前にクロスを入れられる。ファーサイドで船山が落としたボールを2列目から飛び込んだアランダにフリー押し込まれるが、これは右ポストに当たって枠から逸れた。後半も厳しい展開が続くかに思われたが、ひとつの交代をきっかけにガラリと流れが変わった。53分にドウグラスを投入すると、そこにボールが収まり、相手のプレスをかいくぐった後に後方からラインを押し上げてスムーズに攻撃に転じるようになる。直後の55分、相手が最終ラインでボールを回すなかで、アランがインターセプト、ドウグラスがボールを受けてドリブルで運びながら、右サイドからスペースに飛び込むアランへパス。DFを背負いながらも倒れながら左足で鋭いシュートを放つと、これがゴール左隅に突き刺さり先制に成功した。ドウグラスの投入、そして先制に成功したことで、流れは完全にヴェルディに傾いた。無理をせずに、前線からボールを追いこんで最終ラインではじきかえすと、ラインの背後を突いてカウンターを繰り出す。69分、自陣から内田達也が左サイドのスペースへロングボールを入れると、後半からサイドをスイッチした安在がスペースへ抜け出してワンタッチで中にクロス。ペナルティエリア中央エリアで高木善朗がボールを受けると、反転しながらボールを持ち出して相手を誘い込み、股を抜くシュートでGKも反応できないシュートをゴール左隅に流し込んで追加点を奪った。反撃に出ようと前に出てくる千葉を尻目に、逆に攻勢をかけたのはヴェルディだった。焦りからミスを連発する相手からボールを奪うと、シンプルに縦に早くつけて高い位置までボールを運んでいく。77分には、またも自陣から井林章が高く蹴り込んだロングボールが相手の背後に流れ、ドウグラスと高木善がそこに反応して飛び込み、相手DFと2対1の状況を作り出す。ドウグラスが巧みに走りながらDFをブロックし、高木善が一度コントロールしたボールの落ち際を豪快な左足のボレーシュートで叩き込んで3点目。その後は、相手の攻撃を最終ラインも含めて連動した守備でシャットアウトし、決定機らしい決定機を作らせず、完璧な試合運びで試合を締めた。
次節は中3日で京都サンガF.C.をホームに迎える。上位戦線が団子状態からやや絞られつつある状況で、このホーム連戦はなんとしても勝利したい。前線に強烈な個を持つチームを相手に、こちらは組織的な攻守で今日のような試合運びをしたいところ。コンディションは非常に厳しい状態だが、少ない準備期間を有効に使い、上位戦線を勝ち残っていく。
【試合後選手コメント:FW 10 高木善朗選手】
――試合を振り返ってください。
「前半は全くうまくいかず、相手に主導権を握られる展開だったので、苦しい時間も続きましたが、我慢してゼロに抑えたディフェンス陣もいましたし、しっかりと得点を取るべきところで取れて良かったです」
――ドウグラス選手の投入を機に試合が動きましたが、チームとして大きく変わった部分を教えてください。
「ドウグラスが入ったことで、ボールが収まる時間が増え、そこでタメを作ってくれると、アランも僕も動き出しができる時間が増えるので、初めて前でボールが触れる時間帯に点が取れました」
――ご自身、1点目では安在和樹選手からのクロスを受けて巧みな反転シュートでしたね。
「ボールが来た時点で自分でシュートを打とうと思っていたので、しっかりと相手と駆け引きし、相手の股が開くと思ったので、その通りに開いてきてイメージ通りに決められて良かったです」
――2点目では良い形でふかさずにシュートを決められましたね。
「あれだけフリーにしてもらっていたので、決めないとまずいなという思いでした。足はサイドに打ったらキーパーが出てくるなと思っていたので、うまくニアサイドの上に飛ばせて良かったです」
――後半に関しては攻勢に転じる時間が長かったですが。
「思い切って前線からプレッシャーにいき、1点目も自分のプレッシャーからでしたが、相手のミスを誘って、流れ的に全員がイケると思ったことが大きかったと思います」
――後半からプレッシャーの勢いが強まったことに関して、ハーフタイムに具体的な指示があったのでしょうか?
「前から行けというのと、ドウグラスが入ってきた時に、自分の中では相手のディフェンスの前でボールを受けられる感覚もあって、そこでチームに勢いが付き、前線からプレッシャーに行けて、ゴールも取れました」
――決定機をきっちり決めて勝ち切った試合でしたね。
「サッカーは決定機を決めれば勝てるゲームですし、どれだけ相手に決定機を与えないということも重要です。今日に関しては向こうに決定機もありましたが、こちらが決めて、向こうが決められなかった試合でした」
【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】
――試合を振り返ってください。
「前半はなかなか上手くいかず、ただ後半は今週やってきたことを出せて少しはうまくできたと思います。相手のプレッシャーを感じてしまい、なかなか自分たちで繋げず、効果的に裏へボールも出せませんでした」
――思った以上に押し込まれた印象ですか?
「マンツーマンで前からボールを奪いに行くつもりでしたが、相手もうまくて剥がされる場面が多く、後半は引っ掛けることができるようになり、点も取ることができました」
――個人的な手応えはいかがですか?
「ボールは奪えましたが、前半は自分たちでボールを持てなかったので、そこはボランチの自分の責任だと思います」
――後半は果敢な持ち上がりも見せましたが。
「自分の前にスペースが空いていたので、最後まで行くつもりでしたが、足が攣ってしまい、動けなかったです(笑)」
――前半に関しては背後を狙う形をメインに据えて、プラスアルファ繋ぐ意識を持っていたという感じでしょうか?
「繋ぎながらうまくバックパスしたところで、相手のラインを持ってロングボールを使えれば良かったのですが、今日に関しては苦し紛れに蹴る場面が多く、なかなか効果的ではなかったです。そこはうまくいかなかったポイントです」
――良い時間帯のゴールで勢いが出た一方、相手のバタ付きも目立っていた印象ですが。
「1点取れたことが大きくて、そこで1点に終わらず追加点を奪えたことは、いつもに比べて良かったポイントです」
――ご自身としては先発出場でチームが勝利したのは、これが初めてだと思いますが。
「今季は湘南戦で初めてスタメンで出て負けてしまったので、今回先発で出てチームが勝てたことは自信になります」
――今季先発2試合目でペース配分という部分はいかがですか?
「ケガで開幕前に出遅れて、少し不安でしたが、これから少しずつ試合に出てコンディションを上げていきたいです。そのためにももっと試合に絡んでいきたいです」
――今季に関しては同じポジションに入る橋本英郎選手のプレーは良い教材になっているのではないでしょうか?
「自分にはないポジショニングで相手を剥がせていますし、ボールを受ける位置、パスを出す場所など、全て勉強になっています。できれば、その全てを盗んでいきたいです」
――前半に関しては獲り切れないものの、コースを限定する守備はできていたと思いますが。
「コースを限定してパスカットしたりできていましたが、後半はさらにボールを奪うことができました。それを前半からやりたかったです。」
――勝ち切れない中での今日の勝利は大きいですね。
「こういう難しい試合を勝ち切れたことで、今後この勝ち点3が大きな意味を持ってくると思うので、どんな内容でも勝ち切っていきたいです」
【試合後選手コメント:MF 11 中野雅臣選手】
――出場機会が増えている中で、次の試合ではどんなプレーイメージがありますか?
「今日は相手もあって、背後に抜ける動きが多かったですが、フォワードをやっているので、背負う部分、色んな試合で頂点でボールを収める働きが大事になると思います。練習からそういった動きをやっているので、それをうまく背後に抜ける動きと、相手を背負って収めるプレー、クロスからのシュートという形など、ゴールに向かうプレーを見せていきたいです」
――前線は多くの役割を求められますね。
「そうですね。それに守備もあるので大変です」
【試合後選手コメント:DF 4 畠中槙之輔選手】
――試合を振り返ってください。
「監督がやりたいことというか、ゲームプランは相手の背後にボールを落とすという形でしたが、序盤はそれができていたと思います。途中から相手も後ろが戸惑いだして、こっちが回せる状況になりましたが、そこでプランチェンジできずに、蹴る形が多かったことはもったいなかったです」
――思ったよりも相手のプレッシャーを感じた印象ですか?
「最初の頃は相手が来るなという感覚がありましたが、ある意味スカウティング通りだったので、シンプルに裏も取れていました」
――前半はアラン選手のサイドに長いボールを蹴る形が目立っていましたが。
「アランだけでなく、両サイドの裏に落とすボールを意識していましたが、アランの方がマイボールになる可能性が多く、皆蹴ることが多かったと思います」
――前半押し込まれた中で、粘り強くゼロで凌ぎましたね。
「押し込まれるというよりも回させていたという感覚でしたが、結果的にゼロで抑えられて良かったです。ただ、危ないシーンが前後半あったので、そこを改善しないと、いつやられてもおかしくないです」
――こだわっているゼロで抑える部分に関しては、2試合連続で達成できましたね。
「ゼロで抑えることはディフェンスにとって何より嬉しいことですが、危ないシーンがあったことも反省したいです」
――良い時間帯のゴールで勢いが出た一方、相手のバタ付きも目立っていた印象ですが。
「自分たちが点を取ってから、相手もちょっと前に出なければいけないという部分が出て、そこから自分たちが2点、3点と畳みかけられたことは、チームにとって試合を楽にした要因だと思います」
――リードを奪ってからの試合の終わらせ方は安定していた印象ですが。
「ただ、欲を言えば、もっとラインをコントロールして相手にチャンスを作らせないように締めないとダメでした。指宿選手とかが入ってラインを下げ過ぎてしまったと思います。イメージとは違って少し下がり過ぎました」
――課題を見つけながらも勝って試合を終えられる点は大きいですね。
「今までも修正点が多かった中、新たに出てくることは良いことではないですが、それをしっかりと個人で自覚もできているので、それは今後に繋がると思います」
【試合後選手コメント:FW 9 ドウグラス・ヴィエイラ選手】
――3試合ぶりの勝利ですね。
「ありがとうございます。応援して頂いた皆さんに感謝しています」
――今日は途中投入でしたが、監督からどのような指示を受けていましたか。
「もちろん、途中出場ということは、チームが勝つための助けになる必要があるので、集中して試合に入り、その結果勝つことができました。良かったです」
――アラン・ピニェイロ選手へのアシストの場面を振り返ってください。
「ドリブルで運んでいき、良いタイミングでアランにパスを出すことができました。彼が決めてくれてゴールに繋がり、チーム全体に対しておめでとうと言いたいです」
――前線からの守備でもチームを助けましたね。
「後ろの選手も前の選手を助けてくれていますし、僕たちもディフェンスの選手を助けることがチームのために必要なことなので、チームが1つになった結果が、こういう結果を生んだと思います」
【試合後監督コメント: ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督】
――試合を振り返ってください。
「私たちにとって非常に難しい試合でした。前半は相手に支配されて、とても走ることを余儀なくされました。決定的なチャンスも相手の方が多かったと思います。後半もはじめに相手に決定機があり、それがポストに当たったということは、私たちにとってとても運が良いことだったと思います。ただ、後半はより良いサッカーができたと思います。前線からプレスをかけることができ、ボールを奪うことができました。そして、カウンターからドウグラスとアランのプレーで1点を取ることができました。その後はより自信を持ってプレーでき、ディフェンスも変わらず、良いディフェンスができました。それによって自信を持って攻撃にも出られましたし、ヨシに素晴らしい2点が生まれました。このカテゴリーの中で最も良いチームの1つからの勝利でした」
――相手のスタイルを判断して、後半勝負のゲームプランを考えていたのでしょうか?
「後半はより強いプレスをかけられたので、相手の空いていたスペースを生かすことができました。ただ、特に前半抑えて後半から行くという予定ではなかったですが、より後半の方が良いプレスができ、より高い位置でボールを奪うことができました。前半もボールは奪えていましたが、相手のゴールが遠かったです」
――左利きの安在和樹選手を前半は右サイドで使い、後半から左サイドで使った意図を教えてください。
「逆サイドの安西幸輝が右サイドよりも左サイドで良いプレーができるということがあります。アンカズは両サイドでプレーができる。前半に関しては良いプレー、センタリングが上げられていなかったので、途中から右と左を入れ替えました。今日に関してアンカズが左の方が良いプレーができていたことは事実だと思います。2人の選手が両サイドでプレーできることは、監督にとって運が良いことです。今後の試合でも2人のサイドを入れ替えて使っていきたいです」
――ドウグラス・ヴィエイラ選手の投入の意図を聞かせてください。
「今日、中野雅臣を先発で起用した理由は2つあります。1つはトレーニングで非常に良いプレーをしていること。マサ以外の他の控え選手も非常に良いトレーニングをしてくれています。控えの選手が良いトレーニングをしていることは非常に良いことであり、今日はマサがそのチャンスを掴みました。また、マサを使ったもう1つの理由というのが、相手が高いラインを敷いてくる。その中でマサがチームで1番スピードのある選手なので、彼を使いました。彼の起用で相手の背後のスペースを活用したいと思っていました。マサの仕事には満足しており、相手の脅威になっていたと思います。その後、ドウグラスを入れて彼はよりプレーに参加して、より相手の脅威になったと思います。マサと比較してというよりも、相手にとってチームの攻撃がより脅威になっていたと思います」
――2点を決めた高木善朗選手の評価について聞かせてください。
「ヨシに能力があるということは事実だと思いますし、彼は簡単にゴールを決めてしまいます。ゴールを決めることは、どの世界でも重要なことです。ヨシのディフェンス面に関しては、カジ、アラン、ドウグラス、ダイスケ、その他の前線の選手と比べてもそん色がない仕事量だと思っています。私たちのチームにとって、前線の選手がディフェンスに参加してハードワークすることは、とても重要なことです。彼のプレーにとても満足しています。ただ、今日に関しては疲れていたということも事実で、ヨシが2点目を奪う前に交代させることを決めていましたが、彼が交代前にゴールを決めたことは良かったと思います」