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MATCH試合情報

2017 明治安田生命J2リーグ 第8節 - モンテディオ山形 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

前節、首位に立って迎えた湘南ベルマーレとの上位直接対決で試合終了間際のゴールで1点を返しながらも2-3で惜敗したヴェルディ。連勝で手に入れた自信と勢いを失わないためにも、敵地に乗り込む今節で勝利し、流れを引き戻したいところ。前節勝利しているモンテディオ山形をスカウティングし、チームはスタメンに変化をつけた。安西幸輝を右サイドMFに起用し、梶川諒太を左FWとしてヴェルディ復帰後初スタメンでピッチに立たせた。

 

朝から降る雨はピッチを濡らし、キックオフ時からスリッピーなピッチコンディションが両チームを苦しめた。序盤はともに慎重な立ち上がりで、ボールが行ったり来たりする展開。そこで技術の差を見せたのはヴェルディだった。濡れたボールのコントロールにいち早く慣れた緑のユニフォームは、少ないタッチでボールを動かして、山形のプレスをはがしながらゴールに迫る。最初の大きなチャンスは20分。コーナーキックの流れでゴール前に何度か押し込むと、クリアボールに反応した安在和樹がワンタッチで左足を振り抜く。前節の湘南戦を彷彿させる場面で相手GKは一歩も動けなかったが、ボールはポストの角に当たって枠の外へと逸れていった。攻め手を緩めないヴェルディ。前後左右にピッチを広く使いながら、緩急をつけてスペースを作り出してはそこを突いてバイタルエリアに侵入していく。すると35分に前半最大のチャンスが訪れる。左サイドで2対1の数的優位な状況から安在がスペースへ飛び出してペナルティエリア内へ。対角線方向に打ち込んだシュートは相手GKにはじかれたが、こぼれ球がゴール前に詰めていた梶川の元へ。フリーの状態で押し込める場面だったが、ゴールカバーに入るDFとポジションにつこうと慌てて動くGKの逆を狙って打ったシュートはゴールの左へと逸れた。守備では、ほとんど穴を作らず、何度かゴール前に押し込まれる場面もあったが、チャンスと言えるようなシーンを与えずに前半を折り返した。

 

勝負を決めにいく後半も、試合のペースはヴェルディが握った。前半以上に縦への圧力を強め、ゴールへと迫っていく。そして立ち上がりの52分、この試合の分水嶺とも言えるプレーが出た。相手GKがペナルティエリアを大きく飛び出してボールを処理するところにアランが猛プッシュ。相手GKがたまらずボールを空振りすると、ボールはプレスをかけたアランの足元へ。相手DFが寄せる前に無人のゴールを狙って30メートル近い距離を狙ったが、ボールはゴールのわずかに右へと外れた。相手のミスに乗じたこれ以上ない決定的な場面を逃すと、リズムが停滞して相手の押し込まれる時間帯が訪れた。自陣に下がって対応する中で、前半は完璧な対応を見せていた守備が綻ぶ。67分、左サイドから崩されてクロスをゴール前に入れられると、決定的なシュートを一度は柴崎貴広が鋭い反応で防いだが、こぼれ球を拾われてゴールカバーの頭上を抜くシュートで押し込まれて失点。前節はここで守備が崩れて失点を重ねたが、この日は前への圧力を強め、さらに球際に執着して相手にボールを保持することすら許さない圧巻のサッカーを展開する。76分に高木善朗が相手選手の間でボールを受けて反転し、そのままドリブルからシュートを打った場面は、チームのゴールに向かう強い姿勢を象徴していた。地を這うような強烈なシュートは濡れたピッチの上で伸びて相手GKの反応をものともせずにゴールに向かったが、勢いが強くポストに直撃。撥ね返りを梶川が詰めていたが、勢いが強く押し込み切れず。その後、橋本英郎とドウグラスを投入し、中盤でボールをしっかりと保持しながら高い位置で起点を作る。何度もバイタルエリアに侵入し、ペナルティエリア内でドウグラスやアランが倒される場面もあったが、どちらもノーファウルのジャッジ。セットプレーの流れから相手の背後に抜け出した内田達也が相手GKの前でクロスの軌道を変えるチャンスもあったが、ボールはゴールの上へと抜けていった。反撃の余地を与えず、失ったボールを最終ラインとボランチで力づくで回収し、すぐにショートカウンターへとつなげる展開を続けたが、この日はネットを揺らすことができず。結局、開幕戦以来となるノーゴールで1点に泣く形となった。

 

5連勝後の連敗。結果は、確かに厳しいものを突き付けられている。しかし、指揮官が試合後に強調するように、新たなスタイルに取り組んでいる今のヴェルディにあって、前節の湘南戦に続いて理想的なプレーができつつあるのは事実だ。大切なのは、自分たちのやり方を貫いて、確固たるスタイルを築き上げること。その先には、試合を支配して勝利を重ねていく本当の強さが待っている。もちろん勝ち切れなかった要因を分析し、そこを改善する作業も重要だ。次節こそ勝利のサイクルに戻るために、これまでの取り組みを継続しながら、ホーム味の素スタジアムでの勝利に向けた準備を進めていく。

 

 

【試合後選手コメント:FW 38 梶川諒太】

――まずは試合を振り返ってください。

「相手が後ろからつなごうとしているところに、前半からしっかりかけていこうという点では、相手が嫌がっていたシーンもありましたし、決定機も相手には作らせなかったんですが、逆に取れるシーンで点を取れませんでした。僕のところで2本ありましたし、あの場面を決め切れていれば、違った展開になっていたし、もっと楽に試合を進められたのではないかなと思います。そこは非常に申し訳ないと思っています」

――結果は負けですが、内容という部分では理想の展開には近づいている?

「何本か良い形もありましたし、決め切るところだけだったんですけど…。あとはカウンター1本でやられてしまった場面ももったいないところもありますけど、本当に決めるところを決めることができれば、ここまで苦しい試合にはならなかったと思います」

――次はホームに戻ります。連敗を止めるために、何が必要になりますか?

「勝っている時もそうでしたけど、毎週の試合に向けてトレーニングを積み重ねている部分があるので、特に何かを変えるということよりは、しっかりいつも通り週末の試合に向けて良い準備をしていくということができれば、今日も何もできなかった試合ではないですから。毎日のトレーニングをしっかりやり続けること、とにかく前向きに続けていくしかないです」

 

 

【試合後選手コメント:MF 2 安西幸輝】

――今日は本来のポジションである右サイドMFでの起用でした。

「自分としては、ゴールよりもアシストや守備のことを意識していて、久しぶりのウイングバックのポジションだったので、相手の対面の選手に走り負けないなど、単純なところを意識してシンプルなプレーを心掛けました」

――今日はチームのやりたいことができていた?

「できていたと思うんですが、結果がついてこなかったのがもったいないですね。前半は相手が何もできていなかったので自信を持っていけたんですが、こういった試合を落としてしまうとちょっとショックが大きいなとは思いました」

――チャンスの数は相手の比ではなかったと思います。

「決め切れるチャンスが5、6回あったので、『たら、れば』になってしまいますけど、それが入っていれば勝てた試合でした」

――安西選手のエリア、途中で左右が入れ替わりましたが、どちらにせよサイドでは主導権を握りましたね。

「相手のサイドバックの選手はクロスが上手いので、その選手にクロスを上げさせないというのは意識しましたし、実際に一本も上げさせていないので、そこは良かったと思いました。ただ、攻撃のところではもっとアイデアを出せると良かったなと感じています」

――連勝後の連敗。この流れを止めるために、どんなことが必要ですか?

「一回リセットして、ホームで勝てるように頑張ります」

 

 

【試合後監督コメント:ミゲル アンヘル ロティーナ監督】

――試合を振り返ってください。

「前半はすごく良い試合ができたと思います。ボールを支配して、チャンスも作れていたと思います。ゴールを決められるチャンスもありましたが、それを決め切ることはできませんでした。後半は少し焦りが見えました。忍耐強さが欠けているように感じました。そして、相手にカウンターのチャンスを与えてしまいました。最低でも引き分けで良かった試合だと思います。ただ、相手が1点を決めて、それで勝利しました。彼らを祝福したいと思います。しかし、我々のプレーは悪くなかったと思います」

――前節、失点後に精神的に崩れたという話がありましたが、今日は失点後にしっかりと立て直したように見えました。その点の成長については?

「彼らのメンタルはすごく良かったと思います。失点の直後に、すぐに同点を目指してゴールに向かうプレーができていました」

――監督のキャリアの中で、チャンスがありながら決め切れなかった試合は多々あると思いますが、この連敗がチームに与える教訓はなんでしょうか?

「この2連敗が僕たちに与えるのは“悲しさ”ですが、チームが良いプレーをしているので落ち着いています。基本的にこういう試合は勝てる試合だったと思います。でもそれがサッカーで、複雑なスポーツだということです。彼らは少ないチャンスでゴールを決めた。彼らを祝福したいと思います」

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