MATCH試合情報
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【試合展開】
シーズンも残り10試合に突入した前節、ホームにジェフユナイテッド千葉を迎えたヴェルディ。序盤からハイペースで相手を押し込んで先制したものの、前半の終盤から受け身に回って相手の猛反撃に耐える展開を強いられ、終盤に同点ゴールを許して勝ち点1を得るにとどまった。残り9試合で勝利のサイクルに乗るべく、今節はFC町田ゼルビアとの『東京クラシック』を戦った。同じ東京に本拠地を置くチーム同士のいわばダービーマッチ。前半戦ではホームで試合終了間際の決勝弾で敗れた悔しさもあり、この試合で雪辱を果たしたい一戦。ヴェルディは井上潮音が離脱し、中後雅喜と船山祐二のダブルボランチを選択。前節試合途中で負傷交代した鈴木椋大に代わり、柴崎貴広がゴールマウスを預かった。
立ち上がりはヴェルディのペースだった。サイドでショートパスをつなぎながら相手を引き出し、サイドを大きく変えるロングボールでスペースを尽き、揺さぶりながらゴールを目指す。相手はこの揺さぶりについていけていなかった。その証拠に、4分にはロングボールで背後をとられたカルフィン・ヨン・ア・ピンがドウグラスを倒して警告を受けている。その直後には、左サイドからのスローインを起点にドウグラスがファーストシュートを打ち、ヴェルディがこの試合に向けた意気込みをプレーで示した。ところが、その流れはあっさりと打ち切られてしまう。8分、カウンターから左サイドを突かれ、仲川のアーリークロスに対してゴール前で3対2の数的優位を持ちながらマークが曖昧になり、走り込んできた中村を捕まえ切れずに頭で合わされてゴールに流し込まれた。あまりにあっさりとした失点は、ヴェルディに大きなダメージとなってのしかかる。9分には反撃を急ぐあまりミスからボールロスト。仲川にフリーで抜け出されたが、これは柴崎がタイミングよく飛び出してシュートブロックした。この場面のように、先制を許してからは一つひとつのプレーに焦りの色が見え隠れする。相手の前線の起点を潰し切れずに最終ラインが下がっていき、反撃に出きれないもどかしさも焦りに拍車を掛けた。26分には4分の場面と同じようにドウグラスがロングボールに抜け出し、マークのカルフィン・ヨン・ア・ピンの前に身体を入れたところで背後から引き倒され、この日2枚目の警告でカルフィン・ヨン・ア・ピン退場に。ここで数的優位に立ったものの、焦りから攻撃時のプレー精度が低く、組み立てのパスやフィニッシュ手前のプレーがずれて攻め切れない。そうこうする内に、高い位置での起点を潰し切れずにコーナーキックを与えると、ひとり少ない相手に完璧な形で合わされて中村に頭でこの日2点目のゴールを献上した。
「相手の前線の起点を潰してラインを下げずに対応する」。冨樫監督がハーフタイムに最初に強調したポイントをベースに、前に向けてボールを動かしていくことを目指した後半。結論から言えば、前半のもどかしさは消えてボールを保持して攻め込む時間帯が大半だった。相手の反撃をチャレンジ&カバーを徹底して単発に終わらせると、サイドに素早くボールを渡して、クロスをゴール前に入れる形で反撃の糸口探った。しかし、今日はクロスがまったくゴール前に合わず、逆サイドに流れたり、ニアで潰される場面が目立つ。相手ディフェンダーの間に飛び込む味方はいるものの、ピンポイントでそこに合うボールが出てこない。それでも68分にフリーキックでゴール前に迫り、残っていた平智広が古巣のゴールに押し込んで1点を返した。残るは20分強。割り切って中央を固める相手に対して、ヴェルディはワイドに揺さぶりながらも、サイドだけでなく中央の狭いエリアでも勝負して相手のマークを分散させた。後半スタートから投入された渡辺皓太が高い位置でボールに絡み、バイタルエリアで崩しに加わってチャンスを作り出した。同じく後半の途中から投入された澤井直人が豪快にボレーシュートを打つ場面もあったが、惜しいシュートシーンはことごとく相手ゴールキーパーの正面を突いた。
アディショナルタイムに突入する直前には、左サイドからのクロスをゴールファーで井林章が合わせるも、わずかにポストをかすめながら逸れた。後半はボールポゼッションで相手を圧倒したが、守備を固める相手をなかなか引き出せず、崩し切ってチャンスを作り出すまでには至らず。同点、そして逆転のゴールを挙げられずにタイムアップを迎えた。
リーグ戦も残り8試合となり、団子レースが続いたリーグ戦も上位、中位、下位が分かれつつある。ここで中位に食らい付いていき、終盤戦で勢いに乗って追い上げるには、攻守両面でプレー精度と戦術遂行力の向上が望まれる。次節、1日準備期間が少ない土曜日のホームゲームで勝ち点3を積み上げ、一歩ずつ歩みを前に進めていきたい。
【試合後選手コメント:DF 5 平智広選手】
――古巣との対戦でしたが。
「やっぱり、球際で強く来ますし、切り替えも速く、縦に速い攻撃はディフェンスにとってもっとも嫌なことなので、そこを徹底されてしまったのが、前半自分たちのリズムにならなかった原因だったと思います」
――相手が退場者を出した後はどんな意識でプレーしていましたか?
「相手が10人で引いてくることは分かっていたので、そこで焦れずに自分たちがどう崩していくのか、そこを課題にやっていました。相手はゴール前を固めてシュートに行くまでに、必ず出てきたので、守備は固いなと思っていました。相手が中を締めていたので必然的にサイドが空くので、そこをシンプルに使ってどう崩すか、という形で点を取りに行きましたが、最終的に中にボールが来るのを相手も分かっていたので、上手く守られてしまいました」
――相手のカウンターへの対応に関してはいかがでしたか?
「自分たちが変なボールの奪われ方をした瞬間に、相手のフォワードがスペースに走り込んでそこにボールが出てくるという攻撃は相手の強みなので、そこへの対応は、前半特に11対11の時間は手こずりました。後半は井林と声を掛け合いながらリスク管理をしていました」
――対戦相手として初めて町田のピッチに立った感想はいかがでしたか?
「3年間ホームグラウンドとしてプレーしてきたので、そこは懐かしいなという思いもありましたが、試合には絶対に勝ちたいと思って臨んでいたので、そこは悔しいです」
――古巣相手の恩返し弾についての感想はいかがですか?
「こぼれ球だったんですけど、1点返して最低でも同点に追いつきたかったのですが…。得点は嬉しい反面、負けたので残念です」
――ディフェンスの選手としては自分の1点よりもチームの2失点が悔しいものですか?
「そうですね。特に、立ち上がりの部分では自分のミスから失点に繋がってしまったので、もったいない入りになってしまいました。そこでチームが浮足立つというか、簡単な失点で少しバタ付く形になったので、自分の責任を感じています」
――古巣ということで意識した部分はありますか?
「古巣ですが、出ているメンバーの半分ぐらいは知らないというか、去年居なかったメンバーだったので、そこは必要以上に気にしていませんでした。出ている選手で知っているプレーヤーに関しては、みんなに注意するように伝えました」
【試合後選手コメント:MF 33 渡辺皓太選手】
――途中投入の際に監督からどんな指示を受けましたか?
「得点に絡むことやセカンドボールを拾っていくようにと、指示されていました」
――難しい展開での投入が続きますが、そこに難しさを感じることはありますか?
「難しいですけど、そこでチームを勝利に導けるようにやっていけないとダメだと思います」
――相手が1人少ない中での投入でリスクを冒せるという気持ちの余裕はありましたか?
「相手が1人少なかったので、ボランチとして入りましたが、あんまりそこにこだわらずに、どんどん前に出ていくことを意識していました」
――フィニッシュのシーンに顔を出す場面もありましたが、なかなか崩し切れなかった印象ですが。
「最後の良いところまではいきますが、最後の精度がまだまだ上げないといけない部分だと思うので、そこは練習からやっていきたいです」
――以前にも似たような場面がありましたが、決定機でシュートをふかしてしまったのは、技術的な精度の問題でしょうか?
「あれは技術的な問題というよりも精神的な問題でした。もっと落ち着いていなければならなかったのですが、ちょっと慌ててしまいました。もっと冷静にいつもの練習のようにやっていきたいです。とにかく、枠に入れないとダメです」
【試合後選手コメント:MF 32 二川孝広選手】
――10人の相手に対して難しい試合になりましたね。
「相手が少なくなってからまだ1点差だったのですが、注意しないといけないセットプレーでまた点を取られてしまい、本当に大きなダメージを負ったと思いますし、集中力が足りなかったと思います」
――相手の得意な形でやられてしまう試合が多すぎる印象ですが。
「本当にミーティングから注意もしてきたはずですし、それでもやられているのは、甘さがあったと言わざるを得ないです」
――前半に関して相手が1人少なくなって以降の時間にもっと自分たちの形を作りたかったですね。
「サイドからクロスを入れる部分はできていましたが、それだけになっていた感覚もあります。なかなか中から崩す形がなく、相手も守り易かったのかなと思います」
――前半序盤に4-2-3-1から4-4-2にシステム変更した狙いはなんだったのでしょうか?
「なかなかボールが収まらなかった部分があったと思いますし、もうちょっと前から圧力をかけていくという部分で変えたのだと思います」
――相手が徹底的に中央を締めていた状況でどういった崩し方をイメージしていましたか?
「揺さぶりながら空いたスペースに縦パスを入れたりというのは狙っていましたが、サイドばかりになってしまい、なかなかイメージ通りにいかなかったです。やっぱり、もっと中で崩すシーンを増やしたかったです」
――チームとして波に乗れない状況が続いていますが。
「集中力を保ってやらないと、今後もギリギリの試合が続くと思うので、そういうところが最終的に勝利に繋がっていくので、もっと集中して粘り強く戦いたいです」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】
――1失点目に関して振り返ってください。
「失点場面ではこっちの方が人数も多かったと思いますが、失点してしまうのはちょっとまずいです。場所は違えど、前回の千葉戦と同じですね。そのへんの声のかけ方という部分で防げたと思うので、チームとして問題ですね」
――2失点目に関してももったいない失点でした。
「相手にとってはラッキーでしたし、こっちからしたらもったいないです。決められた選手はそんなに大きくない中で、ウチは空中戦に一番強い人が付いてやられたのはもったいないです」
――前後半を通じて数的優位を生かした中で攻撃の改善点はどこにありましたか?
「前半に関しては時間もすごくあったので、あんなに攻め急がず、相手が10人なのでもっと相手に起点を作らせず、後半のように潰して行きたかったです。少し腰が引けた部分も感じていました。もっとボールを動かして攻めたかったです。サイドで数的優位を作り出すやり方もあったと思いますが、クロスを上げる側としてはもっと中に人数をかけたかったです。僕がサイドでボールを受けても、中に1人しかいない場面が多かったので…」
――前回対戦と比べての感想はいかがですか?
「相手も1人少ないという状況の違いもあり、自分たちが追う展開だったので、やれるとは思っていました。同数の時間帯は相手の勢いもありましたが、ドウグラスが裏に抜け出す場面もあったりして、五分五分だったとは思います。ただ、2失点目も1失点目ももったいなかったです」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「前期、非常に悔しい負けを喫して、その悔しい気持ちをしっかりと持ってトレーニングに臨み、そして今日のゲームを迎えました。入りは非常に良かったと思いますが、自分たちのミスからカウンターで失点してしまった。また、そのカウンターのところも自分たちの方が選手は居たと思いますが、その中で取られてしまったのは、非常にもったいなかったと思います。ただ、今日のテーマとして90分間ゲームをコントロールする。その中で0-1というシチュエーションは、自分たちのプランにありましたし、その中でシステムを変えてより相手の苦しいスペースを見つけてプレーをしていこうという中で、相手がイエロー2枚で退場してしまい、また、相手がシステムというか、人の配置を変えてきた中で、自分たちが相手のウィークを突いてチャンスを量産していく中、少ない人数でのリスタートから失点してしまったことが、すごく痛かったと思います。後半はもちろん、自分たちもああいう形でゴール前のシーンを作れている中で、なかなか外からのボールの精度が合わなく、最後のところで良いスペースのところでボールを持ってはいても、最後のところでなかなか合わない、もどかしい時間が続いてしまい、非常に悔しい負けでした。自分たちは、今サポーターも戦ってくれているし、スタートからプレーする選手、途中からプレーしている選手、そうでない選手もみんな気持ちを持って戦っているのに、それが勝ち点に繋がらなく、本当に悔しい気持ちで一杯です。残りのゲームでその悔しさをどういう形でチームとして表していけるかが、すごく大事だと思いますので、しっかりとしたトレーニング、選手選考をして良い 形で次のゲームにもう一回、勝ち点を戻したいと思います」
――もったいない形での失点がこの時期まで続いてしまっていますが、練習の中で改善できていない理由に関してどうお考えですか?
「まず、ピッチに立っている人間がどれほどの責任感を持っているのか。フィールド上の戦いの中でボールが入る前に、あまりにも相手に自由に走られている形があるので、そのへんの戦いの部分がどうなっているのか。トレーニングの中でそういったシーンを落とし込んで、トレーニングの中ではバトルしているのですが、ゲームになるとそれが出なくなり、本当に相手がフリーの状態で走っていることが多いので、そのへんはもう一回、ちょうど選手たちと話し合おうと思っていたので、もう一回振り返ってそういうことが二度と起こらないようにしていかないと、今後のゲームで勝ちは来ないと思うので、話していきたいです」