MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、今季7度目の連勝のチャンスを逃したヴェルディ。連戦の中日となる本日のツエーゲン金沢戦では、一度断たれた勝利のリズムを取り戻したい一戦となった。前節からのメンバーの入れ替えは、南秀仁に代えて杉本竜士が起用された点。杉本と北脇健慈が2トップを組む形で、システムも4-2-3-1から4-4-2へと変更した。
試合のリズムをどちらがつかむのか、その方向性を決めたのは時計が1分を刻もうとしている瞬間だった。北脇がボールを受けると前を向いて猛然とドリブルを仕掛け、相手がはがし切る前に右足を振り抜いてファーストシュートを放った。これはGKの正面を突いたが、チームの勝利への強烈な意志がそこに詰まっていた。中盤でタイトなプレスを仕掛けてくる相手に対して、ヴェルディはボランチと両サイドMFがボールサイドに顔を出してボールを広く散らしてリズムを作る。7分にはスペースで起点になった澤井直人からパスを受けた高木善朗がドリブルから鋭いシュートを放つがGKの正面。9分にはカウンターから中後雅喜のスルーパスに北脇が抜け出してゴールに迫る。思い切りよく放ったシュートはゴールのわずか右へと逸れた。最終ラインを高くコントロールしてコンパクトな陣形で戦うヴェルディは、セカンドボールを拾って分厚い攻撃を仕掛けていく。試合の主導権は完全にヴェルディが握った。そして12分、コーナーキックを得ると、安在和樹は角度をつけて待っていた高木善を使う。高木善はペナルティエリア内のニアのスペースに入ってきた中後につける。中後がコントロールして安在にリターンすると、シュートフェイントで相手をはがし安在がフワリと浮いたクロスをファーサイドに供給。ボールウォッチャーになった相手を揺さぶり、ファーサイドに入ってきた井林が落ち着いてゴールに流し込んで先制に成功した。その後も高い位置で相手を押し込んで自分たちのペースで試合を進めたヴェルディだが、なかなか追加点を奪えずにいるとワンチャンスを相手に生かされてしまう。38分、右サイドからクロスを入れられると、ファーサイドで競り合ってこぼれ球を辻尾がフリーで待ち受け、一度は鈴木椋大がシュートストップしたが、辻尾の目の前にこぼれて押し込まれて同点に追いつかれた。
前半の入りを忘れずにシンプルにプレーすることを確認し合って迎えた後半、ヴェルディは手を緩めずに攻勢に出た。杉本が足を痛めて早い段階でアランを投入すると、この交代が書類を手繰り寄せるきっかけになる。66分、猛攻を仕掛けながらなかなかボールが落ち着かないが、前から果敢にプレスをしかけてことごとくセカンドボールを拾うと、右サイドで受けた安西幸輝がペナルティエリアに走り込んでいた味方に向けてアーリークロスを入れる。待ち受けたアランが頭で合わせて折り返すと、このボールを待ち受けていた相手DFの背後から勢いを持って飛び込んだ澤井が頭で流し込んで勝ち越し点を挙げた。その後、積極的に交代カードを切る相手に対して、決してリズムを受け渡すことなく攻勢に出る。77分には左サイドでアラン、北脇、高木善、安在が高い位置でボールに絡んで相手を押し込むと、安在と高木善のワンツーからスペースへ安在が抜け出して弾道の低いクロス。ニアに飛び込んだアランが囮になり、ゴール正面に走り込んだ澤井がフリーの状態で豪快に押し込んで追加点。昨シーズンの31節のザスパ草津戦以来、今シーズン初となる3得点目を手にした。ゴールラッシュは最後の最後まで止まらない。アディショナルタイムの5分が経過しようとするタイミングで相手の反撃のこぼれ球を拾った安在が猛ダッシュでボールを持ち出す。ハーフラインを越えたところでアーリークロスを入れると、プレスバックする相手の背後をとったアランがスピードを生かしてスペースへ飛び出す。GKとの1対1で冷静にゴールに流し込み、ダメ押しの4点目で試合を歓喜とともに締め括った。
昨夏以来となる4ゴールで快勝したヴェルディ。ホーム連戦となる次節、今季8度目の連勝を懸けて、今節で首位のコンサドーレ札幌を下している横浜FCと対戦する。相手にとって不足なし。好調を維持する相手を前に自分たちの攻撃的なサッカーで競り勝ち、夏の逆襲へと一気に加速していく。
【試合後選手コメント:MF 14 澤井直人選手】
――勝利に繋がる2点を奪いましたが。
「自分自身、1試合2点は初めてだったので、本当に嬉しいです。2点とも良いクロスだったので、決められて良かったです」
――1点目のゴールシーンを振り返ってください。
「(安西)幸輝がクロスを上げた段階で自分の頭を越えると思っていたので、その後の反応を速くしようということを意識していました。そこで、アランがうまく中に折り返してくれたので、自分自身ヘディングは得意ではないですが、競り勝てて良かったです」
――練習後のヘディング練習が功を奏しましたね
「イバ君(井林)にもやっとペンデル(ヘディング練習用の器具)の成果が出たなと言われました。そのヘディング練習のメンバーでは自分がもっともヘッポコだったので、何とかヘディングで決められて良かったです」
――ここ数試合、安在選手からのクロスを決められない中で2点目はようやく決められましたね
「毎試合、アンカズ君からは『ふざけんなよ』と言われていました(笑)。 その通りだと思いますし、あの人にアシストが付くか、付かないかはプロとして大事なことなので、今回も本当に良いボールをくれたので、決められてホッとしています。あの場面ではニアでアランが潰れてくれていたので、本当に周りのサポートに感謝しています」
――あわやハットトリックという場面もありましたが。
「欲張ってはいけないな、と思いました(笑) 。決められるチャンスだったので、もう1点ほしかったですが、あそこはもっと練習したいです。かわすまではイメージ通りでしたが、最後を少し焦ってしまいました。そこの落ち着きが自分の課題なので、改善していきたいです」
――2トップへの変更はいかがでしたか?
「守備の場面ではしっかりと前から行こうということは、チーム全員で話していましたし、攻撃では前の4人が連動して動き回って、背後に抜け出せれば良いと思っていたので、そこから4点を取れたことは良かったです」
――ここ最近は前後半の入りが改善された印象ですが。
「前半の立ち上がりは大事にしていますし、今日はシュートが多かったですし、それはチームが攻撃している時間が長いことを証明している部分でもあります。シュートが多ければ良いというわけではないですが、シュートの形で終われていることは良いことだと思います」
――常々、数字や結果で先発起用に応えたいとおっしゃっていますが、今日は満足できますね。
「これだけ監督に使ってもらっていますし、監督への感謝もありますし、目に見えない貢献で評価してくれると、冨樫さんも言ってくれていますが、やっぱりゴールやアシストという結果を残したいです。今日はそれが形に出て良かったです」
【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】
――3アシストの見事な活躍でしたね。
「珍しいですが、本当に良かったです」
――遂に澤井選手がご自身のクロスを決めてくれましたね。
「やっとですね(笑)。 アシスト未遂からやっと解放されました」
――澤井選手がここ最近の試合後に「ふざけんなよ」と言われていたと話していましたが。
「言ってない、言ってないです(笑)。 ただ、今日は決めて良かったです」
――3アシストという目に見える結果を残せましたが。
「数字的な部分では良いです。それに今年はチャンスの数も多く作れています。たとえ、アシストにならなくても、そういうところで自分自身の成長を感じました」
――クロスを上げる側としては、2トップでターゲットが増えるのは歓迎すべきことですか?
「そうですね。澤井が決めたクロスも先にアランがニアに走り込んでいたので、僕としてはどちらでもいいという気持ちで入れていました。(ゴール前に)人が居たので、それが点に繋がったと思います。人が居た方が確率も上がりますし、中に1人だけというのは、それがスーパーな選手でないと、なかなか点に繋がらないと思うので、チーム全体的にクロスに入っていく意識があることは良いと思います」
――体力面で成長を感じるとの声も挙がっていますが。
「正直、前半はあまり飛ばしていないというか、うまく影を潜めています。後半の方が相手も落ちてきているので、そこで思い切って攻め上がった方が、効果的だと思っています。もちろん、体力を温存しているわけではなく、前半は全体的にゲームが崩れないので、後半の行ったり来たりの展開で力を出せればと思っています」
――3点目のアシストに関して振り返ってください。
「その前のプレーでは途中で攻め上がるのを止めていましたが、最後は顔を上げていた時にアランが良いところにいたので、思い切って出しました」
――先制点に繋がるサインプレーに関して説明してください。
「予定とは1つ違いました。練習では善朗君が自分に戻して自分が上げるという形でしたが、今日は間にチュウさんが入って、そこから上げる形になりました。ただ、ファーへのクロスは狙い通りでした。ゾーンマークで相手はあそこでボールウォッチャーになり易いという分析もあったので、大体練習通りです」
――今季初の4得点、複数得点差での勝利でしたが。
「正直、後ろとしては3点になると楽ですね。前半に1点を取った後に、イケイケだったので、そこで2点目を取ってくれれば、良かったなという気持ちもあります。ただ、追いつかれてからもよく我慢をして、2点目、3点目と取れて、気持ちも楽になりました。2点差だと相手も嫌だと思いますし、チームとして余裕が出てくると思いました」
――中2日で今季8度目の連勝挑戦となりますが。
「横浜FCですね。今はノッていますね。どうにか勝ちたいです。ここで連勝できれば、チームも変わっていけるという思いもあります」
【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】
――ゴールシーンのサインプレーの説明をお願いします。
「とりあえず、ショート(コーナー)をしてみるという感じでそんなに特別なことはしていません。ただ、相手がゾーン(マーク)だったので、ちょっとズラしてファーなり、相手のスペースを狙うという感じで、そこまで緻密なプレーをしたわけではなかったです」
――コーナーキックの前に味方に声をかけていましたが。
「『お前はそこに入れ』、『ここは俺が潰れるから後ろに来い』とか、そういう指示を出しました。ゾーンなので強いというか、自分たちの最も強い選手の周りにボールがこぼれることが多いので、自信持って競れるというか、必ず自分とかの周りにこぼれることが多いので、それを伝えました」
――それでも、上手く決まりましたね。
「あれはアンカズのクロスが良かっただけです。あれは僕よりも蹴った方を褒めるべきです」
――先制してからの前半半ば以降、リズムの悪い時間がありましたが。
「どのみち相手がセットプレーになると放り込んで来ると思っていたので、そこでやられるようでは、この試合では勝てないと思っていましたし、ある程度想定内でした」
――スピードのあるダビ選手への対応の仕方はいかがでしたか?
「スカウティングの中で、スピードに乗らせてしまうと、本当に推進力もあるので、どうしようもないと思っていました。特に、ウチは高くラインを設定し、裏にスペースがあるので、走られたらぶっちぎられてしまうので、できるだけボールを受けた段階でファウルなりで止めてしまおうという感じで対応しました。相手の間合いでやらせないという部分を意識していたので、そこはできたと思います」
――今季初の4得点での勝利に関してはいかがですか?
「正直、相手が相手だったので、ここで喜び過ぎてしまうと、次の試合では点を取れなくなってしまうと思います。今日は4点ぐらい取って勝たなければならないと思っていましたし、逆にウチもゼロで抑えなければならない試合だったので、そこは反省していきたいです」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝選手】
――決勝点に繋がるクロスを上げた場面を振り返ってください。
「竜士君からアランに代わった時に、たぶんアランだったら感じてくれると思っていました。最初は自分でドリブルで切り込む意識もありましたが、澤井が中に走り込んでいましたし、アランが折り返してくれるか、そのまま決めてくれればと思い、上げました。イメージ通りでした」
――久々のフル出場でしたが、感覚はいかがでしたか?
「プロに入って初めてケガ以外で出られない時期が続いて、正直自分自身苦しかったです。それでも、前を向かせてくれたのは、イバ君であったり、南君であったり、永井さんからも声をかけてもらい、そういう人たちが自分を前に向かせてくれるというのは、本当に有り難かったです。そういう人たちに救われたと思います」
――そういう意味では今日1つ結果を出せたことは大きいですね。
「ただ、自分自身納得いっていないですし、ここからだと思います。チームも連勝がないですし、次はホームなので、次もしっかりとやれるように準備していきたいです」
――今日のプレーの中での課題はどこにあるとお考えですか?
「自分の持ち味はアグレッシブさだと思うので、そのアグレッシブさが出ていれば、良いプレーも出ますし、今日に関してはどうしても安全にとか、ミスしたらどうしようという考えもあって、そういう弱気な姿勢がここ最近の試合で監督の目にも触れていたと思います。そういうことをなくし、自分発信で、プレーしようと意識していたので、それが後半の得点に繋がって良かったと思います」
――守備では切り替えをすごく意識していた印象でしたが。
「冨樫さんにも言われていましたし、試合に出られていない時はそれが遅かったり、悩みながらプレーしていた部分もあったので、今日は一目散に戻るということを意識しました」
――チームの調子が上向いている実感はありますか?
「そうですね。今日も1点を取られた後に、チュウさんがしっかりと締めてくれますし、落ち着いてやれました。ハーフタイムでのそういった言葉で自分自身も切り替えて、次の得点に絡めたので、チュウさんのような存在は大きいです」
――連勝を懸けた次節の横浜FC戦に向けたプランを聞かせてください。
「相手の左サイドの田所選手や市村選手は調子がいいと聞いているので、そこの1対1で負けないようにしたいです。また、2トップに高さがあるので、イバ君と平君だけで対処できない場面もあると思うので、しっかりとカバーして、まずはゼロで行くことを意識したいです」
【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「京都に負けてからそんなに日数もありませんでしたが、自分たちのストロングと勢いを出そうと、選手やシステムを変えて、今日はスタートしました。特に、今日は2トップと背後のスペースの起点がキーになるというところで、自分たちがそこで何度も良い形を作りながらもゴールが取れませんでしたが、コーナーキックの場面で仕込んでいたものが身を結んで、きれいな形で取れたのは、チームとして嬉しかったです。ただ、やはりそこから少しまったりとした時間というか、ゆっくりとした時間に相手に起点を作られて、一発でやられてしまったことで、やっぱり勝っているチームではないという部分が、また顔を出しそうになってしまいましたが、ハーフタイムにもう一回みんなでディスカッションであったり、また自分ももう一度、外のスピードを求めて後半送り出しました。
交代選手も含めて自分たちがしっかりと追い越す、深い位置までの侵入からのクロスでの得点は久しぶりだったと思いますが、良い形でゴールを取れたことは、また次に自分たちが連勝をするための機会を与えてもらった良い試合になったと思います。2連戦をホームでできるという部分で、自分たちはなかなか連勝をできていませんが、すごくチャンスだと思い、サポーターとともに次の横浜FC戦に向けて、サポーターとともに2日しかありませんが、やっていきたいと思います」
――失点の前後のまったりとした時間の影響はどこにあるとお考えですか?
「ミスを恐がるというか、大事にボールを動かしたい中で、それでも相手に苦しい展開を作るうえでは、2トップの背後への動きをシンプルに使っていくことだと思っていましたが、それがなかなかフォワードを使えなかったこと。また、フォワードも使ってもらえないことで下がってきてしまったことが、自分たちの悪い失い方に繋がったと思います」
――個々の集中力の欠如の改善に向けてはどういったことが必要だとお考えですか?
「去年なかなか自チームの分析に関しては、そもそも分析のビデオを全て自分で作っていたため、できていませんでしたが、今年は対戦相手(の分析)をコーチの村田がやってくれているので、自分が自チームの分析ビデオを作ってチームに見せたり、個人的に見せたりしています。今日のミーティングでも一番言ったのは集中力の部分で、京都戦であれば最初に自分たちにビッグチャンスが訪れて、それを外してしまい。逆に、次のチャンスを相手に決められてしまいました。それで試合が終わってしまうということは、容易にあるものだという話を今日もしました。そして、半歩相手よりも前に出るためには常に予測やゲームを読むということが必要だと、選手たちに求めています。本当に負ける時は、そういう部分がたくさん出てしまいますが、勝つゲームではそれでも少なくなっています。ただ、ちょっとしたことでゲームは終わってしまうので、85分良いゲームをやっていても、それでやられてしまうこともあるので、そこは本当にチームに強く求めていく必要があります。それが連勝の鍵だと思うので、選手たちともう一度共有していきたいです」
――ハーフタイムのディスカッションに関してどのように捉えていますか?
「今日、聞いている中ではほんのちょっとしたマークのズレであったり、というような部分で選手たちが強く求め合っていたので、そこは一番選手間で求め合うのが大事だと思い、自分は聞いているだけという形にしていました」