MATCH試合情報
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【試合展開】
中3日で3試合を行う連戦の2試合目は、平日ナイターで敵地に乗り込んで清水エスパルスと対戦した。前節、連勝を期して長崎に乗り込んだものの消耗戦で1-2と惜敗。今シーズンは未だアウェイでの勝利がないという状況で、好調の清水との一戦に臨んだ。前節の後半から投入された新加入の林裕煥はスタメンで登場。田村直也、井林章と3バックを組んだ。前節フル出場して疲労が懸念される二川孝広はベンチスタートとなり。中盤の構成はボランチに中後雅喜と9試合ぶりの出場となる船山祐二を配置し、右サイドに安西幸輝、左サイトに安在和樹、2シャドーに澤井直人と高木善朗を起用する形で3-4-3でこの一戦に突入した。
序盤こそ球際での素早い寄せで3バックが機能していたが、徐々に清水にボールを持たれて5バック気味に押し込まれると、前線が孤立していざマイボールになった後に攻撃に転じても単発で終わってしまう。逆にピンチが立て続けに訪れる。14分にはリスタートの素早い切り替えから、鈴木椋大が前に出ていたところを狙われてロングシュートを打たれるが、粘り強くボールに食らいついてなんとかラインを割らせなかった。32分には2度続けてピンチを迎える。最初は左からのコーナーキックを三浦にこれ以上ないタイミングでヘディングで合わされるが、誰も反応できなかったボールはポストに当たって枠から逸れた。2度目はそのこぼれ球から。クリアし切れなかったボールを今度はキムボムヨンに拾われ、ゴール前に低く早いクロスを入れられる。金子にこれをダイレクトボレーで合わされたが、強烈なシュートは今度はクロスバーに弾き返された。40分にはピンチ。右サイドを割られると、クロスへの対応が遅れて枝村でフリーで頭で合わされるが、シュートはわずかにゴールの左へと逸れた。
押し込まれて苦しい時間を過ごしたヴェルディは、後半の反撃に向けてカードを切る。安西に代えて二川を投入し、システムを4-2-3-1へと変更。2列目には右から澤井、二川、高木善が並ぶ形になった。立ち上がりこそセットプレーをきっかけに清水ゴールに迫るも、あとひとつ精度が足りずにものにし切れない。徐々にボール支配を相手に取り戻され、やや押し込まれた状態で試合が進んでいく。しかし、二川からの高精度のラストパスを起点にゴール目前まで迫ると、後半も半ばを過ぎたころから徐々にボールを持つ時間が長くなり、チャンスが訪れる。71分、右サイドのハーフライン辺りからのスローインをアランが受けてポスト役で落とすと、これに反応した二川が相手のチェイスをかわしながら中央の高木善へ。高木善はスピードに乗ったドリブルで一度右方向へ進むと見せて中央に切り返し、寄せてくるDFの足の先を抜けるタイミングで左足を振り抜く。ボールはGKの手の先をすり抜けてゴール右隅へと突き刺さった。自分たちのペースを取り戻しつつあったタイミングでのゴールで、ヴェルディは息を吹き返した。反撃に出るべくボールへの圧力を強めてくる相手に対して、後方から落ち着いたパスワークでボールを落ち着かせ、中盤でも二川がボールを動かしてテンポに変化をつけて相手をいなす。中盤の底では、ボールを散らしながら守備でも奮闘した船山がボールを四方に散らしてリズムを整えた。アディショナルタイムには相手のパワープレーを前に自陣まで押し込まれたが、終了直前には相手の絶好機を田村が身体を投げ出してクリア。シュート3本で手に入れた虎の子の1点を守り切り、今シーズン初のアウェイでの勝利を手に入れた。
連戦の締めくくりは順位が近いザスパクサツ群馬をホームに迎える。その後、ロアッソ熊本、京都サンガF.C.といった難しい相手との試合を控えるだけに、今シーズン初の連勝を挙げて夏場の巻き返しへと突き進みたい。
【試合後選手コメント:MF 10 高木善朗】
――試合を振り返ってください。
「前半攻撃の形にならなくて苦しい時間を凌いで、後半にワンチャンスを決められてよかったです」
――得点場面は?
「前向きでボールに触れるチャンスもあまりなかったですし、前を向いて仕掛けてシュートという形も相手に当ててしまっていたので、あのシーンだけはゴールに向かって飛んでくれたのでよかったです」
――前半戦同様昨シーズン途中まで在籍していた清水エスパルスからの決勝点ということで、何か感慨深いもの。
「古巣が相手ということで負けたくなかったし、それが結果につながって良かったです」
――アウェイでの初勝利というのは、かなりチームにとっても大きいのでは?
「いつも遠いところまで来てくれたサポーターには申し訳なかったですが、今日は勝てたので喜べてよかったです」
――群馬戦に向けたメッセージをお願いします。
「アウェイで勝てていない分ホームで勝てたんですが、ホームは勝てるという意識が皆の中にもあると思うので、しっかりと連勝して波に乗っていけたらと思います」
【試合後選手コメント:MF 13 船山祐二】
――試合出場は久しぶりですが、どんなイメージを持って入りましたか?
「最初に出してもらって、その後は怪我や出られない自分が重なって、その中で“ナニクソ”というよりも、自分に足りないものが何かを冷静に見つめ直せたというか。冨樫さんや土肥さんやムラさんをはじめスタッフ全員が親身に話してくれて、2、3か月の間本当に話をして、自分に足りない部分だったり、自分のストロング部分をどうかという話をして、その中でこういうチャンスが巡ってきたところで、自分はこれを生かせなかったらもうダメだという気持ちで臨みました」
――どういう部分を整理したんですか?
「自分のストロングは左足のサイドチェンジやパスの展開などゲームメイクというのがあるんですが、それに加えて守備の切り替えの早さやとりきることを常に言われました。なかなか直らない部分があって、そこで動いたところでこうしてチャンスが巡ってきたので、それはスタッフのお陰かなと思います」
――球際のところですごく身体を張っていました。
「そこだけは負けたくないし、自分に足らないことイコールチームに足らないものだと思っていたので、そこを強く出していけば勝利につながると上から見ていてずっと思っていたので、そこを自分が出せたというのは大きな勝利でした」
――前半は押される時間が長かったが。
「システム上の問題で前からコンパクトにかけたいということで3バックを試したんですが、最初の10分くらいはうまくいった感じがしたんですが、時間の経過とともにあっちの方が個は良いので押し込まれる場面があったので、でもそこをゼロで抑えたことが勝利につながったと思います。ズルズル失点していたのが今までのヴェルディだったし、なんとか持ちこたえられた、そして後半にシステムを修正したことがはまって良かったです」
【試合後選手コメント:DF 3 井林章】
――難しい試合だったと思いますが、3バックでスタートした手応えは?
「良かったです。前の選手はきつかったみたいですが、守る上できついのは当然なので、相手はウチらより個の強さがあるから、それを上回るとしたら組織や一人ひとりの頑張りというところは必要なので、それで何とか耐えられたのが大きかったと思います」
――2試合目を迎えた林裕煥選手とのコンビネーションは?
「コミュニケーションはとれていて、彼が言ってきたことに対して僕がどんどん反応するほうがいいので。僕が発信しても多分分からないので。イムがやりたいようにラインをコントロールしてくれているので、それに合わせる形です」
――点をとる少し前からボールが動くようになりました。後方の選手として、そのきっかけは分かりましたか?
「4バックに変えたことで、数的優位が作れる場面というか場所がちょっと変わってきたんじゃないかなと。前の人が言っていたのは、縦パスでサイドバックの裏をとれるよなということ。それは起点がひとつ前になったから、より押し込める場面が増えたんじゃないかなと思います」
――久しぶりに出場した船山選手も含めたセンターラインは?
「フナさんはチュウさんと関係を作ってくれていたし、僕らはもう合わせるだけでした。僕よりもフナさんたちのほうが経験があるし、好きにやってもらうほうがいいと思うので」
――相手のキーマンである鄭大世選手への対応は?
「パワーを出させないような間合いだったり、ゴール前で付いて力を発揮させないような対応を意識していました。一度ボールが入ってしまったら、さばりたりヘディングでコースを変えるのは上手いので、他のところでとれればベストですが、そうでなくても次のプレーに入るところを狙えばいいというやり方で対応しました」
――次はホームに帰ります。
「せっかくのホームですし、味スタでは勝てているので、連勝できるように頑張りたいと思います」
【試合後選手コメント:GK 1 鈴木椋大】
――ヴェルディでは、初めてのクリーンシート(完封)でした。
「素直に嬉しいですが、救われた部分もたくさんあったので。自分はそこまで目立たず、ファインセーブがあったわけでもないですし、フィールドの選手が頑張って走ってくれました。前半は3-4-3でやったんですがあまり上手くはまらなくて相手のボランチに持たれて、ドタバタした場面がありました。そこをチュウさんやフナさんが頑張って走ってくれて耐えてくれたお陰で後半につなげることができました。後ろもイム選手がいたことでだいぶ落ち着いてボールを回せるようになったし、何よりも最後、タムさんがあそこでパシッと止めてくれて落ち着きました。あそこでタムさんに何度も救われているので、存在は非常に大きかったですね。今日はパス回しも落ち着いていましたし、持たれる時間も長かったですけど、チャンスが少ない中で善朗君がちゃんと決め切ってくれたので、後ろはハラハラしましたが、抑えきれて良かったです」
――イム選手はバックパスで鈴木選手をよく使う印象です。
「自分もそこは求められているところだと思うので、蹴ってしまうよりは、つないだほうがいいですし、最悪でもキックミスになるとしても後ろからのほうがダメージは少ないと思うので。もう少しつなぎたいという気持ちもありますから、前半もフナさんに浮かしたパスもそうですし。ゴールキックの時に真ん中の密集を通してフナさんに出した場面も、どのチームでもあの場面では後ろを向いて歩いていることがあるので、今日は相手のボランチがあまり前に出てこなかったので、真ん中のスペースが空いていたので、そこを生かせればよかったと思います。今日は皆の疲労もあって、つけるのは待ってくれというのが多かったですけど、見ているところはちゃんと見ているので、それも周りに伝えていきたいですね」
――群馬戦は連戦の締め括りになります。
「短い時間ですけど分析をして、自分たちも良い準備をしたいです。ホームですし移動のダメージもそんなに大きくないので、そう簡単にはいかないと思いますが、僕が出始めてからホームはまだ負けなしなので、それを継続していけたらいいと思います」
【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「アウェイの日本平という素晴らしい雰囲気の中、本当に自分たちは戦う準備を短い時間ですがしてきました。前半、3バックでスタートしていく中、自分たちがリスクを負わないサッカーをできるだけ長くしていくこと、そしてボールを動かしながら自分たちがカウンターを打つこと。狙いを持ってサッカーをしていきました。後半、そこのところでシステムを変えて、そしてまた前線に収まりどころを作って、バイタルのところからのミドルシュートまたはクロスの線で合わせるボールで選手たちは粘り強くその機会を待っていました。そして、善朗がそこで素晴らしいシュートを決めてくれたと思います。本当に選手たちが90分、運も含めて自分たちに引き寄せる戦いをして、ラインを割るまで、またはポストに当たってセカンドボールを拾うまで、または相手のシュートに身体を張るというところをやってくれました。もしサッカーの神様がいるのであれば、彼が今日の勝利を与えてくれたのかなと思います。また、ここまで自分たちのベンチの横で声をからして応援してくれたサポーターも含めて、胸を張って帰る。そして次のゲームが我々にとって大切なので、週末のゲームに向けてしっかりと整えて、連戦の最後をしっかりと締め括りたいと思います」
――船山選手が久しぶりの出場でしたが、その評価をお願いします。
「トレーニングでしっかりとプレーをしてくれていたこと、また彼の左足のフィードやサイドチェンジは非常にエスパルスさん相手に効くのではないかということ。また中後とのバランスなどバイタルのところを含めて、期待を込めて送り出してしっかりとやってくれたと思います」
――ゴールを決めた高木善朗選手は、全体の仕事量はそんなに多くなかったと思うが、どんことを期待して彼をピッチに残したのですか?
「ピッチに質が高い選手がいるというのがすごく大切なこと。またボールがないところでしっかりポジションをとったりとか、一生懸命やってくれました。また今日、善朗は想いを持ってピッチに立っていたと思うので、彼の懸けるものを含めてなるべく長い時間立たせていたいと思いました」
――前半押し込まれる状況で、後半に向けてどんな選手を育成したのか?
「まずシステムを変えていくこと、自分たちから早く縦に展開することでボールを失うことが前半は多かったのかなというところで、二川みたいにしっかりと時間を作って周りが上がるタイミングが計れる選手、また守備のところで後ろを4枚にして4-2-3-1のサイドのミスマッチのところで自分たちがなかなか優位に立ち切れなかった。そこのマークをハッキリしようということで送り出しました」