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MATCH試合情報

2016 明治安田生命J2リーグ 第23節 - V・ファーレン長崎 vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

前節、4位につけていたファジアーノ岡山にホームで勝利し、後半戦を白星でスタートしたヴェルディ。今節は今シーズン初のアウェイ勝利と初の連勝を懸けて、敵地に乗り込んでV・ファーレン長崎と対戦した。ヴェルディは前節の途中で負傷交代したドウグラスと井上潮音を欠く陣容。ボランチには出場停止明けの高木善朗を起用し、1トップに高木大輔が入った。

昼から続く、豪雨と晴れ間が交互に入れ替わる気候によりキックオフ時は非常に蒸し暑い状況。ともすれば消耗戦になりがちなコンディションの中、集中を欠く形で序盤にビハインドを負った。5分、ハーフライン付近左サイドから背後のスペースにボールを蹴り込まれると、永井に飛び込まれてフリーの状態でゴール前まで運ばれる。シュートはポストに撥ね返されたが、こぼれたところを佐藤に詰められて失点。一瞬のエアポケットを突かれて、最終ラインのギャップを割られてしまった。リードした後の長崎の戦い方は明白だった。自陣で守備ブロックを構築すると、狭いスペースをこじ開けようとするヴェルディのミスを拾ってカウンターから追加点を狙う。スペースを消しにかかる相手の戦いに対して、ヴェルディは中央を割れずにボールを横に動かす時間が長くなる。そしてミスから逆襲を食らい、守り切ったあとはまたボールを持たされる形を繰り返す。ただ、背番号32が好機を作り出す。26分、密集で相手にスペースを消された中で前を向くと、密集をすり抜けていく高木大に絶好のスルーパス。ペナルティエリアの左スペースに飛び込んだ高木大はクロスと見せかけてループシュートで狙うが、これは相手GKに阻まれた。32分には、自らゴール前のスペースに走り込んで澤井直人の浮き球パスを引き出してシュート。二川孝広がボールを引き出して周りを生かし、ゴールへの筋道を示していく。

1点を追う後半、チームは早くも動く。高木善に代えて11日に加入したばかりのイム・ユファンを投入。前半終盤にシステムチェンジした3バックの真ん中にイムを置いた。さらに62分には怪我から戻ってきたアランを投入。相手の最終ラインが綻びを見せたスペースを狙い、打開を試みる。ボールが収まったアランは、思わぬ形でチームに歓喜をもたらした。68分、相手のゴールキックを自陣浅い位置で二川がヘディングで競り勝つと、ボールを受けたアランはワンタッチから反転しながら左斜め前方へとグラウンダーのパスを送る。これがスペースへ抜け出した高木大の足元に流れ、スペースにフリーで抜け出した高木大が前に出てきたGKの頭上を抜いてループ気味にシュートをゴールへと流し込んだ。前半からボールを保持しながらもなかなかフィニッシュへの糸口が見つからなかったチームにとって、この同点弾が反撃の意気を後押しするカンフル剤になるかと思われた。しかし、その3分後に歓喜は打ち消される。ゴール前に鋭いクロスを入れられて中後雅喜が必死にクリアするが、こぼれ球を相手に拾われてミドルシュートを打たれる。これがゴール左隅に流れ込み勝ち越しを許した。再びリードを許したヴェルディは、最後のカードに渡辺皓太をチョイス。縦への推進力がある渡辺は、交代直後から突破力を生かして絶好の位置でフリーキックを得るなど持ち味は発揮したが、ゴールを導き出す鍵にはならなかった。最終ラインはイムの投入で落ち着いてボールを回すなど改善が見られただけに、アンラッキーな形で失ったビハインドは最後まで取り戻せなかった。

アウェイでの勝利も連勝も達成できなかったヴェルディだが、中3日で戦う連戦は始まったばかり。次節も今シーズン未勝利の敵地に乗り込むが、相手は前半戦で勝利している清水エスパルス。何度となく掴み損ねてきた“勢い”を手に入れるのに相応しい相手といえる。夏の巻き返しに向けて、この正念場で勝ち点を積み重ねていきたい。

 

 

【試合後選手コメント:FW 18 高木大輔】

――立ち上がりに失点して難しい試合でした。

「自分たちのミスというかもったいない失点なので、立ち上がりは集中していこうと皆で話していたのに、あのような形だと崩れちゃう。後ろの選手だけでなく、僕らもミスが多かったし、後半のサッカーを前半からやるというのは難しいと思うが、それをやらないといけないと思っているので。

――同点ゴールの場面は?

「後半、フタさんから出たパスで相手の背後はとれるなと思っていたので、その中でアランは『僕が呼んできたから』と言っていて、想像通り出してくれて、決められたので。ただ、もっともっととれるチャンスを作らないといけないです」

――厳しいタッチ脇のボールをワンタッチで鋭いクロスまで持ち込みました。

「あげることで何か起きると思ったし、最悪でも可能性が残るクロスにしようと強く思っていましたが、本当はGKとDFの間に出せればベストですけど…。今はそういう場面が入らないのがすべてかなと思います」

――次は清水エスパルスです。

「難しくない相手はどこにもいないし、前回は勝って勢いに乗れなかったけど、1試合1試合戦っていかないといけないし、連戦とかも関係ない。そういう面では、1日も早く良い準備をして必ずアウェイで勝ち点3を獲れるように頑張ります」

 

 

【試合後選手コメント:FW 9 アラン】

――怪我からの復帰になりました。完全ではないとはいえ、試合に出ることである程度コンディションは上がったのでは?

「まだ完全に調子が戻っているわけではないですが、試合の中でプレーしながらある程度リズムを取り戻せたところはあると思います。ただ、チームは負けてしまったので、そこは非常に残念ですし、次の試合が中3日ですぐにあるので、そこに向けて切り替えて準備していきたいです」

――同点ゴールのアシストは見事でした。

「正直なところ大輔の動きは見えていなかったけど、彼が呼んでくれたので、見ないで感覚でパスを出しました。大輔の動き出しにも合ったし、いいタイミングでパスが通ってゴールにつながってよかったです」

――高木大選手のクロスがゴール前に飛び込んだアラン選手にピンポイントで合う場面もありました。

「大輔とはもう何試合も一緒にやっているのですが、彼のプレースタイルも分かっていますし、彼も僕の動きを理解してくれている。そういう中で上手くコンビネーションが見せられたのではないかと思います」

――今日はスペースがなく、持ち味を発揮するには難しい環境でしたか?

「今日は相手が中を締めてきていてスペースがない中で、なかなかウラに抜け出すのは難しい展開でした。その中でもサイドのスペースで受けたり、大輔が抜けてクロスを中で合わせたり、状況に合わせてプレーしました」

 

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「アウェイの蒸し暑い中、サポーターが最後まで応援してくれて感謝しかないのですが、勝ち点をとれずに申し訳ない気持ちで一杯です。特に前半、自分たちが攻守においてスムースさを欠く中、ちょっとしたことで失点してしまい、自分たちを苦しめたと思います。その後、相手の持っている早い帰陣によってなかなか最終ラインを突破することができない中、中盤のスペースを上手く使ってショートパスで高い位置まで持っていこうと。その中で、自分たちが攻撃しているところよりも守備に入った時にバランスが悪かったので、途中から後ろを3枚にする形で、もう一度外で高い位置がとれるようにと後半も頭から3バックでスタートしました。なかなか我慢の試合で、人を替えながらチャンスを窺ったところ、アランのスルーパス、大輔の受け方とピッタリと合ったところで同点に追いつけたのは良かったと思います。ただ、その後短い時間の中で、前線からプレッシャーをかえて、相手に下げさせてキーパーに蹴らせたにも関わらず、後ろがなかなかコンパクトになりえてなくて、中盤にボールを落とされてドリブルで運ばれた失点だったので、試合前からコンパクトさはキーになると選手たちに言っていたので、そこの起点を潰せなかったのは非常に残念でした。選手たちはその後も同点に追いつくべく、ゴール前の場面も作れましたが、そこで決められなかったのは最後の差になったかなと思います。アウェイが続くのでなかなか練習ができない中、もう一回チームに戻ってコンディションをしっかりと整えて戦える選手を送り出したいと思います」

――後半に3バックから4バックに戻した理由は?

「自分たちが4枚に戻したのは、3枚にして後ろの人数があまる必要はないのかな、と。より前線に特に二川を危険な位置で仕事ができるようにどうやったら置けるかということで4枚に戻しました」

――イム選手を投入した狙いは?

「3枚にしておくなかで、安在和樹を3枚の左に置いていたんですが、彼の外からのボールを期待してもう一列前に出すところで、どういう形で自分たちがそこまで運ぶかということで、トレーニングのところでイムのスタートのスムースさや少しズラして中盤につけて中盤を楽にさせたりとか、彼が良いボールを出せていたので後半の頭からスムースさを取り戻すために入れました。また善朗のところに二川を下して、彼のシンプルさ、そこから前を向いてパスを出すところまでを少し後ろのプレッシャーゾーンから少しのがれたところから出せたほうがいいと思ってイムを3枚のところに入れました。自分たちはボールを持つチームだと思うし、そこの最初のボールがどういうタイミングでどういう角度で出るかで中盤より先のパスコースが増えるかどうかというのは変わってくる。そういう意味では、自分たちのチームにとってはプラスになるのではないかと思います」

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