MATCH試合情報
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【試合展開】
4年ぶりの開幕戦の勝利で幸先の良いスタートを切ったヴェルディ。開幕連勝で良い流れを引き寄せるべく、敵地でのカマタマーレ讃岐戦に臨んだ。スターティングラインナップの顔ぶれは変わらず。サブには怪我から復帰した南秀仁が入った。
守備意識の高さがクローズアップされる讃岐だが、序盤はヴェルディのゆったりしたパスワークに付き合うことなく、最終ラインのパスワークにはフォアチェックを入れてくる。ただし、カウンターの速さは相変わらずで、ヴェルディにミスが出るとすかさず前に出て手数を掛けずに攻撃を仕掛けてきた。その勢いに対してヴェルディはあまりに無防備だった。パスワークは要所へのチェックを強化されてコントロールがずれ、結果的にボランチや最終ラインで保持する時間が増え、前線に有効なくさびを打ち込めない。どう打開していくべきか…そんな試案を巡らせているうちにエアポケットができたのか、12分にアーリークロースをペナルティエリア内に入れられ、ファウルを恐れてチェックが甘くなったところで足を振り抜かれて、絶妙なコースに流し込まれて失点。17分には、サイドからのフリーキックでラインコントロールした裏に流されてマークを掴み切れずにフリーでヘディングシュートを打たれる。これは柴崎貴広が抜群の反応で弾き出してことなきをえた。ここからエンジンをかけ直したいヴェルディだが、帰陣が早く守備ブロックを徹底して固めてくる相手に対して、スピードが上がらずに攻撃のリズムが生まれない。
ハーフタイム、冨樫監督からはパスと走るスピードを上げていくこと、そうすることで相手の背後をとるための“角度”をつけようという指示があった。そして後半頭から澤井直人に代えて南をピッチに送り出した。
選手交代の効果はじわじわとピッチに表れた。ポジションに縛られることなくピッチを縦横無尽に走ってボールに関与する南がタメを作り、他の選手が動き直してボールを引き出す時間を作り出す。54分には安西幸輝が縦ではなく中央へ切れ込んでコースを突いたコントロールシュートを放つ。こうしてサイドバックが高い位置まで入る時間ができたことで、攻撃時に前線の選手の動きの量が増えてきた。だが、割り切ってゴール前を11人で固める相手を前に、バイタルエリアに良い形でボールを入れてもなかなか網の目をすり抜けられずに最終的にはボールをかき出されてしまう。良い形は作れているが…という時間が続くと、またもやエアポケットができる。74分、カウンターから左サイドを突破され、横パスをつながれてワイドに揺さぶられる。ボールに厳しく寄せ切れず、またもコースを突かれて2失点目。その直後、ヴェルディは船山祐二に代えて平本一樹を投入し、ドリブルでの打開とドウグラスとのコンビネーションでの崩しという変化を加える。しかし、これも有効な策とはならず、サイドのスペースを有効に使いながらもクロスの質を欠いて決定機に結び付けられない。ようやく形になったのはアディショナルタイムが1分経過した90+1分。右からのクロスが流れたボールを南が粘って左サイドのスペースに残す。そこに走り込んだ安在がマイナス気味のクロスを入れると、ファーサイドに走り込んでいたウェズレイが競り勝ってボールをゴール正面に戻す。そこに待ち受けていた平本が、倒れ込みながら綺麗なジャンピングボレーシュートを叩き込んで1点を返した。しかし、反撃もここまで。
キックオフ直後の相手の勢いに面食らった形で、最終的には後手に回ったまま相手の土俵に乗る形となった。引いた相手を崩すという課題に一筋の光明が見えてきただけに、エンジンのかかりが悪かった前半が悔やまれる。今後も同じようにヴェルディにスペースを与えない相手に対して、走って、素早くボールを展開して、どんな守備ブロックも突き破る進化を遂げたい。
【試合後選手コメント:FW 25 平本一樹】
「開幕戦の時の札幌と違って、讃岐の方が勢いがあったし、讃岐は先に点を獲るととことんベタ引きしてというスタイルなので、その戦術にまんまとはまってしまったなとベンチから見ていました。今年から入ったドゥグが1トップで、だいぶターゲットになるし収めてくれるので、そういう選手の周りを動き回るプレーが僕は好きなので、要求されていたこともそうだったので、すんなりと試合に入れました」
――今日の出場でJリーグ通算400試合を達成しました。
「まあ色々ありましたけど…まあ…そういう記念の試合で点を獲れたことはすごい嬉しいし、それでも勝てないというのが自分のサッカー人生を物語っていると思います」
【試合後選手コメント:DF 2 安西幸輝】
「勝ちたい試合でしたね。前半は正直攻撃のしようがなかったけど、後半に南君が入ってタメを作ってくれるからオーバーラップし易かったし、外がなかったら切れ込んで左足のシュートという2パターンから選べる状態だったので、相手からしたら守りづらかったんじゃないかなと思います。ただ、結果が出ていないので、シュートも決めたかったし、アシストもしたかったし…。左足のシュートも最近は枠にいっていたし、足を振れているので、やっぱり決め切りたかったですね」
――攻撃に閉塞感が出つつあった中で、船山選手から裏に出たボールに反応してラインを突破した場面もありました。
「あの場面はもったいなかったですね。シュートを打てたし、南君が見えたので出したんですがボールが遅かったし、すごくもったいなかったですね。シュート性のボールを入れて何か起きればという選択のほうが良かったけど、そこの判断が課題なのかなと思います」
――去年から続く引いた相手を崩し切れないという課題については、そういった場面や後半のやり方である程度見えてきましたか?
「パスの出し引きを中盤がやっている間にサイドバックが裏をとれるというのが出せたので、そういうプレーをもっと出せることが理想だと思います」
――次もアウェイゲームで切り替えるのが難しいシチュエーションですが、どうやって勝利を引き寄せましょう。
「死にもの狂いでやらないといけないし勝ち点3がほしいので、しっかりと勝って、その次のホームの徳島戦につなげる試合にしたいです」
【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「遠いところまで応援に駆け付けてくれたサポーターと勝ち点3を一緒に持って帰りたかったのですが、残念な結果になってしまいました。パスの遅さ、スプリントの遅さからなかなかペースをつかめない中で、前半の1点目が自分たちにとって重しになってしまいました。途中で人も代えて配置も代えたのですが、ゴール前のところで足りないところを感じました。スプリントで相手の背後をとって、スペースを空けたところに入ってきてクロスやシュートというところで、その精度を高めるトレーニングを自分たちはしてきたのですが、そこの部分で決め切れませんでした。何よりも気を付けなければいけない2点目を取られたことが、今日の試合で一番悔しいことです。あと40試合ある中で、次の試合に向けた準備をしなければいけません。その心の強さを持たないといけません。また東京に戻って、選手たちの次の試合に向けた準備をしたいと思います」
――スプリントを早くしてスペースを使うという部分。相手が5バックに近い形で、どのような形を狙っていましたか?
「先制して相手がしっかりと引いている中で、前半が終わる前から相手はほぼ1ラインになっていたので、そこからのミドルシュートをもっと枠に飛ばしていけるといいなと思うのと、背後を取れているんですが、もう少しクロスの質を高めていかないと、そこでピンポイントで点をとれるような強さがあることを見せないと、向こうもブロックを作って守ってくる意識を持つと思うので、そういう部分で自分たちの進化を見せないといけないなと強く思います」
――今日が復帰だった南選手については?
「彼は前を向いた時の仕上げのシュートとパスというところと、途中で右、真ん中、左と置いていったのは、相手のウィークになり得るところに彼を置いて例えば、左なら安在和樹との2対1、トップ下なら善朗がその2列目から飛び出していくとか、あるいはそこから南が出ていくようなアイデアを持てたら相手も苦しむのではないかというところで配置しました。久しぶりのゲームではあったんですが、トレーニングの中で非常に感触が良かったので、彼を早めに投入しました。また、自分たちがリスクを負わなければいけなかったこともあって、早めに投入をしました。南がうんぬんということよりも、全体的な動きの量が増えることのほうが彼もより生きたのかなという風に今は思います」