MATCH試合情報
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【試合展開】
連戦のホームゲーム2試合を0-1で落としたヴェルディ。プレーオフ圏内に残り続けるには、今シーズンはまだ一度も喫していない3連敗を避け、勝ち点をしっかりととっておきたいところ。その中で迎えたのが、4位のアビスパ福岡との直接対決だった。ヴェルディはこの試合に向けて前線にテコ入れ。2トップには、4か月ぶりのスタメン復帰となるブルーノとアランのブラジル人コンビをチョイス。今シーズン初めての助っ人2トップで勝ち点奪取を狙った。
上位直接対決の緊迫したムードは序盤からピッチ上に漂っていた。球際での激しいチェイス。相手のミスを見逃さない高い集中力。スタイルを曲げない徹底した攻撃姿勢。両チームともにそのどれもが優れており、激しい攻防を繰り広げた。唯一違いがあるとすれば、お互いの攻撃スタイル。丁寧につなぎながら相手の守備陣形を崩そうとするヴェルディに対して、福岡は前線のターゲットマンのウェリントンに預けて、セカンドボールを拾い、ラッシュを狙う。この対照的なスタイルを両チームは最後まで貫いたことで、逆に守備の面ではポイントを絞りやすい側面があった。ヴェルディはウェリントンに対して井林章と田村直也のセンターバックコンビが厳しく、背後を取らせない形で競り続ける。こぼれ球に対しても両サイドバックとボランチが中央に絞って対応し、簡単にはセカンドボールを相手に拾わせなかった。ただし、ヴェルディの攻撃もまた福岡のポイントを絞った守備の前にやや停滞を余儀なくされた。時間が経つごとにボールを保持する時間は増えていったが、サイドで数的優位を作ってボールを動かしながら、機を見て縦へのスピードアップを狙うものの、2トップへ入るボールが収まらず、収まってもサポートが遅れて肝心のフィニッシュまで持ち込めない。バイタルエリアを前にしてミスが出て、いつものヴェルディの攻撃のテンポがなかなか生み出せない。すると24分、相手のダイレクトプレーを機に深い位置まで侵入を許す。右サイドからのクロスに対して中央でマークを分散され、ウェリントンがフリーになってダイレクトで合わせる。クロス、シュートともに完璧な形でピンチを招いたが、このシュートを佐藤優也が驚異的な反応で手を伸ばして弾き出した。この守護神の好守をきっかけに反攻に出たいが、前半はフィニッシュまでほとんど持ち込めずに終えた。
攻撃のポイントを明確にして、サイドでの優位性、2トップの勝負でゴールへの道筋を見出い姿態後半だったが、最初のチャンスはまたも福岡だった。52分、右からのクロスに対して、またもウェリントンが競り勝って強烈なヘディングシュート。これに対して、またも最高の準備をしていた守護神が驚異的な反応で腕と身体を伸ばしてボールをはじき出し、再びヴェルディゴールを死守した。今度こそ反撃を、というチームの意識はようやく結実した。57分、右サイドで3、4人が絡んで相手の守備網を翻弄。ペナルティエリア内でアランがフリーの状態で前を向いてボールを受け、ゴールをかすめる惜しいシュートを放った。攻勢を強めたいヴェルディは直後にブルーノに代えて高木善朗を投入。高い位置でボールを受けて、アランとともに起点となるプレーを求めた。結果として高木善のところでボールを簡単に失う場面が減り、前半からボールが収まっていたアランとともに相手のプレッシャーをいなして攻撃のテンポがようやく生まれてきた。ただし、フィニッシュはことごとく力が抜けて相手GKの正面に収まり、サイドを割ってクロスボールを上げても相手GKの守備範囲内から外せなかった。81分にはセットプレーのこぼれ球に反応した澤井直人が狙い澄ましてシュートを放つが、コースを予測した相手GKのファインセーブに阻まれた。終盤に入ってお互いに攻撃的なカードを切り、ともにゴールを目指し続けたが、ともに決定機と呼べるようなチャンスは生み出せずにタイムアップ。4位と5位の直接対決は0-0のドロー決着となった。
ヴェルディにとっては3試合ぶりの勝ち点獲得。0-1の連敗という悪い流れは断ち切った。ここ2試合続いていた、特に崩されたわけでもないのに失点をするというもったいない形がなく、セットプレーでの守備も集中力を切らさなかった。佐藤のビッグセーブに救われた側面もあったが、それに報いることができるだけのチャンスを作り出せることも証明した。次のホームゲームは、その可能性を勝ち点3という形で結果として残すだけだ。
【試合後選手コメント:DF 3 井林章】
「相手のディフェンスラインやGKからロングパスが多くて、ウェリントンに当てて、そのセカンドボールを拾う狙いがあったので、それを拾われて主導権を握らせないように、前半から集中してやっていたからこそ、ギリギリでしたけどゼロで抑えられた要因ではないかと思います。ウェリントンに対しては、前半は自分の中でモヤモヤするところがあって、試行錯誤していた中で、後半になってようやく勝ち方が分かってきました。もっと早くウェリントンの止め方をつかめれば良かったのですが……。コツをつかむまでに時間が掛かって、前半にニアでシュートを打たれた場面だとか、後半にヘディングで優也君がセーブしてくれた場面もあったので、そこはもっと自分の中で整理しなければいけないところでした。次の札幌戦に関しては、同じように前線に大きい選手が揃っていますが、中盤の小野伸二選手とか、出しどころを抑えることが大事なので、そこに寄せることができてはじめて1対1で勝負できるので、もう一度守備の連係を見つめ直したいと思います。次の試合に向けては、もう勝つしかない、ということひとつに尽きます」
【試合後選手コメント:DF 23 田村直也】
「相手のストロングはウェリントンの高さと金森選手のスピードだったので、僕とイバ(井林)のタイプ的には上手くはまったと思うし、前半は特にはまっていたし、後半は相手のサイドからクロスの形が増えたので、もう少しクロスのところにサイドバックやサイドMFが寄せられるような自分のコーチングをしたかったです。危ないシーンも何回かあって、優也が防いでくれて助かったんですが、そういうシーンを最初からなくすか中のマークをもっとしっかりとすることが大事だと思うので、まだまだ甘さがあるし、そういうものをなくしていかないと前節と前々節の失点を考えてもまだまだだと思います。自分はコーチングとかメンタル的な部分も託されて試合に出ていますし、カバーリングであったり退かないで相手の起点を潰すというところはできていた部分はあります。ただ、ビルドアップの部分も要求されて試合に出ているので、上手くひきつけて周りの選手を使ったりしたいので、その部分では課題が残ります。今日は最初に誰が競るかも大事ですが、なるべく前に落としてボランチのチュウさん(中後)や三竿に拾ってもらうことが理想だったので、そういうシーンが多かったし、最悪後ろに流れても僕がサイドバックが処理すれば問題ないと思っていました。ただし、セカンドボールを惇(鈴木惇)や末吉選手に拾われてから結構広げられたりしていたので、たとえ競り合う相手がウェリントンみたいな選手であってもその辺の落としどころはこだわっていきたいと思います。勝つというのは、5連勝中は非常に簡単だと思っていたのですが、それが難しいと思う苦しい時期を乗り越えないと、昇格が見えてこないし、サポーターをモヤモヤした気持ちにさせていますけど信じてもらいたいし、選手が信じてもらえるプレーを続けないといけないと思います。ここ3試合は得点がないので、次はホームに帰って、誰でもいいのでゴールを決めて、サポーターのほうに駆けていく姿を見せたいと思います」
【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】
――試合を振り返ってください。
「ひとつのミスが失点につながり、また得点につながるような、本当に一つひとつのプレーの重みであったりとか、あるいは戻る距離であったりとか、少しでもルーズなところがあったらゲームが決まってしまうような集中力を研ぎ澄ました90分間を選手たちが戦ってくれたのではないかなと思います。自分たちは0-1で負ける形が続いていた中で、強いアビスパさんを相手に、相手のストロングを分析して、選手一人ひとりに役割がありました。チームがそれをまっとうしてくれたとともに、最後までゴールを狙うという形を見せてくれたことに感謝しています。自分たちは、ここからやらなければいけないことはもちろんあるのですが、ここからのゲームはどのチームにとっても苦しい状況が続いていく中で、自分たちはしっかりとトレーニングしていますし、大事なゲームが続いていくのでしっかりと取り組んでいきたいと思います。また、最後までサポーターの皆がゴール方向に選手たちが引っ張ってくれた引力を感じられたこと、また今日、ベレーザが(なでしこリーグのレギュラシリーズ)優勝して、また育成もユースが大会に優勝して風向きがこちらに来ていたので、トップチームがその風に乗りたかったとは思っていました。勝利することはできませんでしたが、選手たちが難しいゲームを一生懸命に戦ってくれたことに感謝しています」
――前半は中盤のところまで構成できていて、なかなかアタッキングサードでフィニッシュの形が作れていなかった。後半に向けてそこをどのように改善したのか?
「自分たちは特に前半のところでアランとブルーノの2トップを選んだのは、相手のセンターバッグのところにウチの2トップで起点を作って、そこからサイドMFとサイドバックの関係性でバイタルエリアからその先に侵入していきたかったんですが、なかなか前半はそういう形が表れず、後半は人も代えながら、もう一度外のサイドMFとサイドバックの関係から中に入れるボールで攻略したかったんですが、回数が少なかったかなと思います」