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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第19節 - 東京ヴェルディ vs ロアッソ熊本

マッチレポート

【試合展開】

前節、愛媛FCに敵地で敗れて連勝が止まったヴェルディ。上位に食らいついていくためには、連敗は許されずホームで確実に勝ち点を積み上げたい一戦となった。トレーニング中の怪我で井林がベンチスタートとなるアクシデントがあり、センターバックには福井諒司が入った。この守備の大黒柱のベンチスタートが試合を大きく左右した。

序盤から球際で激しく当たってくるロアッソ熊本に対して、ヴェルディの選手たちは後手に回った。ショートパスを狙ってプレスをかけてくる相手に対して、サポートの遅れからボールロストして速攻を受ける。4分には、右サイドからのサイドチェンジを左から走り込んできた常盤に直接あわされて危険なシーンを作られる。フィニッシュに辿り着けないばかりか、アグレッシブな相手に決定機を作られる嫌なムードが漂うなか、均衡が崩れた。18分、コーナーキックのこぼれ球が五分五分のエリアに落ち、カバーに入っていた高木大輔と安西幸輝がボールに駆け寄る。どちらが処理するのかの声掛けが曖昧で、見合う形でボールがスペースへと転がっていく。これに反応した黒木がフリーでボールを持ち出し、セットプレーの流れで前に出ていた佐藤優也の頭上を抜くロングシュートをゴールへと流し込んだ。気を取り直して取り返したいチームだが、中央を固めて激しいプレスをかけてくる相手を前に思うようにパスがつながらない。30分には、またもカウンターから1対1の局面を作られ、福井がカバーに間に合うもかわされて、斉藤にペナルティエリア内に侵入されて追加点を許した。直後の32分には、守備陣のミスからポスト直撃のミドルシュートを打たれるなど、守備が安定感を欠いて慌てた対応を余儀なくされる。反撃に出ようにも、がっちりとブロックを敷き、プレスの手を緩めない相手を前にパスワークを分断されて、何もできないまま時間が過ぎていった。たまらず冨樫監督は苦渋の決断を下す。怪我を抱えてベンチスタートだった井林を投入し、システムチェンジでリズムを変える判断を下した。

ハーフタイムにシステムチェンジの指示と狙いを語った冨樫監督。その意図を汲んだ選手たちは、前半に比べてボールへの執着心やダイナミックなプレーを取り戻しつつあった。その姿勢は後半だけで11本のシュートを打っていることが物語っている。しかし、バイタルエリアで個人の仕掛けからシュートを打つ場面までは作れたが、リードを得て余裕を持って守る相手の守備網にボールが絡め取られる。相手の反撃がほぼない中で、ボールを動かしながらじっくりと反撃の糸口を探し続けたが、ゴールへつながる道は最後まで見つからなかった。今シーズン、ホームゲームで2度の逆転勝利を見せたチームだが、3度目の逆転劇を演じることはできず。連勝後の連敗で上位を窺う歩みは足踏みとなった。厳しい状況の中、首位の大宮アルディージャと好調なアビスパ福岡との連戦で底力を発揮し、浮上のきっかけをつかみたい。

 

 

【試合後選手コメント:DF 3 井林章選手】

――試合を振り返ってください。

「パッとしない展開の中で自分たちのエンジンをかけ切れない時間が長くて、相手の陣地の深くに進入する回数も相手の攻撃への対応にも苦しんだ印象です。それは、終了間際の失点で敗れた前節の愛媛戦から修正できていないということなので、次の大宮戦では引きずらないように修正していきたいです」

――2失点してから前半終盤に投入されましたが、監督からどんな指示を受けましたか?

「指示というよりも、あまり守備の形がよくなく、相手のFWに良い形を作られていたので、僕としては相手の齊藤選手のところでしっかりと潰して、チームが前を向いて守備をできるようにと思って試合に入りました」

――後半の流れに関してはいかがでしたか?

「自分たちがボールを持つ時間は長くなりましたが、最後の精度や取られ方の悪さで相手のカウンターを浴びて危険な場面もあったので、一つひとつのプレーを突き詰めていく必要があると思います」

――3連勝からの2連敗で次節は首位の大宮戦ですが、どうやってチームを立て直していこうと考えていますか?

「もう一度、自分たちのストロングポイントである前線からのプレスや全体の連動した守備ということを見直して、相手の嫌な守備をすることが自分たちのショートカウンターにも繋がっていくので、そこをもう一度突き詰めていきたいです。また、ここ2試合で4失点しているので、守備からしっかりと立て直したいです」

 

 

【試合後選手コメント:DF 6 安在和樹選手】

――試合を振り返ってください。

「今日はやってはいけないミスや失点をしてしまいました。直近の愛媛戦でもああいうミスをしてしまいましたし、ああいうミスをするチームは上には上がって行けないので、そういうのはなくさないといけないと思っています」

――前半に関してはかなり裏のスペースを突かれましたが、前がかりになり過ぎていた影響でしょうか?

「そうですね。早く同点に追いつこうというみんなの気持ちの表れでもありましたが、後ろがマンツーマンの状態でやられる場面があったので、そこは防ぎ切らなければならなかったです」

――最終ラインの設定に関しては2失点してから少し下がって、中盤との距離感が空いていた印象もありましたが。

「最終ラインと中盤のところで少し空いてしまいました。中盤の選手はもっと押し上げてコンパクトにしてほしいと思っていたと思います。ただ、今日はセカンドボールの場面でことごとく相手に競り負けていたので、少し下がってしまったのは、しょうがない部分でもありました」

――システム変更で意識した部分はどこでしたか?

「相手のシステムとミスマッチになるので、ワイドではフリーになるので、サイドから押し込めていければ良いと思っていました。後半に関しては押し込めていましたが、ゴールを奪えなければ意味はないですね」

――前半はロングボールが多くてセカンドボールを拾われる場面が多かったですが、後半はショートパスを繋ぐ場面が増えていた印象ですが。

「攻めなければいけないので、自分たちで主導権を握っていかなければならなかったので、そういう入りだったと思います。前半に関してはいつも通りに入りましたが、前線に当てて自分たちがセカンドボールを拾うことができず、それが厳しい展開に繋がったと思います」

――左サイドバックと左ウイングバックではボールの付け方や仕掛けの部分で変えている部分はありますか?

「4バックの時は組み立てを意識した縦パスを出しますが、3バックではより前でプレーできるので、勝負のパスやゴールを意識したパスを心がけています」

――今日も崩しの場面で球種を変えたクロスなど工夫を凝らしたプレーがありましたね。

「そうですね。色々と球種を変えていたのですが、ゴールに繋がらなくて残念でした」

――2連敗で次は首位の大宮相手のゲームですが。

「連敗しての首位とのゲームは難しいですが、良い意味で開き直って挑戦者として戦っていきたいです」

 

 

【試合後監督コメント: 冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「前半にミスで失点してしまったこと。また、あまり感情というか、ハングリーさが出ない前半の戦いをしてしまったこと。これは応援されるチームに値しないので、今日のゲームに関しては非常に自分の中でも今シーズン、最も悔いの残るゲームとなってしまいました。前半の終わりごろから、ちょっとシステムを変えて相手のウィークを突く戦いをして、後半頭はちょっとリスキーだけれども、ゴール前のシーンをたくさん作ることを目指し、またシュートを10本以上打つことができたと思いますが、なかなか最後が入り切らなかったです。自分たちはまだまだ上を目指す戦い方をしているのですが、それには良い試合への入り方や、戦う部分をもっともっと出していかなければならないです。だから、少しでも出し惜しみをするようでは、自分たちはまだまだだなと思いますし、それは自分に責任があると思っています。早急にこれを改善して次の大宮戦に向けて良い準備をしていきたいです」

――感情やハングリーさが出ない試合だったとおっしゃっていましたが、今日の一戦は前節の愛媛戦の敗戦が響いた部分があったのでしょうか?

「そこに関しては今週のトレーニングで特には感じませんでした。むしろ、自分たちがこのゲームを勝つことで上に行けるという思いでトレーニングができたと思います。だから、前節の敗戦は関係ないと思います。ただ、今節に入る中で少しアクシデントがあって、選手が入れ替わったことや、色んな外的なものによる要因が影響した部分はあったかもしれません。とにかく、もう一度ゲームを見て判断していきたいです。ただ、前節が影響したとは思っていません」

――前半終了間際に井林選手を投入してシステム変更を行いましたが、あのタイミングで行った意図を教えてください。

「早くシュートシーンを作るため、前半のところから1本でも2本でもシュートを打って、そこでスコアを1―2とする状況を作りたいと思って変えました。ハーフタイムに入る前にシステム変更を行って、ゴールシーンを作れればと思い、早めに変えました」

――井林選手の起用法の意図について教えてください。

「ちょっとトレーニングのところでアクシデントがあって、スタートから起用することは難しく、ゲーム展開次第で投入することを考えていました。ただ、今日はこういう展開になってしまったので、少しリスクを抱えながら後ろは人数が少なくてもいいから前に人数をかけようということで、スクランブルでしたが彼に出てもらいました」

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