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MATCH試合情報

2015 明治安田生命J2リーグ 第18節 - 愛媛FC vs 東京ヴェルディ

マッチレポート

【試合展開】

ゴールデンウィークの足踏みから抜け出し、3連勝と結果を残し始めているヴェルディ。今節は、鬼門とも言われる敵地での愛媛FC戦に臨んだ。警告累積で平本一樹が出場停止の中、アラン・ピニェイロをスタメン起用し、杉本竜士と2トップを組ませた。

前半の試合の組み立ては“文句なし”と言い切っても過言ではない出来だった。ボランチを媒介にしてサイドで小気味の良いパスワークから相手陣内の深い位置までボールを運び、シュートチャンスを窺う。連係が合わずにボールロストする場面でも、最終ラインの押し上げと中盤のタイトな守備からセカンドボールをことごとくものにして2次、3次の攻撃を仕掛けていく。カウンターを許す場面もあったが、素早い帰陣と球際の激しさで決定機を作らせなかった。ビッグチャンスは30分。自陣の右サイドから高木大輔が縦に浮き球のフィード。これをライン際で上手く収めた杉本が中央に戻すと、アランが反応してスルーパス。杉本がボールを持った段階でイメージを持った安西幸輝が相手と入れ替わりながらスペースへと飛び出す。フリーの状態で抜け出してGKと1対1を迎え、これを落ち着いてゴールに流し込んだ。最高の形で進めた試合で、最高の形でリードを手にする。その後もボール保持の状況は変わらず、追加点の匂いだけが薄い中で試合を折り返した。

試合の内容は万全のように見えたが、冨樫監督は決して満足していなかった。ハーフタイム、選手たちに「これで終わりじゃないぞ! 俺たちの能力ならもっとやれるんじゃないのか? しっかりと追加点を取りにいこう! 守りに入らないで、自分たちで試合を進めよう」と檄を飛ばした。ここまで勝ち切れなかった試合の課題は追加点を奪えない点だった。この試合こそ、その克服で自信を身に着けさせる絶好の機会と捉えた。はずだった……。後半立ち上がりの48分。スローインから落とされたボールに反応した河原が中後の死角からボールに反応してペナルティエリアに侵入。慌ててカバーに入った井林も間に合わず、佐藤の股間を抜かれて同点弾を許した。これが試合の潮目だった。前半の服従を取り返そうと一気呵成に前に出てくる愛媛。ロングボール中心で長身の瀬沼をターゲットに力技で押してくる。空中戦ではどんな長身選手にも競り勝てる井林だが、徐々に足元のプレーでミスが目立ち始め、連係ミスからあわやという場面も招いた。15分近い猛攻を辛抱強く耐えていると、徐々にロングボール攻勢への対応に慣れたセンターバックコンビが確実に対人プレーで勝利して反撃の機運を高めていく。ただ、今度はチーム全体のミスが増えて、前掛かりに人数をかけても個人の些細なミスからボールロストして反撃を食らっての繰り返し。その中で、選手たちの運動量が徐々に落ち込んでいく。流れを掴み損ねたかに思われたが、この日もっとも勝利を疑わなかった場面を迎える。85分、左サイドの細かいパスワークで相手の視線を大きく振りながら縦にスピードアップしワンタッチプレーで3人が絡んでアランが背後のスペースをとる。前に飛び出したGKの頭上を柔らかいループシュートで抜く。GKも見送ったボールの軌道は完璧に見えた。カバーに入ったDFも間に合わないボールスピード。しかし、乾いた音とともにボールはポストに撥ね返ってピッチに戻ってきた。思わず頭を抱えたアラン。メンタル面での大きなダメージを忘れようとボールをつなぐヴェルディだが、フィニッシュで終える場面を作り出せずにアディショナルタイムに突入する。ラストワンプレーを迎える。自陣浅い位置で相手のフリーキック。空中戦狙いで放り込まれたボールを撥ね返せずにゴール前に流し込まれると、これに反応した西岡に詰められて失点。これまで勝利を呼び込んできたアディショナルタイムに、劇的な逆転弾を許す幕切れとなった。

 

 

【試合後選手コメント:FW 9 アラン ピニェイロ】

「久しぶりのスタメン出場で疲れたというのが正直な感想で、時間が進むにつれて自分も試合に慣れていった部分があると思います。前半よりも後半のほうが動けていたと思います。前半は竜士との距離感が遠すぎてあまり上手くいくことが多くなかったんですが、後半はふたりの関係もよくなったと感じています。サッカーというのは最後の最後まで分からないスポーツで、今日の僕たちは運がなかったのかなと思います。チャンスは多く作っていましたし、僕もチャンスを生かし切れずに外してしまったというのは、運がなくて相手にそれが回ってしまったのと思います。残念ながら運に見放されてしまったような形で、シュートはポストに弾かれてしまいました」

 

【試合後選手コメント:MF 2 安西幸輝】

「まず、非常に悔しいの一言に尽きます。相手の左サイドMFに選手が上がってくると言われていたので、守備もしつつ自分が出て行って相手を押し込むことを考えいました。竜士君とアランと僕の3人の関係で点を取れたことはすごく大きかったと思います。得点場面では、竜士君にボールが出た時に裏に出たら、アランが良いボールを出してくれて、それをワンタッチで良いコントロールができました。イメージを共有できたと言えると思います。竜士君とアランの2トップの連係から生まれた良いゴールでした。後半の立ち上がりの部分で相手に良い流れを渡してしまったというのは、ハーフタイムに監督から修正してもらっているのにまだまだだと思います。次はホームなので、しっかりと修正してきたいです。今日はサイドMFが相手のウイングバックのところの守備をするように言われていたんですが、本当にキツイ試合でした。逆サイドの直人も相当疲れていたと思います。終盤の失点は、皆が身体を張り続けてくれていたのに僕がファウルしてフリーキックを与えてしまったので……。次の試合で、今日の試合を糧に修正したことを証明できるようにしたいです。サイドMF3試合目になりましたが、これから代表を狙いたいならば、MFの気持ちも理解できるようにならないといけないと永井さんからも言われていたので、逆に良い機会だと思いますし前向きに捉えてやれることをやるしかないと思っています。でも、ゴールやアシストに絡みやすいポジションなので、それは良い点です。もう少し点をとれる場面がありましたが、まず今日のゴールの場面の良い感触を今後のゴールに結び付けられるようにしたいです」

 

【試合後監督コメント:冨樫剛一監督】

――試合を振り返ってください。

「サポーターも駆けつけて、試合前から良い雰囲気を作ってゲームに入れたと思います。前半、非常に良い形で先制点をとれて、自分たちで試合をスムーズに進められている中で、後半はリードを守るのではなくていかに勝つために2点目を取りにいくかという戦いを選手側に求めました。ですから、特に後半の一番最初の相手のスローインから失点してしまったのが重くなってしまったかなと思います。また、相手も後半に修正してきて、自分たちが前半にできていたことができなくなったんですが、外から見ているとスペースはたくさんあるように感じられたので、より外でスピードアップする形がもっと作れたんじゃないかなと反省しております。ただ、自分たちはここで負けたからといって何かが変わるわけではなく、特に次のゲームが大事になってくるので、しっかりとトレーニングをして次のゲームに向けて負けた経験を糧に戦っていければと思います」

――後半に相手ペースになった要因は?

「いつもよりもスピードアップするパスが出なかったことと、モビリティの部分で縦方向にスプリントの回数が少なくて、横パスや後ろがボールを持つ時間長く、それは少し自分たちのサッカーではないなと感じていました」

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