MATCH試合情報
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【試合展開】
勝利すればJ2残留を自力で決めることができる状況で今シーズンホーム最終戦を迎えた。快晴の味の素スタジアム。ヴェルディは警告累積で金鐘必を欠き、安在和樹が負傷離脱する非常事態で、最終ラインの人選を変更した。負傷から復帰して間もない福井諒司とリーグ戦2試合目の出場となる畠中槙之輔を起用し、井林章を中央に据えた3バックの状態でスタートした。
序盤からヴェルディの選手たちの動きは硬かった。球際のプレスはワンテンポ遅れ、攻撃はバイタルエリアで連係ミスを連発する。ただし、個人技からはチャンスを作った2分には安西幸輝のドリブルで相手陣内を切り崩し、ボールを受けた平本一樹がシュートを放つも枠をわずかに外れる。27分にはゴール正面で前田直輝が狙うがGKにセーブされた。45分にはアディショナルタイムにはコーナーキックのこぼれ球を福井が詰めるも、シュートは身を挺した群馬DFに撥ね返された。チャンスは作れていたが、試合の流れは完全に群馬ペースだった。そして、終了間際のアディショナルタイム、ダニエル・ロビーニョにドリブルで中央エリアを突破され強烈なミドルシュートをゴールに叩き込まれる。直後に前半終了の笛が鳴り、非常に悔やまれる時間帯に1点のビハインドを負う格好となった。
巻き返しを図りたい後半、前半途中で4バックにシフトしたシステムのままリスタートし、ヴェルディは徐々に息を吹き返していった。「持っている力を出し切れていない! もっと走ろう! もっとパワーを出そう!」と冨樫剛一監督に発破を掛けられた選手たちは、ガムシャラにゴールを目指していった。67分にはセットプレーの流れで途中投入されたばかりの菅嶋弘希がゴール目の前でシュートを打つチャンスを得たが、DFの必死のブロックに阻まれた。80分には、最終ラインの背後にタイミングよく抜けた安西がGKと1対1の場面を迎えるが、シュートはゴール左へと逸れていった。その後も相手に前半のようにペースを与えることもなく攻め続けると、82分に執念が実った。ペナルティエリアに選手が押し込んでチャンスを創出すると、安西のシュートのこぼれ球が詰めていた福井諒司の目の前にこぼれる。福井は利き足とは逆の右足を強振し、ボールは右のポストに当たってゴールに吸い込まれた。3月6日に手術し、長いリハビリに耐えて今季初出場を果たした男の一撃。ゴール直後、サポーターが待つスタンドに向かった福井の元に、彼の苦労を知るチームメイトたちが次々に駆け寄っていった。その後も同点に満足することなく、逆転を信じてアディショナルタイムの5分間も含めて最後までゴールを目指したが、試合は1-1でタイムアップを迎えた。残留を争っていたカマタマーレ讃岐が大分トリニータに敗れ、勝ち点差は6に広がり、ヴェルディのJ2リーグ残留が決まった。
【試合後選手コメント:DF 6 福井 諒司選手】
――今日は約1年ぶりの出場でしたが、どんな思いでピッチに立ちましたか?
「ずっと出ていなかったこともあって最初は緊張していました。前半は自分自身のパフォーマンスもあまり良くなくて、サポーターのみなさんに申し訳ないと思っていました。1点取って同点に追いつくことができてホッとしています」
――ゴールシーンを振り返ってください。
「今まで出ていなかったぶん、自分が出た試合で負けるのは悔しいと思っていたので、何としても1点を返してやると思っていました。それにチームが1点を取って残留できるようにと思って後半からプレーしていました。あまり覚えていないんですが……」
――ゴールシーンでゴール前のあのポジションにいたのは、ゴールを取りたいという気持ちの表れだったのでしょうか?
「なぜ、あそこにいたのか自分自身よく覚えていないので、自分で映像を見直したいぐらいです。ただ、得点を取らなければいけないという気持ちは強かったので、あそこにいて良かったです」
――試合全体を通してのご自身のプレーはいかがでしたか?
「まだまだです。結構、やられている部分も多かったですし、攻撃でも後半効果的なパスを出せていなかったですし、もっと上げていかないと思っています」
――前節は交代の準備をしていたものの出場機会は訪れませんでしたが、今日の立ち上がりに影響はありましたか?
「まあ、前回少しでも出ていれば良かったかもしれませんが、もうちょっと最初から戦う準備をしておけば良かったです」
――この時期の復帰についてどんな印象でしょうか?
「もっと早く復帰できると思っていたのですが、結果的に合流したのが遅くてここでどんな風に絡んでいけるのか、という思いはありました。でも、動けるようにはなってきた感じはありました」
――ご自身が離脱中にチームが厳しいシーズンを強いられていたことについては、どんな気持ちでしたか?
「色々と難しいなという気持ちはしていました。外から見ているぶんには簡単に“こうした方が良い”とか言えると思いますが、中でやっている選手は色々なことがあると思います。今日自分自身が相手と対戦してなかなか勝てない状況が続いた中で、ガラっと流れを変える難しさも感じました」
――この1年間苦しい思いをした中で支えてくれたファンのために感謝を示したいと試合前に語っていましたが?
「本当色んな人に支えて頂いていたんで、正直に“ありがとうございます”と伝えたいです」
――チームは今日のドローで残留を決めましたが?
「なかなか今日もホームで勝つことができませんでしたし、内容もなかなか積み上げることができず、苦しかったです。それでも、残留できたことを次に繋げられるようにまた頑張っていきたいです」
――サポーターに向けてメッセージをよろしくお願いします。
「今年1年チームの力になかなかなることができませんでしたが、今日の1試合で大きな声援を頂くことができて、自分の中でも大きかったです。本当にありがとうございました」
【試合後選手コメント:DF 13 畠中 槙之輔選手】
――今季初先発でしたが、いかがでしたか?
「最初は緊張してガチガチでテンパってしまい、全然身体も動かなかったのですが、思ったよりは楽しめたと思います」
――失点場面では相手のダニエル・ロビーニョ選手に寄せる際にいくつかの選択肢があったと思いますが、いかがでしょうか?
「数的同数だったので、最初は引こうと思ったのですが、イバ君(井林選手)とユウヤ君(佐藤選手)に“出ろ”と言われたので、言われた時に少しテンパってしまいました。飛び込まないのが一番良い選択肢だったのですが、あの場面ではそういう対応をしてしまいました。本当であれば、あそこは相手のスピードを吸収していかなければ、ダメだったのですが……」
――スタートの3バックから後半頭に4バックに切り替えましたが、切り替えはスムーズにいきましたか?
「3バックだと一人ひとりの守備範囲がもっと広くなるのですが、4バックは今までやってきたということもあって、守りやすかったです。ただ、もっと潰しに行くとこ、潰しに行かないところを味方と話し合っていかなければならないです」
――安西選手は自分の初先発のときより落ち着いてプレーしていたと言っていましたが、ご自身の感想はいかがですか?
「シーズン終盤でこういう残留の懸った大事なゲームでしたが、昨日冨樫さんから練習後に喝を入れられていたので、“やらなきゃ”という思いを持っていました」
――この1週間準備していた中で、一番意識したことは何でしょうか?
「やっぱり、いきなりというか初スタメンということもあって、緊張はありましたが、味方のスタメン選手の特長とかも分かっていたので、変に気負いもなく、味方の良いところを出すためにコミュニケーションを取っていければと思っていました」
【試合後選手コメント:DF 34 安西 幸輝選手】
――引き分けで残留を決めました。試合の感想をお願いします。
「最初から自分が決めてやろうと思っていたのですが、シュートの部分で精度を欠いてしまいました。後半も決めるところ、というか決めなければいけないところで外してしまいました。ああいうところを決め切れないから、まだこういう順位にいるんだなと思いました。リョウジ君(福井選手)に助けてもらいましたが、こういう形でホーム最終戦を終わるのは心残りですし、悔しい気持ちがあります」
――今日のスタートは3-4-3の右ウイングバックでのプレーでしたが?
「自分の走力を生かしやすいポジションだと思っていたので、どんどん後ろから味方を追い越す動きを意識してプレーしていました。ただ、体力の使い方という部分が全然で、前半に息切れすることが多かったです。途中から4-4-2に戻してからは落ち着きましたが、もっと自分の良さを出すために努力を重ねていかなければならないと思っています」
――守備の局面では初先発の畠中選手とどういう連係を意識していましたか?
「ハタ(畠中選手)は初先発だったので、前日からすごく緊張していました。しっかりと声をかけることもできましたし、あいつも試合中にすごく声をかけてくれました。ユースの頃からずっと一緒にやっていましたし、問題はないと思っていました。自分のデビュー戦よりも、ハタのデビュー戦の方がうまくやれていた気がするので、少し悔しい部分もあります」
――後半南選手の浮き球のパスに抜け出した決定機では少し大事に行きすぎた印象でしたが?
「そうですね。あそこでしっかりとGKとゴールの位置を見て蹴るのも大事だったのですが、もっと自分らしく豪快にシュートを打った方が入った可能性は高かったと思います。とにかく、南君に申し訳ない気持ちです」
――1年目で今日のようなプレッシャーの懸る一戦を経験できたことは、今後に向けて大きな財産となったのではないでしょうか?
「今日の試合だけでなく、今シーズンは出場停止の試合以外常に出させてもらったので、振り返ると色んな重みを感じますし、今日の試合を含めてもっとシュートを決めることができたはずだと思います。アシストも全然できていなかったので、あと1試合残っていますし、そこで全力を尽くして来季に繋げていきたいです。ただ、自分の良さは出せていると思うので、あとは結果や数字の部分をしっかりとこだわってやっていきたいです」
【試合後選手コメント:MF 22 澤井 直人選手】
――今日の試合に臨む上でドローでもいいという考え方はありましたか?
「いや、ミーティングのときから勝ち点3を絶対に取ろうというのは、みんなで共有していました。勝ち点1でいいという気持ちもありませんでしたし、讃岐の結果次第という面もありましたが、自分たちが勝てば無条件で残留が決まったので、何とか勝ち点3がほしかったです。ただ、無事残留が決まったことは素直にうれしいです」
――今日は3バックでしたが、その中でご自身が意識した部分はどこでしょうか?
「自分は左のワイドでのプレーだったので、守備から攻撃まで左サイドのことは全てやらなければならないと思っていました。守備の面では相手に主導権を握られていたので、そこはリョウジ君(福井選手)と話しながら、前の選手を動かすとか、周りの選手ともっとうまくコミュニケーションできれば、今後に繋がっていくと思います」
――縦関係を組んだ福井選手とはどんなことを話し合っていましたか?
「リョウジ君は自分のことを前に押し出してくれるので、できるだけ下がらないことを意識していました。リョウジ君のところまで下がってしまうと、攻撃に出る時に低い位置からのスタートになりますし、それは自分的にも少しキツいので、そこをうまく押し出してくれたと思います」
――今日は自分たちが主導権を握ったという印象の試合でしたでしょうか?
「そうですね。シュート数を見ても自分たちがうまく主導権を握っていたと思います。ただ、前半に相手に先制されてしまいました。追いつくことができて良かったです」
――ポジションに関しては右サイドも左サイドも気になりませんか?
「そうですね。やり辛さは特にありませんし、右でも左でも同じようなプレーができるように意識しています」
【試合後選手コメント:MF 37 中野 雅臣選手】
――先週の長崎戦に続き2試合連続途中出場でしたが、感触はいかがですか?
「チームとしてやりたいことや味方との連係は練習の中で良い感じでコンビネーションができていたので、それを試合で少しずつ出すことができたと思います」
――今日のご自身の出来に対して自己採点を聞かせてください。
「半分もいっていないと思います」
――途中出場の際に監督からどんな指示を受けましたか?
「とにかく1-1でこのままの状態だと残留が決まるから、思い切ってやるところと試合を決めるというところをしっかりとやっていくように言われました」
――試合後にサポーターに挨拶をしましたが、改めて来季への意気込みをお願いします。
「来シーズンは最初から試合に絡んで少しでもヴェルディの力になれるように日々成長を続けていくので、応援をよろしくお願いします」
【試合後選手コメント:MF 35 三竿 健斗選手】
――先週に続き2試合連続でベンチ入りしましたが?
「ベンチ入りしているからには試合に出たいという気持ちはありますし、マサオミ(中野選手)が出ているのを見ると、悔しい気持ちもありますが、今後も頑張っていきたいです」
――練習での手応えはいかがですか?
「初めて練習に参加した頃に比べると、遠慮もなくなってきましたし、やりたいことをやれてきています」
――ご自身のアピールポイントを教えてください。
「一番の強みは中盤で相手の攻撃の芽を摘むところと、あとはパスの精度や質という部分です」
――試合後にサポーターに挨拶をしましたが、改めて来季への意気込みをお願いします。
「1年目からスタメンを取りに行く気持ちを持って、シーズンが終わった頃には選手として大きく成長できるように頑張っていきます。応援をよろしくお願いします」
【試合後監督コメント: 冨樫 剛一監督】
「苦しいゲームの中で先に失点をしてしまったのですが、本当に90分の戦いの中で、最後まで諦めることなく、自分たちはサポーターの方に向けて攻撃をして点を取って逆転しようという中で、選手たちは本当に最後の最後まで戦ってくれました。同点に追いつくまででしたが、選手たち、あるいはスタッフ、フロント、ボランティアの方、誰一人気持ちが欠けることがあったら、こういう結果にはならなかっただろうし、本当に感謝しています。今日のゲームで残留は決まりましたが、次のゲーム、今年のJリーグをしっかり締めくくるためにも、勝つための努力を、また一週間して山形戦へ向けていきたいですし、そのゲームを観て、来年以降もヴェルディを応援していこう、一緒に戦っていこう、と思ってもらえるような気持ちの見えるゲームをしていきたいな、と思っています。本当に、何ひとつ欠けたらこの結果はなかったと思います。みんなに感謝をしています。ありがとうございました」
――今季初の3バックを採用した理由と、途中から4バックに変更した意図を教えてください。
「まず自分たちが金鐘必、安在和樹という、いつも出ていた選手がいなくなっていたことで、自分たちが前を向いてホームゲームを攻撃的に戦って勝つためには、何をしたらいいのかということで、3バックで打って出ようと思って戦いました。ただ、サッカーは相手もあることですし、相手の2トップに対してウチの3バックとボランチのところで少しズレがあったのかなと思ったところで、自分たちがもう一回安定した良い守備をしてボールを奪って攻撃をしていくために、慣れた4バックにスライドして、安定させて、自分たちのリズムでもう一回攻撃にいくために、システムを変更させてもらいました」