MATCH試合情報
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【試合展開】
前節、ジュビロ磐田を相手に2-1で勝利し、後半戦の幸先の良いスタートを切ったヴェルディ。今節は2試合続けて自動昇格健の2位のチームとの対戦となった。会場は開幕戦以来の対戦となる松本山雅FCの本拠地。完全アウェイの雰囲気の中、大勢駆けつけたヴェルディサポーターの声援に応えるべく、モチベーションも十分にしてこの一戦に臨んだ。
前節の磐田戦で、昨年の移籍加入からリーグ戦に出場し続けてきた佐藤優也が右手を骨折して離脱。柴崎貴広も怪我で離脱しており、トップチーム昇格から4年目にして初めて公式戦に出場するキローラン菜入をGKに起用した。また、警告累積で出場停止のニウドの代わりに吉野恭平をボランチに配置し、前線と最終ラインは前節と同じ顔ぶれとなった。
序盤、持ち味のダイレクトプレーで縦に早いサッカーを展開する松本に対して、ヴェルディはセンターバックコンビがチャレンジ&カバーを徹底して撥ね返し、セカンドボールを徹底して狙い続けた。最初はセイフティに蹴り出す場面が多かったが、徐々に持ち味のパスワークで反撃に出る。7分には、セットプレーを撥ね返してセカンドボールを澤井直人が拾って前線へ。南秀仁がドリブルで持ち出し、ペナルティエリア手前で右のスペースに飛び込んだ澤井にラストパス。シュートはGKに弾かれたが、詰めていた南がこぼれ球をフリーの状態で押し込んだが、ボールはコースの空いていたゴールの上へと外れた。その後、徹底したダイレクトプレーとセットプレーで前への圧力を強めてくる相手に対して、焦れることなく撥ね返して、前線のコンビネーションからバイタルエリアに侵入してフィニッシュまで持ち込んだ。少しずつヴェルディらしいパスワークを取り戻してリズムとテンポが出てきたところで前半を折り返した。
ハーフタイムには吉野に代えて安西幸輝を投入。澤井をボランチに、安西を右サイドMFに置いた。後半に入ると、松本の狙いが余計にハッキリしてくる。最終ラインが押し込まれ、全体的に陣形を下げさせられたが、コンパクトな陣形を保って粘り強く対応。奪ってからは前線に素早く預けてカウンターから活路を探った。63分にはカウンターから杉本竜士がドリブルでDFを引きつけ、裏に抜けた常盤聡にラストパス。GKとの1対1の状況でゴール右よりから放った常盤のシュートは、絶妙なコースに転がり込んだように見えたが左ポストに当たってゴールにはならなかった。その後も杉本の推進力を生かしてゴールに迫り続けると、75分に歓喜の時が訪れる。安在和樹が中盤で粘って奪ったボールを常盤が前線に運ぶ。縦パスを受けた杉本は、反転しながら一人、シュートフェイントを入れながらもう一人のDFをかわして、GKの逆を突く巧みなシュートでゴール左上に先制点を叩き込んだ。流れを掴んで一気に畳み掛けたいヴェルディだが、ホームで負けるわけにはいかない松本の攻勢に徐々に押し込まれていく。撥ね返した後のセカンドボールを拾えずにサイド攻撃に引いて対応していると、81分にコーナーキックからニアポストに走り込んだ犬飼に押し込まれて同点に追いつかれた。その後はオープンな展開になったが、両者ともに決め手を欠いて2点目を奪えず。ヴェルディとしては、決定機を決め切れずに引き分けたものの、後半戦の厳しい戦いに向けて内容の部分で手応えを得られた一戦となった。
【試合後選手コメント:MF 14 鈴木 惇選手】
――前節、結果が出たことが今日の試合にもプラスに働いたのではないでしょうか?
「そうですね。良い方向に行った部分もありましたし、逆に詰め切るところで甘さがありました。チャンスを決め切って2-0にしていれば、勝てた内容だったので」
――後半から澤井選手とコンビを組みましたが、何か意識した部分はありましたか?
「前半は押し込まれる時間がありましたし、後半は(安西)幸輝を入れて、もっと自分たちのサッカーをしていくと確認しました。実際、得点を取るまでの間は攻められてはいましたが、カウンターからチャンスを作ることもできました」
――勝ち点3をきっちり取るための課題は何でしょうか?
「ひとつではないと思いますが、最後を決め切るところだったり、失点の部分でもセットプレーで狙われる部分がニアサイドというのは、セットプレーで失点した福岡戦でも痛感したポイントでもあるので、そこは修正していきたいです」
――セットプレーの失点は痛かったですか?
「そうですね。今日は(キローラン)菜入が先発でプレーしていて失点場面以外では良いプレーもしてくれていました。」
――今日は相手GKが良いパフォーマンスを見せていましたね。
「ひとつ入っていれば、結果も変わったのですが」
――中2日で迎える京都戦ですが。
「京都戦は松本戦と違った展開になると思います。ただ、自分たちのサッカーをする上では京都の方がプレスも行けると思いますし、自分たちと似たサッカーをやるので、京都戦ではまた違う良いサッカーができるかもしれないです」
――今日の試合で得たものは何ですか?
「大きいボールを蹴るなど、自分たちと真逆のサッカーをやる相手に対して、審判や観客を含めて完全にアウェイの中で、焦れずに勝ち点1という結果を手にしたのは大きなものでした」
【試合後選手コメント:MF 23 田村 直也選手】
――今日の結果について率直な感想をお願いします。
「連勝を狙っていたので、結果的に悔しい引き分けになってしまいました。あとは2試合連続で竜士がゴールを決めてくれたので、何とか2試合連続でヒーローにしてあげたかったのですが、またコーナーキックからの失点だったので、スタッフもそうですし、選手自身からも修正していく必要を感じています。まだ、連戦の最中で次のホームゲームは夏休みにも入っているので、たくさんの方々に来ていただいて良いゲームをしたいと思います」
――開幕戦と比べて今日の内容は目に見えて改善されていた印象です。チームとしても手応えを感じている部分があるのではないでしょうか?
「前節も良い形で勝つことができたのですが、その際に一回この勝利を忘れようと話し合っていました。ただ、内容自体は上向きになっていますし、引き続きこういうゲームを続けて行ければ、勝てる可能性は高まっていくと思います。今日は引き分けという結果に終わってしまいましたが、サッカーは確率だと思うので、勝つ確率を上げていくためには内容で上回れば、より可能性が高まるのでしっかりと良い流れを継続して行きたいです」
――後半戦に入って再び若手の活躍が目立っていますが、キャプテンとしてどのように感じていますか?
「前半戦を通じて若い選手たちが経験を積んできて、ちょうど半分という区切りで磐田戦に勝てたわけですが、彼らの活躍なくして今後の巻き返しはないので、自分としても経験を伝えていきたいですし、新しく出てきた若手選手は良いアピールを続けてくれています。また、競争が生まれたことで、チームとして良いサッカーにつなげられるのではないかと思っています。あとは、まだまだ試合に出られたり出られなかったりということが続いていますが、1年間というのは長いので、気持ちを切らさないように声をかけていきたいです。何よりもチームとして結果は出なかったですが、前半戦を通じて多くの若手選手が経験を積んでくれたことは良かったと思います」
――絶対的な守護神だった佐藤選手が離脱したGK陣について聞かせてください。
「(佐藤)優也に関してはずっと2年間で出続けていましたし、彼もシーズン中にプレーできないような状況でプレーを続けていたことも知っていますし、そのへんは本当に尊敬できる選手です。新しく出た(キローラン)菜入に関しても、引き続き良いプレーをしてもらいたいですし、ディフェンスラインとして失点を防ぐ、それは一人ではできませんし、GKとDF含めて良い関係を築いていきたいと思っています。今日はすごく落ち着いたプレーをしてくれたと思います。ポープ(ウィリアム)に関しても、いつでも出場できる準備をしておいてもらいたいです」
【試合後選手コメント:MF 22 澤井 直人選手】
――今日は色んなポジションでプレーしましたね。
「やっぱり、自分はどこかのポジションで特別な能力を発揮できるタイプではないので、どこでもプレーできないと監督に使ってもらえないです。だから、常に準備をしているので、慌てることなくプレーできました」
――前半は右サイドで攻撃の機会をうかがっていましたが、少しやり辛そうに見えました。理由は何だったのでしょうか?
「前半は松本のサッカーに自分たちがペースを合わせてしまったのもあって、なかなか攻撃ができず、ああいう展開になってしまいました。ハーフタイムに指示を受けて修正して行きました」
――ハーフタイムにはどんな指示があったのでしょうか?
「ハードワークすることはもちろんですが、積極的にドリブルで仕掛けて行けという指示を受けていました。今日の相手はドリブルで仕掛けてくるのを嫌がると思ったので、(杉本)竜士君や自分たちが行ければ良いなと思いました」
――試合中の手応えはいかがでしたか?
「あの時間に先制して自分たちも受け身に回ってしまって、相手はセットプレーが得意だったので、最後まで集中して対応したかったのですが、あのコーナー1本で同点に追いつかれてしまいました。勝ち切りたかったです」
――次の京都戦に向けてどこを修正していきたいですか?
「今から切り替えて次の京都戦に勝てるように相手を分析し、自分たちも動けるように回復していきたいです」
【試合後選手コメント:GK 31 キローラン 菜入選手】
――今日の結果について率直な感想をお願いします。
「勝ちたかったです。せっかく(杉本)竜士が点を取ってくれて楽になって、さらに相手が前に蹴ってくるしかないシンプルな攻撃が増えて、今季セットプレーで最も得点を奪っているのは頭にありましたが、それでもやられてしまったのは悔しいです」
――プロデビュー戦でしたが、試合前にどんな準備をしていましたか?
「前節の磐田戦で(佐藤)優也君が骨折したことを知って、次は自分かポープ(ウィリアム)の2人しかいないと思っていました。だから、練習の時から良い準備ができました」
――初めてプロの公式戦でプレーした印象はいかがですか?
「僕自身公式戦というのはJリーグで初めてだったので、正直なところ初めてのことばかりで何も分からなかったです。ただ、周りとコミュニケーションが取れていましたし、最初にサビア選手のシュートをセーブできてうまく試合に入れたなと思いました」
――今日の試合の自己評価を聞かせてください。
「ミスもあって、それでもそのミスを取り返そうと自信を持ってプレーしました。最後の失点に関しては、竜士をヒーローにしたいという思いや、セットプレーが危ないということを理解していたので悔しかったです」
――失点場面を今振り返って“もっとこうできた”という思いはありますか?
「ありますね。もちろん、良いボールでしたがニア狙いということを分かっていたので、もっと声をかけてニアをケアできていれば、何とか防げたのではないかと思っています」
――味方へのコーチングはいかがでした?
「指示はロングキックが多かったので、シンプルなものでした。それに1万人以上も観客が来ていたので、言っても聞こえない場合があるので、常に聞こえる位置取りを心がけていました」
――佐藤選手や柴崎選手の離脱を受けて、今後はポープ選手とともにヴェルディのゴールを守って行くことになります。サポーターの方々に向けて意気込みをお願いします。
「後半戦は磐田に勝って良い入りができて、今日の松本戦でも良い内容で勝ち点1を取ることができました。今後は僕とポープがゴールを守りますが、チーム自体が若いのでそれは言い訳にはならないと思っています。とにかく、一生懸命頑張ります」
【試合後選手コメント:FW 33 杉本 竜士選手】
――先週の磐田戦に続いて2試合連続ゴールでしたが、ご自身としても手応えがあるのではないでしょうか?
「でも、やれることはもっとありますし、結局、この前の試合も点を取ってから押し込まれる展開になりました。今日の試合は追いつかれてしまったので、前線がもっとボールをキープしたりできないと勝ち切れないのかなと思っています」
――ゴールシーンを振り返ってください。
「ゴールシーンの印象としては、あえて裏に抜け出さずにペナルティエリアの前で止まることができたことに大きな意味を感じています。あそこの位置であればドリブルすれば、相手が近くなるわけですから、普通は相手から離れたり距離を保つものですが、あそこで近づいてわざと止まったことが、自分として評価できる部分です。それにああいう形のシュートは昔から得意だったので、思い切り打てました」
――前回の磐田戦では足がつって途中交代となりましたが、今日の試合ではフル出場できましたね。
「前半は何もできなかったですし、前半は守備の選手がすごく頑張ってくれて“ゼロ”で抑えてくれました。後半は何が何でも点を取って守備陣を楽にさせたいと思っていました。結果的に得点を取れましたが、もう1点取らなければ、勝利は掴めないなと思いました」
――サポーターの方に向けてメッセージをお願いします。
「後半戦の1勝1分けという結果は悪くないと思いますが、東京ヴェルディはもっと勝ち続けなければならないと思っています。サポーターの方々の声援は僕たちをあと一歩走らせてくれるものなので、これからも応援をよろしくお願いします」
【試合後監督コメント:三浦泰年監督】
――試合を振り返ってください。
「非常にタフな試合の中で後半のあの時間に点を取れたわけですから、しっかり守って勝ち切りたかったです。ただ、松本のスタジアムに来て、風も松本側に有利に吹いている状況の中で、松本にも意地がありましたし、そういう中で勝ち切れなかったことは非常に悔しいです。しかし、若い選手たちが自信を持って、数多いサポーターの支えるJ2リーグで2位を走っているチーム相手に、恐れず勇気を出して90分プラスアディショナルタイムの3分間を戦い抜けた姿は、次の試合につながっていくと思います。また、自信のひとつに変えていいのではないかと思える試合でした。プレーの精度、つなぐところやラストパスの精度が、もっともっと上がってくれば、よりアグレッシブにコレクティブなサッカーができると思いますし、これから彼らはもっともっと成長してくれると思っています。東京からともに戦って支えてくれるサポーターは、人数こそ松本のサポーターに比べれば少なかったかもしれません。ただ、そういうサポーターの思いや熱さを共有しながら、次の試合に向けて準備をしていきたいです。足を運んでくれたサポーターには本当に感謝したいです。同時に短期間でここまで大きくなった松本の努力というものは、素晴らしいものだと思いますし、我々もチーム作りと一緒にクラブ作りをしっかり先を見据えた長いビジョンを持ってやっていかないといけないと、松本に来て強く感じております。水曜日に試合があるので、選手と共にそこに向けて準備をしていきたいと思います」
――開幕戦で松本と対戦した際にレベルの差を感じる部分もあったと思いますが、今日は押し込む場面もありました。ただ、セットプレーの部分では改善点があったのではないでしょうか? また、初スタメンのキローラン菜入選手の評価を聞かせてください。
「(キローラン)菜入にはおめでとうと言いました。ヴェルディでなかなか出番がなく、私が北九州の監督時代にサブGKとして迎えました。なかなか正GKが負傷することもなくチャンスがない中、非常に辛抱強く準備と努力をしていかないといけない状況で、彼がこういう大きな舞台で恐れることなくしっかりプレーできたのは、ある意味彼の努力の賜物なんじゃないかと思います。悔しいのはやはりあのセットプレーです。GKですからゴールエリアの中に向かってくるボールであれば、まだ話はしていませんが、GKとしては非常に悔しい思いがあるのではないかと思います。しかし、恥じる必要はないので、次の試合に向けて自信に変えて、強いメンタリティーで次の試合に準備してほしいと思います。前半戦のデータからも我々はセットプレーで点を取ることが少なく、失点が多い。それを払拭するため、リスタートやロングスローやフリーキックを鍛えていて、攻撃パターンの中心がリスタートでそこに時間をかける松本を、変な言い方ですが1点で抑えたことは、逆に評価してもいいんじゃないかと思います。今日の失点はセットプレーではありますが、次からは何が何でも守って、我々が点を取るという努力をしていくしかないと思います。努力をしても成功で終わる時ばかりではないですが、やはり努力しなければ成功で終わらない。成功した人間は必ず努力をしています。我々が前半戦に残したネガティブなデータをしっかりポジティブに変えていけるようにしっかりとした努力を積んでいきたいと思います」
――ハーフタイムに吉野選手に代えて安西選手を投入しましたが、それは彼に何らかの打開力を発揮することを期待したものだったのか、それとも澤井選手をボランチに回すことで真ん中のバランスを修正したかったのか、どちらでしょうか?
「少し中盤でのロストが目立っていましたし、吉野の本来の強気な姿勢というものが今日は出てなかったなと感じました。首を振ったり下を向いたり弱気な感じがしたので、彼にとっては厳しかったかもしれないですが、思い切って勝負してみました。当然、安西幸輝が我々にそれ以上の流れというか攻撃力を増す役割をしてくれるという期待と、やはり松本さんは走力という部分ではJリーグのトップクラスですから走り負けてはいけない。そこでスプリントが何度も何度もできる幸輝を入れつつ、こまめにポジション修正ができる澤井をボランチに置きました。正直、プロで合わせることはなかったんですが、セカンドチームの中で彼は両サイドバック、ボランチ、サイドハーフ、FWとどのポジションでやっても全力でできる準備をしてきました。その澤井をボランチで起用することで、よりリズムとテンポが出るようになって距離間もより良くなって我々が攻撃の時間を長く作って、相手の単調な攻めを単発で終わらせられればなと思い、交代を選択しました」
――今日は三浦監督がヴェルディの指揮官に就任してからの松本戦で最も勝利に近付いた試合でしたが、監督の中で当初考えていたゲームプランはどのくらいできましたか?
「1-0のまま終わればプラン通りだったと思います。タフな試合になるし、簡単ではないと思っていました。やはり、こういう飛び道具を持っているチームには2点必要であるということです。1点では安心できません。それは90分過ぎてもどうなるか分からない。そういう意味でもう1点欲しかったです。内容的にはしっかり取れていたと思いますが、しっかり守って、セットプレーで点を取るプランを立てている松本にとっては、順位を考えても、彼らにとって今日の試合はプラン通りだったんじゃないかなと思います。ただ、その松本をギリギリのところまで追い込むことができました。もう、今シーズンは松本との対戦はありませんが、我々が残り19試合となった後半戦で今日得たものを、松本とギリギリの 戦いができたことをしっかり糧にして、残り試合を戦えればと思います」