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MATCH試合情報

2013 Jリーグ ディビジョン2 第14節 - 東京ヴェルディ vs ヴィッセル神戸

マッチレポート

【試合展開】

首位のヴィッセル神戸をホームに迎えたこの一戦。サッカーの聖地国立競技場には、多くのお客さんが詰めかけた。

晴天に恵まれたピッチの上で、ヴェルディは序盤から素早い出足で相手を追い込み、リズムに乗って攻撃を仕掛ける。17分には高原がドリブルで相手守備陣を翻弄してペナルティエリアに侵入。たまらず相手が高原を倒してPKをゲットすると、これを高原自身がゴール左に決めて先制に成功する。その後も素早いプレスで相手のミスを誘い、素早い攻守の切り替えからチャンスを作り、良い流れで前半を終えた。

しかし、後半の序盤にヴィッセル神戸の反撃を受ける。開始直後の47分に左サイドからクロスが上がると、対応した福井が相手選手をペナルティエリア内で倒したと判定されてPKを与えてしまう。これをポポに決められて同点に追いつかれた。ここから相手に勢いを与え、受け身に回って対応する時間が続いた。

再三の決定機を守備陣の踏ん張りでしのぐと、アディショナルタイムに絶好機が巡ってきた。右サイドの森からアーリークロスがゴール前に入り、相手DFのマークを振り切ってフリーになった高原のもとへ。高原はこのボールを胸でトラップしてボレーシュート。GKが触ったものの、勢いを失わなかったボールはそのままゴールラインを割り、劇的な形で勝ち越し点を奪った。

高原の2ゴールで首位のヴィッセル神戸を退けたヴェルディ。次節は中2日で敵地松本に乗り込んで松本山雅FCと対戦する。

 

 

 

【試合後選手コメント: FW 44 高原直泰選手】

――首位神戸との対戦でしたが?

「ある程度、前半は自分たちのペースで試合を運べたと思います。しかし、(失点に繋がった)ああいうPKを簡単に与えてしまうと、勝つことが難しいと思います。自分たちで難しい試合にしてしまいました。今後はもっと自分たちで試合をコントロールしていきたいです」

――前半の得点シーンについては?

「相手ディフェンスを見て、仕掛けることができました。シュートで終わるイメージを持ってトライしたつもりです。あのシーンは自分らしさを出せたと思います」

――2点目のシーンについては?

「最後のワンチャンスが必ずくると思っていました。ある程度、自分でペースをコントロールして、備えることができたと思います。あとは、胸トラップからシュート、という昔からやっているパターンを繰り返すだけでした。勇介が、ファーサイドにストレート系のクロスを上げてくると予測していたので、相手DFに触られることなく自分の間合いに収まった時、自分のものだと思いました。そういった相手DFとの駆け引きがフォワードとしての仕事だと思います。結果を残せたことが良かったです。チームとしては今後、もっと形が出てくるはずです。反省する部分は山ほどありますが、結果を出しつつ、成長していきたいです」

――チームに安定感が出てきたと思いますか?

「これまでは、良い時と悪い時の差が大きかったと思います。混乱してしまった時、チームが何をすべきか、分からなくなっていました。これからも安定した戦いを見せることができるように頑張っていきたいです。ただ今日、(神戸に)勝ったから良いということではないと思います。現在、神戸が首位を走っていますが、今後首位がどこかに変わる可能性だってあり得ると思います。常に自分たちで、試合をコントロールができるようにしていく必要があります。今日も、反省するところはしなければいけません」

――国立で試合をやることは、特別なものですか?

「数々の素晴らしい選手たちが戦ってきたこのスタジアムの雰囲気は、他のスタジアムでは味わうことができないでしょう。国立は、子供の時からの憧れだったし、サッカーの聖地です。それがこのスタジアムの価値だと思いま す」

――最近、シュートを打てない試合が続きましたが、今日の活躍は変化があってのことですか?

「特に変化はありません。僕はシュートを重ねる選手ではないです。シュート1本でも得点を奪うことができるかが重要だと考えています。1試合ごとのシュート数を気にしていません。シュートを打てなくても、多くのチャンスを演出できる試合だってありますから。僕は、チャンスを(味方に)与えたら、(自分に)返ってくると思っています。その繰り返しを2トップでやっていきたいです。昔、中山さん(中山雅史氏)と一緒にやったイメージがここでも出せたら最高だと思います」

――代表について考えることはありませんか

「僕が考えてどうにかなることではありません。クラブで、しっかりしたプレーを出すことが大事です。そのため、自分たちは1試合1試合を大事に戦うことを考えています」

 

【試合後選手コメント: FW 7 中島翔哉選手】

――高原選手とのコンビネーションは?

「一緒にやってきて、言葉では表現できない凄さというのを感じます。ボールを奪われない強さだけではなく、チームメイトがボールを預けたいと思わせる雰囲気や、魅せる選手としての存在感を持っていると思います。まず、高原さんのようになるには、技術が絶対に必要だと感じました」

――今日の試合を振り返ってください。

「もっと仕掛けられる場所でボールをもらう必要がありました。エリア内に向けて直線的に入る姿勢を出すことが課題だと思いました」

――今日の結果については?

「本当はゴールやアシストを決めて、勝ちたかったです。勝って学べるということは、本当に大きなことだと思いました」

 

【試合後選手コメント: MF 16 飯尾一慶選手】

――試合を振り返ってください。

「1週間神戸戦のために準備をしてきて、あのような形で田代選手にボールを入れて、中盤でもセカンドボールを拾って押し込んでくるというのを分析していたので、そこを抑える狙いを持ってプレーしました。そういう意味では、ある程度準備してきたものが出せたのかなと思っています」

――前半は守備が効いていてロングボールを入れられる場面も少なかった印象ですが?

「誰がボールに行くかがはっきりしていた部分もありますし、その後の反応も良かったので、やられる場面は少なかったと思います。ただ、後半は押し込まれる時間が増えました」

――押し込まれた時間帯はどういうことを意識していま したか?

「戻ってスペースを埋めなければならないし、相手のサイドバックにも付いていく必要がありました。それにボールにも行かなければいけませんからね。うちとしては、自分たちがボールを持った時に、後ろから蹴ってしまっていたのが良くなかった部分でもあったと思います。相手は最終ラインに4枚いるのに、こっちはタカさんしかいないにも関わらず蹴っていたので、簡単に相手ボールになっていました。もちろん、相手も田代選手のところにロングボールを蹴っていたので、プレスバックしなければいけなかったので、ボールを持つ位置が自陣深くになっていました。だから、リスクをなくすという意味では、ある程度しょうがなかった部分もあります。セカンドボールを上手く拾えた場面ではしっかり繋ぐことはできていました」

――高原選手のパフォーマンスは素晴らしかったですね?

「すごいですね(笑)。 本当に良かったです。首位のチームを相手にチームを勝利に導く活躍をしてくれたので、非常に助かりました。毎試合、高いモチベーションで臨んでいて、周りにも、『もっとこうしてくれ』という要求もしてくれて、強い気持ちを持っていることを感じます。皆がそれについていかなければいけないですね。もっと、チームとして高いレベルでやっていきたいです」

――ゴールを奪える予感はありましたか?

「僕たちも引き分けを望んでいたわけではないし、チャンスがあれば、ゴールを奪いに行こうと思っていました。何回か良いセンタリングも入っていたので、それがゴールに繋がったのではないでしょうか」

――先制してから苦しんだ前節の経験は活きましたか?

「相手は攻撃力もあるし、個の能力もあるので大変でした。それでも、守備の部分はしっかりできて、ボールを奪ってから繋ぐ意識もあったので、前の試合に比べて修正できていた気がします」

――今後に向けて今日の勝利は大きかったですね?

「やっぱうれしいですね。皆が恐れている神戸という相手に対して、自分たちが勝てたのは大きいです。でも、次の試合はとても大事になりますね。とりあえず、今は次の松本山雅との試合に集中していきたいです」

 

【試合後選手コメント: GK 1 佐藤優也選手】

――試合を振り返ってください。

「チームとして首位の相手に勝利できたことは、とても良かったです。でも、個人としてはミスが多かったので、短い期間で次の試合もあるので、しっかり切り替えて松本戦に臨みたいです」

――前半は思い通りの守備だったのではないですか?

「そうですね。相手に自由にパスを出させないアプローチは、前半はよくできていたと思います。僕としても相手のプレーをある程度限定してもらっていたので、守りやすかったです」

――逆に後半は相手の得意の形に持っていかれた面もありましたね?

「でも、試合前から相手がもっと田代を使ってくるプレーをしてくると思っていたので、それに対して、しっかり競ってセカンドボー ルを拾う意識も高かったので、ある程度長い時間良い対応ができていた印象です」

――押し込まれている時間はやはり厳しかったですか?

「なかなか苦しい時間もあって、前にボールを入れても収まらずに、守勢に回る場面が多かったです。それでも、そういう場面でみんなが身体を張って失点を防ぐことができていたので、それがタカさんのゴールに繋がったと思っています」

――ファインセーブでチームを救いましたね?

「いや、そんなことないです。その分ミスも多かったので。そういうミスがなければ、自分としても良い試合だったと言えたのですが、すぐに切り替えます」

――具体的にどういったミスがありましたか?

「やっぱり自分がボールを持った時のミスですね。まあ、キックのミスが多かったです。GKとしてのプレーでミスは少なかったですが、チームがリズムを作りたい場面で自分のキックがタッチを割ったりしていました。そういう部分で流れが変わってくるものなので、そういうミスをなくしていきたいです」

――今日の勝ちは大きかったですね。

「チームとしても首位に離されないようにと思って臨んだ試合で、しっかり勝てたのは良かったです」

――中2日で松本山雅戦ですが?

「チームとして今日の勝利の余韻に浸ることなく、次の試合に向けて準備しています。今日の勝利を濁さないためにも、次の試合は重要だと思っているので必ず勝ちたいです」

 

【試合後選手コメント: DF 6 福井諒司選手】

――相手の強力な2トップを上手く潰せていましたね?

「2トップへのロングボールへの対応の場面では、始めから早い段階で入れてくるのは分かっていたので、3バックで上手く対応できました。最初の場面で勝つ、負けるに関わらず、チームとしてセカンドボールを強く意識していました。そういう意味で連動して守備ができていたので、良かったと思います」

――他のチームが苦しんでいる田代選手への対応で、非常に上手くいっていた印象ですが?

「身体能力が高くて強い印象ですが、勝つ、負けるということに限らず、しっかり身体を当てていくことが、相手を自由にさせないという面で有効だったと思います。そこはしっかりできていたと思います」

――今日は後方からのフィードで攻撃に上手くアクセントを付けていた印象ですが?

「チームの意識としてはショートパスを繋いでいくというイメージですが、自分の持ち味はフィードなので、いける場面では積極的にフィードを狙うようにしていました」

――今日は高いテンションのゲームになりましたが?

「やっぱり、いつも通りとは違う感じでしたね。国立競技場でのゲームはサッカーをやる人間にとっては特別なものですし、J2でトップのチームとの試合でもあったので、いつも以上に気持ちが入っていたかもしれないですね」

――次からアウェー3連戦となる中で、今日の勝利は大きかったですね?

「多少ケガ人が増えている中で、誰が出ても結果も出ていますし、もちろん結果が出ていない選手も、練習できっちりアピールできているのは、とても良いことだと思います」

 

 

【試合後監督コメント:三浦泰年監督】

――試合を振り返ってください。

「ヴェルディにとって非常に大事な試合だったということが試合終了後に分かるように、プレッシャーも掛かって、選手にとってはやり辛い試合だったのではないでしょうか。試合を難しくしたのは、後半頭の軽率なプレーなのか、それとも日本が目指すサッカーの中でそのぐらいのコンタクトがPKに値したのかは、ダイジェスト映像もチェックしていないので分かりませんが、そういうもので後半の入り方で試合を振り出しに戻してしまいました。ただその後、選手たちは非常に落ち着いて試合を進めたなという印象です。それが、やはり最後の得点に繋がったと思います。もちろんパスの精度であったり、ボールを保持した時に入れる場所であったり、まだ構築し切れていない未熟な面もあります。神戸相手に非常に大事だったのは、相手の攻撃をきちんと止めることでした。相手の攻撃をしっかりと止めることが、最後に得点が生まれる結果に繋がると思っていました。その狙いを頭に入れて最後まで諦めずに持ち続けてプレーした結果が、こうした高原の得点に繋がったのかなという感じです。最後まで集中して体を張り続けた選手たちを評価したいと思います。ただ、勢いがつくような試合、または“聖地"国立で劇的な勝利を手にした後に、中2日で松本山雅戦があります。大事なことは、この試合で勢いが付いたことを証明する意味でも、次の試合に向けた良い準備をすることを頭に入れておくということ。最後に、開幕して20年が経つJリーグで、20年前にこの国立で輝いていたヴェルディが、歴史ある国立で新しい未来を築いていけるかという大事な試合でした。そうした未来に向かって、勇気とプライドを持って今後も戦って行きたいと思います」

――高原選手が2得点と具体的な結果を残しましたが、高原選手の個人的な評価を教えてください。

「複数得点をすることは、非常に監督の私にとっても重要なものでした。高原と数日前に話した時に、どうしても周りを活かすプレーが増えていること、やはりセンターフォワードとしては彼が決定的なシーンにいることが自然なことだということを伝えました。彼が周りを活かすだけでなく、最前線にいる高原を周りの選手が活かすプレーを増やしていきたいと思っていました。ただ、彼には辛抱してもらう試合もあるということを伝えました。そういう中で、42節が近づいてくる時期に高原の名前が得点ランキングの上位にいることを、私はイメージしています。ただ、今のチームでいつでも高原が得点を取れるという状況ではないのかなという印象です。そういう中で、メンタル的に辛抱しなければならない試合をしっかりクリアし、今日のような大きな試合で2点取るということは、彼が素晴らしい選手だという証明だと思います。ただ、高原とも話をしたのは、中2日で次の試合がある状況で、こういう勝ち方をしたことを自信にするとともに過信にしてはいけないということです。高原もすでに次の試合の準備をしていると思います」

――中2日と過密日程を強いられる中で、それを乗り切るために特別な策はありますか?

「選手も私も過密日程というネガティブな考えより、良いテンポで試合ができるというポジティブな印象を持っています。選手たちの顔からはそういう印象を受けています。だから、明日またグラウンドで集合した時に、次の試合を戦いたくないという選手がいるのならば、それは過密日程と言うしかないです。ただ、そうしたことがなければ、過密日程とは言いません。どんな状況でも良いリズムで試合をやることは選手にとって良いものですし、今日こういう勝ち方をしたことで、次の試合に向けて前向きに準備ができると思います。万が一、この試合を取れなかったとしても、中2日ですぐに挽回をするチャンスがあるということなので、それを考えれば、選手がリーグの日程を進める中で過密日程という風に感じることはないです。たとえ、短いスパンで試合が続いたとしても、ネガティブに受け取る必要はないと思います」

――試合終盤は押し込まれた状況の中でベテランの活躍が目立った印象ですが?

「あの状況の中では、上から見ていても、ベンチから見ていても、どうやって点を取るのかということが見つからない状況にありました。逆に言えば、私はどうやってあの時間帯を“ゼロ”で終えるかという部分を強く考えていました。”ゼロ“が続いていれば、いつも練習をしているプレーが一瞬の隙でいつ出てもおかしくないと思っていました。確かに、危ない場面は何度もありましたが、それは試合をする前から想定していたことです。その中で守備が耐えることが、決勝点のシーンに繋がった気がします。ただ、この試合で我々がパーフェクトな試合運びをしたとは思えないし、これからもっともっとやらなければならない部分、精度を高めていかなければならないことはあります。得点に関しても、勇介と高原の2人の個人技、1足す1の関係の中で取ったことを考えれば、3人目やコンビネーションで崩す得点を追求していきたい。ただし、同時にこういう試合をモノにしていくことが、プロとしてすべきことだと思います。または、短期と長期で自分たちの状況を把握しながらリーグ戦の戦いを進めていかなければならないのではないかと思っています」

――現状、高原選手が日本代表でプレーできる可能性をイメージしていますか?

「現在、ガンバ大阪がJ2にいるわけですから、是非足を運んで確認して頂ければ、他の選手にとっても励みになると思います。ただ、現時点でどうこうというのは私が決めることではないですし、彼自身も同じ意識でトレーニングに励んでいると思います。今日の1試合だけで、そういった目標が出てくるとは思いませんが、我々も高原も今日のような試合を続けることが、そうした素晴らしい場所に繋がっていくのではないかと思います」

 

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