MATCH試合情報
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【試合展開】
アジアクラブの頂点まであと1勝と迫った最終戦、日テレ・ベレーザはオーストラリアのメルボルン・ビクトリーと対戦した。初戦を落とし、2戦目も引き分けている相手は、優勝のためには勝利以外にない状況。ただし、ベレーザも自力で決めるには勝利が必要なため、ともに勝ち点3を求めるぶつかり合いとなった。
とはいえ、ここ2試合で示しているように、ボールを保持して相手陣内で試合を進めていくベレーザの力はメルボルンにも有効で、ほぼ一方的に相手陣内に押し込む時間を過ごす。すると、9分に試合が動いた。
相手陣内の左寄りのスペースでボールを持った長谷川唯が逆サイドへ展開。遠藤純がペナルティエリアの角で受けると、マイナス方向へ落とし。これを後方から駆け上がってきた有吉佐織がワンタッチで合わせ、ゴール前へピンポイントのクロスを供給。ターゲットになった田中美南が頭で合わせてゴール右へと流し込んだ。
21分にはまたもサイドを起点に押し込むと、右からのクロスボールがファーサイドに流れ、これを植木理子が拾う。寄せる相手DFをワンフェイントでかわして右足を強振したが、コースを突いたシュートは相手GKが足に当てて枠から逸れた。
押し込む時間帯が続く中、追加点がなかなか奪えない。すると34分、遠藤からのパスを受けた伊藤彩羅がペナルティエリア内で倒されてPKを得ると、これを伊藤本人がゴール左へと冷静に決めて追加点を挙げて前半を終える。
後半に入っても一方的にベレーザが攻め込む展開は変わらない。49分には左サイドに開いて受けた長谷川が相手最終ラインの裏にループパス。呼応した田中が抜け出すと、追ってきた相手DFを背負いながらゴール左へと決めて攻勢を加速させる。
その3分後には左サイドを突破した遠藤純のクロスに伊藤がヘディングで合わせるが、これは惜しくもクロスバーを叩いた。
さらにその4分後、またもや遠藤が左サイドを突破し、ゴール前に速いクロスボールを入れる。ゴール前には田中と伊藤が飛び込み、手前の田中がワンタッチボレーで合わせて、アジアの大一番の舞台でハットトリックを達成した。
4点を決めても攻撃の手を緩めないベレーザは、試合終盤の85分には、有吉がゴール前まで顔を出してチャンスを創出。1回目のシュートはGKに当たり、2回目は枠からわずかに逸れたが、ベレーザらしく攻め抜く姿勢を打ち出した。それが最後のダメ押しにつながる。
アディショナルタイムに突入した90+1分、途中出場の岩﨑心南が右から切れ込んでゴール正面の位置で左足を振り抜いてゴール右隅へと叩き込んで女王の座を確実にした。
結果、2勝1分でAFC女子クラブ選手権2019に優勝した日テレ・ベレーザが、初代アジアクラブ女王に輝いた。
ボールを持って、相手の最終ラインの背中側にいかに入ってスコアをとるかというのをテーマにして入りました大きさや強さという部分でなかなか入り切れず、スコアできたものの、自分たちの理想とする形は少なかったので、それを改善して、より多くのボール保持と、より多くのチャンスメークと、より多くのスコアというのを後半は目指して、それに対して、すごくエネルギッシュに前半よりもできたところは試合の中で自分たちの状況を良くしていき続けたことはよかったと思います。クラブチームには外国籍選手がいて、自分たちのベースにそうした特徴のある選手たちが乗ってくることは、クラブチーム独特の高いレベルになるというのは分かっていました。私たちはそれでも、自分たちのスタイルをいかに保って、勝利しているかというのにトライしています。たくさんトライして、慣れていくことでよりできるようになったということはすごく多く見えたので、それは収穫だと思っています。
9田中 美南
優勝できて、嬉しい気持ちと、みんなに「お疲れ」っていう想いで一杯です。みんなのお陰でハットトリックを達成できました。1点目は、アリさんから良いボールがきて、ファーのコースがキレイに見えたのでそこに当てるだけでした。2点目は、唯が前を向いた時は何かアクションを起こそうと思ってプレーしているんですけど、たまたま良いボールが来ました。 初戦は分析も何もないなかで中国のチームだったのですが、本当に難しい試合でした。そこでベレーザのサッカーをするのは難しかったですけど、韓国とオーストラリアのチームとやる中で自分たちの良さをアジアでも出せたというのは自信につながると思います。(過密日程の中でチームは?)前後の皇后杯も考えてはいましたけど、皆がこのアジアのチャンピオンを目指して毎日ケアをしたりイメージを作ったお陰だと思います。出る選手みんなが頼もしくて、出る時も出られない時もみんながいい準備をした結果だと思います。
6有吉 佐織
アジア女王の実感は…正直あまりないですけど(笑)、ベレーザらしい試合もあったし、アジアならではの難しい試合もあったし、どちらも良い経験をさせてもらいながら結果が出たことはすごく良かったと思います。今回に関しては、3試合を今のチームのベストメンバーで戦ったかといえばそうではないし、上手くローテーションしながらチームとしてトータルでベレーザらしいサッカーをやり切って勝てたというのが、今後のベレーザにとってすごく良い経験になると思います。チームとしての層の厚さというか、質の高さの部分で、もうひと回りくらい強くなれたんじゃないかなと思います。今日の先制点の場面は、純が仕掛けていたんですが、彼女がカットインする左足のコースを切られていて、そこの位置でサポートしたら中が空くかなと思ったら美南がすごく良い動きがあったので、そこに合わせるだけでした。2試合目の韓国戦で、自分の印象に残っているのが、若葉が前半一杯一杯でやっている中で後半に覚醒して、最後に足をつりながらオーバーラップしたんです。その姿にすごく刺激を受けました。そこで出し切るという気持ちのところで刺激を受けて、それでこの試合で絶対にやってやろうと思っていました。ローテーションしながら、お互いに刺激し合いながらやれていることは良いことだと思います。だから、本当に良いチームだと思います。
18遠藤 純
1戦目からスタメンで出て、初戦ということもあって難しい試合になったんですが、2試合目は出ている選手だけでなくチーム一丸となって戦って、勝利をつかみ取れました。3試合目は、前半は特に自分を含めて若い選手がなかなか自分を発揮できなかったりだとか、上の世代の先輩に任せるプレーがかなり多くて、ハーフタイムに話をして、後半は自分自身もそうですが、気持ちをあらたにたくさん得点をとって勝てるように気持ちを入れ替えました。それで勝利につながったので良かったと思います。前半はペナルティエリアに持っていくことやサイドバックの位置で駆け上がるシーンが少なかったので、後半は自分からアクションをしようと思って、アシストすることができました。もっと運動量を多くしないと、連戦で戦っていけないし、サイドを駆け上がることで中が空くということもあると思うので、そこは少し課題かなと思います。ベレーザとして、5日間で3試合戦う大会で優勝できたことは大きいと思うし、チームによっても戦い方が違ってきたので、自分としては3試合を通じて積極性や運動量が足りないなと感じていたので、そういうところを改善しないと国内の試合も戦っていけないと思います。そこを改善していきたいです。
26伊藤 彩羅
優勝が懸かっている試合で、緊張はしましたが、楽しみという気持ちもありました。試合に入るにあたって、ビルドアップに上手く関わることと、得点に結びつくプレーがしたいという気持ちがありました。2点目のPKにつながった場面は、純さんからパスを受けた時に、ボールに触れば相手が足を出すかなと思って、チョンと触ったら足が出てきたのでそこにかかったということです。PKは緊張しませんでした。得意ではないですけど、PKよりも試合に入る緊張の方が強かったです。(後半の決定機は)純さんの左足のクロスを狙っていけというのは永田監督から言われて、純さんから良いボールが入ってくるので走り込むことを意識していました。ヘディングした瞬間はいけたと思ったのですが、クロスバーに当たってしまいました。試合中の経験もそうですけど、ベレーザの選手と練習をして、オフの時も過ごしたりして、サッカーだけでなく「これがベレーザなんだよ」というお手本を教えてもらったので、自分もお客さん気分ではなくてチームに食い込んでいきたいと思いました。