特別な時間になったWE ACTION DAY
文=馬見新拓郎
WEリーグの特徴の一つは『WE ACTION DAY(理念推進日)』の設定だ。毎節、試合のないクラブがリーグの理念に沿った取り組みを行う。ここまで各クラブが特色ある活動を企画・実行する中、11月13日にWE ACTION DAYを迎えたベレーザは、ホームタウンである北区の女子中高生選手と合同練習を行い、さらには十条銀座商店街を訪問した。
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ベレーザの選手と女子中高生選手による合同練習は、互いに真剣な表情と笑顔が見られる特別な時間になった。『サッカー教室』ではなく、あくまで『合同練習』。ベレーザの練習を主導する永田雅人ヘッドコーチの言葉を借りれば『職場体験』だ。女子プロサッカーチームという“職場”に中高生を招き、実戦に近い練習を一緒にこなすことで、その空気を味わってもらった。
練習前には竹本一彦監督から「いつもと同じようなメニューで、今日もガチンコで練習する」との言葉があり、「うまくなるために(ベレーザの選手の)動きを観察して盗んでほしい」とアドバイスした。
ベレーザの選手たちの多くも、育成組織のメニーナ時代からトップチームの選手たちのプレーを見て、多くを盗んできた。メニーナの選手がベレーザのホームゲームでボールパーソンをする時は、基本的に自分のポジションと近いエリアを担当するという。例えば、メニーナの右サイドバックの選手は、清水梨紗の近くのエリアに座り、試合中の清水の一挙手一投足を見つめる。そうやって自身の技術向上につなげてきた。
今回、合同練習に参加した女子中高生たちも、ベレーザの選手を常に目で追っている姿が印象的で、参加者の一人である栗俣梓瑛選手(都立飛鳥高校キャプテン)は、「植木理子選手のファーストタッチ、後ろからのボールの受け方が勉強になった」と目を輝かせた。
その植木も「自分たちにとっても今後の糧になる時間だった」と笑顔で合同練習を振り返り、「身長が低くてもドリブラーとしてのスタイルを持っている岩渕真奈選手(元ベレーザ/現アーセナル)に自分も憧れていた」と、育成年代だった当時を思い出しながら話してくれた。
この日、永田ヘッドコーチが教えていたボールの受け方や出し方は、明日からでも使えるテクニックばかりだった。「またいつか一緒にプレーしたいな」。そう語る植木と将来ベレーザで一緒にプレーする選手があの中から現れるかもしれない。