新生なでしこジャパンにベレーザから5人
文=馬見新拓郎
10月1日に新生なでしこジャパンの新指揮官として池田太監督が就任した。同14日には、最初の代表候補メンバーが発表され、ベレーザからはGK田中桃子、DF清水梨紗、DF宮川麻都、FW小林里歌子、FW植木理子が選ばれた。5人はEL埼玉戦後に7日間の合宿に参加する予定だ。今回は5人のみの選出だったが、コンディション等が戻ってくれば、ベレーザからさらに多くの選手が代表に絡んでいくだろう。
池田監督は2017年、なでしこジャパンの代表活動の一部でコーチを務め、同年にU-19日本女子代表の監督に就任。AFC U-19女子選手権中国2017(南京)でアジア制覇を成し遂げ、FIFA U-20女子ワールドカップフランス2018ではU-20日本女子代表を初の世界一に導いた。
その世代の中心選手が宮川、植木、そして北村菜々美や遠藤純だった。その熱い指導法から、選手に「熱男(アツオ)」とあだ名がつけられたエピソード、帰国後の笑顔あふれる優勝会見を見聞きした方も多いだろう。
筆者は南京、フランスでの優勝に加え、AFC U-19女子選手権タイ2019(チョンブリ)も制した池田監督のチームを現地取材している。南京の練習場到着後、タクシーの運転手に高すぎる運賃を請求されて揉めているところを池田監督に笑われたことも、ベスト8終了後に予約していたフランスからの帰国便を決勝翌日まで延長して取材費がかさんだことも、チョンブリの練習場になぜか毎回やって来る野良犬におびえたことも、池田監督の輝かしい功績とともに記憶している。ベレーザの取材で向かったヴェルディグラウンドで、視察に訪れていた池田監督と偶然会ったことも一度や二度ではない。
池田監督が作るチームに共通するのは、団結力があり、選手の個性が生かされたチームであるということだ。「一人ひとりに存在感があって、チームに自分が必要だと感じられるような雰囲気のあるチームを」と指揮官は掲げている。これは、一人ひとりが主人公になるという、WEリーグの目指すところと一致する。
昨年はFIFA U-20女子ワールドカップコスタリカ2020が中止となり、その世代の中心選手だった田中、松田紫野、菅野奏音、山本柚月が世界で活躍する姿を見られなかった。それはベレーザファンにとっても残念だったはずだ。しかし、彼女らの特徴を知り尽くしている池田監督は今回、田中を代表候補に初選出した。さらに、現在もU-19日本女子代表監督を兼務しているだけに、それ以外の選手にも代表への道は開かれているはずだ。
これからもベレーザでの経験を代表チームに還元し、また代表チームでの経験をベレーザへ還元していく。その相乗効果で、ベレーザの選手たちには日本女子サッカーをけん引していってほしいと思う。