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東京ヴェルディ担当記者が書く『10/19』展望
浦和との前回対戦は3月3日のJ1第2節、5万人強が集った埼玉スタジアムで行われ、1-1で引き分けた。東京Vとしては16年ぶりに臨んだJ1の舞台で初めてつかんだ勝点だった。ただ、先制しながらも終了間際のPK献上によって勝利が手からこぼれ落ちた試合でもあり、J1の厳しさを“オリジナル10”の相手に突き付けられた。
ようやく勝利をつかんだのは第6節・湘南戦になってから。それでも、その後には11戦負けなしや4連勝もあって一時6位まで上げることに成功。シーズン前に掲げた『J1残留』の目標が目前となり、今節で勝点を獲得すれば自力でその残留を勝ち取ることができる。
ただ、いまのチームが見据えるモノはそこ(残留)ではない。
前節の反省点を改善しながら目前の1試合に向けて全員が切磋琢磨し、勝利をつかむための最善の準備を続ける。城福浩監督のもと、続けてきたサイクルの継続あるのみだ。前節の湘南戦は「サッカーに対しての姿勢、試合の準備が足りなかった」(城福監督)。相手に球際の戦いで上回られ、失点時に歩く選手がいるなどその“姿勢”に問題が表出。0-2で敗れる結果となった。
3連敗中の浦和が目の色を変えて戦ってくるのは明らかで、その戦いを受けることなく上回るほどの熱量を示さねばならない。東京Vの姿を前回対戦同様、スタジアムは大勢の観客で埋まる。靴1足分の寄せ、リカバリーパワー、コンマ5秒早い動き出し……。これら指揮官ならでは言葉を体現し、観る者の心を打つ“姿勢”を見せたい。
(文 田中直希・エルゴラッソ東京V担当/写真 近藤篤)
【PICK UP VERDY】木村勇大 選手
浦和との前回対戦で、木村勇大はゴールを奪った。味方のヘディングによる折り返しに誰より早く反応し、反転しての右足ボレーでゴールマウスにねじ込んだ。この東京V加入後初得点で、木村は「個人としてもいいスタートが切れた」。続く第3節・C大阪戦でも得点を奪うと、第18節の広島戦までに9ゴール。しかし、そこから得点を奪えない時間が続いた。実に10試合、彼がゴールネットを揺らすことはなかった。その間、攻守の運動量や守備時の寄せなどを指摘され、先発から外れる試合も経験している。
「正直、苦しかった」
練習では城福監督から厳しい指摘が飛ぶ。前線で孤立気味になることも多く、そもそものチャンスも少ない時期があった。だが木村は、そこで一つの進化を遂げた。たとえ奪えなくとも本気でボールに寄せる。たとえボールが出てこなくとも本気で裏に走り出す。クロスに対して本気でニアサイドに走り込んでおとりになる。日々のトレーニングから徹底したそれらの動きが、自身の殻を破る契機になった。ゴールを奪うことだけに注力するなら、動き出しや守備にそこまで傾倒する必要はない。ただ、東京Vは「これでもか」というほどの全員のハードワークによって成り立っているチーム。その一員として、最前線でけん引する立場としてあるべき姿を見せるようになった。
第29節・柏戦で11試合ぶりのゴールを奪うと、チームの4連勝に大きく貢献。いまも東京Vの1トップを力強く担う。迎える今節の浦和戦、大勢のファン・サポーターが熱気とともにピッチを囲う雰囲気の中で、誰よりも球際で戦い、パワフルに突進する彼の姿があるはずだ。その先に、再び浦和戦のゴールがあると信じて。
(文 田中直希・エルゴラッソ東京V担当/写真 近藤篤)
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