MATCH試合情報
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【試合展開】
ホームで戦った前節、ファジアーノ岡山に競り負けたヴェルディは、仕切り直しの一戦でアウェイゲームを迎えた。相手は、前半戦で勝利したギラヴァンツ北九州。降格圏を脱するためにホームで必勝を期す相手に対して、ヴェルディは受け身に回らずに主導権を握りたいところ。勝利し、次節ホームで迎えるオリジナル10対決に弾みをつけたい一戦となった。
スタメンは前節から多少の変更を加えてきた。最終ラインは右に若狭大志をずらし、センターバックはンドカボニフェイスの相棒に古巣との一戦となる加藤弘堅をチョイス。インサイドハーフには石浦大雅と森田晃樹を組ませた。前線は、サイドでの起用が多かった小池純輝をセンターフォワードで起用し、両サイドには山下諒也と杉本竜士を配置した。
試合序盤は守備をセットする相手に対して、ヴェルディがボールを保持して攻め手をうかがう展開になる。試合前に降った雨の影響でスリッピーになったグラウンドでボールは走ったが、コントロールの部分では両チームともに苦しむ。足元の技術で地力に勝ったのはヴェルディ。ボールコントロールに苦しむ相手に対して前から積極的に寄せていき、高い位置でボールを回収してボール保持を維持しながら試合を進めていく。一方で連係の部分でミスが出ると、そこから北九州は一気に縦にスピードアップしてカウンターでヴェルディゴールに迫っていく。21分には右サイドを深い位置まで突破され、ゴール前へのマイナス気味のクロスボールに対してボールウォッチャーになり、フリーで合わされるが、シュートは運よくポストに弾かれた。サイドを起点に押し込んでは崩し切れずに戻してやり直す展開の中で、ヴェルディは中央を突破する筋道が作れずにフィニッシュまでなかなか持ち込めず、主導権を握りながらも相手のカウンターの脅威に晒されて前半を終えた。
前線の組み合わせに変化をつけたい堀監督は、後半の頭から杉本に代えて佐藤凌我を投入。中央に佐藤凌を置き、小池を左サイドに押し出す形で打開を図る。
この交代策が功を奏したのは54分。相手を押し込んでワイドにボールを動かしながら攻め手を探す中で、マイナス方向のボールを受けた佐藤優平がカーブをかけたミドルシュートを狙う。ポストスレスレのボールに相手GKがなんとか反応したが、処理し切れなかったボールがゴール前に落ち、いち早くセカンドボールに備えて動き出していた佐藤凌がプッシュして先制に成功した。雨脚が強くなってきた後半、縦に早い北九州に対して、ヴェルディは徐々に陣形を下げていく。最終ラインを押し上げてコンパクトな陣形に前に出たいが、背後のスペースを狙ってくる北九州にゴール前まで迫られる場面が増えて来る。終盤に入った86分、ついに拮抗していた展開を崩される。最終ラインの背後に浮き球のパスを通されると、飛び出した柴崎貴広の目前でゴール前にクロスを送られ、富山に頭で押し込まれて同点を許す。その後、ホームの声援を背に勢いづく相手に対して押し返すことができず、90+1分にコーナーキックの流れでシュートを柴崎がファインセーブでブロックしたが、ゴール前からかき出し切れずに強引にプッシュされて逆転を許す。
主審の負傷の影響もあって提示されていたアディショナルタイムは7分。残された6分で前に出たヴェルディは、ボールをキープして時間を使おうとする相手に対して厳しく寄せていく。残された時間もあとわずかとなった90+7分、試合が動く。左サイドをスピードに乗ってドリブルしていく小池がペナルティエリアに侵入しようと並走してきた新井瑞希に横パス。ボックス内に入った新井はさらにゴール正面の位置でゴールと相手DFを背負う佐藤凌に横パス。佐藤凌のファーストコントロールは大きく右に逸れたが、反転しながら逆側のゴール左隅を狙ってシュートを打つと、GKとゴールカバーも抜けてネットを揺らし、土壇場でヴェルディが同点に追いついた。
先制しながらも逆転されて終盤の戦い方に課題は残るが、最後の笛がなるまで諦めずにゴールに迫り続ける姿勢、それを体現した佐藤凌のプレーが今後につながる光明となった。次節、ホームで迎えるオリジナル10対決で勝利し、この勝ち点1の重みを証明する。
試合を振り返ってください。
先制した中、終盤に相手のペースになった時に追いつかれて、逆転まで持っていかれてしまいましたが、選手たちは最後まで諦めずに戦ってくれて、勝ち点1ですが、それを奪えたことは良かったと思います。これを前向きに捉えて次に向かいたいと思います。
今日の2得点で今季8得点として佐藤凌我選手の今季ここまでの成長ぶりについて評価を聞かせてください。
彼が試合に出ることによってチーム全員にパワーを与えられるような選手だと思っていて、今日に関してはそれが上手くいき、しっかりと2点取ったことを評価したいと思います。
ここ数試合、攻撃の機能性がなかなか上がってこないように見受けられますが、次節に向けた改善点を聞かせて下さい。
繰り返し自分たちがやろうとしていることをやっていく中で、相手も対応してくるところもあると思うので、それを次は超えていけるようにやっていきたいと思います。
最後に馬場選手の投入を準備していましたが、審判団とのコミュニケーションが上手くいかなかった感じでしょうか?
その辺は自分たちは交代する準備をしていましたが、現時点で自分のところでは少し把握できていないです。
前半はボールが握れた一方、守備では幾度か相手に決定機を作られる場面もありましたが、どの辺りに問題を感じていましたか?
ハッキリは分からないですが、前半は2度ほど自分たちの右サイドからクロスを上げられて決定的な場面を作られたところがありました。その辺は試合中、ハーフタイムに伝えてその後修正しようと考えていました。当然、クロスを上げさせないことが一番ですが、上がった先で相手の選手がフリーに近い形でシュートを打たせていたので、そこはしっかりと見ていくということは伝えていました。
先制後、相手の流れになっていた時間帯に加藤選手、石浦選手を下げて梶川選手、新井選手を投入した意図を聞かせてください。
梶川に関しては相手のペースだったので、ちょっと自分たちでボールを持つことができていなかったので、梶川はボールに触れる選手であり、触りに行こうとする選手なので、その辺で自分たちのボールの時間を増やしたいという意図がありました。新井に関してはサイドのところで、自分でもコンビネーションのところでも最後のところに絡んでいける選手ということを考えて入れました。(加藤の交代理由は)久々の試合だったので、ちょっと疲労しているように見受けられて、替えるという判断をしました。
加藤選手を久々にスタメンで起用した意図を聞かせてください。
弘堅だけでなくトレーニングをしている中で、次の試合に向けて全員がしっかりと準備してくれている中でも、より良い準備ができているという部分で、今日の試合では弘堅を選びました。
FW27佐藤 凌我
地元に近い北九州での試合になりましたが、どのような気持ちで今日の試合に臨みましたか?
地元で2ゴールできたことは良かったですが、勝ち切りたかったというのが本心です。
今日の2ゴールの場面を振り返ってください。
1点目は(佐藤)優平さんがシュートを打つ時点で自分はゴールに向かって走っていたので、シュートがそのまま入るにしろ、絶対に優平さんは良いコースにシュートを打ってくれると思っていたので、最終的に上手く自分のところにこぼれてきてくれて良かったと思います。 2点目は残り時間が少ない中で(新井)瑞希君から横パスをもらって、思い切り振り向きざまに打ったシュートが入ってくれたので良かったです。
後半にピッチへ入る上で意識した部分、監督から受けた指示について聞かせてください。
自分の特長としてどんどん裏へ走っていくところがあるので、そこは意識して入りました。自分がボールを持った時には、どんどん前に仕掛けていこうという気持ちでピッチに入りました。
先制後に相手のペースに移っていく中、ピッチ内ではどんなことを考えていましたか?
点を取った後、ちょっとしてからはかなり押し込まれたというか、ラインが低くなってしまい、コーナーであったり、深い位置でのフリーキックが増えていった感覚はありました。
その状況でも個人としては前からボールを追う意識は強かったと思いますが?
そうですね。ただ、まだまだ相手へのけん制が足りなかったので、後ろは少し前に出辛かったのかなと思います。
MF17加藤 弘堅
初の凱旋となったミクスタでの試合を振り返ってください。
少し不思議な感覚でした。嬉しくもあり、敵としてミクスタに来るのは初めてだったので、楽しみ半分、絶対に負けたくないという気持ち半分という感じでした。
前半はボールが握れた一方、守備では幾度か相手に決定機を作られる場面もありましたが、どの辺りに問題を感じていましたか?
ボールを持てることはチームとしての特徴なので、どこでゴールに向かう瞬間を作るのか、という場面をもっと増やしていく必要があります。相手に決定機を与えた場面に関してはボールを持たれているというよりも、展開的に速い状況で最終的に決定機を作られていたので、リスク管理を含めてコミュニケーションといった部分は、より緻密にやっていかなければならないと思います。
後半に入ってよりアグレッシブな戦いができた要因はどの辺りにありますか?
少しずつゲームの流れに慣れてきて北九州さんがどういう風に出てくるのかを、ゲームの中で感じながら選手が判断してプレーできたこと。あとはゴールに向かうという部分では、(佐藤)優平のミドルシュートからの先制点でしたが、そういう思い切ったプレーがひとつ流れを掴んだ要因かなと思います。
先制後、受けに回る展開になりましたが、改善点や問題点を聞かせてください。
サッカーでは起こり得る状況で、後半にリードするような得点が入ったとき、先制したチームは少し大事に行こうとしますし、負けている側はより前に出ていく姿勢が出やすいところなので、やっぱりチームの特徴を考えた時に、もう少し自分たちでボールを握る。あるいはもっと早い段階で2点目を奪いに行くところは、課題ではないですが、もっとできたのかなと思います。そういうところは選手たちが感じているところなので、もっと話してコミュニケーションを取って、次に向かえればと思います。
攻撃の崩しの局面で全体の意思統一がぼやけているように見受けられますが?
ちょっとこういう話をするのがいいのかは分かりませんが、永井さんの時は徹底してある程度、選択肢がある中でもちょっと(優先すべきプレーの)提示がハッキリしていた部分が強かった印象があります。それが良い時には機能しますが、悪い時にはなかなか点を取れず、シュートも少ない試合が多かったです。堀さんになってからはシュートに対する思い切り、特にペナルティエリア付近では積極的に足を振っていこうと言われていますし、そこの選手それぞれの判断基準、崩しにいくのか、それとも強引にでもシュートを打ちに行くのか、そこのところがゲームごとにちょっと波があるように感じています。
監督は交代理由に関して疲労度を考慮したと話していましたが、個人的な感触はいかがでしたか?
ゲームになかなか絡めない時間は多かったですが、練習試合を含めて90分間やったり、週末にゲームをやれていたので、そこまでコンディション的には問題はなかったです。その部分を監督に認めてもらえるようなパフォーマンスを見せる必要はあると思います。今回、堀さんの目にそういうように映っているのであれば、そういう風に見られているという事実ですし、僕自身は90分やるつもりで準備してゲームにも入っていたので、またそれを示して認めてもらえるように努力していくだけだと思います。