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COLUMN

『YOUTHFUL DAYS』vol.16 端戸仁

プロの厳しい世界で戦う男たちにも若く夢を抱いた若葉の頃があった。緑の戦士たちのルーツを振り返る。

取材・文=上岡真里江

「熱しやすく冷めやすい性格」もサッカーだけは違った

「自分はお金で苦労した分、子どもたちには絶対にお金で苦労させたくなかった」

そんな父の真の親心を知ったのは大人になってからだった。8人兄弟だった父の家族は金銭的な余裕がなく、大学進学を希望するも、高校卒業とともに就職するしか人生の選択肢がなかった。同じ無念さを息子に味わわせたくなかったのだろう。端戸家の長男・仁には、幼少の頃から将来の可能性を広げられる環境が積極的に与えられた。

「父は僕にプロゴルファーか、プロ野球選手になってほしかったみたいで。野球をやったり、ゴルフを習わされたりしたのですが、全然ハマらなかったんです」

特にゴルフは、3歳の時にマイクラブを持ってレッスンに通っていたというが、結局1〜2か月しか続かなかった。「僕は本当に熱しやすく冷めやすい性格」と自覚する中で、なぜかサッカーだけは違っていた。

何気ない出会いだった。小学3年生の終わり、一人で家の近くの公園で遊んでいた時のことだ。近所に住む子から突然、「サッカーにおいでよ」と声をかけられた。誘われるがまま『横浜西YMCA』へ入団。その楽しさに、すぐに虜になった。同時に抜きん出たポテンシャルも発揮されていくことになる。

小学4年生になり、いくつもあるYMCA各支部からの選抜試験を受けると、「早く高いレベルでやったほうがいいから」と、本来であれば5年生からしか入れない『横浜北YMCA』に通わせてもらえることになった。とにかくサッカーをするのが大好きで、小学校での朝休み、中休み、昼休みなど、時間さえあればグラウンドに出て、友だちとボールを蹴って遊んだ。

学校が終わると、YMCAの練習へ通う日々。さらにしばらくすると、今度は練習が終わった後に、もっと上の中学生クラスの練習にまで参加させてもらうほど、とにかくサッカー漬けの毎日だった。中学生クラスの練習は体格があまりに違うため、小学5年の端戸にとってかなりハードだったという。だが、成長を促すためには「逆にそれが良かったかもしれない」と、今になって感謝している。とにかく「誰よりもボールを触っている時間は多かったと思います」

サッカーに夢中になる一方で、父親はまた別の道を希望していた。勉学の道である。父は桐蔭学園の中学受験を望んだが、サッカーの強豪校ということもあって、端戸もこれにすっかり乗り気だった。小学6年時はサッカーよりも受験勉強に多くの時間を費やしたという。

だが、小学5年ですでに横浜選抜にも選ばれていた端戸の存在を、Jクラブが放っておくはずはない。地元のJクラブ横浜F・マリノスから「ぜひ、ウチのジュニアユースへ来てほしい」とのオファーを受けると、悩んだ末に承諾したのだった。

そして、横浜F・マリノスのアカデミーに入ったことで、その後のサッカー人生に大きな影響を与える2人の人物と出会うことになる。

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